海外大学進学情報

ハンガリー、チェコの医学部で学ぶには?

医学を志し、大学は医学部を目指している方もたくさんいらっしゃるでしょう。ですが日本の場合、医学部は全般的に学費が非常に高く、入学もなかなか難しいことが多いのが現状です。そこで考えてみたいのが、東欧諸国の大学。ハンガリーやチェコの大学の医学部は海外からの学生も積極的に受け入れています。今回は、医学部志望の方の進路の選択肢を広げていただくために、東欧諸国の医学部で学ぶメリット・デメリットをご紹介します。


ハンガリー、チェコの医学部で学ぶには?

ハンガリー、チェコの医学部で学ぶメリット・デメリット

ヨーロッパの大学の医学部は、英語で学べるうえ、一般的に入学・卒業がしやすく、学費も日本の私立大よりお手頃と言われているため、日本からの留学生も多く学んでいます。特に東欧諸国の大学の医学部は留学生の受け入れに積極的です。東欧への医学部留学について、メリットや気を付けておいた方がいいことをまとめます。

メリット

●高水準の教育が行われている

チェコやハンガリーの医学は東欧の中でもレベルが高いとされています。日本ではあまり名前を知られていなくても、世界的には評価の高い大学がいくつも存在し、各種のランキングでも上位にランクされているほどです。最先端の医療施設で、高い水準の医学を学びたいと思っている方にとっては魅力的な選択肢の1つと言えるでしょう。

●英語で学べるコースが用意されている

チェコやハンガリーの大学の医学部には、現地の言語でのコースのほかに英語コースが設置されています。英語で医学を学ぶことによって、国際的に活躍する医師という将来の選択肢が広がっていきます。チェコ、ハンガリーはEU加盟国ですので、現地での医師免許試験に合格すれば互換制度により、他のEU加盟国でも医師として働くことができます。
日本に帰国後、厚生労働省による審査を受けて条件を満たすことができれば、日本の医師国家試験の受験資格も得られます。

●国内大の医学部より学力面での入学ハードルが低め

日本の大学の医学部入試は、国公立・私立問わずかなりハイレベルな学力が必要とされるのが一般的です。とくに数学、理科といったいわゆる理数系の科目と英語で高い得点を求められることが多くなっています。東欧の大学の医学部の場合、数学が必要ないケースがほとんどのため少ない科目数で受験可能です。また、日本に比べると難易度が低めのケースが多々あります。

●学費、生活費が抑えられる

国や大学によって具体的な金額は異なってきますが、学費でいえば比較的安価な医学部がたくさんあります。日本の私立大医学部だと6年間の学費総額は2000万~5000万円と言われ非常に高額であるのに対し、東欧では年間200~300万程度(総額で1200万~1800万程度)と約1/2の学費で済みます。日本よりも物価が安い国・地域が多いので、トータル費用もかなり抑えられます。

デメリット

●進級が難しい場合がある

チェコやハンガリーの医学部の進級率は平均60%程度と言われています。とくに学生が進級に苦戦するのは、1~3学年次の基礎医学を学ぶ期間と言われています。多くの留学生を受け入れているだけに、世界中の優秀な医学生たちと切磋琢磨する環境となっているため、しっかり勉強していかないと進級が厳しくなることもあるようです。ただ、海外大学であれば他学部も同様の状況であるとも言えるので、ある程度の覚悟をしっかり持って留学することが大切です。

●厚生労働省の制度をクリアできない場合は、医師国家試験の受験資格を得られないこともある

外国の医科大学(医学部)の卒業者、または医師免許の取得者が日本で医師国家試験を受験するためには、 医師法の規定に基づき厚生労働大臣の認定が必要となります。
まず「医師国家試験受験資格認定」として、日本の医学校を卒業した者と同等以上か否かについて定められた認定基準に従って書類審査が行われ、その後はいくつかのパターンに分かれます。海外の医師資格の制度との違い等からプロセスが複雑となっており、日本の医師国家試験の受験資格が認められないこともあるため注意が必要です。

【参考ページ】医師国家試験受験資格認定について|厚生労働省

●それぞれの国の言語(ハンガリー語、チェコ語)も最低限は習得の必要がある

英語プログラムが提供されているため、最初の2年間は英語を中心とした授業で基礎医学の知識を学びますが、年次が上がるにつれて臨床や病院での研修などが実施されるようになります。医療現場ではやはり現地の言語が必要になってきますので、完全に英語だけで医学部を卒業できるというわけではなく、ある程度は留学先の国の言語を習得しなければなりません。英語を母語としていない日本人にとっては、当然、相応の努力が必要になってきますが、考えようによっては二か国語をマスターできるチャンスともいえます。

国別の特徴・おすすめの大学(医学部)

ハンガリー

ハンガリーの大学で医学部を有するのは、センメルワイス大学、デブレツェン大学、ペーチ大学、セゲド大学の4大学で、いずれも国立大学です。
医学部の修業年数は6年(12セメスター)で、大学の卒業と同時にハンガリーの医師免許を取得できます。大学ごとに必要単位数は異なりますが、いずれの大学も6年間で最低360単位の取得が必須であり、1セメスター平均30単位の取得が求められます。その後、MD(医学博士)を取得することも可能です。ハンガリーで取得した医師の免許は、EUのすべての国で自動的に認定されます。

学費は大学によって異なりますが、年間平均で15,000-16,400ユーロ程度です。

非英語圏からの出願には高校の卒業証書と英語テストのスコアが必要です。医学部の英語カリキュラムの場合、CEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)のB1~B2レベル(IELTS4.0~6.5、TOEFL iBT42~94相当)が求められます。また、ペーチ大学以外の大学では筆記試験、口頭試問両方が実施されます。筆記試験の内容は大学によって異なりますが、生物学、化学、物理学、英語等の科目が課されます。

ハンガリーでおすすめの大学

センメルワイス大学(Semmelweis University)

センメルワイス大学はハンガリーの首都ブダペストに位置し、370年以上の歴史を誇る国内では最古の医科大学です。卒業生にはノーベル賞受賞者もいるなど、国際的に活躍する研究者を多く輩出しています。
同大学では、医学、歯科、薬学のプログラムを英語で提供しています。過去20年の間に1万人以上の留学生が入学しており、学生数増加に対応するため2008年には新たにBasic Medical Center が建設されていて、ヨーロッパでも有数の充実した施設で高度な研究活動が可能となっています。

医学のプログラムは6年制、歯科プログラムには5年制で、どちらのコースも授業料は年間約17200ユーロです(薬学は5年制で年間10,100ユーロ)。

入学試験の科目は生物学、化学、一般英語、生物医学英語で、面接も実施されます。日本人向けにはハンガリー医科大学事務局を窓口とした募集が行われており、東京で受験することができます。

チェコ

チェコで医学コースを提供しているのはカレル大学、オストラヴァ大学、マサリク大、パラツキー大学の4大学(8学部)で、いずれも国立大学です。
チェコでは国家資格フレームワーク(NQF)および欧州単位互換制度(ECTS)を取り入れており、ヨーロッパ共通のボローニャプロセスに沿っています。医学部の修業年数は6年で360単位が必要となります。チェコの大学医学部では最終年である6年次で国家試験を受け、卒業と同時に医師免許(MUDr.)を取得します。また、医学士MUDr.(Doctor of Medicine)も取得可能です。

授業が英語で行われる医学のプログラムの学費は、年間平均で8,500-21,050ユーロ程度です。チェコ語で行われるプログラムの場合は学費が無料となります。

いずれの大学も中等教育(=日本の高等学校に相当)を修了・修了予定であることが出願の条件で、非英語圏からの留学の場合は英語テストのスコア(最低スコアはIELTSで6.0、TOEFL iBTで75)も必要です。また、筆記試験で生物学、化学、物理学(一部では数学)が必須科目となり、一部の大学では面接も課されます。

チェコでおすすめの大学

カレル大学(Charles University)

1348年に創立されたカレル大学は中欧・東欧において最も長い歴史を有しており、17の学部からなるチェコ屈指の総合大学です。国内で最大の医学コースを提供する大学でもあり、首都プラハに第一~第三医学部、フラデツ・クラーロヴェー校に医学部・楽学部、プルゼニ校に医学部があります。
第一医学部は大学創立時からある伝統のある医学部で、世界中から優秀な教授陣が集まり、留学生も多く在籍しています。同学部の教育と研究は世界的にも非常に高く評価されており、世界の18,000以上の高等教育機関の上位2%にランクされているとともに、ロンドン大学、ミュンヘン大学など海外の大学との共同研究も盛んです。

第一医学部で6年間の一般医学プログラムを英語で学ぶ場合、授業料は年間14,000ユーロ(チェコ語で学ぶ場合は無料)です。最初の2年間は基礎医学の知識を固め、3年生からは外科学・内科学の基礎、薬理学、病理学を履修し、4年生からは病院で学ぶ臨床科目を集中的に学びます。6年生は1年間の病院研修が行われます。英語のプログラムですが、臨床や病院実習ではチェコ語が必要になってくるため二か国語をマスターできます。

世界150か所での受験可能で、日本人向けにはチェコ医科大学事務局を窓口とした募集が行われており、東京で受験可能です。出願条件としてTOEFL ibt 90点/IELTS6.5Fullset以上が必要とされます。試験科目は筆記試験(生物学、化学、物理学)と口頭試問からなります。

純粋に医学を学びたいのであれば、海外大の医学部という選択肢も十分に考えられます。大切なのは、他の学問と同じように、大学・学部の難易度やランキングだけを見るのではなく、国や街の特徴や、学びたい・研究したいことができるかどうかをよく調べて選ぶこと。そうすることで、後悔のない進路選択ができるでしょう。


ベネッセの海外進学プログラムなら、
自信を持って進める自分だけの進路ルートや、奨学金を「狙える」ところまでを
徹底的にサポートできます。

いっしょに海外大で学ぶという夢をかなえてみませんか?

お問い合わせはこちら

※この記事でご紹介している内容は2023年3月10日現在の情報に基づいています。

LINE UP

海外、国内を問わず、グローバルな進路を実現する
学習プログラムをご用意しています