アメリカ版センター試験・SAT®の基礎知識
アメリカの多くの大学では、出願の際に「SAT®」のスコア提出が必須で求められます。このSAT®、日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカで最も広く採用されている標準学力テストの1つで、主催している非営利法人「College Board®」によると2020年度には「175の国と地域で220万人以上の学生が受検した」とされています。留学生だけに義務付けられるTOEFL®テストなどの英語テストとは違い、アメリカの大学への進学を希望するすべての者を対象とした共通試験であるため、アメリカ国内の高校生も多くが受検しています。今回は、改めてSAT®がどのような試験なのか、またどのような特徴があるのかをまとめます。
【参考ページ】:College Board® 公式サイト
※SAT®公式サイトの情報はすべて英語で記述されています。
SAT®とはどんな試験?
SAT®(エス・エー・ティー)は、アメリカの非営利法人「College Board®」が主催する、アメリカの大学進学希望者を対象とした標準学力テストです。もともと、地域や学校間で差の大きかったアメリカ国内の生徒の学力を一定の基準のもとで評価する目的で導入されたもので、1926年からScholastic Aptitude Testとして開始され、何度か大幅な改定が行われてきました。現在、アメリカの多くの大学で合否を判断するための要素の1つとして広く使われています。
基本的に、アメリカの大学・学部ごとに出願の基準となるSAT®スコアが定められていることが多く、その基準スコアをクリアしていれば複数の大学への出願が可能です。ただし、実際の合否は高校の成績やエッセイ、推薦状など複数の要素を総合的に判断して決定されるため、「SAT®が何点以上あれば合格」というような明確な線引きはありません。
※2020年まで行われてきた科目別の「SAT Subject Tests™」と、オプションのエッセー試験「SAT® Essay」は、2021年6月をもって廃止されました。
SAT®の受検方法
SAT®は日本でも受験が可能です。日本でSAT®を個人受検する場合は、College Board®の公式サイトからオンラインでの申し込みとなります。
あらかじめ受検日、受験会場を決め、決められた要件を満たす写真(アップロードできるデータ)とクレジットカード(*1)を用意してからオンライン登録を行います。(登録プロセスには約30分かかります)
*1) 受検料は、オンラインでクレジットカードにて支払います。
【参考ページ】:Online SAT® Registration|College Board®
<今後の日本(アメリカ国外)での試験日程>
例年、SAT®は年に5、6回実施されています。年に複数回の受験が可能です。
■2021-2022年の試験日程
試験日 | 申込み締切日 | 登録の変更期限 |
---|---|---|
2021年8月28日 | 2021年7月30日 | 2021年8月17日 |
2021年10月2日 | 2021年9月3日 | 2021年9月21日 |
2021年12月4日 | 2021年11月4日 | 2021年11月23日 |
2022年3月12日 | 2022年2月11日 | 2022年3月1日 |
2022年5月7日 | 2022年4月8日 | 2022年4月26日 |
※「アメリカ東部標準時午後11時59分」(Deadlines expire at midnight, EST (U.S.A.))が申し込み締切日時となります。
2022-2023年の日程についてはアメリカ国内での予定日のみが公開されています。
[参考]アメリカ国内でのSAT®試験予定日(2022-2023)
- ・2022年8月27日
- ・2022年10月1日
- ・2022年11月5日
- ・2022年12月3日
- ・2023年3月11日
- ・2023年5月6日
- ・2023年6月3日
【参考ページ】:International SAT® Dates and Deadlines
<日本で受検する場合の受検料>
項目 | 料金 |
---|---|
SAT®登録料 | 55ドル |
地域料金(日本の場合) | 53ドル |
合計 | 108ドル |
追加の手数料としては、例えば下記のような料金がかかります。
項目 | 料金 | (項目詳細) |
---|---|---|
登録を変更する | 25ドル | テストセンターまたはテスト日付を変更する場合 |
登録をキャンセルする | 25ドル | 変更期限までに登録をキャンセルする場合 |
遅れて登録をキャンセルする | 35ドル | 変更期限を過ぎた後から試験日までの間にキャンセルをする場合 |
追加のスコアレポート | 1レポートあたり12ドル | テスト日から9日後までに注文すると、最初の4つのスコアレポートは無料。追加のレポートまたはそれ以降に注文されたレポートには左記の追加料金が発生する |
<テスト会場>
日本国内にあるインターナショナルスクールがテスト実施会場となります。会場数は10~30程度となっています。下記のサイトから会場の検索が可能です。
【参考ページ】:SAT® Test Center Search
SAT®の試験内容
SAT®は「Reading(読解)」「Writing and Language(記述と言語)」「Math(数学)」の3つのテストで構成されています。
回答方式はほとんどがマークシート(多肢選択式)ですが、数学には一部、記述形式の問題があります。
科目 | 試験時間 | 問題(課題)の数 | 配点 |
---|---|---|---|
Reading | 65分 | 52 | 800点(*2) |
Writing and Language | 35分 | 44 | – |
Math | 80分 | 58 | 800点 |
Total(合計) | 180分 | 154 | 1600点 |
*2) Reading と Writing and Language の得点は2つの科目合計で800点
◆Reading Test
Reading(読解)テストは、5つのパッセージと、各パッセージに関する多肢選択式の問題で構成されています。
5つのパッセージは、独立した4つのパッセージと、ペアになる1つのパッセージとなります。それぞれのパッセージは500〜750語です。文学作品やアメリカ建国にまつわる文書、経済学、心理学、社会学、地球科学、生物学、化学、または物理学など、内容は多岐にわたります。
◆Writing and Language Test
Writing and Language(記述と言語)テストは、文章を読み、間違いや弱点を見つけて修正する多肢選択式のテストです。テストには4つのパッセージがあり、それぞれ400〜450語です。内容はキャリア、科学、人文科学、歴史と社会の研究など、さまざまなトピックに関するものとなります。
◆Math Test
Math(数学)テストの問題は4つのカテゴリーに分かれています。
カテゴリー | カテゴリー概要 | 問題数 |
---|---|---|
Heart of Algebra (代数) |
線形方程式、線形方程式のシステム、および関数に焦点を当てた問題 | 19 |
Problem Solving and Data Analysis (問題解決とデータ分析) |
科学、社会科学、その他の状況を含む現実の状況で問題を解決するために、比率、パーセンテージ、および比例推論を使用する問題と、グラフィカルに表示される関係の説明と統計データの分析が含まれる | 17 |
Passport to Advanced Math (高度な数学へのパスポート) |
科学や経済学などの分野でさらに研究を進めるために必要な数学と、STEM分野の科学、技術、工学、数学でのキャリアの機会に焦点を当てた問題 | 16 |
Additional Topics in Math (数学に関する追加トピック) |
大学やキャリアの準備に最も関連する幾何学や三角法、ラジアン測度、複素数などの問題が含まれる | 6 |
※Math(数学)のテストには、電卓の使用が許可されている問題と、許可されていない問題があります。
試験時間 | 問題の総数 | 選択問題の数 | 記述問題 (Grid-in)の数 | |
---|---|---|---|---|
電卓が使用できない問題 | 25分 | 20 | 15 | 5 |
電卓の使用が許可されている問題 | 55分 | 38 | 30 | 8 |
【注意】
*現在、新型コロナウイルスに伴うテスト実施への影響はとくに発表されていません。ただし今後の感染状況の変化により、日程や実施方法などが予期せぬ変更が発生する可能性もあります。最新情報については、必ずCollege Board®による公式ホームページ等で確認してください。
*2020-2021年度では、アメリカの多くの大学でSAT®スコアの提出が任意もしくは不要にする対応が行われました。2022年以降も、大学によっては同様の対応を行う場合もあります。出願書類や選考方法については、各大学の公式ホームページ等で確認してください。
なお、アメリカの大学入試は「加点式」となっています。SAT®のスコアが高い場合は加点評価となり、合否判定で有利になることもあります。アメリカの大学への進学を希望している方で、SAT®を受検すべきか迷っている場合は、ぜひベネッセグローバルラーニングセンターにご相談ください。
【参考ページ(過去記事】:多くのアメリカの大学で、2021年度入試でSAT®/ACT提出が「オプション」に!
【参考ページ(過去記事】:【’21/4/9更新】アメリカの大学入試に必須のSAT®/ACTの成績は、コロナ禍でどう反映される?
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※この記事でご紹介している内容は2022年1月21日現在の情報に基づいています。