海外大研究シリーズ イギリス編④ ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)<コロナ禍の最新情報もチェック>
終息への兆しが見えつつあるものの、新型コロナウイルスに関する動向はいまだ世界各地で予断を許さない状態が続いています。気軽に海外の大学を直接訪問し、自分の目でじっくり見てくるということは、まだまだ難しい状況です。この海外大学研究シリーズでは、海外大進学に興味がある方に向けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントと、コロナ禍の最新トピックスをまとめた情報をお届けしています。
イギリス編4回目はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)を取り上げます。UCLはイギリスの首都・ロンドンに初めて設立された大学であり、ICLなど複数の大学(カレッジ)によって構成されるロンドン大学群の中でも最も歴史のある大学となっています。世界大学ランキングでは最上位圏の常連校で、幅広い分野で非常に高い評価を受けているイギリスを代表する研究志向の総合大学です。ロンドンにある高等教育機関の中では最大規模を誇る、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの魅力をご紹介します。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London:UCL)の基本データ
設立年 | 1826年 |
---|---|
所在地 | ロンドン |
学部数 | 11学部 |
学生数 | 学部生 約20,000人 大学院生 約24,000人 ※うち留学生が約23,000人(2019-2020年) |
大学ランキング(*1) | THE:18位 QS:8位 |
主な分野別ランキング(*2) | Arts & humanities:5位 Law:6位 Psychology:6位 Clinical & health:8位 Social sciences:13位 Education:15位 Business & economics:20位 |
授業料と財政援助 |
●授業料…イギリス国内の学生と留学生では設定が異なる。また学部・専攻によって金額は異なる ●奨学金…学部生向けに様々な奨学金が用意されており、日本人が利用できるものもある |
合格率 | 約63% |
留学生率 | 約53% (2019/20年) |
立地環境 | ロンドンの中心地区であるブルームズベリーにキャンパスを構える。周囲には美術館や図書館、学術団体、専門機関、劇場、病院、医療機関などの豊富な学術リソースがある。大英博物館やロイヤル・オペラ・ハウスなども徒歩圏内。飲食店や娯楽施設、その他のショップも多数あり、大都市・ロンドンでの生活を満喫できる |
著名な卒業生 | マハトマ・ガンディー氏(宗教家)、フランシス・クリック氏(科学者)、アレクサンダー・グラハム・ベル氏(発明家)、クリストファー・ノーラン氏(映画監督) など |
公式URL | https://www.ucl.ac.uk/ |
*1) THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2022」
QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2022」
*2) Times Higher Education「World University Rankings 2022 by subject」より
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの特徴
校風
モットーはラテン語で「Cuncti adsint meritaeque expectent praemia palmae」(英語:Let all come who by merit deserve the most reward.)。哲学者ジェレミ・ベンサムの「すべての人に開かれた大学を」という理念のもと、1826年に創設されました。18のカレッジ・研究機関が所属するロンドン大学連合の旗艦校として設立されたUCLですが、現在では独立した学位を授与しています(ロンドン大学を構成する他の教育・研究機関も同様)。
イギリスの研究型上位大学連合であるラッセルグループ、ヨーロッパ研究大学連盟 (LERU) に加盟しており、イギリスのエリート大学群「ゴールデン・トライアングル」の1校でもあります。放射能のパイオニアであるドイツの化学・物理学者のオットー・ハーンなど、これまでに34人のノーベル賞受賞者を輩出。自然科学者のチャールズ・ダーウィンが「種の起源」を発表した大学としても有名です。
建学から一貫して自由主義・平等主義を貫いていることで知られ、イギリスで初めて平等な基準によって女性を受け入れ、宗教・政治的思想・人種による入学差別を撤廃した大学でもあります。日本からも幕末から明治維新にかけて多くの人材が留学して学び、日本の近代化に大きな影響を与えました。
現在も学生の約半数が留学生で、キャンパスは自由で多様性に富み、活気にあふれています。大学構内は一般市民に対してもオープンにされているため、キャンパス内のパブや劇場には多くの市民が訪れます。
人気のある専攻
「芸術・人文科学」「バートレット建築環境」「脳科学」「工学」「教育研究所」「法学」「生命化学」「数理・物理科学」「医学」「公衆衛生科学」「社会歴史科学」の11の学部があり、分野を超えて学際的なアプローチが展開されています。440の学部プログラムが提供されていて、とくに人文科学系や生命科学系の分野が有名ではあるものの、ほぼすべての分野で世界的な評価を獲得しており、あまり偏りがないのが特徴です。
また、化学、地理学、英文学、フランス語など、UCLがイギリスで初めて大学での教育を始めた分野が多数あり、国内の大学教育の学問領域を広げ、発展させる原動力となったことでも知られています。
授業の特徴
1年目から専攻に関する専門的な科目を学びます。レクチャーは50~100人規模で行われますが、10人程度で行うセミナーもあります。また、2週間に1回程度、授業の理解度を確認するチュートリアルも実施されています。
従来の講義やセミナー以外にも、さまざまな教授法を採用しており、将来のキャリアに向けて知識を応用し、スキルを磨く機会も提供されています。コネクテッドカリキュラムと呼ばれる独自のフレームワークを通じて、研究者や他の学生とつながり、独自の研究活動を行い、独自の成果を生み出すことができます。
施設・設備の特徴
UCLの図書館サービスは、出版物・電子形式あわせて200万冊以上の本と35,000以上の雑誌を所蔵している。16の専門図書館があり、オンデマンドで古い資料を入手することが可能です。
エジプト学から病理学に至るまで、幅広い内容の科学、動物学、アートなどを扱う世界クラスの美術館やギャラリーも所有。キャンパス周辺には、ロンドン大学群に所属する学校・研究施設も多数あります。
UCLでは施設・設備の拡充のため10年間で12億5,000万ポンドを費やしており、最近オープンした新しい学生センターには1000の学習スペースが完備されています。現在、ロンドン東部・ストラトフォードのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに隣接した場所には、最先端のUCLイースト・キャンパスが建設中です。
学生生活の特徴
UCLはロンドン全体でサイズ、設備、歴史が異なる26のホール(学生寮など)を持ち、約6000人分の多様なタイプの部屋を提供しています。さらに民間業者とも提携し、UCL学生専用の部屋も確保しています。1年目の学生は、希望すれば必ず寮に入ることができます。
イギリスでは、UCLで初めて誕生したとされる学生自治会(Students’ Union UCL)は、学生を支援する様々なサービスを提供しています。毎年キャンパス間投票で選出される7人のフルタイムの学生サバティカルオフィサーが主に運営を担っており、スポーツ、文化、芸術など幅広い分野にわたる国内最多レベルの200以上のクラブや団体があるほか、地域社会でのボランティア活動の機会も創出しています。
コロナ禍での授業
UCLでは2021年9月より、キャンパスがすべての学生に開放されています。授業は対面式とオンラインでの教育・学習を組み合わせ、学業をしっかりサポートできるように設計されています。
UCL全体ではセミナー、ワークショップ、実験室、スタジオの実習を含むほとんどの小グループ教育は対面で行われ、講義ベースの大グループ教育のほとんどがオンラインで行われています。 オンラインでは、リアルタイムの「インタラクティブセッション」と、自分のペースで学習できる「デジタル学習アクティビティ」(キャンパスでの教育・学習をサポート)と「講義の録音」を組み合わせて学習します。対面教育とオンラインの割合は、プログラムごと、また学問分野と研究の段階によって異なります。
2021年秋学期開始から留学生もキャンパスでの授業に参加することが求められていますが、COVID-19の感染状況による渡航制限によってキャンパスに来ることができない場合は、オンラインによるリモート学習が認められています。基本的に、ほとんどの専攻で最大3~4週間、プログラムによってはさらに長い期間、オンラインでの学習が認められる場合があります。
◆特別に免除されていない限り、キャンパス内のオフィス、ラボ、教育スペース、またはその他の屋内エリアではすべての人がマスクを着用することが推奨されています。(マスクに関する規定は定期的に見直されています)
◆キャンパスで活動する学生とスタッフは、週に2回(3〜4日ごとに)テストを受ける必要があります。オンラインまたは薬局でテストキットを入手して自宅でテストするか、学生センターでテストを受けます。テストを行うたびに結果を報告することが求められています。
合格基準
<学部課程に入学する場合>
■最低入学要件
・AレベルでABB以上(学部によって異なる)、もしくはそれと同等の成績
※日本からの留学生の場合、UCLが認めた日本の大学で1年間の学士号を修了し、平均成績が英国のUpper Second Class Honoursに相当するものであれば入学が認められます。
■英語要件
UCLでは、英語要件はStandard、Good、Adavncedの3段階に分かれています。
受け入れられる英語テストの例)
TOEFL iBT®テスト | IELTS (Academic) | |
---|---|---|
Standard | 全体92点以上 各セクション:24点以上(R・W)、20点以上(S・L) |
全体6.5以上 (各コンポーネント6.0以上) |
Good | 全体100点以上 各セクション:24点以上(R・W)、20点以上(S・L) |
全体7.0以上 (各コンポーネント6.5以上) |
Adavnced | 全体109点以上 各セクション:24点以上(R・W)、20点以上(S・L) |
全体7.5以上 (各コンポーネント6.5以上) |
※2022/2023学年度の入学希望者は「TOEFL iBT® スペシャルホームエディションテスト」「IELTSインジケーターテスト」も受け入れられます。
英語要件について、どのレベルを求められるかは学部・専攻によって異なります。
例)
・BSc Chemistry (化学):Standard
・BA Archaeology (考古学):Good
<ファウンデーションコースの場合>
学部に直接入学できない場合は、UCL Center for Languages&International Education(CLIE)で、「Undergraduate Preparatory Certificates (International Foundation Year)」(UPC)コースが提供されています。
UPCコースにはサイエンス&工学(UPCSE)と人文学(UPCH)の2種類があり、それぞれに学術要件、英語要件が設定されています。
コース | UPC for Science and Engineering(UPCSE) | UPC for Humanities(UPCH) |
---|---|---|
対象となる専攻 | 建築、アート、ビジネス&数学、人文学、社会学(経済学、法学を含む) | 工学、生命科学、数学&物理科学、医学 |
学術要件 | 高等学校卒業証明書 高校の成績が5段階で平均3以上かつ関連する学問分野で4以上 ※数学1と2は、UPCで数学を勉強する予定がある場合にのみ必要 |
|
英語要件(*3) | IELTS for UKVI (Academic) 全体6.0 各コンポーネント5.5以上 |
IELTS for UKVI (Academic) 全体6.0 各コンポーネント6.0以上 |
*3) イギリスで学ぶ際にVISAが必要となる留学生(日本からの留学生を含む)の場合、認められている英語テストは「IELTS for UKVI (Academic)」もしくは「Pearson PTE Academic UKVI」のいずれかになります。
特定の分野に特化しているというより、文科系・理工系問わずどの分野でも満遍なく高い評価を受けているのが特徴のUCL。古い歴史を持ちながらも、イギリス国内で初めて人種や宗教、性別に関係なく学生を受け入れてきた自由・平等主義でも有名な、開かれた大学です。世界基準の研究・教育レベルはもちろん、今も世界各国から多くの留学生が学ぶ多様性に富んだキャンパスも魅力的です。ロンドンという刺激的な街に住み、国際色豊かな環境で学びたい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編① オックスフォード大学<コロナ禍の最新情報もチェック>
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編② インペリアル・カレッジ・ロンドン<コロナ禍の最新情報もチェック>
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編③ マンチェスター大学<コロナ禍の最新情報もチェック>
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※この記事でご紹介している内容は2021年11月19日現在の情報に基づいています。