海外大研究シリーズ イギリス編③ マンチェスター大学<コロナ禍の最新情報もチェック>
少しずつ光が見え始めたとはいえ、世界の新型コロナウイルスへの警戒はいまなお継続中。気軽に海外の大学を直接訪問し、自分の目でじっくり見てくるということはなかなか難しい状況が続いています。この海外大学研究シリーズでは、海外大進学に興味がある方に向けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントと、コロナ禍の最新トピックスをまとめた情報をお届けしています。
イギリス編の3回目は、マンチェスター大学を取り上げます。イギリス屈指の名門大学とされ、国内最大規模の同校は、優秀な研究型大学が集まるラッセルグループの創立メンバー。さらに、オックスブリッジとそれに次ぐ少数のエリート大学をまとめて称する「ゴールデン・ダイヤモンド(Golden Diamond)」の1校ともされていて、イギリス屈指の名門大学です。また、国連が推し進める「持続可能な開発目標(SDGs)」(※1)に対する取り組みは高く評価されており、2021年のTHE大学インパクトランキング(※2)では1位に輝きました。
※1 SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは:国連の「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」のこと。17の目標(SDG)から成る
※2 大学インパクトランキングとは:大学の社会貢献の取組みを、国連のSDGs(エスディジーズ)の枠組みを使って可視化したランキング
マンチェスター大学(The University of Manchester:UoM)の基本データ
設立年 | 1824年 |
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所在地 | イングランド・マンチェスター |
学部数 | 4学部 |
学生数 | 学部生 約27,000人 大学院生が約13,000人 ※うち留学生が約14,000人 |
大学ランキング (*1) | THE:50位 QS:27位 |
主な分野別ランキング(*2) | Social sciences:28位 Business & economics:31位 Law:44位 Engineering:44位 Physical sciences:45位 Arts & humanities:51位 |
授業料と財政援助 |
●授業料:(各学部学科のコースにより異なる) ●財政援助: 大学には1300万ポンド以上の財政支援パッケージが用意されており、イギリスの学部生の約3分の1は年間最大2,000ポンドの奨学金を受け取ることができるが、日本らの学部留学生が利用できる奨学金等はない |
合格率 | 約56% |
留学生率 | 約35% |
立地環境 | イングランド北部最大かつ、世界で最もエキサイティングな都市TOP10にも選ばれている人口340万人の大都市・マンチェスターの中心部に位置する。隣接した2つのキャンパスを持ち、周辺には劇場・美術館・ライブハウス等の文化的施設が多数ある。キャンパス内にもウィットワース美術館やマンチェスター美術館、コンタクト・シアターという劇場を所有している。徒歩圏内に多くのショップ、カフェ、レストランがあり生活に便利なロケーション |
著名な卒業生 | アーネスト・ラザフォード氏(ノーベル化学賞受賞)、ノーマン・フォスター氏(建築家)、ベネディクト・カンバーバッチ氏(俳優)、エド・オブライエン氏(ミュージシャン) など |
公式URL | https://www.manchester.ac.uk/ |
*1 THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2022」
QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2022」
*2 Times Higher Education「World University Rankings 2022 by subject」より
マンチェスター大学の特徴
校風
モットーは「Cognitio, sapientia, humanitas(ラテン語)」(英語で”Knowledge, Wisdom, Humanity”:「知識、知恵、人間性」の意味)。これらに加え、学問の自由、勇気、開拓者精神の6つを大学の価値観としています。卓越した人材、研究、学習、技術革新、そして社会と環境にもたらす利益によって世界に貢献し、認められることをビジョンとして掲げ、運営が行われています。
1824年に設立されたマンチェスター工科大学(UMIST)が起源。1880年に設立されたイギリス初の市民大学であるマンチェスター大学のビクトリア校と2003年に統合し、2004年にマンチェスター大学となりました。
200年近い歴史の中で、同校は原子物理学の第一人者であったアーネスト・ラザフォード氏による原子核の発見やトム・キルバーン氏らによる世界初のプログラム内蔵式コンピューターの開発(1948年)など、数多くのイノベーションを創出。これまでに研究者や教授陣、卒業生から25名のノーベル受賞者を輩出しています。
留学生率も高く、イギリス以外のおよそ180か国以上からの留学生が学ぶ多様性に富んだ環境です。大学では専門のチームが、留学生向けに様々なサポート・サービスを提供しています。
人気のある専攻
イギリスで最も多いコースを持つ大学と言われており、工学/物理科学、人文科学、生命科学、医学/人間科学の4つの学部、20以上の学科で1,000を超える学位プログラムを提供しています。産業革命の発祥地に所在することもあって、世界最高基準にある物理学をはじめとした理工学系が有名ですが、社会科学、医学、法学等の権威でもあります。ほかにも経済・ビジネス、法律、アートなど学べる分野は幅広く、どの分野でも高い水準の教育・研究が行われています。
中でも、50年以上の実績を持ち、著名な研究者が教鞭をとりポリティカル・サイエンスは国内で最大規模・最高レベル。美術史のコースも1930年代から続いており、歴史的に積み重ねられてきた教授法と研究は高い評価を得ています。また、コンピューターサイエンスでは、近年注目を浴びている人工知能(AI)について実践的に学ぶコースが人気を集めています。
授業の特徴
マンチェスター大学は世界でも指折りの研究機関として名高く、2014年の「Research Excellence Framework」では、同大学で行われている研究活動の83%が「世界をリードする」または「国際的に優れている」にランク付けされました。
研究に力を入れているものの、学位プログラムにはスキル開発も組み込まれており、専門分野に関する深い知識と経験が得られます。かつての産業革命において中心的な役割を果たした大学であるため、様々な分野の企業とも強力なパイプを築いていて、インターンシッププログラムも活発に取り入れています。産業界やパブリック・セクターとの強い繋がりを背景に、アカデミックな世界における研究を現実世界に生かして変えていく力を持っているのが特徴と言えるでしょう。就職サポートも手厚く、95%近い就職率を誇ります。
施設・設備の特徴
図書館、IT施設など学習をサポートする施設から、スポーツジム、学生寮など学習以外の生活を支える施設まで充実しています。 ヴィクトリア朝後期のネオゴシック様式で建てられているジョン・ライランズ図書館は、イギリスで3番目に大きい学術図書館です。イギリスに5つしかない「英国研究図書館」の1つでもあり、400万冊以上の書物や80万以上の電子書籍を所蔵しています。ヨーロッパでも最先端のIT施設では、6,000台以上のコンピューターを保有。また、大学内にUNESCO世界遺産のジョドレルバンク天文台があります。
学生生活の特徴
大学には19の学生寮で8,000室を超える部屋が提供されており、一定の条件を満たした留学生は必ず利用することができます。すべての寮がキャンパスから3km以内にあり、大学の主要な建物に近接しています。部屋はすべて1人部屋で、モダンな自炊式のアパートから食事付きの伝統的な寮スタイルまで、様々なタイプから選ぶことができます。
また、同校には480以上という多彩なクラブ・ギルドが存在します。マンチェスター大学の学生になると自動的に登録される学生組合(Student Union)は、会員数4万人を超えるイギリスで最大の学生組合です。8人の共同責任者によって運営されており、学生生活における様々なサポート・福利厚生サービスを提供しています。
コロナ禍での授業
マンチェスター大学は、2021年9月よりすべての学生がキャンパスに戻ることを許可しています。大学での学習・研究は主にキャンパス内での直接の活動、講義、およびクラスで行われますが、同時に新しく収録されたビデオコンテンツおよび講師からの他の資料によるサポートも行われます。このブレンディッドラーニングにより、学生は自分に合った方法で勉強できるようになるとともに、今後数ヶ月のCOVID-19に関する制限の変更に可能な限り迅速に対応できるようになります。学習と福祉をサポートするために、これには、図書館、学習スペース、サポートサービス、スポーツ施設といったキャンパス内の施設も再開されます。
オンキャンパスのコースを受講している学生は、可能な限り9月の新学期からキャンパスに戻ることが期待されますが、継続的な旅行制限またはその他の安全対策のために戻れない一部の学生は、セメスター1でリモート学習オプションを利用できます。セメスター2(2022年2月から開始)でリモート学習を利用できるかどうかは未定です。
なお、すべてのスタッフと学生は、キャンパスに戻る前、または戻った後できるだけ早く、COVID-19ワクチンを接種することが推奨されています。
合格基準
<学部への入学要件>
◆学術要件:
・Aレベル:A * AA – ABB
・国際バカロレア 34-38ポイント、高レベル(HL)科目で7、6、6 ~ 6、5、5
◆英語要件:
・IELTS 6.0~7.0 など(コース・専攻分野によって異なる)
<ファウンデーションコースを経由する場合>
日本の高校を卒業した場合(Aレベルまたは国際バカロレアディプロマを取得していない学生)は、学部課程への直接入学ではなく大学進学準備コース(ファウンデーションコース)を修了する必要があります。同大学のファウンデーションコースは下記の3種類があります。修了時に必要な基準を満たしていれば希望する学位プログラムの1年目に進むことができます。
■Integrated Foundation Yearプログラム
:工学または自然科学の学位対象
【英語要件】 IELTS 6.0以上(すべてのコンポーネントが5.5以上)
※ただし、地球環境科学科への進学を希望する場合はIELTS 6.5以上(すべてのコンポーネントが6.0以上)
■Biosciences with a Foundation Yearプログラム
:生物化学の学位対象
【英語要件】 IELTS 6.5以上
□INTO マンチェスター International Foundationプログラム
:バイオサイエンス、工学・科学、人文科学・社会科学、薬学、心理学の5つのコース
提携しているINTOマンチェスターで提供されているファウンデーションコース。規定の成績を修めるとマンチェスター大学への面接またはオファーを受けられる。英語コースも完備。
【英語要件】 IELTS 5.0~6.0 (各コースによって必要な英語力は異なる)
英国内ではオックスブリッジに次ぐノーベル賞受賞者を輩出するなど、世界屈指の研究機関として名高いマンチェスター大学。様々な分野での最先端の研究による成果により、世界への多大な貢献度を誇ります。雇用者からの評価も高く、就職率も非常に高くなっています。
キャンパスがあるマンチェスターは、イギリスが誇る産業都市であるとともに、文化の中心地でもあり、多様性に富んだエキサイティングな環境。世界から集まる優秀な学生と切磋琢磨する日々は魅力的です。
研究・教育水準の高さに合わせて入学基準も高めですが、ファウンデーションコース経由であればハードルはぐっと下がります。世界最先端の研究に触れてみたい方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編① オックスフォード大学<コロナ禍の最新情報もチェック>
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編② インペリアル・カレッジ・ロンドン<コロナ禍の最新情報もチェック>
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※この記事でご紹介している内容は2021年10月29日現在の情報に基づいています。