海外大学進学情報

海外大研究シリーズ カナダ編② ブリティッシュコロンビア大学

いまだ全世界を覆うコロナ禍の中、気軽に海外の大学を直接訪問し、自分の目でじっくり見てくるということはなかなか難しい状況が続いています。この海外大学研究シリーズでは、海外大進学に興味がある方に向けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめた情報をお届けしています。
カナダ編の2回目はブリティッシュコロンビア大学。1915年にマギル大学から独立した同校は、北米で一番国際的な大学とも言われ、常に世界ランキングTOP40以内にランクインされている名門校です。周囲を豊かな自然に囲まれ、巨大な博物館なども備えた美しいキャンパスを持つブリティッシュコロンビア大学の魅力を紹介します。

海外大研究シリーズ_カナダ編2_ブリティッシュコロンビア大学

ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia:UBC)の基本データ

設立年 1908年
所在地 ブリティッシュコロンビア州バンクーバー
学部数 16学部 (18のスクールと2つのカレッジ)
学生数 学部生 約55,000人
大学院生 約11,000人
 ※うち約18,000人が留学生
大学ランキング(*1) THE:34位
QS:46位
主な分野別ランキング(*2) Psychology:13位
Education:22位
Social sciences:27位
Business & economics:28位
life sciences:30位
Law:33位
授業料と財政援助

■授業料…35,000〜50,000カナダドル程度(年間・学部によって異なる)

  • <授業料の例>(2020-2021 学部留学生)
  • ・文学士号(Bachelor of Arts):39,573.60カナダドル
  • ・応用科学士号(Bachelor of Applied Science):50,838.74カナダドル
  • ・運動科学士号(Bachelor of Kinesiology):40,765.20カナダドル など
  • *ほかに諸費用や寮費などが必要

■財政援助…UBCでは留学生のために奨学金やその他の形態の財政支援に年間3,000万ドル以上が費やされている

  • ◎奨学金の例(学部生向け)*出願書類により自動的に選出
  • ・国際メジャーエントランス奨学金(IMES):優秀な留学生に授与され、毎年授与される(金額はレベルによって異なる)最大3年間更新可能
  • ・優秀留学生賞:1回限りの入学奨学金
  • ・国際奨学生プログラム:4種類あり、毎年約50の奨学金が提供されている
合格率 非公表
留学生率 約27.3%
立地環境 ブリティッシュコロンビア州の文化経済の中心地・バンクーバーと、州南部のオカナガン湖の近くにある都市ケロウナに2つのキャンパスを構える。400ha以上の広大な敷地を持つバンクーバーキャンパス(メインキャンパス)はダウンタウンの中心部から30分の場所にあり、周囲を美しい森と海に囲まれた緑豊かな環境。キャンパス内には研究センターやコンサートホール、博物館、植物園、日本庭園などがある
著名な卒業生 ジャスティン・トルドー氏(現カナダ首相)、キム・キャンベル氏(初代カナダ首相)、ロバート・マンデル氏(ノーベル経済学賞受賞)、エヴァンジェリン・リリー氏(女優)、北川智子氏 (歴史学者)など
公式URL https://www.ubc.ca/

*1 THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2021」
  QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2022」
*2 Times Higher Education「World University Rankings 2021 by subject」より

ブリティッシュコロンビア大学の特徴

校風

1908年にマギル大学の分校として設立され、1915年にブリティッシュコロンビア大学として独立しました。モットーは「Tuum est」(ラテン語/英語で“It is Yours”の意味)。約66,000人が通うカナダ西部最大規模の州立大学です。約160ヶ国から18,000人以上の留学生が学んでおり、北米で一番国際的な大学としても知られています。
国際的な視点からリサーチ、イノベーション、教育を行っているグローバルセンターとして、カナダ国内にとどまらず世界的に非常に高い評価を獲得しています。研究資金への予算も多く、9,941件のプロジェクトに6億7,270万ドルが費やされています。

また、UBCは起業家的視点に重きを置いており、学生が既定の概念を破り、新たな発見と方法を模索する力を身につけ、世界を変えるアイデアを生み出していくことを目指しています。多くの企業や業界とも密接な関係を築いており、業界パートナーとの1,424件の研究プロジェクトが進んでいるほか、UBCの研究から222の企業が設立されています。

THEのSDGs(持続可能な開発目標)への対応を評価する「Impact Rankings 2021」では、全体で世界第13位と高い評価を得ています。特に、「産業と技術革新の基盤をつくろうIndustry, Innovation, and Infrastructure)」で1位、「気候変動への対策(Climate Action)」で3位、「海の豊かさを守る(Life Below Water)」で5位、「陸の豊かさを守る(Life on Land)」で7位など、SDGsへの取り組みも高く評価されています。

人気のある専攻

人文学、建築学、工学、商学、経営学、歯学、教育学、林学、法学、薬学、音楽、農学、応用科学など幅広い分野の16学部が設置されています。もともと医学、神学、法律に重点を置いてスタートしましたが、20世紀に急速に研究分野を拡大し、現在では学部課程で180以上のコースが提供されています。(学部によってキャンパスは異なり、片方にしかない学部と両方に設置されている学部があります)

政治学や国際関係論、経済学、さらには文化人類学やアジア研究などに定評があり、地理学、鉱山工学、スポーツ関連学も人気が高い専攻分野です。また、森林科学や海洋学など、特有の野生生物が生息する森と海に囲まれた大学という特性を利用し、自然科学分野の研究でも有名。天然自然保護や森林科学、林業、海洋学などプログラムが充実しており、とくに天然自然保護は環境学の中でもっとも人気のあるプログラムです。

授業の特徴

クラス内外で実践的な学習が提供されています。1年生向けの授業は比較的規模が大きく、100人を超えるようなクラスもあり、TA(ティーチングアシスタント)が配置されています。上級生向けのクラスになると少人数で、教授との直接のやりとりも可能です。

UBCでは「アクティブラーニング」が推奨されており、学部や大学院の学部プログラムのほかに、遠隔教育プログラムも充実しています。また、世界各国の240大学とパートナーシップを結んでいるため、UBCの学生が一定期間カナダ国外の大学にて科目履修をすることが可能な「Go Global」という制度もあります。

施設・設備の特徴

バンクーバーキャンパスの緑が溢れる構内にはカフェ・レストラン・書店・ドラッグストアなど生活に必要なものがほぼ揃っており、1つの街のような様相を呈しています。学生に無料開放されているプール、ビーチ、アイススケートリンク、フィールドなどもあります。オカナガンキャンパスは2005年にできた比較的新しいキャンパスで、広大な自然の中でバンクーバーとほぼ変わらない学習環境が提供されています。理系学部の教育に力を入れていて、テクノロジー関連のプログラムが多く開講されています。
図書館は大小10以上あり、UBC図書館の蔵書数700万冊。研究を目的とした図書館としてはカナダで2番目の蔵書量を誇っています。

学生生活の特徴

バンクーバーとオカナガンの両方のキャンパスに、多様なスタイルのキャンパス内住居施設が提供されており、8,000人以上の学生が暮らしています。バンクーバーキャンパスには14の寮・アパートがあり、すべて大学の主要な建物のまで徒歩圏内です。1年次はUBCキャンパス内の学生寮への入寮が保証されています。学生寮には困ったことなどを相談できる窓口があり、新入生用のイベントも企画されるなどサポート体制も万全。食事はキャンパス内のダイニング施設を利用することができます。2年次以降の学生寮は抽選式で、アパートを借りる学生も多いと言われています。

UBCには350以上のクラブがあり、スポーツから芸術、文化など様々な活動を展開しています。また、2つのキャンパスでは、1年を通じて多くの文化活​​動やイベントが開催されています。

コロナ禍での授業

これまでオンラインでの授業が続いてきたUBCでは今年の秋から、キャンパス内での指導・活動への復帰が計画されています。州および地域の公衆衛生当局からの現在のガイダンスに基づき、2021-2022のウインターセッションの9月からの第1期から対面クラス、キャンパス内活動が再開される予定です。学生寮も引き続きオープンする予定で、図書館も通常のサービスが提供されるようになる予定となっています。

授業をはじめ、様々な活動が直接行われるため、大学はできるだけ多くの学生がキャンパスに戻ることを促していますが、一部のコース(または、コース内のいくつかの要素)はオンラインのままになります。それぞれの活動が対面、オンライン、ハイブリッド(2つの組み合わせ)のいずれになるかは、公衆衛生当局と協力して決定されます。また、新入生向けのオリエンテーションプログラムも用意されることが計画されています。今秋からのこうした一連のコーススケジュール、キャンパス内活動、オリエンテーション、およびさまざまな活動に関する最新情報は、今後、コース登録期間に近づいた段階で提供される予定になっています。

合格基準

<学部に直接出願する場合>

◇一般的な出願要件: 高等学校卒業資格/GPAは日本の高校だと5段階中、平均で4が必要(過去数年間の実績)

  • ◇最低英語入学基準(ELAS):
  • ・IELTS(アカデミック) 6.5(No band less than 6.0)
  • ・TOEFL®テストまたはTOEFL® iBT Home Edition 全体90(リーディング:22、リスニング:22、ライティング:21、スピーキング:21)
  • ・ケンブリッジ英語検定 180  など

または
・UBC English Language Instituteのアカデミック目的の英語プログラムのレベル600を完了

※応用生物学や林業、音楽などを専攻する場合は固有の要件(数学や物理学の知識、ポートフォリオ制作など)が必要

<留学生で英語力が基準に満たない場合>

出願に際して、学業成績は優秀だが、英語要件のみ満たしていない場合は、複数のルートが用意されています。

●条件付き入学プログラム(CAP):

バンクーバーキャンパスで、UBCの英語プログラム(English for Academic Purposes Program:EAP)を修了することで学部への正式な入学が認められます。
以下の2つのプログラムがあります。

  期間 対象
accelerated session 8週間(7月~8月末の予定) CAPの学生のみが参加可能
通常session 16週間(1月、5月または8月/9月に開始する予定) (CAPと他の学生の両方が参加可能)

英語力の基準:IELTS: 6.0(サブスコア5.5以上)/TOEFL®テスト: 82(R:20, L20, W19, S19以上)

●ヴァンテージワン(Vantage One)プログラム:

留学生向けの11カ月のパスウェイプログラム。バンクーバーキャンパスで開講されています。英語の指導が受けられるほか、文学士、理学士、応用科学士のいずれかの学士号プログラムの1年目の学部授業を受けることができます。修了すると、学部の1年目のコース単位がすべて取得でき、2年次への進級が可能です。

◇英語力の基準: IELTS: 5.5(サブスコア5.0以上)/TOEFL®テスト: 70(各サブスコアは16以上)/UBC集中英語コース:EAP Level 400終了

●ファウンデーションプログラム(English Foundation Program :EFP):

オカナガンキャンパスで提供されている、集中的な英語トレーニングとアカデミックコースを組み合わせたプログラムです。文学、理学、応用科学、マネジメント、美術、メディア研究、および人間運動学の学士号のすべての学術要件を満たしているが、UBCの英語基準を満たしていない学生が対象となります。
※オカナガンキャンパスに出願し、大学の入学要件を満たした場合は自動的に登録されます。

*ほかに、コミュニティカレッジから大学3年次に編入する方法もあります。


世界屈指のグローバル総合大学で、国際的な知名度も高いブリティッシュコロンビア大学。ノーベル賞受賞者や、カナダ政財界の有名な人材も多数輩出しているカナダ有数の名門校です。研究資金も豊富なため、ハイレベルな研究への支援も手厚いのが特徴と言えるでしょう。バンクーバーの美しい自然に囲まれた環境で、世界最先端の教育・研究を受けられるのは非常に魅力的です。

その分、入学に際して求められる学力・英語力なども非常に高く、カナダ国内で最も入学基準が厳しい大学の一つとも言われています。学部に直接合格できなくても、入学のルートはいろいろ用意されているのも特筆ポイント。十分に準備して、自分に合った方法で目指してみる価値はある大学です。

【参考記事】:海外大研究シリーズ カナダ編① トロント大学

【参考記事】:高い教育水準と多様性が魅力!カナダ留学10のメリット

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※この記事でご紹介している内容は2021年9月3日現在の情報に基づいています。

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