手頃な学費や柔軟な進学ルートがメリット!アメリカ・コミュニティカレッジの基礎知識
海外進学・留学の魅力の1つが、「多様な進学ルートがある」という点。中でも、アメリカの2年制大学・コミュニティカレッジは、アメリカの高等教育における柔軟性を象徴するような存在です。2年制大学というと日本の短大のようなもの?と思いがちですが、似ているようで制度や特徴はかなり異なります。なにより、コミュニティカレッジは「すべての人に門戸を開く」という狙いで設立されているため、「留学できないかも」を「それならできそう」に変えてくれるさまざまな仕組みがあるのです。ここでご紹介する学び方や進学方法が、もし「自分に合っている」と感じたら、進路の選択肢の1つに加えてみてもいいのではないでしょうか?
アメリカのコミュニティカレッジとは?
コミュニティカレッジ(Community College)とは、公立の2年制大学のこと。
アメリカにある約4,700校の大学は、大きく4年制大学と2年制大学に分かれており、約3割が2年制大学となっています。2年制の大学のうち、主に州立で運営されている地域密着型の学校がコミュニティカレッジと呼ばれています。(私立の2年制大学はジュニアカレッジ(Junior College)と呼ばれます。)数千人程度の規模から、何万人もの学生を抱える大規模校まで様々で、都市部を中心にアメリカ全土に点在しています。
もともと、その地域(=コミュニティ)に暮らす人々に平等に学ぶ機会を提供することを目的として設立されたもので、主に4年制大学への編入を前提とした「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」と、広い分野にわたる技術・職業訓練を目的とした「職業訓練コース」に分かれています。
基本的に、希望すれば誰もが大学教育や職業訓練を受けることができるよう、学費はできるだけ安価に、入学ハードルは低めに設定されているのが特徴です。そのため多様なバックグラウンドを持つ学生が在籍しており、年齢層も幅広く、働きながら学んでいる人も珍しくありません。
【過去記事】:多様な海外進学進学ルート、どれが自分に合っている?ーアメリカ型編ー
コミュニティカレッジの3つのメリット
メリット1 「学費がお手頃」
近年、欧米の4年制大学の学費は上昇を続けている傾向があります。アメリカの大学の場合、年間の学費の平均額は以下の通りです(*1)。
*1)文部科学省「諸外国の教育統計 令和3(2021)年版」より。データは2017年のもの。授業料+実験費、演習費等の全学年の平均額。
<4年制大学の学費の全国平均額>
●州立大学:9,036ドル(*2)
●私立大学:30,723ドル
これに対し、2年制大学の学費は以下の通り。
<2年制大学の学費の全国平均額>
●州立大学(コミュニティカレッジ):3,242ドル(*2)
●私立大学(ジュニアカレッジ):14,894ドル
*2)州立大学は州内学生の平均額。州内学生と州外学生とでは納付額が異なり、州外学生は上掲額より高くなる。
コミュニティカレッジは、その地域の誰もが教育を受けられるように設立された学校なので、各州の税金で運営されています。州によって学費は異なり、留学生を含む州外からの学生はじゃっかん割高になりますが、それでも州立の4年制大学の1/2~1/3程度とリーズナブルです。
メリット2 「高校の成績や英語力が問われず、入学しやすい」
「すべての人に門戸を開く」ことが原則であるため、基本的にその地域に住む人であれば誰でも入学することが可能。留学生の場合であっても、コミュニティカレッジへの入学基準(英語力や高校の成績など)は、一般的に4年制大学と比べて低めに設定されています。
アメリカの4年制大学の多くは、入学の際にTOEFL®テストやIELTSといったアカデミックな英語試験のスコアが基準以上であることが求められます。高校での成績に基準が設けられていることもあります。また、英文でのエッセイがほぼ必須ですし、SAT®やACTなどの英語での学力試験のスコアが必要な場合もあります。もちろん、大学のレベルが上がるほど、それぞれのハードルも高くなっていきます。
その点、コミュニティカレッジであれば、英語力はやや低めでも入学OKなことがほとんど。TOEFL®テストのスコアを要求しない学校や、TOEFL®テストの点数が足りなくても付属の語学コースで英語研修をすることを条件に「条件付き入学」が認められている学校もあります。
メリット3 「頑張りによっては4年制名門大学に編入できる」
アメリカの大学は「単位制」となっており、全米で統一された単位互換制度があるため、大学への編入がごく当たり前に行われています。
コミュニティカレッジの「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」の既定の単位をすべて取得すると、コース終了となり、準学士号が取得できます。その単位をもとに、原則として4年制大学の3年次に編入することが可能となっています。
最終的に4年制大学で学位を取りたいと思っていても、出願の時点で英語力や学力が4年制大学の入学基準をクリアできていないという場合、まずはコミュニティカレッジで2年間学んでから4年制大学に編入するというルートは留学生に限らず、現地の学生の間でも一般的です。
もちろん、初めは4年制大学に行く気がなかった場合でも、大学で学びたいことが途中で定まったり、より深く学びたいことが出てきたり、就職をより有利にしたくなったなどのときは、編入の仕組みを利用して4年制大学を目指すことができます。編入には各大学によって定められた一定の基準をクリアする必要があり、ある程度狭き門ではありますが、コミュニティカレッジで良い成績を修めれば名門大学への入学も夢ではありません。
コミュニティカレッジを選ぶときの注意ポイント
●カリキュラムがしっかりしていること
コミュニティカレッジには、大きく分けて「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」と「職業訓練コース」の2つのコースがあります。いずれのコースを選ぶにしても、まずは希望するカリキュラムがしっかり整えられているかどうかを確認しましょう。
もし4年制大学への編入を目指している場合は、「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」に、大学レベルの教養科目がまんべんなく用意されているかは見ておきたいものです。
●「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」から編入できる大学をチェック
コースを修了した学生の4年制大学への編入率や、編入先の大学実績も可能であればぜひチェックしてみてください。実際に編入できる大学は、コミュニティカレッジの成績やその時点の英語力によって決まってきます。同じ州内の大学間の編入であれば単位互換の手続きもスムーズです(他の州の大学であっても編入できます)。希望の大学があるのであれば、そのエリア内のコミュニティカレッジを選ぶと有利に編入できる場合もありますので、あらかじめ調べておくことをおすすめします。
※カリフォルニア州とワシントン州は4年制大学への編入制度が整っており、有名な公立大学もあるため、4年制大学編入を目指す留学生には人気があると言われています。
●在籍している学生の構成のバランスがよいこと
コミュニティカレッジでは多様な人々を受け入れているため、学校によって在籍している学生の構成は様々です。人種的にマイノリティな学生も多く学んでいます。地域によっては特定の人種に特化していることもあり、馴染むのに時間がかかる場合もあるため、できるだけバラエティにとんだ人種の学生が集まる学校を選んだ方がよいかもしれません。
また、社会人として働きながら学ぶ学生が多いのもコミュニティカレッジの特徴でもあるので、平均年齢は高い傾向があります。同年代の学生が多い学校が良いと思うのであれば、そういった点もチェックしておきましょう。
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※この記事でご紹介している内容は2022年1月14日現在の情報に基づいています。