国内大と海外大で共同の単位を取得!ジョイント・ディグリー・プログラムとは?
世界の急速なグローバル化にあわせて、日本の大学でも国際化を意識した取り組みが進んでいます。大学によっては、海外での体験学習プログラムやインターンシップなどを含む、多様な海外留学制度を充実させているところも。その中で、前回取り上げた「ダブル・ディグリー・プログラム」と並んで注目を集めているのが、「ジョイント・ディグリー・プログラム」です。今回は、国内大と海外大が連携して学位を授与する新しい教育制度である「ジョイント・ディグリー・プログラム」をご紹介します。
ジョイント・ディグリー・プログラム(JDP)とは?
ジョイント・ディグリー・プログラムとは、連携する国内+海外の大学間で開設された共同プログラムを修了した際に、複数の大学が共同で単一の学位を授与する制度です。1つの大学では提供できない高度なプログラムを、他大学の教育資源を活用することにより提供可能にするものであり、基本的に連携する大学が共同で開発し、実施します。
海外大ではそれほど珍しくない制度ですが、日本では2014年11月に大学設置基準等が改正されたことで、初めて設置が可能になりました。ただ、JDPを開設するためには国際連携学科等の設置認可が必要とされるなど時間も手間もかかる規定になっていたことなどもあって、なかなか大きな広がりにはつながらない状況が続き、まだまだ数が少ないのが現状です。
しかしながら、2022年より大学設置基準上の一部の規定を緩和する特例制度が新設されたことで、今後、JDPを設置する大学が増えてくる可能性が大きいと見られています。
■ダブル・ディグリーとの違い■
ジョイント・ディグリーは複数の大学が共同で単一の学位を授与するのに対し、ダブル・ディグリーは連携する複数の大学がそれぞれの学位を取得するプログラムです。ジョイント・ディグリーとは異なり、通常ダブル・ディグリーの取得にはそれぞれ異なる学位論文が必要とされる場合が多くなっています。
ジョイント・ディグリー・プログラムの受講メリット
●複数の大学との共同でプログラムを開発・実施することにより、1つの大学だけでは提供できない高度な教育プログラムが実現されています。
●複数の大学の教育資源を活用するため、学生は異なる大学の教授陣や施設を利用することができ、より幅広い知識やスキルを身につけることができます。
●海外の学生と一緒に1つのプログラムを学ぶことができるため、異なる文化や言語環境に触れる機会が多く、国際的な視点が身に着いたり、異文化理解が進んだりすることが期待できます。
●通常の大学・大学院の授業として取得が可能です。共同プログラムを開設している大学・大学院への留学が義務づけられていない(日本の大学のみで取得可能である)ケースもあります。
●必要取得単位はダブル・ディグリーよりも少なく、学位取得までの期間が短くて済む場合がほとんどです。そのため費用の負担もダブル・ディグリーより軽減されます。
海外大とのジョイント・ディグリー・プログラムを設置している国内大学
2023年8月現在では、多くの大学が「大学院レベル(修士・博士課程)」でのジョイント・ディグリー・プログラムを実施しています。学部レベルでの設置は立命館大学のみとなっています。
立命館大学
国際関係学部 アメリカン大学・立命館大学国際連携学科(JDP)
立命館大学 国際関係学部がアメリカ・ワシントンD.C.にあるアメリカン大学と共同で設置した日・米の大学で初、学部レベルは日本で初めてとなるジョイント・ディグリー・プログラムです。
学生は、立命館大学で2年間、アメリカン大学で2年間、1つのカリキュラムを両大学で体系的に学びます。卒業時には両大学が共同で1つの学位「学士(グローバル国際関係学)(BA in Global International Relations)」を授与します。
【参考】大学院レベルでのジョイント・ディグリー・プログラム例
◆京都大学
- 京都大学・ハイデルベルク大学国際連携文化越境専攻
- 京都大学・マギル大学ゲノム医学国際連携専攻
- 京都大学国際連携グローバル経済・地域創造専攻
◆筑波大学
- 国際連携持続環境科学専攻
- 国際連携食料健康科学専攻
◆名古屋大学
- <理学系>
- 名古屋大学・エディンバラ大学国際連携理学専攻
- <医学系>
- 名古屋大学・アデレード大学国際連携総合医学専攻
- 名古屋大学・ルンド大学国際連携総合医学専攻
- 名古屋大学・フライブルク大学国際連携総合医学専攻
- <生命農学系>
- 名古屋大学・カセサート大学国際連携生命農学専攻
- 名古屋大学・西オーストラリア大学国際連携生命農学専攻
- <工学系>
- 名古屋大学・チュラロンコン大学国際連携サステイナブル材料工学専攻
- など
学部レベルではまだ少ないジョイント・ディグリーだが、
学びの多様化の流れの1つとして要注目!
ジョイント・ディグリー・プログラムは、基本的に日本の大学と海外大とが共同で学科・専攻を設置して提供する形になります。まずは該当する学科の入試に合格することが第一歩となりますが、海外大の教授、学生と共に1つのプログラムで学ぶことになるため、ダブル・ディグリーと同様に、高い英語力が必要になってきます。
現状では、学部レベルのジョイント・ディグリー・プログラムは日本で1大学しか実施されていませんが、大学院レベルではかなりのプログラム数にのぼってきています。
大学の国際化、学びの多様化が進む中で、今後さらにプログラムが充実してくる流れが予想されます。自らの学びを深める手段の1つの可能性として、注目しておいてもよいでしょう。
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※この記事でご紹介している内容は2023年9月1日現在の情報に基づいています。