教育レベルも柔軟性もトップクラス!アメリカ留学10のメリット
海外留学を考え始めた際に検討すべきポイントはいくつもありますが、「どこの国に留学しよう?」というのは、多くの人がまず最初に悩むところです。このシリーズでは、英語圏ということだけは決まっていても、なかなか留学先を絞る決め手がないと迷っている方のために、隔月で国別の「留学するメリット」をご紹介しています。昨今の状況では、旅行ついでにキャンパスの見学に行く、などということが簡単にはできなくなっているので、最も大切なのは留学候補の国ごとの情報をできるだけ集めること。各国の特徴をとらえつつ、自分がそこでどんな風に学び、生活するのかイメージしてみると良いでしょう。
シリーズ3回目となる今回は、日本からの留学先として人気のアメリカを取り上げます。アメリカに留学するメリットやデメリットをまとめていますので、進学先選びの比較検討の材料にしてください。
アメリカ留学の10のメリット
① 国際的に高い評価を受けているトップ大学が集まっている
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が発表している「世界大学ランキング」2020年版では、2位のカリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)を筆頭に、4位(スタンフォード大学:Stanford University)から9位(シカゴ大学:University of Chicago)までをアメリカの大学が占めました。TOP100までを見ても、じつに40校がランクインするという結果になっています。THE世界大学ランキングの上位約50%はアメリカの大学というデータからもわかる通り、アメリカの高等教育の水準は世界でもトップレベルです。研究実績や産業界への貢献、国際性など世界的に最高レベルの評価を受ける教育機関が数多く揃っているのがアメリカ留学の大きな魅力。最先端の学問や研究を追究するアカデミックな環境が整っているので、やる気さえあればとことん学ぶことができます。
② 多様な文化や価値観に触れられるグローバルな環境。世界中に友人ができる
留学生大国と呼ばれるアメリカでは、2018-2019年の大学・大学院に在籍する留学生の総数がおよそ109万人(うち大学の学部課程で学ぶ留学生が39.4%)、学生の出身国は約200か国(*1)にのぼります。これは世界の留学生の約20%を占め、留学受入れ数は世界でトップ(*2)です。アジアからの学生が多い傾向があるものの、世界各国から偏りなく留学生が集まっているといえます。アメリカ留学で得られるものとして、学問や英語力はもちろんですが、様々なバックグラウンドを持つ世界中の学生たちと知り合い、友人となれるという点も非常に大きなポイント。多様な文化や価値観に触れ、夢や向上心にあふれた世界の仲間たちと切磋琢磨した経験は、一生の財産になるでしょう。
*1)出典: Institute of International Education「Open Doors 2019」
*2)出典:UNESCO Institute for statistics
③ 多様で柔軟な進学スタイルの選択肢がある
アメリカにある大学は約4,700校。学士号が取得できる4年制大学には、総合大学(主にUniversity)、リベラルアーツカレッジ(Liberal Arts College)、専門/単科大学(Specialized College)などがあり、主に準学士号や専門学位などを取得できる2年制大学には公立のコミュニティカレッジ(Community College)や私立のジュニアカレッジ(Junior College)があります。大学には多くのオンラインコースも用意されていますし、さらには個性豊かな語学学校もたくさん存在しています。日本の大学・短大の総数が1100校程度(うち4年制大学は800校弱)であることを考えれば、どれだけ多くの教育機関があるかわかるでしょう。
アメリカの大学制度では、他の大学で取得した単位を自分が通学している大学の単位として認定してもらえる「単位互換制度」が広く浸透しているのも大きな特徴。そのため、2年制大学から4年制大学への編入や、4年制大学からほかの4年制大学への編入学(転校)も盛んに行われています。
柔軟性・多様性の高いカリキュラムや教育システムにより進路選択の幅が非常に広く、学びたいことや学び方、学ぶ環境など、自分に合った進学ルートを自由度高く選べるのは、アメリカの最も大きなメリットの1つといえます。
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【参考記事】:多様な進学ルート、どれが自分に合っている?ーアメリカ型編ー
④ 専攻分野の多様性、変更も簡単
アメリカでは専攻分野も非常に細分化されており、大学で学べる専攻の数は900以上とも言われています。AI(人工知能)技術を含めたIT関連分野や宇宙開発に関わる航空宇宙工学など世界の最先端をいく高度な技術を扱う分野や、TESOLと呼ばれる英語教授法、音楽ビジネスや音楽療法など日本ではなかなか詳しく学べないようなユニークな学問もあります。
大学のカリキュラムにもよりますが、一般的にアメリカの大学では入学時に専攻を決める必要がありません。最初の1〜2年間は基礎科目や教養科目を幅広く学習し、その間に自分が何を学びたいか、何に興味があるのかをじっくり見極め、3年次からの専攻を決定することができます。よくわからないまま学部を決めて受験することも多い日本の大学とは異なるメリットと言えるでしょう。また、専攻を決めた後も途中で簡単に変更することができるのはアメリカの大学ならでは。専攻を変えたければ履修する科目を変えればいいだけということが多いので、余分にお金がかかる可能性はありますが(学費は履修する科目ごとに納める)、煩雑な手続きなどはありません。
ダブルメジャーといって複数の専攻を同時に学ぶこともできます。学習を進めていく中で、入学した大学に学びたい専攻分野がない場合は他大学に編入することも可です。リベラルアーツカレッジのように、徹底した少人数で、専攻にとらわれず学問分野を横断して幅広い教養教育が行われている学校もあります。
決められた専攻にとらわれることなく、臨機応変に対応してくれる教育システムのアメリカは、自分が本当にやりたいことを見つけるには最適な環境といえるでしょう。
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【参考記事】:海外大に入学して驚いたこと!-勉強編②専門科目、授業について-
⑤ キャンパスのコミュニティやイベントが盛ん
アメリカのカレッジや大学などほとんどの教育機関では、学問だけでなく、さまざまなクラブ、課外活動、学生団体や学生向けのイベントなど幅広いキャンパス活動が提供されています。陸上競技やフットボールなどのスポーツ、音楽、演劇、芸術、またボランティアプログラムやチャリティープログラムに参加することもできます。コンサート、ダンス、パーティー、ディベート、講義、会議など、学生が自由に参加して貢献できるものもあります。多彩でアクティブなキャンパス体験に参加する機会を数多く得たいなら、アメリカの学校はとても魅力的でしょう。
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【動画記事】:海外大に入学して驚いたこと 生活編 Vol.2
⑥ 留学生サポートが充実
多くの留学生を受け入れているだけに、アメリカの大学ではキャンパスの内外で留学生を支援する様々なサービスが提供されています。ほとんどの学校には留学生サービスを専門とするオフィスがあり、専門の留学生アドバイザーが配置されるなどケア・サービスが充実しています。英語のスキル、ビザの問題、経済的援助、住居などについてのサポートに加え、キャリアサービスやメンタルヘルスサービスまで学生向けのリソースが数多く提供されています。また学校によっては、アメリカでの生活に容易になじめるようにという配慮から、到着時のオリエンテーション、独自のクラブ活動などのサービス・制度が用意されていることもあります。
⑦ 広い国土、特色ある地域文化で休日も楽しめる
政治、経済、文化、ファッション、スポーツ、流行など、あらゆる分野において世界の中心とも言われるアメリカ。同時に、50もの州がある非常に広い国土を持つ国であるため、土地も住んでいる人々も地域ごとに特色があり、信じられないほど多様。どの都市で学ぶとしても、歴史と伝統に富んだそれぞれの地域文化に出会うことができます。
ニューヨークなどの大都会の近くであれば、刺激的な街で日常を過ごし、休日はたくさんの観光スポットをめぐるという生活を送れるでしょうし、田舎の都市であればアメリカならではの雄大な自然を身近に感じながら、野外アクティビティを満喫することができるでしょう。国内旅行も存分に楽しめますし、公園や博物館、美術館などもたくさんあるので、日々リフレッシュする場所には事欠かないはずです。
また、多数の移民を受け入れてきた国だけに、地域によっては移住者が独自のコミュニティを形成していることも多々あります。アメリカにいながら、様々な国の独自の雰囲気やカルチャーを味わえるのも、アメリカ留学の良さの1つかもしれません。
⑧ インターンシップが盛ん。留学生が就業体験できる制度あり
アメリカのほとんどの大学やカレッジでは、プロとしてのキャリアをスタートさせるためのインターンシッププログラムが盛んに行われています。インターンシップが組み込まれた学位プログラムもあるなど、学生時代にインターンシップを利用して実践的な経験を積み、卒業後に専門的な仕事に就くのが一般的です。
通常、アメリカでは、学生ビザ(F-1)で入国した場合には給料をもらって働くことは禁止されているため、留学生には現地の学生と異なるインターンシップ制度が用意されています。「オプショナル・プラクティカル・トレーニング(通称OPT:Optional Practical Training)」と「カリキュラー・プラティカル・トレーニング(通称CPT:Curricular Practical Training)」の2種類がありますが、いずれも学生ビザ(F-1)で在籍している留学生が有給または無給で就業体験ができる制度です。
OPTは移民局の許可を得て行うもので、「プリ・コンプリーション(Pre-Completion)」(在学中〔プログラム受講中〕に実施するOPT)と「ポスト・コンプリーション(Post-Completion)」(課程修了後に就労を始めることができるOPT)の2種類がありますが、大学等の課程を修了した後に企業での実地研修を行うPost- Completion OPTがほとんどのようです。
CPTは大学で学んでいる専攻プログラムの一環として、学期中に授業の単位を取得しながら学外の企業での就業経験を許されるプログラム。専攻したコースのカリキュラムの一部というような扱いとなるため、移民局の許可は必要ありません。
自分が学んだことを活かして、興味がある分野・企業で実際に働いてみることができるこれらの制度を利用すれば、将来につながる非常に貴重な経験ができます。
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【参考記事】:アメリカ留学中に働ける制度「OPT」。申請の要件は?
⑨ 英語力の確実なスキルアップ
アメリカのほとんどの教育機関では、留学生の語学力を向上させるための豊富な英語プログラムが用意されています。一部の学校では、高等教育のコースを開始する前に、英語の準備コースを受講して習熟度を高めることもできます。
当然のことながら、アメリカで話されている英語は、いわゆる「アメリカ英語」と呼ばれる世界で標準的に使われているもの。地域によっては多少の訛りはあるものの、多くの日本人が学校などで習ってきた英語でもあるので、違和感なく馴染んでいけるでしょう。大学の授業で日々繰り広げられるディスカッションや、日常生活での現地の人々とのコミュニケーションを通して、発音やイントネーション、フレーズなど、本場のアメリカ英語をマスターできるのは大きなメリットです。
⑩ ホストファミリーが多いので、ホームステイしやすい
留学先での滞在方法として、ホームステイを検討している方もいらっしゃると思います。アメリカの大学ではキャンパス内の寮で生活する場合も多いですが、ホームステイやアパートなどを借りて一人暮らしをするケースも少なくありません。国によっては、ホームステイで留学生を受け入れるという文化があまりないため、ホストファミリーを探すのが大変ということもありますが、アメリカの場合は留学生が多い分、留学生を受け入れているホストファミリーも多く存在し、留学生への接し方や対応にも慣れています。基本的に、ホストファミリーを希望する家庭はステイ先を斡旋するエージェントに登録し、審査を受けた家が紹介されるという仕組みが整っているため、比較的スムーズに受け入れ先を探すことができます。ただ、一般的に日本人が抱きがちなアットホームなイメージと異なり、ビジネスライクにホームステイを経営している家庭も多いので、その点は頭に入れておく必要があるでしょう。
アメリカ留学にデメリットはある?
では逆に、アメリカに留学する場合のデメリットは?いくつか挙げてみましょう。
●他国と比べて留学費用が高め
アメリカの場合、他国と比べて留学費用が高くなりがちな傾向があります。そもそもアメリカの大学は世界の中でも学費が高いことで知られています。とくに4年制大学は高額。しかも年々、上昇している傾向があるので要注意です。さらに物価も高めなので、家賃や食費、交通費、交際費などの生活費がかさみがち。州による物価の違いや、大学ごとの学費の違いがあるので一概には言えませんが、生活費を含めたおおよその目安でいうとアメリカ留学の費用は年間300~400万円、留学生に人気のロサンゼルスなどの大都市だと500万円以上かかることもあるようです。費用はもちろん米ドルで支払うことになるので、外国為替のレートに影響されることも忘れてはいけません。少しの差でも積み重なるとかなりの金額の違いになりますし、留学期間が長くなるほどその差は大きくなっていくので注意を払う必要があります。
ただ、アメリカは割引制度や奨学金制度などの各種優遇制度が整っているのも特徴。奨学金や学資ローンなどを上手に利用したり、留学する州・都市や学校を注意深く選んで、費用を抑える努力をすると良いでしょう。
●日本と比べると治安が悪い地域もある
地域にもよりますが、世界でもトップレベルの治安の良さを誇る日本と比べると犯罪発生件数は格段に多く、治安の悪さは否めません。銃の個人所有が認められている、銃社会でもあるため、発砲事件などが頻繁に起こる地域もあります。普段の生活で気をつけて生活している分には問題はありませんが、地域によってはアジア人が歩くだけでも危ないと言われる場所もありますし、比較的安全な都市でも夜は一人で出歩かないほうが無難です。
どの州・都市であっても、日本と同じ感覚でいると盗難・強盗に合うリスクや、犯罪に巻き込まれる危険は出てきます。日本にいるときよりも防犯意識は高く持ち、無用なトラブルを避けるためにも危険地域の情報や基本的な安全対策などをあらかじめしっかりチェックして、十分に注意して生活していく必要があります。
●医療費が高額
アメリカの保険制度は、日本のような国民皆保険とは違うため、どこの州でも病院で診察・治療を受けた際の医療費がかなりの高額になります。万が一、入院しなければならないというようなことになると、1日で数十万円という驚きの費用がかかる場合もあります。数年という単位でアメリカ留学をするのであれば、病院にかかった際の医療費がカバーされる海外旅行保険に入っておくことをおすすめします。ただ、病院や治療によっては適用されない場合もあるので、どこまで保険でカバーされるかを事前に確認しておくべきです。
また渡航前に病院や歯医者に行って、健康な状態で留学できるよう備えておくことも大切。必要な予防接種もしっかりと受けて、万全の体制で渡航しましょう。
※現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、基本的に在日米国大使館・領事館での非移民ビザ(学生ビザが該当)の面接は停止されており、緊急ビザ面接のみリクエストを受受け付けています(東京の米国大使館、大阪・福岡・札幌・那覇の米国総領事館では一部のビザ申請に関する業務が再開されています)。通常のビザ面接予約はキャンセルされていますが、ビザ申請料金は支払日より1年間有効となっており、ビザ面接が再開され次第、有効期限内であれば新たに申請料金を支払うことなく再度面接予約を取ることが可能です。
※7月6日、米国移民・関税執行局(ICE)は9月からの新年度の授業を全てオンライン化する大学などに通う外国人留学生を対象にビザ発給の停止を発表しましたが、1週間後に正式に撤回されました。他国からの米国への入国に関しては、留学生も含め流動的な対応となっており、今後も急に何らかの措置が発表される可能性があるため、状況を注視していく必要があります。
※米国疾病予防管理センター(CDC)は他国から米国へ入国する渡航者に対する措置の変更を発表。日本から米国へ渡航する場合は原則として入国から14日間にわたり、ホテル等の宿泊施設にて自己隔離が義務付けられていますが、一部の州では自己隔離を「推奨」に変更とし規制が緩和されました。これまでの義務化から推奨に変更となった州は下記の通りです。
<自己隔離義務を推奨に変更した州>
ニューヨーク州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、デラウェア州、ウエストヴァージニア州
ただし、CDCは日本の感染症危険情報度合いを現在もレベル3(渡航中止勧告)として警戒を強めており、米国滞在中は引き続きマスク着用や社会的距離の保持などの感染防止対策が求められます。(9月3日現在)
アメリカへの渡航制限や、ビザの発給、留学生への影響等の最新情報は下記のサイト等で必ず確認してください。
【参考ページ】:ビザサービス|在日米国大使館
【アメリカ留学】 先輩体験談・体験談動画
大学選びは7つの観点で比較検討
最終的に雰囲気が自分に合っている大学を選択
T.M.先輩
ピッツァー大学(Pitzer College)
大学を選ぶ際は主に7つの観点から考えました。その7観点とは、①大学の規模、②教授と生徒の人数比、③専攻したい分野(受験当時は生物)のリソースが充実していること、④生徒の多様性、⑤立地(Suburban :郊外)にあること、⑥食堂の美味しさ、⑦温暖な気候、⑧安全性です。まず①と②について考え、教授との距離が近く、人数が少なすぎない中規模のリベラルアーツカレッジに絞りました。その中で、③から⑧を満たしていたのは、The Claremont Colleges(TCC)に属する5つの大学だけでした。実際にキャンパスビジットをしたところ、TCCの中で、Pomona College、Pitzer College、Scripps Colleges の雰囲気が自分に合っていると感じたため、3つ全て受験したところ、Pitzer から合格を頂きました。
※ 動画は音声をオンにしてご視聴ください。
※この記事でご紹介している内容は2020年9月11日現在の情報に基づいています。