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アメリカの大学が提供する返済不要の「メリット型」「ニード型」奨学金とは?

日本からの留学先として最も人気がある国・アメリカ。4,000校をはるかに超える多くの大学が存在し、それぞれの学校では独自の校風や特色ある教育が提供されています。柔軟で多様な学びができることが大きな魅力で、毎年日本から数千人の留学生がアメリカを目指して飛び立っています。
ただ、アメリカの大学は学費がかなり高額なケースが多いことでも知られており、多くの方が奨学金を得て留学を実現しています。アメリカの大学で学ぶための奨学金には様々な種類があり、日本国内で提供されている奨学金のほかにもアメリカ独自の奨学金制度を利用することも可能です。今回はアメリカで「大学の」提供する主な奨学金の制度について、わかりやすくご紹介します。

アメリカの大学が提供する返済不要の「メリット型」「ニード型」奨学金とは

アメリカの大学で学ぶのにかかる費用の目安

アメリカの大学入試を支援する非営利組織「College Board」によると、2022年度のアメリカの4年制公立大学(州内)の授業料は年間平均10,950ドル、4年制公立大学(州外)の授業料は28,240ドル、4年制私立大学の授業料は39,400ドルとなっています。また、大学の寮・食費に関する費用は、年間平均で州立大学が12,130ドル、私立大学が14,030ドルです。

学費や生活費の合計では、留学生の場合、州立大学(州外)で年間約40,000ドル、私立大学だと約53,000ドルが平均となります。仮に1ドル=140円で換算すると、州立大学(州外)で約560万円、私立大学で約742万円が必要ということになるわけです。

アメリカの大学の学費は年々高騰を続けており、アメリカ国内でも社会問題化している現状があります。実際、アメリカの学生も約70%がなんらかの学資補助(Financial Aid)を得て大学に通っていると言われています。

アメリカの大学の学資補助制度

日本では、大学に通うために金銭的な支援をしてもらう制度を「奨学金」という言葉でまとめる傾向がありますが、アメリカの学資補助には様々な種類があり、それぞれに性質が異なります。

アメリカの大学の学資補助(Financial Aid)制度は大きく分けて4種類あります。基本的に留学生が獲得できるのは、給付型で返済不要の「スカラーシップ」のみです。

種類

特徴

グラント(Grant)

連邦政府や州政府から支給されるもの。優秀な学生や経済的に大学で学ぶことが困難な学生に対して提供される。(基本的に米国民や州民であることが条件)

スカラーシップ (Scholarship)

成績優秀者や学費が不足している者に対して、各大学などが支給する金銭的援助。親の経済条件に関係なく受給でき、返済義務はなし。「メリット型」と「ニード型」がある。(留学生も対象)

ワーク・スタディ

連邦政府が援助しているプログラム。学びながら大学内で働き(アルバイト)、賃金を得て政府へ奨学金を返済していく。(留学生は対象外)

ローン

連邦政府や州政府、各大学、民間の銀行などが提供する学費ローン。「貸与型」のため返済義務が生じる。(留学生は対象外)

▼留学生のみを対象とした「国際奨学金」もあります。

【参考ページ】返済不要!アメリカの大学で学ぶための「国際奨学金」をレビュー!

留学生ももらえるスカラーシップの種類

スカラーシップには大きく分けて、学生の能力に基づいて支給される「メリット型奨学金(メリット・ベース)」と、学生の経済的な必要性に応じて支給される「ニード型奨学金(ニード・ベース)」があります。

<メリット型奨学金>

学業成績やスポーツ、芸術、リーダーシップなどで優れた功績・卓越した能力を持つ学生に支給される奨学金で、返済不要です。家庭の収入に関わらず、優秀な学生に与えられ、国籍なども問われません。

■メリット型奨学金の主な種類

種類

内容

アカデミック奨学金

学業成績に秀でた学生に与えられる。

アスレチック奨学金

スポーツで目覚ましい業績をあげた学生に与えられる。

アート奨学金

音楽や絵画、演劇、ダンスなどの芸術の分野で高い評価を得た学生に与えられる。

リーダーシップ奨学金

ボランティア活動やクラブ活動などで優れたリーダーシップを発揮したり、社会に献度したりした学生に与えられる。

インターナショナル奨学金

留学生を対象として与えられる。

■支給される金額は?

支給される金額は各個人で異なり、年間1,000ドル程度から20,000ドルのケースまでかなり開きがあります。非常に優秀であれば、卒業までの学費が全額免除になる場合もあります。

■取得要件は?

大学側が優秀な学生(合格者)に対して入学を促すための手段として利用されるため、合格通知とともに大学から奨学金の額などが提示されるのが一般的で、とくに申請する必要はありません。金額や支給の要件などは各大学で基準が定められているものの、公表されていない場合がほとんどです。

<ニード型奨学金>

家計の事情で、経済的に学費を全額支払うことが困難な学生に対し、不足分を補うために支給されます。返済は不要です。

■支給される金額は?

家庭の所得が学費を全額負担するのに十分ではないと判断された場合、不足分(ファイナンシャルニード)の一部、または全部を大学側が負担してくれます。支給される金額は個々の学生(家庭)の経済状況によって異なってきます。

■取得要件は?

出願の際に申請が必要です。申請書類には家庭の収入やローン等に関する細かい家計情報を記さなければならず、各種の証明書類を提出も求められるなど、審査を受けるまでにかなり複雑な申請プロセスがあります。また、申請しても必ず支給されるとは限らないため、注意が必要です。

アメリカの大学の奨学金の例

◇ウィリアムズ大学(Williams College)/マサチューセッツ州

●Book Grant<ニード型奨学金>

留学生も受給できるニード型の奨学金。留学生の約70%が援助を受けており、年間平均80,000ドルが支給されています。大学で学ぶのにかかる費用から保護者負担額を引いた金額が、Financial Need(必要資金額)として決定されます。援助資金の内容には授業料、部屋代、食費、学生納付金に加え、教科書、実験用品、画材、音楽レッスン、倉庫、毎年1回の帰国往復航空券が含まれます。
出願には、CSSプロフィールによる書類及び両親の所得情報などの提出が必要です。

◇ハーバード大学(Harvard University)/マサチューセッツ州

●Harvard scholarship<ニード型奨学金>

経済的なニーズに基づいて支給される奨学金で、留学生にもアメリカ国内の学生と同じ制度が適用されます。年間収入が85,000ドル未満の世帯(2023-24学年度より金額変更)の場合、授業料、寮の費用、食費を含む学費全額の負担がゼロとなります。年収が 85,000 ドルから 150,000 ドルの家庭は学費の一部を負担しますが、その額は収入の10%以下となります。
全学生のうち55%が奨学金を受給しており、5人に1人は学費負担なしとなっています。

◇コロンビア大学(Columbia University)/ニューヨーク州

●Columbia grant<ニード型奨学金>

コロンビア大学の学資援助の申請は国籍に関係なく行うことができ、合格した際にはその学生の家庭が必要とする金額が100%支給されます。ただし、留学生に対しては、学費を全額自己負担できるかどうかが合否に影響する制度(Need-aware admission)が採用されており、出願時に学資援助を申請する予定であることを明記する必要があります。留学生の平均的な学資援助額は79,375ドルです。

アメリカの大学にはそれぞれ、意欲のある学生に対するしっかりしたサポートが用意されています。ただし、留学生でももらえる奨学金の要件は大学によってはかなり複雑になっているので、行きたい大学の制度を早いうちからしっかり調べ、要件や期限に合わせて申請しましょう。



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※この記事でご紹介している内容は2023年12月24日現在の情報に基づいています。

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