海外大研究シリーズ ニュージーランドの大学ではなにが学べる?
前回に引き続き、2022年7月31日23時59分(NZ標準時間:NZST)にすべての国に対して国境が再開されるニュージーランドの大学にスポットライトをあてます。今回は、ニュージーランドの大学での学びが具体的にイメージできるように、強みのある注目の学問分野や、主な大学をご紹介します。学びの質や満足度の高い海外進学・留学を実現するため、留学先を検討する材料の1つにしてください。
ニュージーランドではなにが学べる?
ニュージーランドには総合大学が8校しかありませんが、その全校が大学院までを備えた国立大学です。すべての大学でビジネス系および文系・理系の各種科目を開講しており、学べる専攻は多種多様。また、大学ごとに専門の得意分野を持っています。
ここでは、世界的にみてもニュージーランドの大学が強みを持っていると思われる学問分野を、5つピックアップしてご紹介します。
<強みのある主な学問分野>
◆生物学
多様な自然環境を有し、貴重な固有種を含むユニークな野生生物も数多く生息しているニュージーランドは、生物学関連の学問には定評があります。国全体でバイオサイエンス産業が盛んで、大学でのバイオテクノロジーの研究は世界でもトップレベルと言われています。
また、豊かな生態系を背景とした海洋生物学や水産学、動物学、獣医学、自然保護といった分野にも注目です。
◆環境科学
ニュージーランドでは国家レベルで自然環境の保護に取り組んでおり、クリーンでグリーンな「環境保全先進国」としても知られていることもあって、環境科学も非常に人気のある学問分野です。印象的な山や湖、海などの自然環境の保全や、希少な在来種の保護などを目的とした様々なアプローチが研究されています。再生可能エネルギーや水資源など、領域は多岐にわたります。生物学や生態学、地球物理学など他分野の学問とも密接に関連しており、環境の生物多様性や気候変動などに関する学際的な研究も行われています。
◆農林学
農畜産物などの 第1 次産品関連が総輸出の5割以上を占めるニュージーランドでは、生産性と国際競争力を向上させるため農業・林業も盛んに研究されています。QS世界大学ランキングで複数の大学が農林業のトップ100にランクインするなど、世界的にも高いレベルです。農業に関するコースでは、農場訪問、事例研究、研究センターを通じた実践的な学習が展開されています。アグリビジネスなどの分野を扱っている大学もあります。
◆建築学・土木工学
政府による開発プロセスが増加していることもあり、様々な自然環境を考慮しつつ、エネルギー効率が高くて景観への影響が少ない建物をつくるための建築学や土木工学の需要が高まっています。防災、省エネ、水や廃棄物の管理、発電などの、都市や農村の施設・インフラストラクチャーに関連する問題もカバーしています。
◆観光・ホスピタリティ
ニュージーランドの主要産業の1つが旅行・観光業界であるため、ホスピタリティは重要な領域になっています。職業としても人気があり、多くのコースが提供され、留学生を含む多数の学生が学んでいます。最新のQSサブジェクト別ランキング「ホスピタリティ&レジャーマネジメント」の部門では3校がTOP100にランクインしています。扱う内容は多岐にわたっていますが、様々な分野の知識とスキルを身につけながら総合的に学び、ホテルやレストランの経営に生かしていくホスピタリティマネジメントなどが注目されています。
ニュージーランドのおすすめ大学3校
国立の総合大学8校の中から、大学ランキングが高かったり、特色ある学科を設置したりしている3校をピックアップしてご紹介します。
オークランド大学(The University of Auckland 〔UoA〕)
1883年設立。44,000人以上の学生が学ぶニュージーランドで最大の大学で、ニュージーランド最大の都市オークランドに位置しています。最新の大学ランキングでは、THEで137位、QSで87位にランクされており、長い間、国内ではトップを守り続けている名門大学です。
人文学部、経済・経営学部、芸術学部、教育学部、工学部、法学部、医学部、理学部の8つの学部で構成されており、150以上の学部科目が提供されています。考古学、教育、薬学、地理、看護、英文学、言語学、哲学、人類学などが有名です。また、特色ある専攻としては、データサイエンスや不動産学などが挙げられます。
留学生比率が32%と高く、海外からの学生向けのサポートも手厚いのが特徴です。
オタゴ大学(University of Otago)
創立されたのは1869年と、ニュージーランドで最も古い歴史を持つ大学。南島・ダニーデンにあるメインキャンパスには、豊かな自然の中にネオ・ゴシック建築の校舎が建ち並びます。アメリカのオンラインメディア・Huffington Post(現在のHuffPost)やイギリス紙・Daily Telegraphなど複数のメディアの「世界で最も美しい大学」にランクインしたことがあるほど素晴らしい環境です。
20,000人以上いる学生のうち、8割以上がダニーデン以外の出身者であるため、キャンパス近くに用意された15棟もの学生寮やアパートで約3500人が生活しています。とくに学部1年生はほとんどがこうした宿舎で活気にあふれた共同生活を送っており、オタゴ大学の独特の文化として有名です。
健康科学、科学、人文科学、ビジネススクールの4つの部門からなり、多様な約140のコースがあります。歯科、解剖学・生理学、古典古代史、開発学、スポーツ科学など、多くの分野で世界的に高い評価を受けており、最新の設備を備えた施設で世界基準の授業を受けることができます。とくに歯科学は、ニュージーランド唯一のコースとなっています。
リンカーン大学 (Lincoln University)
1878年に農業学校として設立。ニュージーランドの大学としては3番目に古く、農業学校としては南半球で最も古い、歴史ある大学です。南島最大の都市クライストチャーチから車で20~30分ほどの郊外にキャンパスを構え、農業を軸にしつつも、多様化してきたニュージーランドの経済のニーズに合わせて農業、環境、食、ツーリズムなど自然環境をもとにした学問に特化した様々なコースを提供しています。
学生は4,000人ほどと大学の規模としてはニュージーランドで最も小さいですが、農業・畜産・林業・バイオテクノロジー等の研究は高いレベルにあります。とくに大学の専門分野である「土地の利用・管理」には力を入れており、農業は世界でもトップクラス。持続可能な農業ビジネスを運営する方法を扱う農業商学部や、生物学、技術、その他の科学分野の知識を通じて農業生産性を向上させることに焦点を当てた農業生命科学部などが特徴的です。
ほかにも造園や環境管理、資源、観光やスポーツなどの分野も学ぶことができ、ブドウ栽培、ワイン、ビールといった他大学にはない独特な学問領域も扱っています。ユニークなのはニュージーランド唯一となるワイン醸造科。大学専用のワイン醸造所・農業試験場・ブドウ畑・商業用地などを国内各地に保有し、世界のワイナリーを支える優秀な人材を輩出しています。
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※この記事でご紹介している内容は2022年7月1日現在の情報に基づいています。