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アメリカの大学入試に必須の「エッセイ」とは?ー大学の求める学生像に合わせた書き方のコツ

アメリカの大学入試で非常に重要ではあるものの、日本の中高生の皆さんにはなかなか馴染みのない「エッセイ」についてご紹介しているシリーズ。出願用のエッセイの書き方のポイントや、書くためのプロセスは過去2回で見てきました。最終回となる今回は、「志望大学が求めている学生像に合わせてエッセイを変えていく」方法についてお伝えします。

大学の求める学生像に合わせた「エッセイ」の書き方とは

▼第1回はこちら:
アメリカの大学入試に必須の「エッセイ」とは?ー高校前半のうちに練習できる5ステップ

▼第2回はこちら:
アメリカの大学入試に必須の「エッセイ」とは?ー書き方のポイントと5つのプロセス

過去回のおさらい

◆アメリカの大学入試用のエッセイには、大きく分けて「コモンアプリケーション・エッセイ」と「サプリメンタル・エッセイ」がある

・コモンアプリケーション・エッセイ(Common Application Essay):共通願書システム「Common Application」を通して全員に共通で課される必須エッセイ

・サプリメンタル・エッセイ(Supplemental Essay):Common Applicationを通して、各大学が独自に設定している補助的なエッセイ

  • ◆エッセイは大学側に「自分がどんな人間であるか」(人柄や価値観、考え方)などをアピールするための重要な要素
  • ◆「求められる学生像」は大学によってかなり異なる

「求める学生像に合致しているか」はエッセイで判断される傾向あり

アメリカでは大学によってそれぞれの校風というものが非常に重視されており、求める生徒像がかなり明確に設定されています。また、日本とは違って大学ごとの「偏差値」という概念もほぼ存在しません。学業や課外活動の実績が立派だからといって必ず合格できるというものでもなく、多くの大学の入学審査官は「自校に合っている生徒か」を見極めようとしています。つまり、「その大学で何ができて、どれだけ貢献できるか」が評価のポイントになるのです。

その際に、重要な資料となるのがエッセイ。大学側は、送られてきた出願書類だけで学生がどんな人間かを判断しなければなりません(大学によっては、面接が課されることもあります)。入学審査官はコモンアプリケーション・エッセイとサプリメンタル・エッセイを通して学生について情報を集め、一人ひとりに対してストーリーを組み立てることで、その学生を理解しようとします。審査官が「書類」、とくに「エッセイ」から理解したあなたの人物像が、「その大学に合うか」が非常に大切になってくるわけです。

とくに大学独自で設定された「サプリメンタル・エッセイ」は、入学審査官が自らのキャンパスに誰が適しているかを判断するのに役立つよう設計されています。そのため各大学が設定しているテーマは、より出願者の個性や高校までをどう過ごしてきたのか、といった踏み込んだ詳細部分に焦点があてられたものになっているのです。
ですので、サプリメンタル・エッセイは、大学ごとにまっさらな気持ちで書き直すのが基本。たとえ同じエピソードを題材にするにしても、各大学に合わせて書き方は変わってくるはずです。同じエッセイは使いまわせない、ということをしっかり肝に銘じておきましょう。

大学に合ったサプリメンタル・エッセイを書くためのコツ

大学が求める学生像に合わせたエッセイを書くためのポイントを絞るとすると、下記の3つと言えるでしょう。

①大学についてよく調べる

大学に合ったエッセイを書くために最も重要なことの1つが、その大学をよく知ること。大学のポリシーやカリキュラム、専攻の内容はもちろん、校風やキャンパスの雰囲気、教員と学生の関係や、学生生活の様子まで、なるべく詳細な情報を集めることに時間を費やしましょう。様々な角度からの情報により、大学がどんな学生を求めているのかが少しずつ見えてくるはずです。公式HPだけでなく、実際に通っている学生のSNSなども参考になることがあります。
また、サプリメンタル・エッセイでよくある「なぜこの大学を選んだか」「なぜその専攻なのか」といったテーマには、その大学のユニークかつピンポイントな特色に言及すると説得力が格段にアップします。

②設定されたエッセイ要件を確認し、吟味する

大学ごとのエッセイ要件がHP等で公表されたら、エッセイのテーマ(prompt)や形式(単語数制限など)のガイドラインをしっかりチェックしてください。できれば、志望大学の要件は過去数年をさかのぼって確認してみるとよいでしょう。そして1つ1つのエッセイテーマについて、何が問われていて、どう答えるべきなのかを明確にしていきます。大前提として、「聞かれていることに答える」ことを外さないように注意すること。そのうえで、テーマに込められた意図や、それを通して何を知りたいのかを深く考察することが大切です。

③「大学が求める学生像」×「エッセイのテーマ」から、自分の何をアピールすべきかを検討し決定する

「大学がどんな学生を求めているか」と「どんなエッセイテーマが設定されているか」を組み合わせると、その大学がサプリメンタル・エッセイで学生のどんな面を深く突っ込んで知りたいのか、が浮かび上がってきます。自分が「大学に求められるべき学生」であることを示すためには、自分のどんな面をアピールすればよいか?それを裏付けるのに最適なエピソードは何か?を慎重に検討して選択しましょう。あくまで、リサーチした大学のカラー・校風に寄り添うことを意識し、自分が書きたいことだけを書かないように。

自己分析はコモンアプリケーション・エッセイと共通でOK。サプリメンタル・エッセイのためにわざわざやり直す必要はありません。ただし、同じ視点・同じ内容を繰り返さないように注意し、できればすべてのテーマを異なる主題で掘り下げて書くことを推奨します。そのためにも、自己分析は徹底的に行って、自分らしい経験やエピソードをたくさん見つけておきましょう。

大学ごとのサプリメンタル・エッセイのテーマは通常、夏の終わり頃に発表されることが多くなっています。ただ、テーマが発表されるまで、エッセイの準備を待っている必要はありません。それぞれの大学に合ったエッセイを書くためのプロセスは時間がかかります。複数の大学を志望するなら、とうぜんそれだけ多くの時間が必要になります。エッセイの対策は、できるだけ早くから始めることをおすすめします。

サプリメンタル・エッセイのテーマ例

コロンビア大学(Columbia University)

あなたの現在および過去の経験(学業または個人的なもの)の中から、願書に記入した研究分野に特に惹かれるものを教えてください。(200語以内)

<ポイント>
専攻したい分野について問うテーマ。少ない語数で書かなければいけない場合は、フックになるような書き出しの演出などは不要で、明確で直接的な書き方をすることが重要。質問に端的に答えるトピックを選択し、主張を裏付ける根拠を含め、短いセンテンスで書くと良いでしょう。


イェール大学(Yale University)

イェール大学のどのような点に魅力を感じ、志望しましたか?(125語以内)

<ポイント>
なぜその大学で学びたいのかを問うもので、多くの大学で同様のテーマ設定が見られます。公式HPに書かれているような大学紹介をコピーしたような文章にならないように注意しましょう。自分が時間を費やして調べた・見てきた具体的な事柄を中心に、あくまで自分の言葉で語りましょう。


ブラウン大学(Brown University)

あなたの最も意義深い課外活動は何ですか?(100語)

<ポイント>
コモンアプリケーションの課外活動欄に書いた事柄に対して、さらに詳細に説明を求めるテーマ設定。自分が最も生き生きと語ることができる活動を選びましょう。ただし、コモンアプリケーション・エッセイで課外活動に言及している場合は、それとは違う活動を選ぶべきです。


コーネル大学(Cornell University)

Arts and Sciencesのカレッジの学生は、多面的な学問的興味を掘り下げる機会を与えられ、エズラ・コーネルの「どんな人でも…どんな学問でも」という創立時のビジョンを21世紀の言葉で体現しています。あなたが探求したいと思っている学問分野と、私たちのカレッジでそれを追求したい理由を具体的に教えてください。(650語以内)

<ポイント>
「なぜこの大学なのか」と「5~10年後の自分の姿」という2つのテーマを合わせた内容。特定のプログラムや専攻を挙げたうえで、自分の夢見るキャリアにそれがどのように役立つかを具体的に述べましょう。


デューク大学(Duke University)

私たちは、私たちが生活するあらゆる文脈に「溶け込む」ことは、時として難しいことであると認識しています。デューク大学はあらゆる違いを尊重し、それが私たちのコミュニティをより良いものにすると信じています。あなたが他と違う点や、それがあなたにどのような影響を与えたか、それがあなたにとって何を意味するのか、遠慮なく教えてください。(250語以内)

<ポイント>
コミュニティにどのような「多様性」をもたらせる人物かを見極めるためのテーマ設定と考えられます。事前の自己分析から、自分が他の人と異なると感じる点について考えてみましょう。

非常に短いエッセイの例

一部の大学では、50語以下の制限のある非常に短いエッセイを課しています。

イェール大学(Yale University)

≪各35語程度≫

◆イェール大学の寄宿学校は、定期的にさまざまな経験や業績を代表するゲストを招いて対談を行っています。あなたなら、過去または現在のどのような人物を講演に招きますか?彼らに何を話してもらいますか?

◆イェール大学の学生は、「or」ではなく「and」の概念を取り入れ、芸術と科学、伝統と革新、明確な目標と意外な回り道を追求しています。あなたが取り入れている「and」の例は何ですか?


プリンストン大学(Princeton University)

≪各50語≫

◆何があなたに喜びをもたらしますか?

◆今、あなたの人生のサウンドトラックを象徴する曲は何ですか?

<ポイント>

独創的でありつつも、考えすぎないこと。自分自身の中から出てきた言葉で答えることが大切です。

アメリカの大学入試では、避けて通れないエッセイ。種類や形式、合否判定における重要性などをしっかり理解したうえで、志望大学にあわせた内容でしっかり自分をアピールできるように準備していきましょう。


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※この記事でご紹介している内容は2024年6月27日現在の情報に基づいています。

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