世界の大学へのパスポート“ケンブリッジA-Level(Aレベル)”とは?国際バカロレアとの違いは?
海外大進学・留学の際に認められる出願資格として、国際バカロレア(IB)をご存知の方は多いかもしれません。それに比べると、「Aレベル」という資格はあまり知られていないのではないでしょうか。「Aレベル」は、日本ではまだ認知が浅い教育プログラムですが、国際的にはIBと肩を並べるか、それ以上にメジャーな資格で、世界中の多くの大学が入学資格として採用しています。実は日本の大学でも、大学の入学資格の1つとして認められています。今回は、海外で学ぶことに興味があるなら知っておいて損はない「Aレベル」の基礎知識をご紹介します。
Aレベルとは?特徴は?
「Aレベル(A-Level)」はもともとイギリスの大学の入学資格ですが、現在はイギリスを中心に世界で認められている高校卒業資格・大学入学資格です。資格取得のための試験は科目別になっており、受検する科目は受検者が決めることができます。
※イギリスでは、義務教育(Year11)を修了した後、2年間(Year12~13)でAレベルのプログラムを履修し、GCE A level(General Certificate of Education Advanced level[通称:Aレベル])の科目別の試験の結果によって入学を許可される大学が決定する仕組みになっています。
Aレベルの試験審査団体はいくつかありますが、イギリス・ケンブリッジ大学グループである Cambridge International Examinations (CIE)は、1951年から国際的な教育プログラム・資格試験として世界中でAレベル(Cambridge International Advanced Levels)を提供しています。イギリスをはじめ、アジア、アメリカ、アフリカなど世界125ヶ国、17万5千人が毎年受講していると言われます。日本でも、2016年よりAレベルを修了した18歳の生徒に大学入学資格が認められています。
Cambridge International A Level のプログラムを修了するまでには通常、2年間かかります。プログラムの修了後、評価(筆記試験)が行われます。必須科目はなく、学生の多くは3~4科目を選択して履修します(大学進学に必要な科目数は3)。
【参考】:Cambridge Assessment International Education
国際バカロレア(IB)との違い
世界的に見ると、最も普及している国際教育プログラムはAレベルとされています。日本で知名度が上がってきている国際バカロレア(IB)と同様に、資格を取得していればイギリスやオーストラリアなど日本とは教育制度が違う国でも学部への直接入学が可能になります。では、国際バカロレア(IB)とAレベルの違いは、どのようなところでしょうか?
◇カリキュラムの比較
<国際バカロレア>
言語・文学や数学、芸術など理系・文系両方を含む6分野から1科目ずつ選択して履修します。6科目のうち、3~4科目を上級レベル(HL)、その他を標準レベル(SL)として学習することが決められています。
それに加え、資格の取得には「Extended Essay(EE:課題論文)」「Theory of Knowledge(TOK:知識の理論)」「Creativity/Action/Service(CAS:創造性・活動・奉仕)」の3つのコア科目をクリアすることが必要となります。合計9科目が必修となるため、幅広い範囲・領域に触れることができる学びが特徴です。
<Aレベル>
9つの科目グループにわたって設定された、50に及ぶ幅広い科目の中から、学生が個人の興味に沿って柔軟に科目を選択し、組み合わせて受講することができます。必須科目はありません。大学進学に必要とされるのが3科目であるため、通常は3~4科目を選択し、時間をかけて専門的な知識を身につけていける学びが特徴です。
※大学・学部によって要求される科目が決まっている場合があるため、大学進学を目的として履修する際は志望大学・学部の規定をあらかじめ確認する必要があります。
◇評価(資格試験)の比較
<国際バカロレア>
プログラムの課程をすべて履修し、最終試験で45点満点中24点以上を獲得すると資格が取得できます。
◆選択した6科目:各科目7点〔計42点〕
◆コア科目:3点(評価対象はEEとTOKのみ)
<Aレベル>
成績評価は、科目ごとにA*– Eの6段階(最低基準を満たしていない場合はU)となります。それぞれの得点率はA*(90%以上)、A(80%)、B(70%)、C(60%)、D(50%)、E(40%)となっており、E以上を獲得すれば資格を取得できます。
◇大学入学資格としての採用校の比較
<国際バカロレア>
世界75か国、約2500以上の大学の入試で採用されています。分布はおおむね均一で、様々な国でまんべんなく利用されています。
<Aレベル>
Cambridge InternationalのAレベルはイギリスを中心に約160カ国、10,000校の学校で認可されています。分布にはやや偏りがあり、国によって状況が異なります。
参考)大学入学資格として認められている学校数の比較表
米国大学 | 英国大学 | 国内大学 | |
---|---|---|---|
IBDP (国際バカロレア) | 約1600大学 | 全大学 |
全大学 ※63校は入試に利用 |
A-Level | 約800大学 | 全大学 |
全大学 ※入試には利用できない |
AP *アメリカの大学の入学資格 | 全大学 | ほぼ全大学 | 利用不可 |
※令和3年度「日本及び主要国におけるインターナショナルスクールに関する調査」最終報告書(ボストンコンサルティンググループ)<令和3年 (2021年) 6月25日>より
【参考記事】:最近よく耳にする「国際バカロレア」って一体何?
Aレベルを取得するには?
日本の学生がAレベルを取得するには、主に以下の3つの方法があります。
1) 高校からイギリスに留学して、Aレベルのプログラムを履修する
イギリスの高校で義務教育課程(Year11)を修了すると、大学進学希望者は6th form collegeという場所で2年間(Year12~13)でAレベルを履修します。英語力やそれまでの学校の成績が基準を満たしていれば、Year12からの編入も可能です。
2) 国内のAレベルを採用しているインターナショナルスクールで取得する
3) 国内の国内のAレベルプログラムを導入している高校で取得する
ケンブリッジスクール(認定校)は世界160カ国以上に10,000以上あり、日本国内にもケンブリッジから認定を受けている学校が10校以上存在します。
▼ケンブリッジスクールは下記のページで検索することができます。
【参考】:Find a Cambridge school|Cambridge Assessment International Education
※ケンブリッジのAレベルプログラムをオンラインで提供している学校もあります。
日本国内の学校でAレベルプログラムの導入を検討する動きも徐々に見られてきてはいますが、現状では日本の高校生がAレベルを取得できる手段はまだまだ多くはありません。資格の認知度もいまだ低いですが、今後、日本でも教育のグローバル化が進むにつれて国際バカロレア(IB)のように提供する学校が増えてくることも予想されます。海外で学ぶための資格としては非常に有効であることに間違いはないので、これからの動向に注目しておきたいところです。
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※この記事でご紹介している内容は2022年3月25日現在の情報に基づいています。