海外大学進学情報

「英語で」学ぶ国際・グローバル系大学の2024年度入試制度④ 国際教養大学(AIU)

来春からの進路について、「英語力を磨きたい」「世界で活躍するために必要な分野をしっかり学びたい」…そんな思いを抱いているのならば、海外留学だけでなく、国内のグローバル系大学も十分に選択肢の1つとなりえます。
近年、日本では大学教育改革を背景に、次々とグローバルな人材育成を目指す国際系の学部が新設され、志願者数も増加傾向にあります。国際系、グローバル系の大学・学部は、欧米の大学に近い国際的な環境や「英語で」学ぶ授業、リベラルアーツ教育の実践、留学制度の必修化など、大学によってそれぞれの個性を強く打ち出しているのが特徴です。

国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、「英語で学べる」ことに実績・定評がある大学・学部の最新入試情報をシリーズでお届けしています。2023年(2024年度入試)の第4弾は、国際教養大学(AIU)を取り上げます。

【参考ページ】公立大学法人国際教養大学

「英語で」学べる学部_2022年度最新情報2_国際教養大学(AIU)

(1)どんな学びができる?

AIUとはどんな大学?

国際教養大学(AIU)は、2004年に秋田市で開学した公立大学。「国際教養教育」を教学理念に掲げ、グローバル社会におけるリーダーとなる人材を育成することを使命としています。

同大学が開学時から展開している「国際教養教育」という独自のリベラルアーツ教育は、グローバル化時代の新たな教育ブランドとして創始されたもの。教育プログラムや諸活動にグローバルな視野を組込んでいるのが大きな特徴で、世界の広範な事象に関する幅広い知識と深い理解、物事の本質を見抜く洞察力や思考力、これらの上に築かれたグローバルな視野とともに、英語をはじめとする外国語の卓越したコミュニケーション能力を涵養します。

AIUでは「グローバルリーダー」を「知力と人格に優れ、責任感と情熱を持って世界の舞台で行動できる人間」と定義しており、このミッションを達成するために2021年より「応用国際教養教育(AILA: Applied International Liberal Arts)」という新しい教育手法を導入しています。AILAとは「統合知」(多様な「知識の引き出し」を自在に駆使し、それらを互いに関連・応用させ、最適解を探る力)と「人間力」(統合知を実社会で生かすために、異なった視点や立場を持った人々の心に響くような情報の発信能力と信頼や賛同を得られるような人格)が相互に作用しながらグローバルリーダーとしての素養を高めていく「しくみ」のことです。

学部は1学部・学科(国際教養学部 国際教養学科)のみ。グローバル・ビジネス領域/グローバル・スタディズ領域/グローバル・コネクティビティ領域という3つの専門領域が設置され、より高度な国際・学際教育を通じた課題発見・解決力を醸成できるようになっています。AILAにより「統合知」と「人間力」の2点を強化することで、これまでの「国際教養教育」を一歩先に進めたカリキュラムを実践しています。
また、統合知と人間力を結びつける取り組みとして、人と深く関わりながら国際教養教育で身につけた能力を発揮する訓練を積むため、実践的なプロジェクトがいくつも展開されています。。

AIUの主な特色(概要)

世界で活躍できるタフで幅広い視野を持った人材を育むため、世界を見据えたグローバルな教育方針をとっているAIU。大きく分けると5つの特長があります。

特色1) すべて英語の少人数授業

AIUの際立った特長の1つが「すべての授業を英語で開講している」こと。ただし、AIUは「英語を学ぶ大学」ではなく、「英語で学び、英語で考える大学」を掲げています。英語で考え、意見を主張できる能力を鍛えます。
開学以来、一貫して少人数教育を徹底しており、1クラスあたりの受講者数は平均16名(2022年秋学期のデータ)、学生数と専任教員数の比は14:1です(2022年9月1日時点)。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨いていくことを目的としています。また、学生一人ひとりに専任教員がアドバイザーとして様々な支援を行うアカデミック・アドバイジング・システムなど、学生へのきめ細かいサポート体制も整っています。。

特色2) 1年間の海外留学が義務

全学生に1年間の海外留学が義務付けられています(*1)。全員が世界51か国・地域の203校の提携大学(2023年4月1日時点)との交換留学のため、留学先大学の授業料は相互免除(一部の大学を除く)(*2)。1つの大学に1人~3人程度の少人数での派遣となります。単なる語学の修得ではなく、留学先の大学で専門課程を学んで単位を修得することを目的としており、留学先で履修した科目も卒業に必要な単位として認定されるので、留学期間を含めても4年間で卒業することが可能です。

特色3) 多文化共生のキャンパスライフ

AIUでは、世界中の203に及ぶ提携大学などからの留学生が年間200人以上学んでいます(2023年4月時点)。学生の4人に1人が留学生、専任教員の外国人比率は56.1%と、キャンパスはまさに多文化共生空間。新入生は全員、入学から1年間を大学の敷地内にある学生寮で過ごすことが義務となっていますが、その後も外国人学生も含めた全学生の88%(平常時)がキャンパス内に居住しており、キャンパスは貴重な国際交流の場です。授業はもちろん、寮や学生宿舎での生活やクラブ活動などを通して、国際的な環境での共同生活の中で異文化に触れ、グローバルな社会性やコミュニケーション能力を養うことができます。

特色4) 多彩な可能性を広げる進路選択支援

仕事や職業に対する深い理解を通して、「自分はこれからどうやって生きていくのか」を考え、向き合える力を育むことをキャリア教育の核とし、必修科目「キャリア・デザイン」のほか、キャリア・カウンセリング、インターンシップなど多彩なキャリア教育が提供されています。2021年度就職決定率は、100%という高い実績を誇ります。
国内外の大学院への進学や高度専門職を目指す学生には、アカデミック・キャリア支援センター(ACSC)が多岐に渡るサポートを行っています。

特色5) 多様な人材を発掘する入試制度

一定の基礎学力に加え、多彩な能力および資質を備えた学生を選抜するため、16種類もの入試制度が用意されています。入学前のボランティア活動などを評価する「ギャップイヤー入試」や、問題解決型合宿での活動を評価する「グローバル・ワークショップ入試」など独自の制度を入試に取り入れることにより、情熱と可能性を秘めた多様な人材をきめ細かく発掘しています。他の国公立大学とは異なる入試日程を組むことで、受験機会が多く設定されており、受験可能回数は最大6回。他の国公立大学との併願も可能です。

*1) 一定の英語力・成績要件をクリアしてから留学するため、時期は学生によって異なり、多くは2年次の冬から3年次の秋にかけて出発しています。なお、学生の成績や提携大学の事情などにより、希望する大学に留学できない場合もあります。

*2) 留学中の授業料は、AIUに授業料を納めることで免除されます。(住居費、食費、渡航費、保険料、危機管理サービス料等は学生負担)

(2)2024年度の入試情報

2024年度入試制度の特徴・内容

AIUの入学時期は、4月と9月の年2回です。一定の基礎学力の上に、多彩な能力及び資質を備えた学生を選抜するため、多様な入学試験が実施されています。
入学時に志望する課程を決める必要はなく、入学定員175名は学部一括での募集となります(編入学・転入学者を除く)。

【参考ページ】入試情報|公立大学法人 国際教養大学

◆特別選抜試験(2024年4月入学)<大学入学共通テストを利用しない試験>

種類 定員 併願/専願 英語資格 個別学力検査
グローバル・セミナー入試 15名 併願 不要 ●面接(日本語・英語)
グローバル・ワークショップ入試 5名 専願 不要 ●面接(日本語・英語)
総合選抜型入試Ⅰ 10名 専願 要(*3) ●面接(日本語・英語)
●筆記試験(英語小論文)
学校推薦型入試 35名 専願 要(*3) ●面接(日本語・英語)
●筆記試験(英語小論文)
社会人入試 若干名 専願 要(*3) ●面接(日本語・英語)
●筆記試験(英語小論文)
外国人留学生入試Ⅰ 若干名 併願 要(*3) ●書類選考

※試験会場は、すべて国際教養大学キャンパス〔秋田市〕(外国人留学生入試Ⅰを除く)

◆一般選抜試験(2024年4月入学)<大学入学共通テストを利用する試験【WEB出願】>

種類 定員 併願/専願 英語資格 大学入学共通テスト 個別学力検査
A日程 55名 併願 不要(*4) 5教科 ●筆記試験(国語・英語)
B日程 40名 併願 不要(*4) 3教科 ●筆記試験(国語・英語)
C日程 5名 併願 不要(*4) 1教科 ●筆記試験(英語小論文)

※試験会場は秋田・札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡

◆特別選抜試験(2024年9月入学)<大学入学共通テストを利用しない試験>

種類 定員 併願/専願 英語資格 個別学力検査
総合選抜型入試Ⅱ 5名 専願 要(*3) ●面接(日本語・英語)
●筆記試験(英語小論文)
ギャップイヤー入試 5名 専願 不要 ●面接(日本語・英語)
●筆記試験(英語小論文)
外国人留学生入試Ⅱ 若干名 併願 要(*3) ●書類選考

※試験会場は秋田(外国人留学生入試Ⅱを除く)

*3 ) 詳細については、AIUの「入学者選抜要項」および各試験の「学生募集要項」を必ず確認してください。

*4 ) 英語資格保持者には特例措置が設けられています。一般選抜試験において、次のいずれかの英語を保持する者については、受験した大学入学共通テストの英語科目を満点と換算し、合否判定が行われます。(TOEFL iBT® テスト 72点以上、TOEIC® Listening & Reading TestとTOEIC® Speaking & Writing Testsの合計1200点以上、英検準1級以上、英検CBT準1級以上、英検S-CBT(1 day) 準1級以上、英検S-Interview(2 day) 準1級以上、IELTS™バンド6.5以上、GTEC CBT 1200以上、GTEC Advanced 1200以上、TEAP 360以上、TEAP (CBT) 760以上、ケンブリッジ英語検定B2 FirstおよびB2 First for Schools 176点以上)

◆編入学学生選抜試験

種類 定員 英語の出願要件 選考方法
春季編入学学生選抜試験 【2 年次】 7 名
【3 年次】 1 名
【2 年次】
TOEFL iBT®テスト 71 点以上または IELTS™ バンド 6.5 以上
【3 年次】
TOEFL iBT®テスト 79 点以上または IELTS™ バンド 6.5 以上
・書類審査
・英語小論文試験
・面接
秋季編入学学生選抜試験 【2 年次】 1 名
【3 年次】 1 名

※2024年9月入学の秋季編入学学生選抜試験の募集要項は未公表のため、参考として2023年9月入学の募集要項の情報を掲載

なお、2025年度大学入学者選抜に関しては下記の通り変更が予告されています。
【参考ページ】【予告】2025(令和7)年度大学入学者選抜における変更について|国際教養大学


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※この記事でご紹介している内容は2023年9月28日現在の情報に基づいています。

※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。

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