コロナ影響で変化はあった? 世界大学ランキング(THE)22年版発表!
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は日本時間の9月2日、2022年の「THE世界大学ランキング」(THE World University Rankings 2022)を発表しました。世界で最も権威ある大学ランキングの1つとして知られるこのTHEランキング発表も、今年で18回目を数えます。
コロナ禍により、世界の大学教育はどんな影響を受けたのか?今回は、2022年の最新ランキングや上位校の変動などのトピックスをお届けします。世界的にようやく新型コロナウイルスに関する制限が緩和されつつある今、「世界レベル」の目で海外大学を知り、今後どの国・どの大学で学ぶか、の広い視点を持つことに生かしていきましょう。
THE世界大学ランキング2022の全体TOP20
■「THE World University Rankings 2022」 1位~20位
順位 | 2021年の順位 | 順位の変動 | 大学名 | 国名 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | = | オックスフォード大学 (University of Oxford) |
イギリス |
=2 | 4 | ↑ | カリフォルニア工科大学 (California Institute of Technology) |
アメリカ |
=2 | 3 | ↑ | ハーバード大学 (Harvard University) |
アメリカ |
4 | 2 | ↓ | スタンフォード大学 (Stanford University) |
アメリカ |
=5 | 6 | ↑ | ケンブリッジ大学 (University of Cambridge) |
イギリス |
=5 | 5 | = | マサチューセッツ工科大学 (Massachusetts Institute of Technology) |
アメリカ |
7 | 9 | ↑ | プリンストン大学 (Princeton University) |
アメリカ |
8 | 7 | ↓ | カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) |
アメリカ |
9 | 8 | ↓ | イェール大学 (Yale University) |
アメリカ |
10 | 10 | = | シカゴ大学 (The University of Chicago) |
アメリカ |
11 | 17 | ↑ | コロンビア大学 (Columbia University) |
アメリカ |
12 | 11 | ↓ | インペリアル・カレッジ・ロンドン (Imperial College London) |
イギリス |
=13 | 12 | ↓ | ジョンズ・ホプキンス大学 (Johns Hopkins University) |
アメリカ |
=13 | 13 | = | ペンシルバニア大学 (University of Pennsylvania) |
アメリカ |
15 | 14 | ↓ | チューリッヒ工科大学 (ETH Zurich) |
スイス |
=16 | 23 | ↑ | 北京大学 (Peking University) |
中国 |
=16 | =20 | ↑ | 清華大学 (Tsinghua University) |
中国 |
=18 | 18 | = | トロント大学 (University of Toronto) |
カナダ |
=18 | 16 | ↓ | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) |
イギリス |
20 | 15 | ↓ | カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (University of California, Los Angeles) |
アメリカ |
※ 順位の数字に「=」がついている場合:同順位の大学あり
※ 順位の変動が「=」の場合:前回順位から変動なし
1位は6年連続でオックスフォード大学。
上位はアメリカ・イギリスが占める傾向は変わらずも、TOP20に中国から2校と躍進 ~2022年版ランキングの動向~
今回、ランキングの対象になったのは99の国・地域の1662校。前年から136校増えて過去最多の大学数となりました。
トップは前年と同じくオックスフォード大学。これで同大学は、2017年から6年連続の首位に輝きました。2位タイは前回3位のハーバード大学と、同4位のカリフォルニア工科大学。前回2位だったスタンフォード大学は4位となりました。 トップ10に関しては、順位の変動はあるものの、10校すべてが前回と同じ顔触れとなっています。10位までをアメリカ(8校)とイギリス(2校)が占める状況は変わらず、いずれもランク変動は2ランク以内にとどまっており、上位陣にとっては盤石の結果と言えるでしょう。
10位までで特筆すべきは中国の2校。北京大学が7ランクUP、清華大学が4ランクそれぞれ順位を上げ、16位タイにランクされています。前回、中国勢初のTOP20入りをはたした清華大学に続き、北京大学も加わり、中国から2校がTOP20に名を連ねるという結果になりました。
全体としては、国・地域別のランクイン数でアメリカが183校と今回も最多。日本は118校と2位、さらにイギリス101校、中国97校、インド71校と続いています。
TOP200までで見ると、アメリカ57校、イギリス28校、ドイツ22校、オーストラリア12校がランクイン。中国はそれらに続き、武漢大学(157位)、南方科技大学(162位)、華中科技大学(181位)など過去最多の10校がTOP200入りしています。
上位ではいまだアメリカ・イギリスが確固たる地位を保っているものの、全体的には米英のポジションは徐々に低下し、アジア勢が台頭するという前回までの流れは継続していると言えるでしょう。とくに中国の躍進は目覚ましく、TOP20に2校のほか、武漢大学(157位)、南方科技大学(162位)、華中科技大学(181位)などTOP200に過去最多となる10校がランクされています。
さらにTOP50にシンガポール、香港からそれぞれ2校がランクイン。シンガポール国立大学は前回25位から21位タイ、香港大学は前年の39位から30位タイと順位を上げ、それぞれの国・地域における過去最高位を獲得。(香港は過去最多の4校がTOP100入り)。韓国・ソウル大学も前回60位から54位となり、アジア圏の大学のランクアップが顕著となっているのが印象的です。日本からは、東京大学が2016年以来、日本の大学としては最高位となる35位タイを獲得しています。
THEのチーフ・ナレッジ・オフィサーであるフィル・ベイティ氏は、THEのデータが示すように世界各地の高等教育は大きく転換しており、中でも中国本土の変化が最も速いと指摘。「中国の大学は昨年初めて清華大が上位20位に入り、今年は北京大と合わせて計2校に倍増した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響があったにも関わらず、中国の大学はTHEの世界ランキングで順位を上げ続けている」と語っています。
パンデミック状況下で順位に影響があった大学は?
THEのデータチームによる分析では、新型コロナウイルス(Covid-19)に関連する医学研究・論文を発表した大学19校が、2021、2022年のTHEランキングで論文引用の影響(Citations)についてのスコアが大幅に増加していることが確認されています。19校のうち11校が中国本土、1校が台湾、1校が香港の大学です。
被引用論文スコア(Citations)が最大の上昇を示したのは、首都医科大学(Capital Medical University)、温州医科大学(Wenzhou Medical University)、武漢大学(Wuhan University)でいずれも中国の大学。それぞれ、スコアは30ポイント以上も増加しました。
THEのデータサイエンス責任者であるデビッド・ワトキンス(David Watkins)氏は、被引用論文スコア(Citations)について「Covid-19が世界中に及ぼした影響によると予想される」と述べています。「この病気の研究、特にワクチンに関する研究は、多額の資金と優先順位が付けられており、いくつかの論文は、出版から1年以内に20,000件以上の引用を集めています」とし、さらに「この影響はしばらくの間ランキングで顕著であり続けると考えており、大学の評判への影響(プラスとマイナスの両方)や収入などについて、ほかにもCovid-19関連の影響が発生する可能性があります」とも語っています。
<順位を大きくあげた大学の例>
武漢大学(Wuhan University)
157位(2021年順位:301〜350位)
新型コロナウイルスの感染拡大が初めて確認された中国・湖北省武漢市にある国立大学。パンデミックの発生時に標本と症例のデータが特に多く存在したこともあり、新型コロナウイルスに関する研究で、パンデミック前より飛躍的に認知度が高まった。
香港大学(University of Hong Kong)
=30位(2021年順位:30位)
香港 · 薄扶林に本部を置く、香港で最も古い公立総合大学。香港医科大学を前身とする。論文引用スコアが2021年の80.3ポイントから、2022年は95.0ポイントへと増加。
※日本の大学については、次回、詳しく解説します。お楽しみに!
THE世界大学ランキングとは?
「THE世界大学ランキング」とは、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」によって、2004年から毎年発表されている世界的な大学のランキングです。
「THE世界大学ランキング2022」で用いられた指標は、基本的に前回と同じ。「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」の5つの分野について、13の指標で各大学のデータを収集、評価、分析したうえでそれぞれのスコアを算出し、世界の大学を順位付けしています。今回のランキングでは、22,000件超の最新の学術的評判調査結果(毎年実施)、および1360万の文献における8600万以上の引用調査の結果も反映されています。
THE世界大学ランキングにおける分野・指標の比重
◇教育(教育環境)【Teaching (the learning environment)】: 30%
- ・評判調査<教育> 15%
- ・学生に対する教員比率 4.5%
- ・学士課程学生に対する博士課程学生比率 2.25%
- ・教員に対する博士号取得者比率 6%
- ・大学の総収入 2.25%
◇研究(量、収入、評判)【Research (volume, income and reputation)】: 30%
- ・評判調査<研究> 18%
- ・研究関連収入 6%
- ・学術生産性 6%
◇被引用論文(研究影響力)【Citations (research influence)】: 30%
◇国際性(教員、学生、研究)【International outlook (staff, students, research)】: 7.5%
- ・外国籍留学生の割合 2.5%
- ・外国籍教員の割合 2.5%
- ・国際共同研究 2.5%
◇産業界からの収入(知の移転)【Industry income (knowledge transfer)】: 2.5%
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※この記事でご紹介している内容は2021年10月1日現在の情報に基づいています。