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国選びの候補に加えたい!ヨーロッパ留学のメリット5

海外の大学で世界に通用する英語を身につけたい、と考えている場合、留学の対象となる国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス…など英語圏の国を検討するのが一般的だと思いがちかもしれません。実は、「英語圏ではない」ヨーロッパ諸国も、日本からの留学先としてかなりの人気があることは、あまり知られていないのではないでしょうか?

日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、コロナ禍前の2019年度には日本からヨーロッパに24,000人余りが留学(*1)しています。イギリスへの留学者が6,700人ほどなので、単純計算でも17,300人程度がイギリス以外のヨーロッパに留学していることになります。留学先人気1位のアメリカへの留学生数が18,000人ほどであることを考えると、意外にもかなり多くの留学生がヨーロッパへの留学を果たしていることがおわかりいただけるでしょう。世界的に見ても、コロナ禍前には毎年100万人以上がヨーロッパに留学して学んでいたという実績があります。

では、なぜ日本から英語圏ではないヨーロッパに留学?そもそも、日本人でも留学できるの? そんな疑問を持つ方のために、今回はヨーロッパ留学の魅力やメリットをお伝えします。ここで紹介する5つのメリットが「大学選び」における優先順位の上位に来る方にとっては、ヨーロッパが留学先の有力な候補になるかもしれません。

*1)『2019(令和元)年度 日本人学生留学状況調査結果』(独立行政法人日本学生支援機構)より、「 B 協定等に基づく日本人学生留学状況及び C 協定等に基づかない日本人学生留学状況の合計」の数値

現在、昨年度に比べると各国で渡航制限が緩和されたり、休校が解除されたりしている傾向がありますが、渡航の状況や大学のオンライン授業の実施状況等は情勢により常に変化しています。各国の公的機関や各大学の公式ホームページ等で、必ず最新情報をキャッチするようにしてください。

国選びの候補に加えたい「ヨーロッパ留学」のメリット5

メリット1) 留学費用がリーズナブル!

ヨーロッパ、というと日本からの渡航費が高額なだけに、なんとなく留学費用も高そうなイメージがあるかもしれません。しかしながら、大学の学費が無料もしくは非常に安価な国がいくつもあります。

そもそもヨーロッパの国・大学は、EU圏内からの学生と非EU圏からの留学生では学費が異なることが多くなっています。そんな中で、たとえばノルウェー。国公立の大学であれば国民と同様、留学生も学費は無料となっています(学期ごとにsemester fee【試験料、学生福利厚生会員費を含む:300~600ノルウェークローネ[日本円でおよそ4,000~8,000円]】は必要)。

私立であっても、国から援助を受けている学校もあり、私立大学の学士号プログラムの年間の学費は平均すると日本円で90万~116万円程度と言われています。

生活費は月に約8,900ノルウェークローネ程度(日本円でおよそ12万円弱)と言われています。ヨーロッパの中では物価が高めとされていますが、それでも日本やアメリカなどと比べてもそこまで高額とは言えないでしょう。

また、ドイツも、公立大学は原則として学費が無料(*2)です。こちらも国籍は問われないため、日本人のようにEU圏外からの留学生であっても学費無料の恩恵を受けることができます(学期ごとに共済費が150~350ユーロ[日本円でおよそ19,300~45,000円程度]かかります)。平均的な生活費は都市によって異なるものの、ベルリン、フランクフルトなどの大都市であれば月に900 ~1,500 ユーロ程度、小さな都市になると月額750〜1,100ユーロ程度と言われています。学生寮を安価に提供している大学もあります。

非EU圏からの留学生に学費の支払いを求めている国・大学も、金額は日本の大学とそれほど変わらないことも多く、「留学」として考えれば格安ともいえるような場合も。物価が高めの国もあるため、学費だけでなく生活費も考慮に入れなければいけませんが、国・大学によっては日本からの留学生が活用できる奨学金制度が整備されていることもあります。留学の計画次第では、北米やオーストラリアなどより留学費用はぐっと抑えられる可能性があります。

*2)バーデン=ヴュルテンベルク州は学費が有料で学期ごとに1500ユーロ[日本円でおよそ20万円弱]の授業料が徴収されます。

注)
各国の学費や奨学金制度など、費用に関する部分は、次回の記事で詳しくご説明します!

メリット2) 英語で学べる大学が多数!

ヨーロッパの国々はたしかに「英語圏」ではありませんが、英語圏からの留学生も多く、大学には英語で行われる授業も比較的たくさんあります。もちろん現地の言語で講義が行われることのほうが多いですが、大学によっては、英語によるプログラムを提供するコースが用意されている場合もあります。出願の際も、英語スコアの提出でOKなことも多くあります。

また、街の中などで一般の方に意外と英語が通じる国が多いのも、ヨーロッパの特徴と言えます。
たとえばスウェーデンは公用語がスウェーデン語ですが、第二言語は英語と言われています。英語教育に力を入れており、一般的に7~9歳から英語の学習が始まり、4技能をバランスよく学んでいける環境が整えられています。もちろんスウェーデンの中でも地域によって差はありますが、首都ストックホルムであればほぼ英語でコミュニケーションができると言ってよいでしょう。オランダなども、かなりの人が当たり前のように英語が話せると言われています。

非英語圏ながらも英語が通じる国は、スウェーデンだけではありません。EF(エデュケーションファースト)による、英語を母国語としない国と地域(112の国・地域)のみを対象とした世界最大の英語能力指数「EF EPI」2021年版では1位がオランダ、2位がオーストリア、3位がデンマークとなっています。英語能力が「非常に高い」と評価されるスコアを獲得した13位までの国には、ほかにノルウェー、ベルギー、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド、クロアチア、ドイツ、ルクセンブルクと全部で11か国がランクされているのです(なお、日本は能力レベルが「低い」に分類される78位)。

さらに、授業以外の場面や、キャンパスの外に出れば、英語以外の言語に触れられるのは英語圏にはない良さとも言えます。英語に加えてもう1言語、日常会話程度であればできるようになる、なんてことも夢ではない豊かな言語生活が送れます。まずは大学についてよく調べて、自分がやりたいこと、学びたい内容に合うコースを見つけられれば、留学先として検討してみるのもありかもしれません。

メリット3) 教育水準が高い!

ヨーロッパ諸国は総じて教育水準が高く、世界でもトップクラスとされる大学がいくつもあります。
その理由の1つが、EUが推し進める教育制度「ボローニャ・プロセス」。ヨーロッパ全域で高等教育の質を均一に高めるために取り組む一連の改革のことを指しています。

EU加盟国をはじめとする参加48か国で欧州高等教育圏を形成し、大学等さまざまな機関の間での学位・学歴を同等の水準として保証し、また留学や交流の促進を目的としています。簡単に言えば、EU内では国が違っても高等教育機関における学位認定の質と水準が同じレベルになるように整備している、というわけです。

現在、ヨーロッパ諸国は比較可能な3段階の学位付与制度(学士号、修士号、博士号)を進めています。また、学生の相互移動を促進するために、EU圏の大学には単位互換制度「欧州単位互換制度(ETCS)」(European Credit Transfer System)が整備されています。これは、国を超えて単位を互換できるようにするために設けられた統一的な単位制度で、各単位数は、科目修得に必要な学習量に応じて決められています。

こうした取り組みもあって、ヨーロッパ諸国の大学の教育・研究レベルは高く保たれており、Times Higher Educationの「THE世界大学ランキング」などのランキング上位校も多数存在しています。EU圏からはもちろん、世界各国からも多くの優秀な学生がヨーロッパの大学に集まっています。アカデミックな環境で仲間と切磋琢磨しながら成長したいという人にもマッチするのではないでしょうか。

メリット4) 豊かな文化と歴史にあふれる国々、休日のおでかけや旅行が豊かに

ヨーロッパの国々にはそれぞれに特徴があり、多種多様な文化があります。歴史を感じさせる美しい建築物や街並み、世界的な芸術作品を集めた美術館や博物館、センスあふれる素敵なお店、様々なグルメ、豊かな自然…。歴史的・文化的・経済的に非常に素晴らしい個性を持った都市がたくさんあります。憧れの国、お気に入りの街での留学生活は、学問だけでなく、多様な体験が期待できるでしょう。

さらに嬉しいのは、ヨーロッパではそんな素晴らしい国々を自由に行き来できること。
EUのシェンゲン協定に加盟している26か国の間では、ビザや入国審査なしに移動することができます。それほど国土が広くない国が隣り合い、地続きで存在しているヨーロッパは、鉄道や高速バス、格安航空会社などがたくさんあり、各国を非常に安価に、かつシームレスに結んでいます。長期休みではなくても、その気になれば週末のたびにヨーロッパ中の人気観光スポットに気軽に旅行することが可能です。

メリット5) 卒業後にヨーロッパで働くこともできる

EUには革新的な取り組みや環境が整った国が数多くあります。ノルウェー・スウェーデン・フィンランドなどは世界有数の環境先進国・IT先進国として知られていますし、国連の「世界幸福度ランキング」2021年版で1位のフィンランド、2位のデンマーク以下、10位までに9か国が入るなど社会福祉や男女平等などが進んだ社会制度も整えられています。

そうした環境の中にあって、ヨーロッパ諸国には国際的なビジネスの拠点がいくつも置かれています。ノルウェーの石油・天然ガスや水産業、オランダの農業、スウェーデンの林業、ドイツの自動車をはじめとする製造業など、各国で風土や土地柄と生かした産業も発展しており、それらは大学の専攻と深く紐づいていることも多々あります。

大学で学んだことを生かして、その土地でそのまま働きたいと思った場合は、卒業後、多くの国でそのまま就労できる制度があることも魅力の1つ。たとえばEUには、2021年から施行された「EUブルーカード」という制度があります。高度な技術・専門的な知識(資格)を有する外国人に対して、EU圏内で就労・居住できるビザが発給されます。

対象となるのは「科学者」「数学者」「エンジニア」「医師」といった理工系の技術者のみになりますが、大学で学位を取り、対象の職業に就く場合はほぼ確実に取得することができます。期限は4年間なので、EUブルーカードを取得して4年以内に無期限ビザへの切り替えを行えば長期間働くことも可能です。

大学で学んだのが理工系の専門分野ではない場合も、学生ビザで在留した期間と同じ期間分だけ、就労ビザが発給されるような国もあります。その国の言語もある程度習得していれば、日系企業の現地法人などで重宝されることも。

また、大学在学中も留学生が勉強しながらパートタイムで働ける国もあります。多様な文化の中で働いた貴重な経験は、将来の可能性をいろいろと模索するのに役立つでしょう。

ヨーロッパの大学についてもっと知りたいときはこちらもチェック!

EUの行政機構である欧州委員会(European Commission)は、専用のサイトでヨーロッパの教育に関する情報を発信しています。

【参考ページ】Study in Europe|European Education Area

ヨーロッパ各国の学位プログラムや奨学金、生活費や住居など、ヨーロッパ33か国の高等教育機関への留学を計画する際に必要となる様々な情報が掲載されています。

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※この記事でご紹介している内容は2022年2月4日現在の情報に基づいています。

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