withコロナ時代、海外大を選ぶときの「新しい観点」3選
少なくとも向こう数年にわたってコロナと「共存」する必要がありそうです。今回は、今後のwithコロナの世界を見据えたうえで、海外で学ぶことに興味がある高校生の皆さんが、今までの観点にプラスしてどんな点を重視して志望校選びをしていくべきかをお伝えします。
こうした時代の中では、海外大進学・留学をする際の大学選びの観点も、これまでとは少なからず変わってきます。パンデミックにより、無数の課題に直面した海外の大学は、それでも学生たちに最良の教育を提供するために、それぞれ様々な工夫や改革を重ねてきています。今回は、今後のwithコロナの世界を見据えたうえで、海外で学ぶことに興味がある高校生の皆さんが、今までの観点にプラスしてどんな点を重視して志望校選びをしていくべきかをお伝えします。
観点① 大学の制度
大学は変わる状況に対して柔軟に取り組んでいる?
新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増加していた期間、多くの国の大学がキャンパスの閉鎖を余儀なくされ、オンラインによる授業が続きました。留学生の中にはいったん帰国し、日本からオンライン授業に参加していたケースも多数見受けられました。
2021年後半からは対面授業が再開、もしくは対面とオンラインを組み合わせて実施するハイブリッドと呼ばれる形式で授業を行う大学も増えてきています。しかしながら、今後の感染状況がどう変化していくかは予測不可能であり、再び強い対応が必要とされる期間がくることもないとは言えません。
これからのwithコロナ時代、そうした事態に陥った場合でも、「心配なく、心地よく、大学で学べる仕組みが用意されているかどうか」は、大学選びの際にまず考えたい観点の1つになります。
感染状況が悪化した際必須になる「リモート(遠隔)での学び」に、大学側が積極的かつ柔軟なスタイルで取り組んでいるかは非常に重要です。
特に、オンライン授業の質はできるだけ詳しくチェックしたいもの。実習など、対面クラスのようにできないことももちろんありますが、オンラインの利点を活かしてできるだけ学習効果を挙げられる工夫や努力を、大学当局・教授陣が行っているかに注目しましょう。
大学によっては、専用のオンライン学習プラットフォームを整備し、スムーズな双方向のやり取りを実現しているケースも多々あります。また、講師たちがリモートで教える手法を独自で研究する組織を立ち上げて、成果を共有しあったり、ホームページで発表したりしていることもあります。実地でのキャンパス見学・ツアーは中止のままの大学が多いですが、バーチャルでクラスの様子を見られるようなサービスをWEBで提供していることもありますので、気になる大学があれば調べてみるのがおすすめです。
もしリアルタイムで講義に参加できなかった場合、動画フォローなど追加の学習サポートがあるかどうかや、感染状況によって対面授業も併用するハイブリッドタイプへの切り替えが柔軟に行われているかも確認しておくとよいでしょう。
授業以外の部分でも、可能な限り細かく情報を収集することをおすすめします。
キャンパス内のアカデミックスペース、ソーシャルスペースで、どのような制限や感染防止対策が実施されているかは、国や大学によって異なります。大学によっては社会的距離、屋内でのマスクの着用、建物内の一度の人数の制限など、厳格な対策が続けられていることもあります。そんな中で、学生コミュニティがどのように運営されているのか、学内の社会的イベントには参加できるのか、図書館など自習スペースは十分に確保されているのかなど、学びや学生生活の質を左右するポイントは大学選びの決め手となることもあります。留学生特有の対応があれば、それもしっかり見ておきたいものです。
また、パンデミックなど有事の際には、人によっては精神的に深刻な影響を受けることがあります。キャンパス内、遠隔地などを問わず学生のメンタルヘルスをサポートするサービスが提供されているかもチェックが必要です。
加えて、忘れてはいけないのが大学による金銭面のサポートの有無。コロナ禍でアルバイトができなくなったり、保護者からの送金が滞るなど金銭的に困窮した学生に対し、特別な財政援助(奨学金やローン)を提供していた大学も少なからずあります。そうした有事の際に、留学生にも金銭的サポートがあるかどうかは、見落としがちですが重要な点。 もともと海外大進学には高額の費用がかかることも多いので、「留学にかかる費用」と「留学で得るもの」を天秤にかけたときに、たとえ大学でオンライン授業がメインとなってしまった場合でも「納得感」がある、ということはとても大切です。
観点② 学びたいこと
withコロナの新しい社会に向けて本当に学びたいことは?
新型コロナウイルスによるパンデミックで都市封鎖や行動制限、在宅勤務・学習などを経験した世界では、社会的にも個人としても、大きな変化が起きていると言われています。社会の仕組みや制度など、当たり前だと思われてきた常識がコロナによって激変したことで、個人のライフスタイルや働き方・学び方も変わり、新たな価値観が生まれてきています。そのような環境や人々の意識の変化に対応した新しいツールやシステム、サービスが進展し、従来にないビジネスが創出されるなど、今後も世界的にこの流れは続いていくと考えられています。
こうした「新しい社会」の中で、自分がどのような役割を担い、どのように活躍していくかという将来像を描きつつ、そのために「自分は何を本格的に学びたいか?」を、しっかりと考え直してみましょう。もしかすると、コロナ禍を経験し、自らや家族の実体験や報道などに触れたことを通して、これまで目指していた分野とは違ったことに興味が出てきている自分に気付くかもしれません。
たとえば、オンライン学習やリモートワークなどが盛んになったことで、その場に行かなくても様々なことが実現できる遠隔コミュニケーションの重要性に改めて気付いた方も多いはずです。同時に、人と人の距離が離れていても、より円滑に、より深く意思疎通するためのツールが必要であることを痛感した方も少なくないのでは。人間にとってさらに便利な技術を開発するためにIT分野は今後も活況を呈していくはずです。海外大で最先端の研究を経験し、世界に羽ばたける人材になりたいという夢が生まれることもあるのではないでしょうか。
また、パンデミックによって日常が激変したことによって、あらためて個人の幸せのあり方を考える人が増えるなど、メンタル調整の必要性もクローズアップされてきました。今後も様々な有事の際に役立つ人材となるために、ポジティブ心理学やコーチング(レジリエンス)など、またはそれらを組みあわせた実践的な学問を学びたいという夢が生まれることもあるでしょう。
海外大は特徴のある学校が多く、お国柄や地域特性などを反映した得意分野がそれぞれにあります。学べる範囲も多岐に渡っており、非常にニッチな分野だと感じるものでも専門家がいて深く研究できることもありますし、他分野を絡めた横断的な研究が可能なこともあります。
自分が興味を持ったことがどんな専攻に繋がっているのか、どんな専攻・分野であれば思った通りの学びができそうなのか、ということを念頭に置き、各大学が公式サイト等で公表しているプログラムや研究の内容をできるだけ細かく見ていくことで、理想の学びを実現できる1校を見つけることができるはずです。
さらにその先の将来も見据え、学んだことを社会の中で生かしていくためのキャリアサポートの充実度も、できれば大学選びの視点として持っておくとよいでしょう。
*海外で学べるユニークな専攻については、次回詳しくご紹介します。お楽しみに!
観点③ 住環境
有事の際にすぐに最適な行動をとれる環境か?
海外大に進学するということは、多くの場合、海外で一人暮らしをすることになります。寮に入るか、個人でアパートを借りるかなど、住居の選択はいろいろなパターンがありますが、これまでとは違う環境で生活を始める人も多いはずです。学部課程の場合、3年もしくは4年間を過ごすことになる場所ですから、街やキャンパスが魅力的か、もっと言えばその場所が好きか、住みたいかという感覚的な部分は、留学先選びにおいては実は非常に大切だということは、これまでも何度かお伝えしてきました。
大学選びの観点としては変わらず重要ではありますが、コロナ禍を経て上記以外でいくつか考慮したほうがよいポイントがあります。「有事の際の行動が容易であるか」という観点でのチェックもぜひ加えてみてほしいのです。
たとえばコロナ禍では、国や地域によってはキャンパスや学生寮が閉鎖され、学生は自宅に帰って待機するよう求められることが現実にありました。留学生は帰国せざるを得ない状況になったケースも多く、今後もそうした対応が絶対にないと断言できない以上、日本との行き来がしやすい立地かどうかを検討のポイントに加えてもよいでしょう。
帰国を求められない場合でも、再び長期間にわたるオンライン授業が実施されることも考えられます。寮でもアパートでも、オンラインで受講できる環境をスムーズに整えられるかはかなり重要です。ネットワーク環境は十分に確保できるか、周囲や地域のサポートが得られそうかは、住居を決める際にできるだけチェックしておきたいものです。
また、大学だけではなく、国や地域により強力な外出制限が課せられる可能性もあります。ステイホームを強いられた際のストレスの感じ方は人それぞれ。自分は強くストレスを感じそうだな、と思う方はあらかじめうまく対応できそうな環境を選択できるよう、自分なりの重視ポイントを決めると良いでしょう。
短時間の外出が許された場合に少し散歩するだけでリフレッシュできそうな周辺環境であるとか、家の中にずっといても苦痛にならない気候であるとか、学生寮なら気軽な仲間が周りにいるから耐えられそうとか、そういった思い切りパーソナルな細かい条件でかまわないので、自分にとって重要だと思うことを列挙して、大学選びの観点に加えてください。生活をするうえで譲れないポイントさえクリアしていれば、留学生活も意外と楽しく乗り切ることができるはずです。
いかがだったでしょうか?
これまでの国選び・大学選びの観点に加え、withコロナ時代の新しい観点を持って、広い視野で、自分に合った志望大学を選択してください。
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※この記事でご紹介している内容は2022年3月4日現在の情報に基づいています。