海外大学進学情報

海外大に進学した日本人留学生はどのように就職活動する?

海外大学を卒業した後に、現地で就職して働きたい場合はどうすればいいのでしょうか?今回は、留学先として人気がある国ごとの就職事情や就活成功のポイントを解説するとともに、海外大在学中から始めたほうがいい準備方法を具体的にご紹介します。

※ここでご紹介している内容は2024年12月時点の情報です。実際に準備する際は、最新の情報をご確認ください。

海外大に進学した日本人留学生はどのように就職活動する?

各国・地域の就職事情&就職活動の特徴

アメリカ

アメリカにはとくにITや医療などの分野で外国人を対象とした雇用機会が多く提供されています。プログラマーやWebデザイナー、ソフトウェア開発者、看護師や検査技師などは常時募集があることも。

基本的に就職活動に決まった時期はなく、通年採用をしている企業がほとんどです。また、職種などを限定したポジション別採用が一般的。応募はオンラインが主流となっており、採用されるには職務経験、スキル、資格などが重視される傾向があります。留学生の場合は大学で学んでいた専攻分野に関連する業種での雇用が中心となり、インターンシップの経験も評価されると言われています。留学生の就職先例としては、IT業界(シリコンバレー)、金融業界(ニューヨーク)、エンターテインメント業界(ロサンゼルス)などが挙げられます。

≪留学生がアメリカで就職するための制度≫

■OPT:

OPTとはOptional Practical Trainingのこと。学生ビザ(F-1)でアメリカの大学等に就学している留学生に対し、専攻分野と関連のある職種にかぎり、アメリカに拠点を置く企業で実地研修を目的とした就労が許可される制度です。在学中あるいは大学卒業後に、有給または無給での実地訓練を通算12か月間受けることが可能なので、実務経験を積むことができます。

■就労ビザ:

OPT期間終了後に、企業に社員として採用されると就労ビザを申請することが可能です。最も一般的な就労ビザは、学士号以上を必要とする専門職レベルの仕事が対象のH-1Bビザ(*1)で、分野は科学、会計、データ分析、医学、専門的な製品開発、コンピューター サイエンス、エンジニアリングなどです。

*1)H-1Bビザは抽選制となっており、毎年1回行われる抽選への申請は雇用主が行います。1年に発行されるビザは85,000件(学士号を取得している外国人を対象とした一般枠が65,000件、アメリカ国内の大学院で修士号や博士号を取得した外国人を対象とした特別枠が20,000件)で、抽選倍率は年によって異なります(2023年は過去10年で最も高い5.69倍)。

カナダ

カナダではIT、ヘルスケア、金融などの業界で多くの雇用機会が提供されています。大都市圏ではメディア、通信、教育などの分野でも外国人の人材が求められています。また、自然豊かな環境のため、州や都市によってはリゾート地でのスポーツインストラクターや、サステナビリティ関連の職種の募集も豊富です。

採用は通年で、就職活動はインターネット上の求人サイトや情報掲示板などで自ら求人を探すのが一般的。希望にあった職業の募集があったら、自ら必要書類を送付するなどして応募します。

≪留学生がカナダで就職するための制度≫

■Post Graduation Work Permit(PGWP):

カナダで長期的な就職を希望する場合は、Work Permit(就労許可証)と呼ばれる就労ビザが必要です。留学生の場合はPost Graduation Work Permit(PGWP)と呼ばれる就労許可証を申請するのが一般的です。PGWPはカナダ政府認定のカレッジまたは大学などの教育機関(DLI)で、8か月以上学ぶと誰でも申請することが可能。PGWPを取得すると、大学卒業後にカナダに一時的に居住(*2)し、働く資格が得られます。

カナダでは、学位取得後に一定期間の就労経験があり、英語力や職種などの条件をクリアすると永住権を申請できる制度(*3)もありますので、PGWPを利用すればカナダ永住権を視野に入れたキャリア形成も可能になります。

*2)PGWPは修了したプログラムの受講期間によって有効期間が異なります。2年以上のプログラムを修了した場合は3年間の許可となります。

*3)カナダの永住権にはいくつかの申請カテゴリーがあります。カナダでの就学・就労経験がある人向けのCanadian Experience Class(CEC)では、カナダの公立大学やカレッジで2年以上就学して学位を取得し、1年以上の就労歴がある方に申請資格が与えられます。

イギリス

イギリスではロンドンを中心とした金融業界や、IT、ヘルスケアなどの分野で多くの雇用機会が提供されています。また教育やジャーナリズム、アート関連の分野でも外国人が働ける環境があります。

通年採用が基本で、就職したい場合はWEB上の求人サイトやSNSなどで仕事のオファーを見つけ、自ら書類などを送って応募するのが一般的です。留学生の場合は通常、大学の専攻分野に直接関係する職種に応募し、専門の知識・スキルや職務経験を評価してもらうことが採用への近道です。

≪留学生がイギリスで就職するための制度≫

■Graduate Routeビザ:

大学の学部や大学院(修士)を卒業・修了した後、イギリスで最大2年間、滞在・就労(あるいは求職)をすることができるGraduate Routeビザが取得できます(博士課程を修了した場合は3年間)。
適用対象者は、ビザ申請時点で有効なStudent Route Visa(旧:Tier 4ビザ)を持つ留学生で、法を遵守していることが実績として証明されているHigher Education Provider(高等教育機関)における学士号レベル以上の学位を取得した学生です。
このビザを利用して2年間の就労経験を積むことで、就労ビザ(Skilled Worker Visa)への移行も可能となります。

オーストラリア

オーストラリアでは、とくに IT、ヘルスケア、サービス・ホスピタリティ(観光)などの分野の雇用が活気づいています。教育や環境分野にも外国人に対する需要があります。

新卒の一括採用のようなシステムはないため、それぞれの企業でポジションが空いた場合に、人員補充としての即戦力の求人・採用が多いのが特徴です。インターネットのサイトや情報誌、友人・知人の紹介などで情報を得て、自分で応募するのが一般的です。対象となる職種の専門的な知識・スキルを身につけているのはもちろんのこと、業務の経験が非常に重視されます。

≪留学生がオーストラリアで就職するための制度≫

■卒業生ビザ(Temporary Graduate Visa):

大学・大学院で通常、2年間以上のコースを修了すると、一定期間オーストラリアに滞在・就労できる卒業生ビザ(Temporary Graduate Visa)が取得できます。

卒業生ビザには「Post-Study Work Stream」と「Graduate Work Stream」という、必要条件や滞在期間が異なる2種類のタイプがあります。Graduate Work Streamの場合は専攻分野が限定されていますが、Post-Study Work Streamのほうは専攻分野に関係なく、Bachelor(学士)以上のプログラムを修了していることが条件となります。学部卒業の場合は2年間の滞在・就労が認められます。
卒業生ビザを利用して企業でインターンシップを行い、実務経験を積み上げて就職を目指すことが可能です。

その他のヨーロッパ

ヨーロッパの多くの国は労働市場が小さく、日本語需要もあまりないことが多いため、EU域外の外国人である日本人が必要とされる求人はそれほど多くありません。ただ、国や業種によっては需要があることも。たとえばドイツでは自動車などの製造業、エンジニアリング、ヘルスケアなどの分野で雇用が活発で、日本企業の現地法人も多くあるため、就職のチャンスも広がっています。フランスやイタリアではデザイン、ファッションの分野や観光、食品などの業界が注目です。

インターネットを通じた地道な情報収集を行って求人情報を見つけるか、現地の就職エージェントなどを利用して職をみつけるなどの方法が一般的です。

≪留学生がヨーロッパで就職するための制度≫

■EUブルーカード:

EUブルーカードは、高度な専門性を要する仕事に就くことを目的に、3カ月を超えて滞在する非EU/EEA域外の国籍を持つ者に発行される、EU圏内で就労・居住するための許可制度です。EU圏内のヨーロッパ諸国で大学卒業者のヨーロッパ労働市場への参入を容易にする制度として、順次、導入されています。(*4)。

対象となるのは、高度な専門技能・資格を持つ「高度技能労働者」のみで、会社・大学などに所属していることが必要です。その他の条件を満たしてEUブルーカードが取得できると、最長で4年間、EUの国々に滞在して働くことができます。最初に雇用された国で18カ月以上滞在・就労すれば、他のEU加盟国への自由な入国、再入国、滞在も許可されます。

*4)EU加盟国のうち、アイルランド、デンマークは適用除外されています。

アジア

近年、著しい成長を遂げるアジアの国々では雇用が活発になっています。たとえばシンガポールでは、とくに金融、テクノロジー、ヘルスケアなどの業界で多くの人材を求めています。

また、アジア各国では日本語スキルは重宝されることが多いため、日本人留学生には日本企業の現地拠点やスタートアップ企業などで日本語スキルを活かしたポジションに多くの需要があります。

海外での就職を成功させるためのポイント(共通)

国・地域によって採用時に重視されるポイントは多少異なりますが、留学生として就職活動を行う際に重要になることは共通している部分も多くあります。大学在学中から意識して行動していくことが大切です。

●語学力

海外で就職する際には、当然のことながら語学力が必須。高い英語力はもちろんのこと、英語圏以外の国ではとくに現地の言語も習得しておくと大きなアドバンテージになります。在学中から積極的に現地の言語を学び、語学力を向上させておくとよいでしょう。

●インターンシップ

海外では業種・職種を絞った求人がほとんど。採用には実務経験が重視されるケースが多々あります。できれば大学在学中に、留学生向けの制度を活用してインターンシップに取り組んでおくと現地でのキャリアにつながりやすくなります。

●キャリアフォーラムなどへの参加

海外では大学のキャンパスや主要都市で、定期的にキャリアフォーラム(就職イベント)が開催されていることがあります。イベント開催の情報を見つけたら、積極的に参加してみるとよいでしょう。就職に関する情報をたくさん得ることができますし、就職イベントを通じて希望する企業に紹介してもらえるケースもあるようです。イベントは事前予約制の場合もあるので、チャンスを逃さないように常にアンテナを張り巡らせておきましょう。

●ネットワークの構築

海外では日本とは就職活動の概念や仕組みがまったく異なり、新卒の一斉採用のようなことはありません。基本的に自分で募集を見つけ、自分で応募する形式が一般的です。その際に重要になるのは、キャリアを希望する業界や企業の求人情報をいかにして入手するかということ。その際に役立つのが、専門分野や業界に関わる人々とのネットワークです。大学の教授やクラスメート、卒業生はもちろん、就職フェアなどのイベントで出会った人やSNSで知り合った人などと連絡を取り合えるような関係を構築しておくと非常に有利になります。
カナダやヨーロッパなど、大学の教授などを通じた紹介あるほうが採用されやすいとされている国もあります。

国によって就職活動の実態は少しずつ異なることがおわかりいただけたでしょうか? 海外では、日本のような新卒一斉採用のシステムがないため、自分のキャリアは自分で切り拓いていくしかありません。海外大卒業後の自身の未来を少しずつイメージしながら過ごしていくことで、自分らしいキャリアにつながっていくはずです。


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※この記事でご紹介している内容は2024年12月23日現在の情報に基づいています。

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