アメリカの大学入試に必須の「エッセイ」とは?ー書き方のポイントと5つのプロセス
アメリカの大学入試で重要なエッセイ。日本の中高生の皆さんにはなかなか馴染みのない、この「エッセイ」について3回シリーズでご紹介しています。2回目となる今回は、エッセイを書く際に留意したいポイントや書き方について、初めてエッセイを意識し始めた皆さんにもわかりやすく指南していきます。
エッセイを書く際に重要となるポイント
■ストーリーテリング:
アメリカの大学入試のエッセイは、思ったことをただ書き連ねる随筆のようなものではありません。入学審査官に自分の人柄や考え方を正しく理解してもらうための、最重要ともいえる出願書類です。伝えたい思いやメッセージをどれだけきちんと相手に届けられるか、というスキルを見るためのものでもあります。そのためには、文章に説得力を持たせなければなりません。読んでくれる人と同じイメージを共有し、共感を呼び起こすため、具体的なエピソードや体験を交えつつ、1つの軸を持つストーリーとして展開することが重要です。
■独自性:
アメリカの大学では、入試を管轄しているのはアドミッション・オフィスという部署。日本では大学教授がテストを採点するようなこともあるかもしれませんが、アメリカの場合は専門の入学審査官が合否を決定します。毎年、何千人も学生を見てきている入学審査官の目をひくには、他の受験生との差別化が大切。エッセイでは自分だけの視点や経験を際立たせる必要があります。
■誠実さ・自分にしかない表現:
他と差別化された目をひくエッセイ、とは言っても、虚偽や誇張を散りばめたエッセイはすぐに入学審査官に見抜かれます。自分が経験してきたことで得た実感をもとに、率直で誠実な内容や表現を心がけるべきです。どこかで聞いたような紋切り型の表現や、ありきたりの感想・結論に終始しないようにも注意したいものです。
エッセイを書くための5つのプロセス
1)入試要項をよく読む
大学入試のエッセイは、大学側に自分がどんな人間であるかをアピールするためのもの。ただ美しい文章が良いわけではなく、「誰に」「何を」伝えるのかを意識する必要があります。
まず初めに、出願しようと思う大学の入試要項をすみからすみまで読みましょう。さらに、大学の公式ホームページもじっくり見て、掲載されている情報からサイトの雰囲気までしっかり確認してください。こうしたことで、その大学が自校の学生に何を求めているかが理解できるようになります。アメリカの大学の多くは、ただ優秀な学生ではなく、自校が求める人物像にあった学生を選考しようとする傾向が強くなっています。「この大学で」何をしたいか、どんな力が活かせるかを考えていく必要があるのです。
2)これまでの自分の過去を振り返り、ブレストする
次に、これまで自分が歩んできた人生を細かく振り返っていきましょう。いつ、どんな経験をして、どんなことを感じたのか。なぜそれをしようと思ったのか。何が好きで、何が嫌いなのか。何が得意で、何が苦手なのか。どんなことを楽しいと思い、やりがいを感じるのか。家族や友人、学校の先生などに、自分がどんな人だと思うか、どんなことが印象に残っているかを聞いてみるのもいいでしょう。そしてそれを1つずつ、短文のメモでまとめていきます。付箋に書いて大きめの紙に貼っていくとやりやすいかもしれません。
たくさんのエピソードやキーワードが出てきたら、それらを繋げてみたり、共通項を見つけてみたり、どんどん掘り下げていくことをおすすめします。そうすることで、自分の中の本質的な価値観やユニークさに気付き、整理することができ、「自分はどんな人間か」が明確になっていきます。
3)エッセイテーマを確認し、逸れないようにする
エッセイのテーマや書き方の指示などは、注意深く確認する必要があります。「毎年、●●語だから」というような思い込みで書いてしまうのは非常に危険です。設定されたガイドラインに従わないエッセイを提出した場合、入学審査官はその学生が大学のプログラムの指示に従うことができないとみなすこともあります。形式や文字数や、盛り込むべき要素などは確実にチェックしましょう。
さらに、エッセイのテーマが何を問うているのかをきちんと把握してください。コモンアプリケーションエッセイなどは複数のテーマがあり、それぞれが漠然とした内容であることも多いですが、そのテーマで大学側は学生のどんなところを見ようとしているのか、よく考えましょう。
そのうえで、自分の過去のエピソードや特徴と照らし合わせ、エッセイのテーマと自分の個人的な資質がどのように関連付けられるかをよく吟味してください。こうして、どのテーマで何を材料にエッセイを書くか、アウトラインを決定していきます。
4)納得いく表現になるまで、下書きを複数回書く
与えられた文字数や制限の中で、テーマに合致した信憑性や説得力のある文章に仕上げていきます。最初から文字数などを意識しすぎると書きにくいこともあるため、まずはテーマに沿って一度自由に書いてみて、そこから文章の組み立てを検討していくのも良いでしょう。
入学審査官は年間何千ものエッセイを読みます。使い古された言い回しや決まり文句を使ってしまうと、他のエッセイに埋没してしまいます。無理に気取った表現を使う必要はありませんが、かといってあまりにこどもっぽい単語ばかりを使うのも考えもの。自分の内面をしっかり見つめることで導き出された、自分自身の言葉を磨き上げながら書くことが何よりも大切です。自分の考えやアイデアを述べる際は、必ず裏付けとなる過去の自分の経験やエピソードから具体例を挙げるようにしましょう。また、書き出しには力を入れるべき。入学審査官に読み飛ばされないよう、想像力をかきたてる文章や興味をひきつける内容で始めるとよいでしょう。
提出すべきエッセイが複数ある場合は、同じことを繰り返し書かないように注意。価値観や人柄に矛盾がないように気を付けることも大切です。いったん書いたエッセイを数日~数週間そのままにしておき、忘れかけたころに再度読み直してみるのもおすすめです。新しい視点に気付くこともあり、修正すべきことが明確に見えてくることもあります。
自分のユニークな個性を生き生きと表現できるまで、何十回でも書き直しましょう。下書きに十分な時間をかけられるよう、エッセイは出願締切りの遅くとも数か月前から取り組み始めることを強く推奨します。
5)自分以外の人に読んでもらってさらに推敲を重ねる
何度も書き直し、自分では良いと思うエッセイが書きあがったら、必ず自分以外の誰かに読んでチェックしてもらいましょう。学校の担任の先生や英語の先生、保護者の方や友人など、なるべく幅広い人に見てもらうことをおすすめします。先入観を与えずに読んでもらい、読み終わったら率直な感想や疑問点を言ってもらうこと。自分が表現したいことが実際に伝わっているかが確認できますし、自分では気付かないスペルミスや文法の誤りを指摘してもらうこともできます。それを繰り返して推敲を重ね、エッセイのブラッシュアップをしていきましょう。
アメリカの大学入試におけるエッセイは、「自分自身を表現する」ためのもの。ただし、それは自分が言いたいことを言えばいいわけではありません。誰に、何を、どう伝えれば、自分という人間の魅力を理解してもらえるかを考え抜いて作り上げるものです。
しっかりと時間をかけ、何度も練り直し、限られた文章の中でいかに「自分らしさ」を出していくかに全力を注いでください。
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※この記事でご紹介している内容は2024年6月19日現在の情報に基づいています。