アメリカの大学入試で、大学ごとの「重視する項目」のチェック方法は?
アメリカの大学の入学審査では、日本でよくあるような一斉筆記試験は行われません。受験生は、提出した書類をもとに高校の成績や外部英語試験、SAT(ACT)、エッセイ、課外活動、AP、IB…など、様々な項目・観点で評価され、総合的な判断で合否が決定します。どの要素が重視されるかは大学によって異なるため、志望する大学に合わせた対策も大切になってきます。そこで今回は、大学ごとに入学審査で重視される項目・観点を見極めるための、傾向やチェック方法をご紹介します。
入学審査における「重視項目」を見極めるポイント5
アメリカの大学で入学審査を担う部門は一般的にアドミッション・オフィスと呼ばれます。それぞれの大学独自の入学基準やポリシーに基づき、入学審査に特化した専門の職員(アドミッション・オフィサー)によって入学者が選抜されるのです。各大学の出願の要件や必要書類などは、大学のHPに詳細に掲載されています。興味がある大学の要件は必ず早めにチェックしてください。
ポイント1
基本的に、4年制大学で最も重視される要素は「高校の成績」と「高校カリキュラムの強さ」
NACAC(National Association for College Admission Counseling:全米大学入学カウンセリング協会)の発表したデータ(*1)によると、2023年秋入学の審査においてNACAC加盟の4年制大学で最も重視された要素は高校の成績と高校カリキュラムの充実度・難易度であると報告されています。高校のカリキュラムについては、APプログラムやIBプログラムなどを履修している場合に評価が高くなる可能性があります。
*1)Factors in the Admission Decision|NACAC
ポイント2
リベラルアーツカレッジでは、人物性や大学への関心度・入学したい熱意などが重視されることが多い
リベラルアーツカレッジ(主に私立の小規模な大学)は、学生に対して幅広く学べる力を求めます。そのため、出願者の人格や意欲に重きをおいて入学者を決定する傾向があります。この後者の部分は「Demonstrated Interest」と呼ばれる要素で、大学への関心度・入学への熱意が見られます。その大学にどれだけ関心があり、なぜその大学で学びたいのかが明確であることも、非常に重要な選考基準となるのです。具体的には、受験生が出願前にキャンパス訪問やWebやSNSでの情報検索、入学カウンセラーへの相談など、実際に大学に対してどんな行動をしたのかというアピールの積み重ねになります。
また、学生が何に興味を持ち、これまでにどのような活動を行ってきたか、という人物性や、この大学で学びたい理由などが最もよくわかる資料として、入学審査では最初にエッセイから読まれる大学も少なくないようです。
ポイント3
大規模な総合大学では、GPA やテストのスコアが重視される傾向が強い
一般的に数万~数十万人レベルの学生を抱える大規模な大学では、出願者も非常に多くなります。そうした大学の場合、まずGPA(高校の成績)やSAT®またはACTといった標準テストスコアなどのはっきりした数値によって出願者をふるいにかけ、ある程度ランク付けしたうえでエッセイや推薦状などその他の書類を読む段階に進むという手順をとる大学が多い傾向があります。その場合、一定以上の学力・成績がないと選考過程から外されてしまうということになり、課外活動などはさほど重視されない大学もあるようです。中には、出願者の学業評価だけで合否を判断(エッセイや課外活動を評価しない)する学校もあります。
標準テスト(Standardized Test)で最も代表的なのはSAT®とACTで、テストスコアの提出を求めるアメリカの大学のほとんどがどちらのスコアも受け付けています。基本的にいずれか1つのテストスコアだけで問題なく、どちらが重視されるということもありませんが、SAT®とACTの両方のスコアを提出するとトップクラスの大学ほど入学選考で有利になるというデータもあります(*2)。
*2)「4 Reasons to Take BOTH the SAT and ACT」(The Princeton Review)
ポイント4
テストオプション(Test-optional)/テストブラインド(Test-blind)の大学は要チェック
コロナ禍をきっかけに、アメリカではSAT®またはACTのスコア提出を任意(テストオプション)とする大学と、スコア提出をまったく求めない・提出されたとしても評価に使用しない(テストブラインド)大学が増加しました。最近では一部の大学がSAT/ACTの要件を復活させる動きを見せているものの、いまだに全米で2,000あまりの大学がSAT®/ACTのテストオプションまたはテストブラインドのポリシーを継続しています。
テストオプションもしくはテストブラインドのポリシーを提供している大学は、下記サイトでチェックできます。
【参考ページ】:Test Optional and Test Free Colleges|Fairtest
テストオプション、またはテストブラインドの大学はテストスコアを合否判定に用いない代わりに、それ以外の要素(課外活動やエッセイなど)の比重が高くなります。もし、特筆すべき活動がない場合は、テストスコアの提出を「奨励」している大学もあるので、自分の状況に合わせて判断することが大切です。
ポイント5
興味がある大学がどんな学生を求めているか、様々な角度からリサーチを
大学の種類や規模、その他の要因である程度の傾向はあるものの、結局のところ入学基準の重要度・優先順位は大学のスタイル・校風・レベルなどによって変わってきます。大学ごとに、学生に求めるものが大きく異なるからです。興味がある大学については、自らしっかりリサーチすることが大切です。まずは大学の公式サイトをくまなくチェックすることをおすすめします。その際、とくに以下の点に注意してみると、入学審査で重視されているポイントが推測できることがあります。
◆大学や学部が求めている学生像は?
◆入学選考プロセスはどのようになっているか?
◆書き方などが細かく指定されている出願書類はないか?
◆その大学特有の出願書類はあるか?(ある場合は、どのような意図で提出を求めているのか?出願者の何を見ようとしているのか?)
また、公式サイトだけではわからないことも多いので、アメリカの大学情報サイトなどで調べてみるのも良いでしょう。たとえば下記のサイトでは、各大学のページで「Admissions」を選択すると、「SELECTION OF STUDENTS」のコーナーで入学選考の傾向(どの項目が重視されているか)がわかります。
【参考ページ】:College Search|CollegeData
※公式サイト以外の情報は誤っている可能性もあるので、あくまで参考として考えましょう。
一発勝負のテストのスコアだけで判断されないアメリカの大学入試。それぞれの大学に求める学生像があり、自分たちの大学に合った学生を選抜するために最も適した出願・選抜要件が設定されているのが一般的です。大学選びの際は、もちろん学べる内容が最重要ですが、入学審査との「相性」も確認しておきたいものです。
【参考記事】:アメリカの大学入試制度について知っておきたい!10のQ&A
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※この記事でご紹介している内容は2024年4月8日現在の情報に基づいています。