海外大学進学情報

海外大研究シリーズ シンガポールの大学ではなにが学べる?

前回に引き続き、東南アジアの英語圏であるシンガポールを取り上げます。今回は、シンガポールの大学での学びが具体的にイメージできるよう、人気のある注目の学問分野や主な大学をご紹介しますので、国選びの検討材料にしてください。もしご自分の目指す学びに近づけそうであれば、留学先の候補の1つに加えてみてはいかがでしょうか。

海外大研究シリーズ_シンガポールの大学ではなにが学べる?

シンガポールではなにが学べる?

60を超える島々からなる都市国家・シンガポール。人口がわずか600万人ほどの小さな国ではあるものの、経済的な発展は目覚ましくビジネスの拠点としても世界から注目されています。アジアで唯一の英語圏の国として知られ、また非常に治安が良いことでも有名で、近年、留学先としての人気も高まっています。

そんなシンガポールには30を超える大学・カレッジがあり、そのうち国立大学は6校。欧米各国に引けを取らない教育レベルを誇り、世界ランキングの上位にランクされている大学がいくつもあります。もともとシンガポールは、2002年に打ち出された「Global School House」構想を背景に、世界のトップ大学の誘致と積極的な留学生の受け入れを国家として強力に推進し、「教育のハブ」としての地位を固めてきました。現在は産学連携を戦略的に推し進め、優秀な人材とリーダー育成に力を入れています。
留学生もシンガポールの経済発展に寄与する「高度人材」として位置づけられており、各大学では多種多様なコースが提供されているため、毎年世界中から多くの留学生が集まっています。

ここでは、世界的に見ても強みのある、シンガポールで人気の学問分野を5つピックアップしてご紹介します。

<強みのある主な学問分野>

◆バイオメディカルサイエンス

シンガポールは、政策としてバイオメディカルサイエンスの研究とイノベーションに注力してきたという背景があり、世界をリードするバイオ医薬品産業のハブへと成長を遂げています。現在、世界市場への供給を目的とするバイオ医薬品関連の製造プラントが60カ所以上、研究開発拠点が30カ所以上たち並び、大学などの研究機関と連携して世界最高水準の研究が展開されています。

◆人工知能(AI)

2019年に、シンガポールは国家AI戦略(National AI Strategy)を発表。輸送・ロジスティクス、スマートシティと不動産、ヘルスケア、教育、安全とセキュリティといった重点5大分野における国家レベルでのAIの実用化と、東南アジアにおけるAI研究開発のハブとなることを目指しています。大学でも様々なプログラムが提供されています。多くのAI開発を行う企業もシンガポールに進出しており、企業、研究機関、政府が一体となって世界的な人材育成に力を入れています。

◆情報技術

政府主導の技術政策により、デジタルテクノロジー分野には重点的に資金投入されていることもあって、情報通信等の技術開発には力が入れられています。主要な大学では情報技術に関する世界でもトップクラスの学位プログラムが提供されており、IT学位取得者は多くの国際企業で引く手あまたと言われています。

◆金融

シンガポールには主要な国際銀行や各種金融機関、投資会社などが東南アジアでの拠点を置いているため、銀行や金融を専門とする商学の学位は人気となっています。最先端の設備を備えたシンガポールの一流大学では世界クラスの学部プログラムが提供されており、現代の複雑な金融問題に対処するための技術や能力を磨くことができます。

◆ヘルスケア

シンガポールは東南アジアで最も急激な経済発展を遂げている国ですが、市民に優れた医療サービスを提供していることでも良く知られています。非常に効率的な医療制度も整備されており、様々な国際調査で世界1位を獲得しているほどです。医師、看護師、理学療法士などの医療専門家の需要が高く、ヘルスケアに関連するコースは人気があります。

シンガポールのおすすめ大学3校

シンガポールの国立の自治大学6校の中から、大学ランキングが高く、特色のある3校をピックアップしてご紹介します。

シンガポール国立大学(National University of Singapore:NUS)

1905年に創立されたシンガポールで最も歴史のある大学であり、国内最高峰の大学として位置づけられる名門校です。3つのキャンパスを持ち、メインキャンパスはシンガポール南西部ケントリッジエリアにあります。緑豊かな広大な敷地内には、法学・医学以外の学部課程のスクールや研究所、図書館、学生寮やスポーツ、レクレーション施設などが点在しています。

THEやQSの世界大学ランキングでは常に上位にランクしており、とくに「QS Asia University Rankings 2022」で1位を獲得しているほど、世界的に高い評価を受けています。

もともとは医学学校として設立されましたが、現在では文科系から医療系まで幅広い分野が揃う総合研究大学で、16学部で50以上の学士課程が提供されています。また国際化にも力を入れており、世界100か国以上からの留学生を受け入れています。学部・大学院あわせると4万人近い在学生のうち、留学生比率が25%程度を占める国際色豊かな教育環境です。

各学部の研究機関も非常に充実していますが、工学、環境学、物理科学などの分野で特に研究力があるとされています。

南洋理工大学(Nanyang Technological University:NTU)

1981年に創設された比較的新しい大学です。もともとは理工系の大学としてスタートしたものの、世界トップクラスの研究推進を目的とした国の政策により、現在では研究集約型の総合大学として世界的に存在感を高めています。世界ランキングでもNUSと双璧をなす大学として位置づけられており、「QS Asia University Rankings 2022」で3位、設立から50年以下の若い大学だけを対象とした「Young University Rankings 2022(THE)」では2位を獲得しています。

政府から調査研究に応じて配分される助成金の額は国内トップで、潤沢な資金を背景に理工系分野の研究をリードしています。近年は学部と企業の連携や、キャンパスの国際化も顕著となっています。
主な学部は理工系ですが、経営学、自然科学、芸術、人文科学、社会科学の学部でも高い評価を得ています。また、医学部はイギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンと提携して共同で設立されています。

メインキャンパスであるユンナンガーデンキャンパスは、200haの広大な敷地を持ち、シンガポール最大の大学キャンパスとなっています。敷地内には学部生用の寮が20以上建ち並びます。

シンガポールマネジメント大学(Singapore Management University:SMU)

2000年にシンガポール政府が出資して設立された、多くの起業家や経営リーダーを輩出するマネジメントに特化した大学です。国内では商学系の最高峰とされ、特に経済学、ビジネス、会計の分野で世界的にも高い評価を受けています。

国際化に力を入れており、海外での研修プログラムには80%以上の学生が参加しています。またキャリア構築にも重点がおかれているのが特徴で、キャリア開発プログラムは100以上と豊富。在学生には10,000社以上のインターンシップの場が提供されているため、質の高い知識を身につけるとともに多くの実務経験を積むことができ、90%以上の就職率を誇っています。


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※この記事でご紹介している内容は2022年7月15日現在の情報に基づいています。

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