海外大研究シリーズ イギリス編② インペリアル・カレッジ・ロンドン<コロナ禍の最新情報もチェック>
いまだ新型コロナウイルスへの警戒が続く中、気軽に海外の大学を直接訪問し、自分の目でじっくり見てくるということはなかなか難しい状況が続いています。この海外大学研究シリーズでは、海外大進学に興味がある方に向けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめた情報をお届けしています。
イギリス編の2回目に取り上げるのは、インペリアル・カレッジ・ロンドンです。オックスブリッジと総称されるオックスフォード大学、ケンブリッジ大学と並んで英国を代表する大学である同校は、世界ランキングでも常に10位以内に入る名門校。ラッセルグループ(※1)、ゴールデントライアングル(※2)をはじめ多くの教育団体に所属し、工学系、自然科学系、生命科学など、理系の分野に強い大学です。大都市ロンドンの中心部に位置するという立地も大きな魅力の1つ。イギリスのタイムズ紙&サンデータイムズ紙が選ぶ優良大学ランキング「The Times and Sunday Times Good University Guide」では、学生調査の結果で大学の満足度が史上最高に達したことなどから「University of the Year 2022」に選ばれています。
※1 ラッセルグループ:イギリスの優秀な研究型大学24校による連合
※2 ゴールデントライアングル:オックスブリッジとロンドン中心地にキャンパスのある4大学をあわせた名門6大学をまとめた呼称
インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London: ICL)の基本データ
設立年 | 1907年 |
---|---|
所在地 | ロンドン・サウスケンジントン |
学部数 | 3学部 |
学生数 | 学部生 約10,000人 大学院生 約9,000人 ※うち、留学生が約11,000人 |
大学ランキング(*1) | THE:12位 QS:7位 |
主な分野別ランキング(*2) | Clinical & health:3位 Computer science:10位 Physical sciences:11位 Engineering:13位 Life sciences:15位 |
授業料と財政援助 |
●授業料:(専攻分野によって異なる) <学部ごとの例(2021-2022年・留学生の場合)> ●財政援助: |
合格率約 | 約36% |
留学生率 | 約58% (2019-2020年) |
立地環境 | メインキャンパスは、ロンドンの中心から電車で20分ほどの高級住宅街として知られるケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区のサウス・ケンジントンに位置し、周囲にはケンジントン宮殿、ロイヤル・アルバート・ホール、ハロッズ本店などがある。合計所有地は52万平米を超え、イギリス最大。ロンドン市内にキャンパスが点在しているが、いずれも公共交通機関に近く便利なロケーション、セントラルロンドンまでのアクセスも抜群 |
著名な卒業生 | フレデリック・ホプキンズ氏(医学者)、アレクサンダー・フレミング氏(細菌学者)、ジェフリー・ウィルキンソン氏(化学者)、H・G・ウェルズ氏(作家)、ブライアン・メイ氏(ギタリスト) など |
公式URL | http://www.imperial.ac.uk/ |
*1 THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2022」
QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2022」
*2 Times Higher Education「World University Rankings 2022 by subject」より
インペリアル・カレッジ・ロンドンの特徴
校風
モットーは「Scientia imperii decus et tutamen」(英語でKnowledge is the adornment and protection of the Empire:”知識は帝国の最高の栄光、そして防衛”の意味)。シティ・アンド・ギルド・カレッジ、ロイヤル・スクール・オブ・マイン、ロイヤル・カレッジ・オブ・サイエンスの3つのカレッジを前身とし、1907年に3校が統合されてロンドン大学に加盟したのがスタートとなります。創立100周年にあたる2007年の7月に、ロンドン大学から独立を果たしました。
医学部、工学部、自然科学部からなる理工系大学で、就職率はイギリス国内の大学の中でもトップクラス。コンピューティング学部は卒業後の報酬額が国内トップを獲得したこともあります。科学への貢献、研究成果、新技術の開発、さらに新たな市場および産業の育成という観点に基づき、ロイター社から世界で最も革新的な大学という称号を受けたこともあります。
留学生比率が大きいのが特徴で、出身地構成はヨーロッパが73%程度、その他が27%程度。白人ではない学生の比率は37%程度と多様性に富んだ構成となっています。大学には留学生オフィスが設けられており、積極的に留学生へのサポートが行われています。
人気のある専攻
学部課程は医学部、工学部、自然科学部の3つ(大学院課程として経営学部あり)で、その中に100を超えるコースが設置されています。医学、医用生体工学、数学、物理学、コンピューティングなどの専攻が人気とされています。
また、ICLでは地球規模の課題に挑戦する分野における実践的応用と、研究結果をより効果的にするための多分野にまたがる共同研究を重視しているのが大きな特徴。学部をまたいで行う研究を扱う機関として、医用生体工学研究所、ケミカルバイオロジー研究所、未来エネルギー研究所、グローバルヘルスイノベーション研究所、ナノサイエンス・ナノテクノロジー科、システム生物学・合成生物学研究所が設置されています。
授業の特徴
研究主導の教育が行われているのがICLの特徴の1つ。世界的に有名な科学者、医学者、エンジニアが多数在籍しており、彼らの多くが学部教育に直接関与しているため、講義やセミナー、テキスト等で世界トップレベルの専門知識を直接体験することができます。大学では多様な研究が行われているため、学士課程の後期段階では幅広い分野で、高度なモジュールが提供されます。
また、コースが進むにつれて自由度が増すようにカリキュラムが設計されています。年次が上がると専門とは異なる他分野を学ぶことも可能です。学部や専攻間が密接にリンクしているため、それぞれの分野のスタッフのサポートを受けつつ、自分の興味やキャリアプランに合わせて学びを調整することができます。
施設・設備の特徴
ICLはロンドンの中心部に、国内最大規模のメインキャンパスをはじめ9つのキャンパスを置いています。キャンパスは都会型で比較的緑地が少なく、敷地の大半が近代・現代的な建物で占められていますが、メインキャンパス(サウスケンジントン)の徒歩10分圏内にはハイド・パーク、ケンジントン・ガーデンといった王立公園があるなど、周囲には自然も多くあります。キャンパス内には24時間使用できる図書館やスポーツ施設、医療機関、コーヒーショップなどがあり、快適な学生生活が送れます。
学生生活の特徴
ロンドンのサウスケンジントン地区とチェルシー地区に20以上の学生寮(ホール)があり、学部の1年生は希望すれば必ず入ることができます。2年生以上になるとほとんどが学外の民間の居住施設に移りますが、住居探しは大学の住居課(プライベート・ハウジング・オフィス)がサポートしてくれます。
学生自治会(Student Union)には、イギリスの大学の中で最多となる380以上の学生グループがあります。それらはクラブ、Society、プロジェクトの大きく3つのカテゴリーに分類されており、すべて学生主導で運営されています。自治会は学生5人の幹部や大学職員によって運営されています。
コロナ禍での授業
ICLではコロナ禍の期間中、最先端のテクノロジーと優れた学問の組み合わせにより、 キャンパス内およびリモートで互いに学習し、交流するための新しい創造的な方法を生み出してきました。
2021年秋学期からは、英国政府の規制がないかぎりは年度を通じて、できるかぎりキャンパスでの対面による教育・研究活動が提供されることが発表されています。教育、研究、トレーニングはスケジュールどおりに開始され、キャンパス内(対面)とリモート(オンライン)の組み合わせになります(「マルチモード」配信と呼ぶ)。詳細はコースごとに異なりますが、通常は下記のようになります。
●教室でのチュートリアルと実験室での活動は、対面で行われます(専攻によってはマルチモード形式)。
※教育的に有益とみなされる場合は、講義がオンラインで行われる場合があります。
●研究所やオフィスへのアクセスは、学部ごとの規制に従い、安全な方法で運営されます。
また、キャンパスに通っている、または学生寮に住んでいる場合は、学生・スタッフは毎週Covid-19のテストを受ける必要があります。(毎週1回のPCRテスト、もしくは週に2回のLFDCollect〔自宅でのセルフテスト〕)
合格基準
<学術要件>
◇Aレベル試験(イギリスの統一試験)で専攻ごとに決められた科目を修め、成績の目安はAAA~A*A*A
◇国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)試験において、38~40ポイントのスコア(専攻によって、特定の科目でそれぞれ一定の成績を収めている必要あり)
基準はコースによって異なります。
例)▼数学コースの場合
・Aレベル: 最低 A*A*A /A*A*AA 数学でA*、応用数学でA*、その他A取得
・国際バカロレア: 最低総合39点
※日本の高校卒業資格だけでは、ICLの出願基準を満たせません。
<英語要件>
テストの種類 | Standard levelのスコア | Higher levelのスコア |
---|---|---|
IELTS (*1) (Academic) |
6.5以上 (各項目が6.0以上) |
7.0以上 (各項目が6.5以上) |
TOEFL iBT®テスト/TOEFL iBT®ホームエディション(*2) | 92以上 (各項目が20以上) |
100以上 (各項目が22以上) |
*1 StandardとHigherのどちらのスコアが必要かは、コースによって異なります。
*2 2022-2023年の入学審査ではTOEFL iBT®ホームエディションが受け入れられます。
※ICLでは多くの専攻で面接が課されます。また、専攻によっては別途試験が課されることもあります。
基本的に日本の高校を卒業しただけではイギリスの大学の入学資格を満たさないため、ICL場合も学部への直接入学ではなく、9ヶ月〜1年間のファウンデーションコース(大学準備コース)を受講するのが一般的です。ICLは大学として専用のコースを開講していませんが、ほとんどの学部で下記の2種類のファウンデーションコースを受入れています。
※医学、メディカルバイオサイエンス、 化学工学、土木工学の学部はファウンデーションコース修了資格を受け付けていないので注意が必要です。
■UCL UPCSE: the University Preparatory Certificate for Science and Engineering
【ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン理工系学部入学準備証明】:9カ月間
<主な出願条件>
・英語力:【IELTS(アカデミック)】全体5.5以上(すべての項目で5.5以上) など
・成績:高等学校卒業証明書の成績が5つの関連科目でグレード4以上
■Warwick IFP : an International Foundation Programme with an Engineering specialisation
【ウォーリック大学国際ファウンデーションプログラム(工学)】:9カ月間
<主な出願条件>
・質問に従い600語以内のパーソナルステートメントを作成
・英語力:【IELTS(アカデミック)】全体5.5以上、ライティング5.5、その他すべての項目で5.0以上 など
・成績:高等学校卒業証明書の成績が5つの関連科目でグレードが4以上(Physics and Engineeringコースは数学、物理学が必須)
理工系に特化したインペリアル・カレッジ・ロンドンは、学部が設置されているすべての分野で満遍なく高い評価を受け続けていますが、とくに自然科学に関する分野では世界最高峰の大学の1校として評価されています。ICLの強みである分野を超えたコラボレーションによる革新的で最先端の研究を通して、次世代の研究者、科学者、学者の育成に取り組んでいます。
以前はロンドン大学の一部だったため、授与される学位もロンドン大学のものでしたが、独立後は独自の学位が提供されています。入学には高いレベルの学力と英語力が必要とされますが、理工系の分野を中心とした最先端の研究に触れてみたい方は、ファウンデーションコースなどでしっかり学んで挑戦してみてはいかがでしょうか?
【参考記事】:海外大研究シリーズ イギリス編① オックスフォード大学<コロナ禍の最新情報もチェック>
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※この記事でご紹介している内容は2021年10月22日現在の情報に基づいています。