しっかり選んで後悔なし!自分だけの進学ルート決定のしかた
高校卒業後の進路をそろそろ決めないといけないけれど、決め手がなくて選びきれないという方、多いのではないでしょうか?海外大学に憧れはあるものの、国内のグローバル系大学にも魅力を感じて迷ってしまう、ということは往々にしてあります。どちらにも様々な面でメリット・デメリットがありますが、選択の際にいちばん大切なのは「自分に合っているかどうか」を軸において考えること。
今回は、海外大学や国内グローバル系大学を目指す高校生に向けて、自分にとって最適な進学ルートを選ぶためのポイントをわかりやすく解説します。

① 進学ルートを選ぶときに確認しておきたいこと
◆学びのスタイル
まず考えたいのは、「自分が何を学びたいのか」ということ。国や大学によって、出願時に専攻を決め、入学後はすぐに専門的な学びが始まる場合と、まずは幅広い分野を学んでから選考を決める場合とがあります。
すでにやりたい学問分野が決まっている場合でも、専攻まで絞り込めているのか、それとも「IT分野を学びたい」というぐらいの広めの範囲で考えているのかは意外と大事になってきます。
◆出願準備の流れ
海外大の場合、国や大学によって出願書類は異なるものの、英語テストのスコアやエッセイなどは同じものを少しカスタマイズして流用できるパターンがけっこうあります。海外大と国内グローバル大の総合型選抜でも、似たような書類・対策で出願できるケースもあります。
興味がある大学・学部については、ひと通り出願の方法や必要書類(英語テスト・エッセイ・推薦状など)を調べ、簡単な一覧表などを作って比較してみてもよいでしょう。
◆高校の成績・英語力
海外大では出願の際の条件として、高校の成績(GPA)や英語力(外部英語検定試験のスコア)に基準点が設定されていることがあります。現時点での自分の成績(GPA)や英語テストのスコアを確認し、興味がある大学の出願条件を満たしているかチェックしてみましょう。
もし足りなくても、あとどれぐらい頑張ればよいのかの目安になるので、モチベーションのアップにつながります。
※高校の成績のGPAの算出の仕方は下記の記事を参考にしてください。
【参考記事】:海外大受験で重視される「GPA」はどう算出する?
② 自分に合った進学ルートはどれ?
1. 海外の大学(英語圏)ルート
「世界中の仲間とグローバルな環境で学びたい!」
≪アメリカ≫
幅広く学んでから専門を決めるなら◎
総合大学やリベラルアーツカレッジなど、多様な種類の大学が存在します。基本的に、入学時に専攻を決めなくてOKで、主に1、2年次に興味のある授業を履修した後、3年次に専門分野を選択する方式です。やりたい学びをじっくり決めることができ、途中変更も可能。進学ルートも柔軟に設定されており、自分の状況や目標に合わせて選ぶことができます。
≪イギリス≫
最初から専門を決めて学びたいなら◎
大学は3年制。日本とは教育カリキュラムが異なるため、一般的な日本の高校を卒業した場合(IB 〔国際バカロレア〕など特定の資格がない場合)は、大学に直接入学することができません。大学附属の「ファウンデーションコース(進学準備コース)」を1年間受講すると入学資格が得られるため、結果的に日本と同じ「計4年(学部によっては3〜6年)」で卒業が可能です。留学生向けに、IYO(International Year One)という3年で大学を卒業できるプログラムもあります。専攻は入学時に決定し、1年生から専門過程がスタート。短期間でやりたい学びを深く追求できるのが特徴です。
≪オーストラリア≫
学費・コスパを考えつつ実践的に学ぶなら◎
大学は3年制。イギリスと同じく、IBなど特定の資格がない場合は大学に直接入学することができないため、大学附属の「ファウンデーションコース(進学準備コース)」を1年間受講するのが一般的で、このルートでは日本と同じ計4年で卒業できることになります。TAFEやポリテクニックなどの専門学校から大学に編入するルートも広く利用されています。多くの大学でインターンシップや産業との連携プログラムが提供されており、実践的なスキルが得られるのが教育の大きな特徴。卒業後に就きたい職業の分野がすでに決まっている人にはおすすめと言えます。
≪カナダ≫
多文化で学び、卒業後も現地でキャリアを積みたいなら◎
4年制大学がメイン。入学時に必ずしも学部を決める必要はありません。入学後にいろいろ学んでから専攻を決めても、初めから専門科目に専念してもOKとなっています。専攻・コースの変更も柔軟に対応してもらえますが、専門性の高い必修科目が多いため2年目には専攻を決定することが望ましいとされています。大学を卒業すると就労ビザ(PGWP)が取得でき、最長3年間、カナダで働くことができます。大学で学んだことを生かして現地でキャリアを積みたい方にはおすすめです。
≪ヨーロッパ≫
その国ならではの専門性(芸術や、医学、科学など)を極めたいなら◎
ヨーロッパの国々にはそれぞれに特徴があり、多種多様な文化があります。教育水準が高い国も多く、「英語圏」ではなくても英語で学べる大学が数多くあります。それぞれの国・大学で強みのある専門分野を持っていることが多いため、学びたい分野によってはヨーロッパ の大学を検討してみてもよいでしょう。大学の学費が無料もしくは非常に安価な国がいくつもあり、留学費用がリーズナブルなのも魅力と言えます。
<例>
●ドイツ…工学・自動車・IT・バイオなどの技術大国らしく、南部を中心に経済や工業についての学問が盛んです。理論だけでなく、実践的な研究にも力を入れているのが特徴で、企業との共同プロジェクトやインターンシップも充実しています。また、北部は港町を中心に国際的な学び、中西部はリベラルアーツや芸術、人文科学など地域に応じた専門分野が発展しています。
●フランス…芸術や哲学の本場として有名なフランス。パリは世界的にアート・ファッションの中心地でもあり、人文・芸術を学ぶ環境が整っています。南部はリゾート的で国際交流が盛んなため観光学・国際関係学に強みがあり、東部は欧州各国と近接していることから国際共同研究が盛んで工学・政治・経済分野が発達しているなど、地域特性を生かした学びが充実しています。
2. 国内のグローバル系大学ルート
「海外に行くのは不安。でも国際的な学びがしたい!」
1) 国内にいながらグローバル環境で学べる大学
世界中から多くの留学生を受け入れたり、外国籍の教員を多数在籍させたりすることで、学内に多国籍な環境を創出している大学が増えています。授業もオールイングリッシュや、英語と日本語のハイブリッドなど、英語に触れる環境が整えられています。留学生との交流やディスカッション中心の学びが特徴です。
<例>
- ・国際教養大学(AIU)
- ・国際基督教大学(ICU)
- ・立命館アジア太平洋大学(APU)
- ・早稲田大学 国際教養学部(SILS)
- ・上智大学 国際教養学部(FLA)
- など
2) 英語「で」学ぶ&海外留学チャンス豊富な大学
英語学位プログラムは、日本の大学が国際化を促進し、海外からの留学生を受け入れるために設けられたもの。授業、課題、試験はすべて英語で行われます。大学によって、様々な分野でプログラムが提供されています。日本にいながら専門分野を英語で学ぶことができ、海外大学への交換留学の機会も充実しているのが特徴です。国際的なキャリアを目指す人向けと言えるでしょう。
<例>
- ・東京大学PEAK/GSC
- ・慶應義塾大学PEARLプログラム
- ・大阪大学 人間科学部 人間科学コース/国際科学特別コース (IUPS)
- など
3) 日本にいながら「海外の学位」も取得
海外大学との提携により、日本にいながら海外大学の学位が取得できるプログラムや、日本と海外の両方の学位を取得可能なプログラム(ダブルディグリープログラム)を提供している大学もあります。短期・長期の海外留学が必須とされているケースが多くなっています。
<例>
- ・慶應義塾大学GIGAプログラム
- ・立命館大学国際関係学部【アメリカン大学とのジョイント・ディグリー・プログラム(JDP)】
- ・立命館大学グローバル教養学部【オーストラリア国立大学とのデュアル・ディグリー・プログラム(DUDP)】
- など
3. 海外大学+αルート
海外の2年制大学or国内大学を経由して、ステップアップして海外の4年制大進学!
◆【アメリカ】コミュニティカレッジ経由
アメリカにはコミュニティカレッジという公立の2年制大学が約1,200校あります。コミュニティカレッジには4年制大学への編入を前提とした「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」があり、コースを修了して準学士号を取得すると4年制大学の3年次に編入できる制度があります。コミュニティカレッジへの入学条件(英語力や高校の成績など)は、一般的に4年制大学と比べて低めで、費用もリーズナブル。高い英語力や学業成績(GPA)をおさめると、有名4年制大学への編入を狙うことも可能です。
◆【オーストラリア】TAFE経由
オーストラリアにはTAFE(Technical and Further Education)という公立のキャリアカレッジ(職業訓練専門学校)が100校以上あります。ディプロマ(Diploma)以上のコースで専門分野を1~2年程度学び、一定の成績を収めて学位(ディプロマやアドバンスディプロマ)を取得すると、3年制大学の2年次に編入(場合によっては1年次から入学)できる制度があります。TAFEはファウンデーションコースよりも英語力などの入学基準が低めに設定されており、最短で合計3年間程度の留学期間で大学まで卒業することが可能です。
◆国内大学を経由
日本の大学の学位を取得したいけれど、海外でもアカデミックに学んでみたいという場合は、いったん国内の4年制大学に入学し、学内留学制度を利用して長期/短期の海外留学をする方法が考えられます。日本の大学に籍を置いたまま、交換(単位認定)留学ルートを利用するのが一般的です。「海外留学制度」や、各種の留学プログラムが充実した大学を選ぶとよいでしょう。一般的に学費や生活費は海外の方がかかるので、トータルの費用を抑えることもできます。
進路の決め方に絶対的な正解はないし、進学ルートも1つだけではありません。
進路選択には迷いがつきもの。たくさん迷って、たくさん調べて、悩んで悩んで自分にいちばんピッタリくる進路を選ぶ道筋こそ、かけがえのない人生経験であり、これからを生き抜くための力の基礎になります。
海外とか国内とか、自分の可能性を最初から決めつけたらもったいない。「自分に合ったベストな環境で学びたい」という熱意さえあれば、世界にはたくさんの進学ルートが用意されています。視野を広げて、世界中から納得の進路を選んでみませんか?
【参考記事】:多様な海外進学ルート、どれが自分に合っている?ーアメリカ型編ー
【参考記事】:多様な海外進学ルート、どれが自分に合っている?ーオーストラリア型編ー
※この記事でご紹介している内容は2025年3月14日現在の情報に基づいています。