海外大研究シリーズ カナダ編① トロント大学
いまだ世界中で新型コロナウイルス感染拡大のリスクが消えないため、気軽に海外の大学を直接訪問し、自分の目でじっくり見てくるということはなかなか難しい状況が続いています。この海外大学研究シリーズでは、海外大進学に興味がある方に向けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめた情報をお届けしています。
今回からは、カナダ編がスタート! 1回目はトロント大学を取り上げます。多数のノーベル賞受賞者やカナダの首相など、世界で活躍する人材を数多く輩出してきたカナダを代表する名門校であるトロント大学の魅力や、最新のコロナ対応についてをご紹介します。
トロント大学(University of Toronto:U of T)の基本データ
設立年 | 1827年 |
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所在地 | オンタリオ州トロント |
学部数 | 17の学部、19の大学院 |
学生数 | 学部生 約70,000名 大学院生約20,000名 ※うち約20,000名が留学生 |
大学ランキング(*1) | THE:18位 QS:26位 |
主な分野別ランキング(*2) | Clinical, pre-clinical & health:6位 arts and humanities:15位 Business & economics:24位 Life sciences:25位 Social sciences:27位 physical sciences:33位 Engineering & technology:28位 |
授業料と財政援助 |
●授業料:学部ごとに授業料が設定されている。Domestic(カナダ国民・永住権保持者)とInternational (留学生)では金額が異なる。
●奨学金:成績優秀者向けや学部ごとに多数の奨学金あり。200カナダドル程度の少額のものから、授業料10,000~25,000カナダドルを負担してくれるものまで様々な制度が用意されている |
合格率 | 43%程度 |
留学生率 | 約22 % |
立地環境 | セントジョージ、スカボロ、ミシサガの3つのキャンパスで構成されている。3つのキャンパスとも増改築が進められており、授業は比較的新しい建物で行われている。メインキャンパスであるセントジョージキャンパスはトロントの中心地、ダウンタウンの真ん中に位置し、7つの異なるカレッジがある。キャンパス敷地内に美術館や遺跡、公園、博物館、さらに多くの歴史的建造物などが立ち並び、観光名所にもなっている。市街地は大学を中心に発達しているため、周辺には多数のレストランやショップがあり非常に便利 |
著名な卒業生 | レスター・B・ピアソン氏(カナダ第14代首相・ノーベル平和賞)、フレデリック・バンティング氏(ノーベル生理学・医学賞受賞)、ドナルド・サザーランド氏(俳優)、アグネス・チャン氏(タレント・エッセイスト)、林志玲氏(モデル・女優)など |
公式URL | https://www.utoronto.ca/ |
*1 THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2021」
QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2022」
*2 Times Higher Education「World University Rankings 2021 by subject」より
トロント大学の特徴
校風
1827年にイギリス王室の認可を受けたキングス・カレッジ(King’s College)として創設され、1850年にトロント大学に改称されました。その後、いくつかのカレッジなどが統合され、現在では5 校の「構成」 カレッジと 3 校の「連合」 カレッジを擁し、さらに3校の総合大学、3校の進学カレッジと連携しているという、複数の高等教育機関の連携によって成立している大学となっています。学生総数は約9万人、教職員は2万分以上とカナダ最大、北米でも5番目のマンモス校です。10 人以上のノーベル賞受賞者や、女性宇宙飛行士など世界で活躍する人材を数多く輩出している、カナダを代表する世界的な名門校として知られています。
人気のある専攻
カナダトップを誇る理工学部、法学部、教育学部、経営・商学部、医学部や看護学部など17の学部が設置されています。学部課程のコースは700 以上、大学院は280以上を数え、提供されている学習プログラムは980以上にのぼるなど、プログラムの多様性には定評があります。中でも、人工知能(AI)分野でのディープラーニングの研究が世界的に非常に有名で、多くの研究者が在籍しています。また東アジア研究が盛んな大学としても知られており、東洋学部 (東アジア学部) を設置しているほか、大学図書館から独立した組織が運営する専門の図書館 「東アジア図書館」があります。ほかに心理学、生命科学・薬学、マシンラーニング系にも強いと言われています。
授業の特徴
授業には100から200、300、400までレベルが設定されています。受講できる授業のレベルは主に学年で決まります。200レベル以降の授業をとるためには条件があり、定められた基準を満たしていないと受講することができないカリキュラムになっています。 授業は主に「講義」「チュートリアル」「実技」に分けられます。1年生の場合、講義は100~300人程度の大人数で行われるものがほとんどですが、必ずオフィスアワーで教授に1対1で質問できる時間が用意されています。学年があがるとセミナーなどは少人数で行われます。
メインキャンパスから30kmほど離れたスカボロキャンパスには、カナダで人気のco-opプログラム(職業体験プログラム)があり、単位を取りながらも実務の経験を積むことができます。
施設・設備の特徴
ダウンタウンにある3つのキャンパスを合わせて400ヘクタール以上という広大な敷地には150を超える建物があり、文化財に指定されているような歴史的建造物や、特徴的なデザインで有名な近代的な建築物が、豊かな緑地と調和しています。最も象徴的な建物はカナダで最も古い学生自治施設でもあるユニバーシティ・カレッジ。1853年に建てられたもので、カナダの文化遺産としてカナダ国定史跡に指定されています。
学内には人文・社会科学を中心に450万冊以上の蔵書を持つジョン・P・ロバーツ研究図書館をはじめ、大小さまざまな図書館を40以上有する北米最大規模の大学図書館システムがあります。また、ビクトリアカレッジにある豪華なダイニングホールは、映画「ハリー・ポッター」に出てくるダイニングホールのモデルになっているとも言われています。
学生生活の特徴
イギリス流のカレッジ制をとっており、学生は8つあるカレッジのいずれかに所属します。カレッジにはそれぞれ寮があり、ゲームやスポーツのカレッジ対抗戦が行われます。ほとんどの学生は1年目は寮に住み、2年目から自分でマンションを借りたり、友達とシェアハウスして生活しているようです。また、クラブ数は800以上で活動も盛ん。セントジョージキャンパスには、ソロリティ(sorority)とフラタニティ(fraternity)という「社交」を目的としたクラブがあります。
コロナ禍での授業
トロント大学ではこれまでクラス、ラボ、チュートリアルがオンラインで開催され、学生は必要なコースの単位をリモートで取得していました。
2021年秋学期からは、オンタリオ州の最新の公衆衛生ガイダンスに従って、学生・教職員等をキャンパスに受入れ、対面学習、キャンパス活動、学生サービス等を再開する予定です。対面式の授業を安全に再開するための準備が進められていますが、それによるとCOVID-19感染のリスクが高い活動(スポーツ、音楽など)に参加する学生、教職員、スタッフ、図書館員にはワクチン接種が義務付けられ、接種状況を自己申告することが求められています。
なお、カナダでは学生ビザによる留学生の入国がすでに認められています。新型コロナウイルス(COVID-19)のよる旅行制限等の理由で、2021年9月からの秋学期にカナダに入国できない(キャンパスに来られない)場合は、オンライン学習が利用できるかどうかをなるべく早く大学に確認する必要があります。
合格基準
<トロント大学・学部課程に直接入学する場合>
トロント大学・学部への出願は、OUAC(Ontario Universities’ Application Centre)というオンタリオ州独自の一括出願用Webサイトを通じてオンラインで行います。OUACで自身のアカウントを作成し、志望大学・学部(志望度順)を指定し、必要項目を記入してapplication formを提出します。
●出願要件(日本人の場合):高等学校の卒業証明書
●英語力の主な基準:
- – IELTS 6.5以上 (6.0を下回るセクションがないこと)
- – TOEFL iBT®テスト 100以上(ライティングが22を下回らないこと)
- – Duolingo English Test 120
- – トロント大学語学コース(Academic English Level 60/advancedのBグレード)
●GPA(高校の成績): 学部ごとの最低GPAスコアは公表されていませんが、目安としては下記のようになると言われています。(2018年)
- ・Arts:75-84%
- ・Science:75-91%
- ・Commerce:83-88%
- ・Engineering:85-93%
【参考ページ】:Ontario universities: The minimum grades for getting in|Maclean’s
※専門的な学部(医学、薬学、建築、音楽、エンジニアなど)では、独自の基準が設けられている場合があります。 ※アメリカのSAT®のような標準テストはありません。
<留学生で英語力が基準に満たない場合>
出願する際に提出したアプリケーションで、英語の項目以外はすべて合格基準に達していた場合は、仮入学許可書 (conditional offer)が発行され、トロント大学のファウンデーションコース(International Foundation Program:IFP)を受講することができます(*1)。IFPでは、英語の学習に特化しながらも、大学の学部の授業の一部を先取りして受講することができます。取得した単位は学部に正式入学した後に利用することが可能です。
*1) 対象学部はアート&サイエンス学部、応用科学工学部、建築・景観・デザイン学部、音楽学部。
教育水準が高いことで知られるカナダでトップの位置を占め、世界でも屈指の研究集約型大学であるトロント大学。素晴らしい環境・設備の中で、非常にハイレベルな教育・研究を享受することができます。ただその分、出願に際して求められる学力・英語力などは非常に高く設定されているため、入学は簡単ではありません。とはいえ、そのハードルを超えた先には、魅力あふれる学びが待っているのは間違いありません。十分に準備して、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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【参考記事】:高い教育水準と多様性が魅力!カナダ留学10のメリット
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※この記事でご紹介している内容は2021年8月27日現在の情報に基づいています。