学びたいことから大学選び!シリーズ② 世界の「コンピューターグラフィックス・ゲームデザイン」の研究が盛んな大学10選
世界のゲーム市場はオンラインに主戦場を移しつつも、まだまだ勢いのある成長分野であり続けています。ゲームで興奮や感動を味わったことのある人の中には、それらを「生み出す」ことに興味を持ち、大学では専門的にゲームに関連する分野を学びたい!という人も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は「学びたいことから大学選び!シリーズ②」として、ゲーム技術研究が盛んな、「学位の取れる」海外大学をご紹介します。
【参考記事】:学びたいことから大学選び!シリーズ① 世界の「ロボット研究」が盛んな大学10選
南カリフォルニア大学(University of Southern California:USC)/アメリカ
カリフォルニア州ロサンゼルスの中心に位置する大規模大学。創立は1880年と、カリフォルニアで最も古い総合私立大学でもあり、USC(ユーエスシー)の略称で親しまれています。
ビデオゲームデザインの分野を学べる大学としては、世界でもトップクラスの評価を受けています。ゲームデザインのさまざまな分野に焦点を当てた4つの学位プログラムを提供しており、そのうちの2つは学部生向けとなっています。 また、ビデオゲーム開発に関しては、USCはコンピュータサイエンス分野において全米で最も優れた学校の1つと言われていて、ビタビ工学部や世界的に有名なシネマティックアーツ学部とも連携しています。
たとえばインタラクティブ・メディア修士課程では、授業は実践的で、専門家であるデザイナー、プロデューサー、開発者が指導を担当します。アニメーションからサウンド制作まで、ゲームデザインのあらゆる側面に焦点を当て、学生は卒業制作としてゲームをデザインすることになります。
さらに、副専攻も多種多様。ゲーム起業論、3Dモデリングとグラフィック、ゲームオーディオなどのコースがあり、ゲームに関する仕事に就きたいのであれば非常に有益と言えるでしょう。
【公式ホームページ】:University of Southern California
ユタ大学(The University of Utah)/アメリカ
アメリカの西部に位置するユタ州ソルトレイクシティにある州立大学。1850年創立のUniversity of Desertが母体となっており、1894年に現在の名称に変更されました。現在は州の旗艦大学として、多様な分野で100以上の学部専攻と92の修士・博士専攻を提供している総合研究大学となっています。
同大学は、「The Entertainment Arts And Engineering」プログラム(EAE)を提供していることで有名です。これは人文科学、社会科学、コンピュータ科学、ゲームデザインを組み合わせたゲーム開発コースを持つトップクラスのプログラムで、EAEのコースの中には、幼稚園から高校までの学習環境におけるゲームの活用方法や、医療目的でのゲームの活用方法などを扱うものもあるほど、幅広い分野を学ぶことができます。
ゲームデザインのカレッジには、異なるレベルの専門分野がいくつもあります。
たとえば、「ゲーム副専攻」。ゲーム制作を学術的なレベルで研究するもので、ゲームがどのように作られるかに興味のある人なら誰でも参加できるようになっています。
「Bachelor of Science In Games(ゲーム科学の学士号)」は、ゲームデザインで競争力をつけるために設置されたもので、ゲームのデザインと制作だけでなく、プログラミングの基礎も学ぶことができます。
「Masters of Entertainment Arts and Engineering(エンターテイメントアートと工学の修士課程」では、ゲーム・アート、ゲーム・エンジニアリング、ゲーム・プロダクション、テクニカル・アートの4つの分野から専攻を選択します。どのコースも総合的な授業で、専門分野の学びを極めることができます。
「Dual MBA/MEAE Degree(MBAとMEAEのデュアルディグリー)」も用意されていて、ゲームデザインに必要なすべての知識だけでなく、ゲームへの情熱からビジネスを生み出す方法についてもしっかりと学ぶことが可能です。
【公式ホームページ】:The University of Utah
デジペン工科大学(DigiPen Institute of Technology)/アメリカ
ワシントン州レドモンドにある、学生数が約1,200人程度の小規模な専門大学ですが、アメリカのゲーム業界で活躍するクリエイターを続々と輩出していることで知られています。
1988年設立で、もともとはコンピューターシミュレーションやアニメーションを専門とする民間企業でした。事業の拡大にともない1990年に3Dアニメーションのトレーニングプログラムを開設、1994年にDigiPen Applied Computer Graphics Schoolが創設され、その後4年間の課程修了後に学位が授与されるようになりました。ゲーム開発に関する学士号を提供した世界で初めての学校としても有名です。
以降、30年以上にわたってゲーム制作の教育を行ってきており、ゲームデザインに関する大学としては世界でも常に上位にランクされています。現在ではシンガポールとスペインにもキャンパスがあります。
同大学では、ゲーム制作に関する以下の3つの学士号コースを提供しています。
●BS in Computer Science in Real-Time Interactive Simulation:
リアルタイムでの複雑なインタラクティブ シミュレーションとコンピュータグラフィックスの開発、実装、プログラミングに焦点を当てたコンピュータサイエンスの学位です。高度なコンピュータサイエンスの概念を教えるためのツールとしてゲーム開発を使用しており、プログラマーや開発者になりたい人向けです。
●BA in Game Design(ゲームデザインの人文学士号):
ゲームデザインの理論と仕組みの両方をカバーしているプログラム。ビデオゲームを通して魅力的なストーリーを語る方法を学びます。また、チームに分かれてオリジナルのメカニクスを持つ自分だけのゲームを制作し、最後にポートフォリオに使用するプレイ可能なプロトタイプを作成します。
●BS in Computer Science and Game Design(コンピュータサイエンスとゲームデザインの理学士号):
ゲーム制作のコンピュータサイエンスとコーディングの側面と、アートとストーリーテリングの側面の両方を学びます。そもそもビデオゲームの面白さとは何かという心理学にまで踏み込んでおり、他の学校よりも深い部分まで学ぶことができます。
【公式ホームページ】:DigiPen Institue of Technology
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London:UCL)/イギリス
イギリスのロンドン市中心部にある、ロンドン大学連合の旗艦校。イギリスを代表する研究志向の総合大学であり、ロンドン最大の高等教育機関でもあります。
同大学のIOE(教育社会学部)に設置されているデジタルゲームデザインコースは、「MA Digital Media: Production」プログラムを専攻している学生に提供されています。
ゲームデザインの入門として、ゲーム分析、フィードバックループや手続き型レトリックなど、理論に基づいたゲームデザインの概念を適用することで、学生はコーディング、UI デザイン、アニメーション コントローラー、アセット制作など、ゲーム制作のさまざまな側面を探求することができます。また、デジタルおよび非デジタル形式で遊び心のある作品を開発することも可能。この理論と実践の両方への取り組みにより、ゲームデザイナーとしてビデオゲームを作成、修正、批評することができるようになります。
【公式ホームページ】:University College London
カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University:CMU)/アメリカ
1900年に創立されたペンシルベニア州ピッツバーグにある中規模な私立大学。とくに芸術と工学で名高い名門校として知られています。イノベーションが大学のDNAになっているほど技術革新に積極的で、コンピュータサイエンスなどテクノロジーの分野では世界的に有名です。
CMUでは、「Integrated Design, Arts, And Technology(IDeATe)」というプログラムを提供しています。CMUのビデオゲーム開発コースには、副専攻としてゲームデザインのコースがあります。このコースでは卒業までに、ゲームデザインに関するポータルコース、サポートコース、コラボレーティブコース、マイクロコースというプロセスをたどります。ゲームメカニクスの基礎、ゲームシステムの作成、ビジュアルデザイン、インターフェイスの作成などを学ぶことができます。
ポータルコースでは、ゲームデザインとゲーム開発のさまざまな側面について基本的な理解を深めることで、異なる専門分野を持つ他の学生と一緒に作業をする際に、お互いの仕事をある程度理解できるようになります。サポートコースはポータルコースと同じような内容の補助コースで、希望する特定の専門分野の追加トレーニングが受けられます。
これらのコースに合格したら、チームでゲームデザインに取り組むコラボレーティブコースに入ることができます。
最後のマイクロコースでは、ゲームデザインに関わるさまざまなスキルや技術について、少人数で集中的に学びます。
【公式ホームページ】:Carnegie Mellon University
トロント大学(University of Toronto:U of T)/カナダ
カナダのオンタリオ州トロントにある公立の研究大学です。1827年設立と古い歴史を持つカナダNo.1の名門校と言われ、世界的にも非常に高い評価を受けています。
同大学のコンピュータサイエンス専攻プログラムでは、Focus in Game Design (Major) コースが提供されています。ビデオゲームのデザインは、ソフトウェアエンジニアリング、グラフィックス、人工知能、人間とコンピューターのインタラクションなど、コンピュータサイエンス内のいくつかの分野を組み合わせたものです。また、経済学、心理学、音楽、創作活動の要素も組み込まれており、多様で学際的なスキルを身につけることができます。
【公式ホームページ】:University of Toronto
ロチェスター工科大学(Rochester Institute of Technology:RIT)/アメリカ
ニューヨーク州北部のロチェスター郊外に位置する技術系の私立総合大学。さまざまな最新技術を持つ施設に囲まれた学園都市に、広大なキャンパスを有しています。
キャリアに焦点を置いた実践的な教育に力を入れており、学部課程の学生のほとんどが就業体験やインターンシップなどのプログラムに参加。卒業後はおよそ85%の学生が専門分野でキャリアを築いていると言われ、就職率が高いのも特徴です。
同大学のゲームデザイン・開発の理学士号プログラムは、優秀なゲームクリエイターを多数生み出しており、高い評価を受けています。ゲームデザインと開発は別々の専門分野ながらクロスオーバーすることも多く、同コースではゲームデザインと開発の基礎を学ぶことができます。特定の分野に焦点を当てたい場合は、ゲームエンジンの制作からストーリーのシナリオまで、多くの選択科目も用意されています。
さらに特筆すべきは、Cooperative Educationプログラムです。このプログラムでは、学生は自分の研究分野に関連する職場で、実際に報酬を得ながらフルタイムで働くことができます。現在、業界で活躍しているゲームデザイナーと共に仕事をすることで、実践的に学びながら経験を積むことができます。
【公式ホームページ】:Rochester Institute of Technology
南洋理工大学(Nanyang Technological University:NTU)/シンガポール
1991年に設立された、シンガポールの国立大学。もともと華僑教育機関として設立された南洋大学が母体となっており、2005年に世界トップクラスの研究推進を目的とした国の政策によって、研究集約型の大学へと舵を切りました。潤沢な資金を背景に、デジタル社会に合わせた革新的な教育プログラムを提供していることで知られています。
コンピュータ理工学部(School of Computer Science and Engineering)には、Center for Augmented and Virtual Reality (CAVR)と連携したゲームデザインコースがあります。コースの学生はチームを組み、各チームはゲーム課題プロジェクトとして 2 か月以内にプロトタイプを完成させていくなど、実践的な学びを展開しています。
【公式ホームページ】:Nanyang Technological University
ドレクセル大学(Drexel University)/アメリカ
ペンシルベニア州フィラデルフィアにキャンパスを構える私立大学。1891年にドレクセル技能・科学・産業大学(Drexel Institute of Art, Science and Industry)として設立され、1970年に総合大学となりました。実践的な教育に力が入れられており、工学系のプログラムに定評があります。1983年にアメリカの大学では初めて全学生にコンピュータを持つことを義務付け、2000年にはキャンパス内ネットワークを完全にワイヤレス化するなど、最先端のテクノロジーの導入に積極的なことでも知られています。
ゲームデザイン・制作の理学士号プログラムでは、理論よりもゲームデザインを学ぶための実践的なアプローチを重視しているため、6ヶ月のコープ制度が設けられています。この制度により、学位取得前に現場で半年間の職業経験を積むことができ、就職に直結する可能性が高くなります。
また、同大学のゲームデザインカレッジの特徴の1つが、アニメーションキャプチャー&エフェクトラボとの連携。モーション・シミュレーション・プラットフォーム、VR、AR機器もあり、学生は新しいテクノロジーやデザイン・テクニックの最前線を学ぶことができます。クラスは少人数制で、ゲーム業界の専門家たちが教壇にたっています。
【公式ホームページ】:Drexel University
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(École polytechnique fédérale de Lausanne:EPFL)/スイス
スイスのヴォー州ローザンヌに本部を置く、1969年創立の国立大学。2校あるスイス連邦工科大学のうちフランス語圏にある1校で、スイス・フランス国境のレマン湖畔に位置しています。非英語圏にある世界有数の工科大学として国際的に高い評価を得ており、学生の約半数が海外からの留学生という国際性の高さでも知られています。
同大学の人文科学部には「ゲームラボ(GameLab UNIL-EPFL)」という研究グループがあります。文学部 (UNIL) と人文科学部 (EPFL) の両方に拠点を置き、フリックとビデオゲームの関係や、それを適切にアーカイブするための方法論など、デジタル成果物を中心に両者の間につながりを生み出す研究を行っています。
学部生向けにはいくつかの学士号コースが提供されています。「ビデオゲームとゲーミフィケーション」コースではビデオゲーム制作の基礎を学びます。メッセージの送信や現象の文書化を可能にするゲームの仕組み、つまりゲーミフィケーションの理解に重点が置かれています。 また、「ビデオゲームと社会」コースでは、社会科学と人文科学によるビデオゲーム研究へのアプローチを提案しています。デジタルゲームに関連する社会学的現象の研究から、協力プレイのゲームデザインまでのトピックを扱います。
【公式ホームページ】:École polytechnique fédérale de Lausanne
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※この記事でご紹介している内容は2023年7月29日現在の情報に基づいています。