イギリスの大学入試制度について知っておきたい!10のQ&A
日本の大学の入試制度とは、かなり異なる海外大入試。海外の大学を進路の選択肢の1つとして検討していくためには、まず初めに、海外大受験にはどんな対策が必要かを知ることが不可欠です。そのための第一歩はやはり、入試制度をしっかり知ることから。今回はイギリスの大学入試制度について、留学を目指す皆さんの頭に浮かびがちな疑問をピックアップし、最も一般的な 10 の質問&答えをご紹介します。
Q1.そもそもイギリスの大学って、日本の高校生は出願できるの?
イギリスの大学は通常3年制で、入学後はすぐに専攻に分かれて専門課程の学修が始まります。日本の大学の1年次でよくある一般教養にあたるような、大学で学ぶための基礎的なスキルなどを習得する課程は、大学入学前までに修了するカリキュラムとなっています。日本とは教育システムが異なるため、一般的な日本の高校のカリキュラムを修了しただけではイギリスの大学の入学資格を満たさず、直接進学できないことが多くなっています。そのため一般に日本人学生は大学の付属、もしくはカレッジ、語学学校等で開講されている約1年間のファウンデーションコース(Foundation Course)で学んでから、大学に入学するルートがほとんどです。
ただし、IB(国際バカロレア)などのプログラム修了者や、GCE-Aレベルを受験して必要な点数を獲得している場合、もしくは各大学で定められたハイレベルの入学要件(英語力はIELTS 6.0以上)を満たしている場合などは、直接、大学への入学が可能となる場合があります。
Q2.イギリスの大学への出願時期は?
イギリスの大学のコースは通常、9~10月に年度が始まります(一部コースを除く)。出願は入学希望年度の前年の9月上旬からスタートします。締め切りの目安は下記の通りです。
<イギリスの大学の出願締め切り>
- 10月初め 音楽コースの出願締め切り
- 10月15日 オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の出願締め切り、医学部・歯学部・獣医学部(動物医学、動物科学)の締め切り
- 1月15日ごろ ほぼすべての大学の学部課程の申し込み締め切り
- 3月24日 一部のアート&デザイン系コースの締め切り
合否通知は随時届き、1月までに出願したほぼすべての大学の合否は3月の末までには判明します。イギリス・EU諸国以外からの留学生で、入学する大学が決まっていない場合の最終出願締め切りは6月30日となります。ただし、競争率の高いコースだと定員となり、審査対象とならない可能性もあるので早めに出願するようにしましょう。
Q3.出願準備はいつから始めるのがベスト?
願書の受付は9月上旬から始まりますが、出願までには情報収集、入学要項の入手(各大学の入学資格や求められるGPA・英語力などの条件の確認)等を行って志望校を絞り込むのと同時に、IELTSなどの英語テストに向けた学習・受検、志望動機を書くための自己分析、出願書類の手配等が必要になります。できれば余裕を持ったスケジュールを立てられるよう、高校3年生の4月ぐらいまでには準備をスタートできるとよいでしょう。
イギリスの大学への出願には一般的に下記のような書類が必要となります。
- ・高校卒業証明書
- ・高校最終成績書
- ・英語力証明書(IELTS/TOEFL®テスト等)※イギリスではIELTSが一般的
- ・推薦状
- ・志望動機書 (Personal Statement)
Q4.イギリスの大学へはどのように出願すればいいですか?
イギリスのすべての大学(学部課程)への出願手続きは、University and College Admission Service (UCAS)と呼ばれる出願ポータルを通して、オンラインで行います。
UCASを通した出願のプロセスはおおむね以下の通りです。
①UCASへの登録・サインイン
UCASの「SIGN IN」からユーザー登録をし、アカウントを作成します。指定された個人情報等を入力してユーザー名・パスワード等を設定した後、サインインしてその他の必要な個人情報(資金状況および特別なニーズ等)を入力します。
【参考ページ】:STUDENT SIGN IN|UCAS
②志望校選び・学部選択
最大5コース(医学部、歯学部、獣医学部は最大4コース)まで出願可能です。
※大学や学部のサーチツールで、キーワードから大学・コースを検索することもできます。
【参考ページ】:UCAS search tool
③アプリケーション(オンライン願書)入力
UCASサイトのアプリケーションは、通常、9月上旬から出願することができます。アプリケーションによる出願は、同一年度に1回だけ可能です。
※一部の大学・学部では、UCASアプリケーションと一緒に追加の入学試験を受ける必要があるため、個別に大学や学部の出願要件をチェックする必要があります。
④宣誓書への同意、推薦状の提出、出願料の支払い
アプリケーションの作成完了後、「Declaration(宣誓書:UCAS利用条件)」に同意し、推薦状を添付したうえで、オンラインで出願料を支払います。1コースの場合で22ポンド、複数のコースの場合で26.50ポンドです(2022年入学の場合)。
⑤申請完了
出願料を支払うとUCASから自動的に出願した各大学へ入力した内容の書類が送付され、申請が完了します。
Q5.いくつの大学に出願できますか?
UCASでは一度に最大5コースまで出願することができます(医学部、歯学部、獣医学部は最大4コース)。出願する大学・コースの優先順位は付ける必要がなく、大学側は出願者が選択した別のコースを閲覧することはできない仕組みになっています。
なお、オックスフォード大学およびケンブリッジ大学については、いずれか一校にしか出願できない場合がありますので、詳細は各大学に問い合わせる必要があります。
Q6.UCASのアプリケーションには何を記入するの?
UCAS Hubにサインインすると、ダッシュボードの「Your application」からアプリケーションを開始できます。
<入力する項目の例>
必須項目はすべて入力する必要があります。
- ・Personal Details – 個人情報(名前、住所、メールアドレスなど)
- ・Course choices – 選択した大学・コース(5コースまで出願コースを選択)
- ・Education history – 学歴(学校名や取得科目名、単位などを入力)
- ・Employment history – 職歴(職歴を入力)※職歴がない場合は、入力は不要
- ・Personal statement – 志望動機(1000字以上、47行もしくは4,000字以内で入力)
【参考ページ】:UCAS Hub
Q7.UCASで出願した後のプロセスは?
出願後の流れもすべて、UCASウェブサイトから追跡できます。自分のUCASプロファイルにサインインすれば「Track(追跡)」と呼ばれるシステムで、いつでも出願状況を確認することができます。出願に関する最新情報がある場合は、メールで通知を受けることができます。 ※大学から、面接やオーディションの招待要請(Invitation)が届くこともあります。
【参考ページ】:TRACKING YOUR UCAS APPLICATION
大学による入学審査の結果はUCAS上で確認できます(出願した各大学から直接メールも届きます)。結果通知の時期は大学により異なります。結果は下記の3種類あります。
<結果の種類>
- ◆無条件オファー(Unconditional Offers):条件なしで合格〔入学確定〕
- ◆条件付きオファー(Conditional Offers):要件(通常は試験結果)を満たすことを条件にした合格
- ◆不合格(Unsuccessful)
※条件付きオファーとは、それぞれのコースに入学するための最低条件を満たしている場合に受け取る通知です。最終的に指定されたテスト等で基準以上のスコアを取れば入学できるといった具体的な条件をつけた入学許可となります。
受け取ったオファーに対しては、UCASを通じて返答をします。届いたオファーの中から自分が行きたい大学を選び、UCASの「Track」からそれぞれの大学(コース)に返答を入力します。
<返答の種類>
- ◆Firm acceptance(第一希望)
- ◆Insurance acceptance(第二希望):第一希望に入学でいなかった場合に保険の役割を果たすコース
- ◆Decline(拒否)
※入学を希望する第一希望の大学から無条件オファー(入学要件がすでに満たされている)を受けた場合には、Insurance acceptanceを選択せずにすべてDeclineを選択し、入学意思を確定します。
※入学希望を伝えた後に選択を変えたい場合、14日以内なら変更可能です。14日を経過すると大学・学部との交渉が必要です。7月26日以降は選択を変更することはできません(2022年入学の場合)
不合格となった場合は下記のような制度を利用して、再度出願することが可能です。
- ●エキストラ(Extra):2月末から7月初旬までの期間にまだ空きがあるコースへ出願できます。(申請は6月末まで)
- ●クリアリング(Clearing):6月末までに出願できなかった人や、その時点で入学先が決定していない人を対象とした制度。7月中旬から9~10月ごろまで、定員に空きのあるコースは再募集が行われるため、出願することが可能です。
Q8. パーソナルステイトメントって何を書くの?どれぐらい重要?
パーソナルステイトメント(Personal statement)はUCASのアプリケーションの一部で、出願の際には入力必須となります。記入は英語で(ウェールズでの留学を希望する場合は、英語またはウェールズ語で記入)、最大47行または4000字まで(ただし1000字以上、スペースを含む)という指定があります。
<パーソナルステイトメントの内容>
- ・自己紹介とこれからの目的・目標について
- ・これまでの学歴や興味分野について
- ・志望分野に関連のある職歴について
- ・これから勉強したいことと目標の概要
- ・志望コースに対する意気込み
パーソナルステイトメントは、入学したい学部(コース)の学問分野への興味・関心、志望動機、学歴や長所などを伝えるための重要な資料となります。なぜこの学部で勉強したいのか、コースに対する適性(スキルや経験など)、将来はどんな仕事へ就きたいのかなどを、具体的な根拠をもって簡潔かつ明確にまとめることが大切です。まずは自己分析をしっかりと行い、他者と比べた際の自分の強みや価値をよく考え抜いたうえで、他文献等の文章を複写するのではなく、自分自身の言葉でしっかりとアピールすることが重要とされています。スペル、文法、句読点等の間違いがないかもきちんと確認しましょう。
なお、複数の大学に出願する場合も、それぞれに書き分けることはできません。同一の文章がすべての大学(学部)に送られるため、特定の大学や科目名に言及することは避けるよう指示されています。
※イギリスでは文章の盗用は重大な違反となります。UCASには盗用された文章を照合できるソフトウェアが導入されています。
Q9.高校の成績やIELTSなどのテストの点数はどれぐらい重要?
イギリスの大学の入学審査では、ほとんどの大学で一定以上の最終学歴の成績表の提出が求められ、必要とされる成績(GPA)を満たしていることが出願の際の基本条件となっています。一般的に、アメリカなどと比べると、イギリスでは審査の際に学業成績に重きが置かれていると言われています。トップ校の多くでは、高校の成績等のほかに、大学・学部独自に用意された試験の受験が求められます。
また、イギリスの大学に留学するために必要とされる英語力はIELTS6.0以上、TOEFL iBT®テスト80点以上と言われており、独自に高いスコアを設定している学校も多くなっています。
イギリスでは、大学で学ぶためのスキル(一般教養)をすでに修得していることが大学入学の前提となっているため、英語力を含めて高い学力があると判断されないと入学は許可されないと考えたほうが良いでしょう。
Q10.推薦状ってなに?誰に何を書いてもらうの?
イギリスの大学では、一般的に出願書類の1つとして推薦状が必要になります。推薦状とは自分の学業成績や能力をよく知る人物に作成してもらう書類で、基本的には出身校の先生に書いてもらいます。
推薦状は、出願者の人格を知るための貴重な資料として、学力だけでは甲乙つけがたい複数の出願者を比較し、審査する際の材料となります。そのため推薦状には、出願者(自分)がどのような人物なのか、人柄や性格、意欲はもちろん、どのような知識やスキルを持っているかなども含めて、客観的に評価した文章が記されている必要があります。推薦者として適当な人物を選ぶことがとても重要となります。
<推薦状を準備する際に注意すること>
- ・ふさわしい推薦者を選ぶ
- ・学校の公式レターヘッドで作成してもらう
- ・出願者(自分)と推薦者の関係性を明記してもらう
- ・出願者(自分)が志望コースを学ぶ能力があると記載してもらう
- ・推薦者に署名をしてもらう
【参考ページ】:How to get a UCAS Undergraduate reference|UCAS
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※この記事でご紹介している内容は2023年3月25日現在の情報に基づいています。