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留学生でも学費が安価な「ヨーロッパ留学」。各国でかかる費用・奨学金は? 【22.02.07更新版】

海外留学はとにかくお金がかかる、というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?たしかにアメリカなど人気のある英語圏の、しかも4年制大学ともなると、学費はかなり高額になることが知られています。あまりにも多額の費用が必要になるなら、海外で学びたくてもあきらめざるを得ない、という方もいるかもしれません。

そのような人にぜひ知っていただきたいのが、ヨーロッパ各国の大学への留学費用の実態。ノーベル賞受賞者を数多く輩出するようなレベルの高い教育を行っている大学でも、実は学費が無料、または安価であるということが、ヨーロッパでは多いのです。 今回は、できるだけ費用を抑えて留学したい人向けに、ヨーロッパ各国の大学の学部課程の授業料や、公的な奨学金の情報をご紹介します。

※国ごとに独自の通貨がありますが、今回の記事における費用については「ユーロ」換算で統一して表記します。

「ヨーロッパ留学」でかかる費用・奨学金は?【22.02.07更新版】

●ドイツ

学部の授業料

公立大学の学士課程・修士課程は、EU圏内・圏外などの国籍に関わらず、一部の例外(*1)を除き原則としてすべての授業料が無料です。学期ごとに、共済費として150~350ユーロ程度の費用がかかります。この料金には公共交通機関のチケットやその他の学生サービスの費用が含まれています。

私立大学の場合、学士過程の授業料は年間6,500〜26,000ユーロとなります。エンジニアリングとビジネス&マネジメントのプログラムは最も高額とされています。

*1)バーデンヴュルテンベルク州のみ、2017年末にEU / EEA(European Economic Area)以外の学生に年間3,000ユーロの授業料が再導入されました。
また、ブレーメン州などいくつかの州では、決められた期間内に学士号プログラムを修了しなかった場合、授業料を支払う必要があります。

生活費の目安

都市によって異なりますが、学生の平均生活費は月に平均870ユーロ程度(住居費、食費、健康保険料などの合計)とされています。

・大都市の場合(ベルリン、フランクフルト、デュッセルドルフなど):月額900-1,500ユーロ
・小都市の場合(フライブルク、ライプツィヒ、ハノーバーなど):月額750-1,100ユーロ

※学生寮は平均で月額250ユーロ。留学生の40%以上が学生寮に住んでいると言われています。
※なお、ビザ申請時には留学費用を負担できるだけの資金があることを証明する財政証明が必要となります。金額は年額10,332ユーロ(月861ユーロ)です。

学部留学生向けの公的奨学金の例

DAAD(ドイツ学術交流会)はドイツへの留学生に向けて様々な給付型の奨学金を提供しています。多くが修士・博士課程向けですが、学部生が利用できるものもあります。

◆DAAD春期・夏期講座奨学金 (HSK/HFK)

  • 〇対象:学部生(奨学金開始時に学部2年生を修了していること)、修士・博士課程在籍者
  • 〇期間:約4週間
  • 〇概要:ドイツの大学や大学付属の語学コースでドイツ語とドイツ研究のための講座に参加するための費用を提供
  • 〇必須語学能力:ドイツ関連学科:B1以上

●オランダ

学部の授業料

公立大学の授業料は、EU/EEA圏内の学生か、それ以外からの学生かで金額が異なります。 日本を含むEU/EEA圏外からの学生の場合、学士課程の平均授業料は年間6,000ユーロから15,000ユーロとなります。

※ビジネスマネジメントやコミュニケーションのプログラムが最も高額で、年額19,400ユーロ程度とされています。

私立大学の場合、学士課程の授業料は年間7,500〜19,000ユーロ程度です。

生活費の目安

住む都市によりますが、学生の一般的な生活費は月平均で800-1,100ユーロ程度(住居費、食費、書籍代など含む)と言われています。

※オランダにはキャンパス内の学生寮がほとんどありません。

学部留学生向けの公的奨学金の例

◆オランダ奨学金(Holland Scholarship)

  • 〇対象:オランダで学士号または修士号を取得したい、欧州経済領域(EEA)外の留学生
  • 〇期間:1年間(1回のみ)
  • 〇支給内容:5000ユーロ
  • ※年度ごとに参加大学がWebサイトで公表されます。

●ハンガリー

学部の授業料

大学や専攻にもよりますが、公立大学の場合、ほとんどのプログラムで年間1,200-5,000 ユーロ程度です。

  • ・工学系:約2,250-4,500ユーロ
  • ・IT系:約3,300ユーロ
  • ・国際関係:約1,500-2,000ユーロ

※医学および歯学のプログラムは、年間12,000-16,000ユーロかかります。
※私立大学の場合、一般的に公立大学よりも授業料は高くなります。

生活費の目安

平均生活費(住居費、食費、交通費など)は、375-700ユーロの範囲とされています。

・首都(ブダペスト)の場合:600-700ユーロ程度
・小都市の場合:500ユーロ未満

※学生寮は平均で月額100ユーロ未満。

学部留学生向けの公的奨学金の例

◆ハンガリー奨学金(Stipendium Hungaricum〔ラテン語〕)学士、修士、学士・修士統合型、ノンディグリー、大学院専門職養成コース

〇対象:ハンガリー政府が認定する、下記のハンガリーの高等教育機関等への留学生(毎年、世界約70カ国以上の約5,000人に授与)

<学位取得型(長期留学 / ※短期留学)>
・学士課程(BA/BSc)
・修士課程(MA/MSc)
・学士・修士統合型(MA/MSc)
※短期留学とは、日本の高等教育機関に在籍しながら、必須単位取得のために1セメスターないし2セメスターの留学をする場合が対象となる。

<学位を取得しないプログラム(最長1年)>
・ハンガリー語予備コース

〇支給内容:

  • ・授業料免除
  • ・月額奨学金支給 43,700フォリント(約120ユーロ)/月
  • ・学生寮の無償提供もしくは住居費として毎月40,000フォリント(約110ユーロ)支給

●フランス

学部の授業料

公立大学の授業料は、EU/EEA圏内の学生か、それ以外からの学生かで金額が異なります。
学士課程の場合、EU/EEA地域およびスイスの学生の平均授業料は年間約170ユーロ(特定の機関の工学コースは年間610ユーロ)。

日本を含むEU/EEA圏外からの学生の場合は、年間2,770ユーロの授業料が必要です。
※私立大学は年間1,500ユーロ程度から、20,000ユーロを超えるケースまで、学校によって幅があります。

生活費の目安

生活費は住む都市によってかなり異なります。

・パリの場合:月額1,200-1,800ユーロ
・ニースの場合:月額900-1,400ユーロ
・リヨンやボルドーの場合:月額800-1,000ユーロ
・その他の地域:月額650ユーロ程度

※学生寮は平均して月額200ユーロ(パリは月額400ユーロ)。留学生の約13%が学生寮に住んでいると言われています。

学部留学生向けの公的奨学金の例

◆フランス政府奨学金(BGF)文系/理系

〇概要:日本とフランスの大学間交流および研究交流の主要プログラムとして、フランスの高等教育機関への留学を希望する日本人学生を対象とする奨学金

<文系(学士課程【Licence】または大学附属フランス語コース及び英語プログラムコースの場合)>
・募集分野:政治学、国際関係、法学、経済学、経営・管理学
・期間:10か月間
・支給内容:月額 700ユーロ
※その他、大学登録料やビザ申請料免除、一律 700€の留学手当支給、フランスまでの往復航空券の支給などの特典あり

<理系>
・募集対象:修士、博士課程もしくはダブルディグリープログラムで留学する学士課程の学生
・期間:10か月間
・支給内容:学士課程の滞在費全額(月額700ユーロ)
・募集分野:数学とその関連領域・物理・化学、 工学・情報通信技術、 地球科学・宇宙科学・環境学、 生命科学・医学・農学

●デンマーク

学部の授業料

デンマークの大学の授業料は、EU/EEA圏内の学生か、それ以外からの学生かで金額が異なります。
EU/EEA地域とスイスの学生、および交換プログラムに参加している学生は、学士課程・修士課程の授業料が無料です。
日本を含むEU/EEA圏外からの学生の場合、学士過程の授業料は年間6,000〜16,000ユーロの範囲となります。

生活費の目安

一般的に、デンマークの物価は高めと言われています。住む都市や個人のライフスタイルにもよりますが、平均としては月額800から1,200ユーロが必要と言われています。

※首都コペンハーゲンに住む場合は、さらに高くなる可能性があります。
※デンマークでは、基本的にキャンパス内に学生寮はありません。

学部留学生向けの公的奨学金の例

◆非EU学生のためのデンマーク政府奨学金(Denmark Government Scholarships for Non-EU Students)

〇対象:EU/EEA以外の国からの優れた学業成績を持つ学生(学士号、修士号、および博士号)
〇支給内容:授業料の全額または一部の免除および/または基本的な生活費を賄うための助成金として支給

※奨学金は個々の高等教育機関によって運営されており、各機関がどの学生に奨学金を支給するかを決定しているため、詳細については入学を希望する各大学からの情報を参照する必要があります。

●フィンランド

学部の授業料

EU / EEA地域およびスイスからの学生の場合、授業料はすべて無料です。
日本を含むEU/EEA圏外からの学生の場合、フィンランド語もしくはスウェーデン語で履修する学士課程・修士課程の授業料は無料ですが、英語で履修する学士号プログラムについては授業料を支払う必要があります。英語による課程の授業料は大学や学位プログラムによって異なり、学士号プログラムの場合年間4,000-13,000ユーロ程度とされています。

※授業料のほかに、年間約800-1,000ユーロの学生自治会費を支払う必要があります。
※博士課程は、教授言語に関係なく無料です。

生活費の目安

生活費(住居費、食費、交通費、保険などを含む)は、住む都市や個人的な生活習慣にもよりますが、月に約700-900ユーロです。

※学生用住居のシェアハウス(シングルルーム)の相場は、月額約160-380ユーロです。

学部留学生向けの公的奨学金の例

フィンランドでは政府等の公的機関による、学部生向けの奨学金はありません。各大学が個別に提供している奨学金等を検討する必要があります。

●ノルウェー

学部の授業料

公立大学の授業料は、学習・研究レベルや国籍に関係なく、すべての学生が無料です。ただし、学期ごとにsemester fee(試験料、学生福利厚生会員費を含む)として30-60ユーロが必要です。

※私立大学の場合、学士号プログラムは国籍に関係なく年間7,000-9,000ユーロとなります。

生活費の目安

ノルウェーはヨーロッパの中でも物価が高めな国の1つとして知られています。生活費は、月に約890ユーロ程度が必要とされています。

学部留学生向けの公的奨学金の例

ノルウェーでは基本的に大学の授業料が無料のため、政府等の公的機関による学部生向けの奨学金はありません。各大学が個別に提供している奨学金等があります。

【参考】 ◇日本ノルウェー協会(The Norway-Japan Society)研究助成金(Study Grant)

・対象:20歳以上のノルウェーに留学する日本人、または留学するノルウェー人
・期間:1年間
・支給内容:20万円
※2021年度の募集は行われませんでした。

●スウェーデン

学部の授業料

スウェーデンの大学はほとんどが公立ですが、EU/EEA圏内の学生か、それ以外からの学生かで授業料の金額が異なります。
EU/EEA地域およびスイスの学生は学士過程・修士課程の授業料が無料です。

日本を含むEU/EEA圏外からの学生の場合、大学や専攻分野によって異なりますが、一般的に年間7,500-25,500ユーロが必要です。

・社会科学、人文科学:年間7,500-10,300ユーロ
・工学、IT、および自然科学:年間11,250-13,600ユーロ
・建築、デザイン:年間17,800-25,300ユーロ

※出願料として別途、約90ユーロが必要です。また、学生組合へ加入する場合は、組合費として学期ごとに50-350スウェーデンクローナ(5-35ユーロ)が必要です。
※博士課程は、出身国に関係なくすべての留学生が無料です。

生活費の目安

スウェーデンの生活費はヨーロッパの平均を上回っているとされています。都市によっても異なりますが、月に700-1,200ユーロ程度が必要です。

・ヨーテボリ、ストックホルム:月額約1,250ユーロ
・リンシェーピング、ルンド:月額約850ユーロ
・ウプサラ:月額750-1,200ユーロ

学部留学生向けの公的奨学金の例

スウェーデンでは政府等の公的機関による、学部生向けの奨学金はありません。各大学が個別に提供している奨学金等を検討する必要があります。

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※この記事でご紹介している内容は2022年2月7日現在の情報に基づいています。

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