若い大学の実力がハッキリわかる「Young University Rankings 2022(THE)」を発表!
2022年2月15日、世界大学ランキングで知られるイギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education (THE)」が「Young University Rankings 2022」を発表しました。このランキングは、設立から50年以下の若い大学だけを対象としたもので、通常のTHE世界大学ランキングとはパフォーマンス指標の重みづけが少し異なります。
若い大学には、常識にとらわれない新しい試みなどに果敢にチャレンジしやすい土壌があるため、コロナ後に急激に伸びてくる可能性もあります。歴史や実績を積み上げた伝統ある大学ももちろん魅力的ですが、それとはまた違った魅力が発見できる若い大学にも注目してみてはいかがでしょうか?
「Young University Rankings 2022」とは?
「Young University Rankings」は、1972年以降に設立された創立50年以内の大学を対象とした世界ランキングです。2022年のランキングには539の大学がランクイン。2021年の475校から、64校増加しました。
■Young University Rankingsでは何が評価される?■
Young University Rankingsは、THE世界大学ランキングと同じ「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」の5分野・13指標のデータをスコア化したランキングとなっています。ただし、「教育」「研究」分野における評判調査の比重が低く調整されている点が、THE世界大学ランキングとは異なります。
<Young University Rankingsにおける分野・指標の比重>
■教育 (学習環境):30%
- ・評判調査<教育> 10%
- ・学生に対する教員比率 6%
- ・学士課程学生に対する博士課程学生比率 3%
- ・教員に対する博士号取得者比率 8%
- ・大学の総収入 3%
■研究 (量、収入、評判):30%
- ・評判調査<研究> 12%
- ・研究関連収入 9%
- ・学術生産性 9%
■被引用論文 (研究影響力):30%
■国際性 (教員、学生、研究):7.5%
- ・外国籍留学生の割合 2.5%
- ・外国籍教員の割合 2.5%
- ・国際共同研究 2.5%
■産業界からの収入 (知の移転):2.5%
「Young University Rankings 2022」 上位20校
順位 | 前年順位 | 順位の変動 | 大学名 | 国・地域 | THE2022順位 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | ↑ | PSL研究大学(Paris Sciences et Lettres – PSL Research University Paris) | フランス | =40 |
2 | 1 | ↓ | 南洋理工大学(Nanyang Technological University, Singapore) | シンガポール | 46 |
3 | 3 | = | 香港科技大学(The Hong Kong University of Science and Technology) | 香港 | 66 |
4 | – | – | エラスムス大学ロッテルダム(Erasmus University Rotterdam) | オランダ | 72 |
5 | 12 | ↑ | 香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University) | 香港 | 91 |
6 | – | – | パリ工科大学(Institut Polytechnique de Paris) | フランス | 91 |
7 | 11 | ↑ | アントワープ大学(University of Antwerp) | ベルギー | =143 |
8 | 9 | ↑ | シドニー工科大学(University of Technology Sydney) | オーストラリア | =143 |
9 | 6 | ↓ | マーストリヒト大学(Maastricht University) | オランダ | =127 |
10 | 5 | ↓ | 香港城市大学(City University of Hong Kong) | 香港 | =151 |
11 | 10 | ↓ | 蔚山科学技術大学校(Ulsan National Institute of Science and Technology (UNIST)) | 韓国 | =178 |
12 | 13 | ↑ | ソルボンヌ大学(Sorbonne University) | フランス | =88 |
13 | 26 | ↑ | 南方科技大学(Southern University of Science and Technology (SUSTech)) | 中国 | =162 |
14 | 7 | ↓ | サンターナ大学院大学(Sant’Anna School of Advanced Studies – Pisa) | イタリア | 201–250 |
15 | 8 | ↓ | 浦項工科大学校(Pohang University of Science and Technology (POSTECH)) | 韓国 | =185 |
16 | 15 | ↓ | ポンペウ・ファブラ大学(Pompeu Fabra University) | スペイン | 156 |
17 | 16 | ↓ | キャンベラ大学(University of Canberra) | オーストラリア | =170 |
=18 | 14 | ↓ | パリ大学(Université de Paris) | フランス | 155 |
=18 | 22 | ↑ | パリ・サクレー大学(Université Paris-Saclay) | フランス | =117 |
20 | 21 | ↑ | グラーツ医科大学(Medical University of Graz) | オーストリア | 196 |
※順位の数字に「=」がついている場合:同順位の大学あり
※順位の変動が「=」の場合:前回順位から変動なし
※THE2022順位:The Times Higher Educationの「世界大学ランキング2022」順位
PSL研究大学が初の1位を獲得
フランスは高等教育機関の再編の影響もあり24大学がランクイン
今年のランキングで1位を獲得したのは、フランスのPSL研究大学(世界大学ランキング40位)。昨年TOPだったシンガポールの南洋理工大学は2位でした。アジア以外の教育機関が首位に立つのは、2017年以内のことになります。
トップ20ではフランスから5校がランクインしました。フランスは全体のランクイン数でも、5年前の16大学から24大学に増加しており、そのうち17機関は過去10年間に設立されています。ただし、これらは国の高等教育システムの拡大によるまったく新しい学校というわけではなく、既存の教育・研究機関をグループ化、場合によっては統合するプロセスによって誕生したものです。
インドとトルコがランクイン数で躍進
上位には届かずも、「アジアの世紀」を感じさせる結果に
トップ10では、アジアから香港が3校ランクインしています。
また、インドとトルコはそれぞれ40の教育機関が名を連ね、ランクイン数としてはイギリスを追い抜いて、全体として最も代表的な国になっています。新世代の若い大学に関しては、アジアが世界をリードしているといえるでしょう。(英国はイランと並んで3位、どちらも37の大学がランクイン)
とはいえ、インドで最高位は70位タイのJSS高等教育研究アカデミー(JSS Academy of Higher Education and Research)、トルコは89位タイのコチ大学(Koç University)、イランは67位クルディスタン医科学大学(Kurdistan University of Medical Sciences)と、いまだ上位には到達しておらず、今後が注目されます。
ちなみに日本の最高位は、102位の産業医科大学でした。
2022年に初めてランク入りした大学の中での最高位は、オランダのエラスムス大学ロッテルダムの4位。次いで、フランスのパリ工科大学が6位に入りました。
<1位:PSL研究大学の特徴>
フランス・パリにある、17,000人の学生と2,900人の研究者を擁する総合研究大学です。
2010年に、パリ中心部カルチエ・ラタンのグランゼコール(高度な職業専門知識を学ぶための高等教育機関)と、グランテタブリスマン(科学的、文化的、職業的性質を持つ特別教育機関)が再編・統合されて誕生しました。総合型の大学になってからの時間は短いものの、ベースとなっているコレージュ・ド・フランスやパリ天文台などは非常に古い歴史を持っています。
PSLには9つのコンポーネントスクールと2つのアソシエートメンバーが含まれ、3つの研究機関と緊密に連携しています。自然科学、工学、人文科学、社会科学、芸術分野で構成されており、多くの分野の教育、研究が行われています。取得できる学士号は9つ、修士号は48(うち約20が英語で学べるプログラム)、18の大学院プログラムが提供されています。
大学は独自自治カレッジ制の形式で運営されています。入学者選抜は学校ごとに行われ、授与される学位も各学校の認証によって大学から与えられます。
留学生の割合は25%で、世界でも非常に高度な研究と教育を受けられる環境を求めて、多くの国から優秀な学生が集まっています。
ベネッセの海外進学プログラムなら、
自信を持って進める自分だけの進路ルートや、奨学金を「狙える」ところまでを
徹底的にサポートできます。
いっしょに海外大で学ぶという夢をかなえてみませんか?
▼
※この記事でご紹介している内容は2022年4月22日現在の情報に基づいています。