海外大研究シリーズ オーストラリア編① メルボルン大学
いまだ全世界を覆うコロナ禍は終息せず、予断を許さない状態が続く昨今。海外の大学を直接訪問し、自分の目で見てくることがなかなか難しい状況が継続しているため、「海外進学・留学ラボ」では、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめた海外大学研究シリーズをお届けしています。
前回の『アメリカ編』に続き、今回からはオーストラリア編がスタート!初回は160年以上の歴史をもつ名門校・メルボルン大学を取り上げます。オーストラリアのアイビーリーグと言われる “Group of Eight” の1校で、国際的な大学連合である “Universitas 21” 研究機構のメンバーでもあるメルボルン大学の魅力をご紹介します。
メルボルン大学(The University of Melbourne)の基本データ
設立年 | 1853年(オーストラリアで2番目に古い大学) |
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所在地 | ビクトリア州メルボルン |
学部数 | 10の学部 |
学生数 | 学部生:25,000人 大学院生:23,000人 (2019年) |
大学ランキング(*1) | THE:31位 QS:41位 |
主な分野別ランキング(*2) | Clinical and health:11位 Education:17位 Law:11位 Psychology:23位 arts and humanities:31位 |
授業料(*3)と財政援助 |
授業料(諸費用含む):平均すると約30,000~45,000豪ドル 財政援助: 奨学金:様々な学生を対象とした多数の奨学金が提供されている |
合格率 | 約16% |
留学生率 | 約48% |
立地環境 | メインキャンパス(Parkvilleキャンパス)はオーストラリアの「文化的首都」と呼ばれるメルボルン中心街より北側へ約4㎞(徒歩15分程)の市内中心部にある。キャンパス横には路面電車トラムが走る。街にはストリートアート、音楽、劇場などがあふれている。他に、ビクトリア州各地に8つのキャンパスが点在している |
著名な卒業生 | ジュリア・ギラード氏(元豪首相)、ケイト・ブランシェット氏(女優)、ジャーメイン・グリア氏(作家)、ロニー・チェン氏(コメディアン) など |
公式URL | https://www.unimelb.edu.au/ |
- *1)THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2021」
- QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2021」
- *2)Times Higher Education「World University Rankings 2021 by subject」より
- *3)2021年のTuition Feeの平均的な金額
- *4)返済期日は大学の財政援助アドバイザーが決定します。通常、返済期限は6か月以内(該当年度の登録に基づき、それ以前となる場合あり)となります。
- *5)保証人がオーストラリア市民でない/永住権を持っていない場合、または保証人が海外に居住している場合に借りられる金額は最大3000豪ドルで、学生がコースを完了する前にローンを返済する必要があります。保証人がオーストラリア市民または永住者の場合は、ローンの返済をコース終了後にすることができます。
メルボルン大学の特徴
校風
大学のモットーは‘grow in the esteem of future generations’(未来の世代の名声によって、若々しく生きつづける)。また、“committed to creating international outcomes, and to fostering brilliant, innovative and inspiring research.”(国際的な成果を生み出すこと、及び、輝かしく革新的で刺激的な研究をもたらすことへのコミット)をミッションとして掲げています。学生に刺激を与え、挑戦させ、満足感が得られるようなインパクトのある教育を提供し、社会に貢献できるキャリアとスキルを身に付けた人材を育成することに注力しています。
人気のある専攻
ビジネス、教育学、TESOL(英語教授法)、IT、工学、環境学、開発学などが特に人気が高い分野と言われています。また、解剖学、歯学、医学、心理学の分野ではオーストラリア国内でトップクラスの地位を占めています。
授業の特徴
メルボルン大学では、2008年からMelbourne Model(メルボルンモデル)と呼ばれる独自のカリキュラムを導入しています。これは「人間力」を育てることの重要性に着目し、学部レベルで一般的な知識を広く身につけ、更に大学院で専門性を高めるというオーストラリアの大学としては画期的なカリキュラム。学生の自己啓発、リーダーシップ育成などを目指すとともに、授業で身につける学力に加え、実際の社会で通用する力を養うことも目的としています。
メルボルンモデルの大きな特徴は、学部の履修科目が、専門知識を深める履修科目に加え、幅広い学術分野の中から興味ある内容を履修することが義務づけられている点。「Breadth」と呼ばれる主専攻以外の選択科目により、その後の専門的な研究にもプラスになる教養を高めていくことができます。
施設・設備の特徴
メインキャンパスであるパーカービルキャンパス(Parkville campus)は、メルボルン市内の便利な立地ながら広大な敷地を有しており、キャンパス内には8つの病院と研究機関、研究図書館などがあります。とくに図書館が有名で、電子データベースと20以上の言語にわたる3万冊にも及ぶ蔵書を備えています。大学全体で100以上ある研究センターや研究所の多くは、地元や国際的な業界、政府、非営利団体と密接な強力関係を保っています。
学生生活の特徴
学部生・大学院生はどちらも、キャンパス近くの寮に住むことができます。また、学生連合(UMSU)と呼ばれる組織があり、学生の権利を保護·促進する役割を担っています。学生連合の代表は、学生の投票によって選出されます。
コロナ禍での授業
2021年の教育と学習は、以下の3つのデリバリーモードで継続されています。
〇Campus-based:(一部の科目)
オンラインでは提供できないキャンパスまたは別の物理的な場所での活動が不可欠な科目で行われている対面授業です。キャンパスまたは物理的な場所に出席できる学生のみが登録できます。
〇Online:(一部の科目)
完全にオンラインで配信される授業です。すべての学生が登録することができます。
〇Dual delivery:(大部分の科目)
2つのモードで提供されます。キャンパスに参加できる学生向けの混合モード(キャンパスベースの活動と一部のオンラインの組み合わせ)と、キャンパスに参加できない学生向けの完全オンライン配信です。すべての学生が登録することができます。
*どの科目が、どのモードで提供されるかなどの正確な情報は、ハンドブックで個別に確認が必要です。
なお、2021年のほとんどの評価は、キャンパスベースの科目を除いて、オンラインで行われます。
◆新型コロナウイルスの影響で閉鎖されていたキャンパスの校舎建物・施設の再開が順次進められています。オープンした校舎内では接触履歴の追跡を可能にするため、スワイプカードのアクセスが必要になる場合があります。大学の建物が開いている場合、その建物内の学習スペースも学生に開放されています。
◆図書館はすべて開館しています(予約不要・持ち込み可)。また、オンラインで図書館サポート及びリソースの提供が行われており、膨大な数のオンライン資料にアクセスすることが可能です。
◆キャンパス内の飲食店やスポーツ施設も、政府の規制とガイドラインに沿って再開しています。
※メルボルン大都市圏では自宅の外の屋内でフェイスマスクを着用することが義務付けられています(5月27日午後11時59分現在)。
※5月27日(木)午後11時59分~6月3日(木)午後11時59分まで、ビクトリア州全体にサーキットブレーカー(感染拡大を防ぐための短期的な都市ロックダウン)が発動されています。この期間、メルボルン大学はキャンパスベースの活動を一時停止。図書館や学習スペースを含む大学の建物は閉鎖され、リモートでの活動に移行しています。
合格基準
<学部への直接入学>
オーストラリア以外の海外の高校卒業資格を元に、直接学部への入学が可能かどうかが査定されます。Victorian Certificate of Education(VCE)(*6)または 同等の資格を取得することが必要です。
*6)ビクトリア州教育省が発行する証明書、及びそれを取得するためのシステムを指します。ビクトリア州で大学進学を目指す学生は高校最後の2年間(11年生と12年生)で各自の高校卒業後の希望進路に沿った科目を勉強し、最終的に大学希望コース入学の目安となるATAR(Australian Tertiary Admission Rank)のスコアを得て進路が決まります。
●学力の基準:国際バカロレア(IB)ディプロマの最低スコア24~36 または 最低ATARスコア 70~95 など
- ●英語力の基準:(以下のいずれか)
- ・TOEFL iBT®テスト79(W:21/S:18/R:13/L:13以上)
- ・IELTS 6.5(各セクション6.0以上)
- ・Pearson Test of English 全体スコア58以上
- ・PTE communicative skills スコア 50以上
- ・Cambridge English(Advanced/Certificate in Advanced English (CAE))176以上 各スキルが169以上 など
※TOEFL iBT®テスト94以下、IELTS7.0 以下のスコアで入学する学生については、入学時にDiagnostic English Language Assessment (DELA)を受け、その後ランゲージサポートを受けることが薦められています
<ファウンデーションコース>
学部への直接入学資格を満たさない留学生はTrinity College Foundation Studies(TCFS)(メルボルン大学の学部課程への入学が保証されているファウンデーションプログラム)を受講します。日本人のほとんどの学生が、これにあたります。
■日本の高校を卒業した場合のエントリー要件
・高校の成績証明書(関連する科目で平均4)
・英語力 IELTS 6.0(5.5未満のバンドなし)または TOEFL iBT®テスト 70 (18 Writing) または Pearson 50 (42 Writing)
※英語要件を満たしていない場合は、トリニティカレッジのアカデミック英語プログラム(TCAEP)を受講します。
オーストラリアで最も有名な名門大学の1校に数えられ、世界的にも最先端の教育研究を提供していることで高い評価を得ているメルボルン大学。最高の教育・研究環境を求めて、世界中から多くの優れた人材が集まっています。
2008年に導入が始まったMelbourne Model(メルボルンモデル)により、学部レベルでは専門分野以外にも幅広い知識を身につけ、自らの興味・関心を広げられる機会が増したカリキュラムシステムも魅力的。世界各国の優秀な学生と切磋琢磨しながら過ごす大学生活は、非常に刺激的なものとなるはずです。
入学するためには学力・英語力とも高いハードルを超える必要がありますが、それだけの価値は間違いなくある大学の1つ。ファウンデーションコースを経由するなど、自分に合ったルートで合格を目指しましょう。
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※この記事でご紹介している内容は2021年5月28日現在の情報に基づいています。