海外大学進学情報

カナダ留学に必要な渡航準備は?①-入試対策スケジュール編-

コロナ禍の今だからこそできる留学準備をしていくために、このシリーズでは国別の海外大進学・留学に関する情報をお届けしています。今回はカナダシリーズの2回目として、実際にカナダに留学する場合の渡航準備について取り上げます。まずは、カナダの大学に入学するまでのスケジュールをチェック!カナダの大学は9月、1月、5月の入学時期に合わせて申請でき、ほとんどの学生が9月入学を選びます。この日程にあわせてどのように入試~渡航の準備をすればよいのか、必要なプロセスや目安となる時期を知っておくことで、人気の留学先にいざ行きたい!と思った時に慌てずに済みます。

カナダ留学の渡航準備1-入試対策スケジュール編

カナダの留学準備スケジュール

カナダで学士号(Bachelor’s Degree)を取得できる大学の学部課程は、一般的に3~4年間のプログラムですが、州や学科によって制度が異なります。3 年課程の単位取得で一般学士(General Pass Degree)、さらに1年間の課程の単位を取得すると優等学士(Honour’s Degree)(*1)が授与されるパターンや、学士号の種類や就学年数に関係なく必要な単位を取得すれば学位が授与されるパターンなど、様々です。

基本的に、12年間の初等、中等教育(中学・ 高等学校)を修了(*2)した後に大学・学部課程があり、高校の卒業証書を得ることが大学入学への前提条件となります(*3)。学位(学士号)を取得できるのは総合大学(University)と学位授与権のあるカレッジ(College)のみです(カナダ国内に約90校)。

*1) 優等学士(Honour’s Degree)の課程では、常に専攻分野における優れた成績と充分な単位取得が要求されます。一般的に、大学院過程に入学するためには優等学位が必要条件となっています。

*2) ケベック州は、初等・中等教育が計11年のため、大学入学資格を得るためにはCEGEPという短大で2年間学ぶ必要があります。

*3) ただし、多くの大学が高校で特定コースを履修していることを入学条件の1つとしています。

カナダの大学の新年度は9月にスタートし、翌年の4月に終了します。多くが2学期制ですが、中には3学期制をとる大学もあります。2学期制だと秋(9月~12月半ば)と春(1月~4月半ば)に分けた2つのセメスターで、夏休み中の 5~8 月に受講できるプログラム(夏学期)が用意されている大学も多数あります。3学期制だと1学期(9月~12月・クリスマス前まで)、2学期(1月~3月末)、3学期(4月~6月)が目安で、7月~8月は長い夏休みとなるのが一般的です。通常はクリスマスから新年にかけて短期の休みがあります。

入学(admission)は、基本的には学期ごとに可能となっているため、入学時期は期制の大学の場合、9月または1月。3学期制の大学の場合は9月、1月、5月となります。(ただし、大学の学部・学科ごとに入学可能時期は異なる場合があります)

*4) オンタリオ州のみ、州内の大学(学部)の入学申請は共通願書となり、州のオンラインアプリケーション(出願)システムを通じて一括で出願することができます。

<カナダの大学に出願するための主な提出書類の例>

カナダには全国で統一された試験や入学センターのようなものはないため、出願手続きは希望者が個人で直接、志望大学に問い合わせて行うのが一般的です(*4)。入学条件は各大学が独自で決めているため、大学によってそれぞれ入学条件が異なります。入学時に試験はなく、書類審査で合否が決定します。学校やコースによって基準は異なりますが、一般的に高校での成績が重視されると言われています。また、海外からの留学生の場合は入学基準を満たした英語力の証明が必要となります。

  • ●入学願書 (Application Form)
  • ●高校(もしくは最終学歴)の成績証明書 (Transcript of Records)
  • ●卒業証明書 (Diploma) ※出身校で作成してもらう(高校・大学に在学中の場合は、在学証明書と卒業見込み証明書を作成)
  • ●英語能力テストのスコア(TOEFL®テストもしくはIELTS等)

*その他にエッセイや推薦状、財政能力証明書などが必要となる場合もあります。

最近は、願書(application)をオンラインで提出(*5)できるのが一般的になっており、あわせて大学によって指定された必要書類を揃えて出願します。具体的な出願時期や出願方法、提出書類などは大学によって異なるため、必ず希望する大学のホームページ等でしっかり確認してください。とくに出願時期(締切り日)については、大学が所在する州によって大きく変わるので、注意が必要です。

*5) 英語能力の証明書や財政証明書、エッセイ、推薦状などの書類は郵送で大学に送る場合もあります。

カナダの大学に入学するには

カナダの高等教育機関には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

<カナダの高等教育期間の種類>

  • 1)大学(主にUniversity・まれに学位授与権のあるCollegeもあり)【4年制】
  • 2) コミュニティカレッジ(Community College)【2年制】
  • 3) ユニバーシティ・カレッジ(University College)

・コミュニティカレッジは、資格取得のための教育や職業訓練等を提供する高等教育機関で、Diploma (ディプロマ)、Certificate (サティフィケート)などを取得することができます。大学編入プログラムを提供しているカレッジもあり、修了時に準学士号取得+ほぼ全ての単位を大学に移行でき、大学編入後は2~3年で学士号取得が可能です。(学位取得まで合計4~5年)

・ユニバーシティ・カレッジは、近年増加しているカナダ特有の学校。総合大学とコミュニティカレッジの教育の長所を合わせた学部プログラムや、実践面を重視したプログラムを提供しています。4年間学んで学士号を取得(総合大学の学位と同等の学位として認められる)することもできますし、1~2年生の間に取得した単位をもって総合大学へ編入することも可能です。

<カナダの大学に入学するための主な3つのルート>

  • ① 大学(主にUniversity)への直接入学
  • ② 大学への大学への条件付き入学(Conditional Acceptance)
  • ③ コミュニティカレッジ(もしくはユニバーシティカレッジ)からの大学編入

① 学力(成績)と語学力に自信がある場合⇒大学への直接入学
カナダの大学は教育レベルが高く、必然的に入学審査の基準も高く設定されています。直接入学を目指す場合、アメリカにおけるSATのような試験はカナダにはないため、留学生は主にTOEFLやIELTSなどの英語テストスコアと高校の成績で選考されます。大学によって異なりますが、英語力はTOEFL iBT®テストで 80~100程度またはIELTSで6.5以上が必要と言われています。高校の成績も3年間の全科目の平均4以上が必要になるなど、学部課程に海外から合格するのは簡単ではないといえるでしょう。

② 学力(成績)は足りているが、語学力は不足している場合⇒大学への条件付き入学
高校の成績は基準を満たしているけれど英語力が足りない場合、条件付き入学(Conditional Acceptance)という制度を設けている学校もあります。これはまず仮入学許可をもらい、入学前に集中的に大学付属の英語プログラムやESL(English as a Second Language)コース〔留学者向けの英語コース〕などで英語研修を受講、規定のレベルまでスコアを上げれば入学が認められる仕組みの制度です。最初の 1 年は語学学習主体の授業を受けつつ、並行して基礎教養の単位を一部取得し、2 年次から大学の本科の受講を開始するパターンなどもあります。

※すべての大学に条件付き入学制度があるわけではありません。

③ 学力(成績)、英語力ともに不安がある場合⇒コミュニティカレッジからの大学編入
まずはコミュニティカレッジの大学編入コースに入学。コミュニティカレッジは入学基準が大学より低めに設定されており、TOEFL iBT®テストで71~ 80またはIELTSで6.0~6.5程度のスコアが取得できており、高校卒業資格があれば入学が可能と言われています。2年間のカリキュラムで、英語力をしっかり身につけつつ大学の1,2年次で学ぶ一般教養課程の単位を取得し、大学・学部の2年~3年次に編入を目指します。

高校卒業⇒カナダの大学入学を目指す場合のスケジュール目安

カナダの大学の出願受け付けは、秋学期(9月)に入学する場合、通常前年の9月末にスタートします。出願期限は、州や大学によってかなり異なります。オンタリオ州(州の共通システムで出願)は2月下旬であることが多いですが、他の州はほとんどの大学がそれぞれで締切日を決めています。一般的に出願期限は1月中旬~5月下旬までの間で設定されています。

ただ、出願書類の準備→出願までは余裕を持ったスケジュールで行うことをおすすめします。入学する学期が始まる8〜12か月前には願書を提出するのが目安です。たとえば、秋学期(9月)に入学を希望する場合、出願期限に関わらず、できれば前年の12月頃までには出願書類の提出を完了しておきたいところです。

出願から1~2か月かけて入学審査が行われ、合格すると正式な入学許可証(または入学内定書)が送られてきます(4~6か月かかる学校もあります)。

※大学からの入学許可証が届いたら、学生ビザを申請することができます。

【スケジュール目安】

<高3の4月~夏休み中>

・興味がある大学や学部の情報収集/各大学への資料請求・入学資格や条件のチェック
⇒大学の入学条件と自分の学業成績、英語力などから、自分に合ったルートもあわせて検討

  • ・TOEFL®テスト、IELTSなどの英語テストに向けた勉強、受検
  • ・提出書類にエッセイがある場合は下書きをして、推敲を重ねる
  • ・高校のテストで良い成績を取れるよう力を入れる

<高3の9月ごろ>

  • ・志望大学の絞り込み(3~5校程度)
  • ・各大学の出願書類の準備
  • ・エッセイの推敲→執筆を繰り返す(可能であれば英語の先生などに添削してもらう)
  • ・TOEFL®テスト、IELTSなどの英語テストを受検

<高3の10月ごろ>

  • ・【オンライン出願の場合】オンラインの願書(アプリケーション)を記入して申請する
  • ・エッセイの仕上げ
  • ・TOEFL®テスト、IELTSなどの英語テストを受検

<高3の11月~12月ごろ>

・必要な書類をすべて揃えて提出する

<高3の1~2月ごろ>

※12月までに出願できなかった場合は、出願期限に間に合うように出願
※早く出願した場合は、出願期限前でも合格の通知が届くことあり

<高3の3月~卒業後の5月末ごろ>

・入学許可証が送られてくる
⇒カナダ大使館に学生ビザを申請(3週間~2か月程度かかることがある)

<学校スタートの2~3か月前>

・航空券の手配
・海外旅行保険の申込み(必要な場合)

<渡航の1か月~2週間前>

・荷物の準備
・日本出発前の公的機関手続き(海外転出届け/住民税/国民健康保険/国民年金など)

≪ルートごとの渡航スケジュールの目安≫

■大学の春学期(1月)に入学する例

<高3の3月まで>
・志望大学の絞り込み⇒出願書類の準備
・英語の勉強⇒TOEFLなどで基準スコアを取得できるまで受検

<卒業後の4~5月>
・出願

<卒業後の6月~7月>
・進学先決定
・学生ビザの申請

※渡航までは日本国内の英会話学校等で英語を磨く

<卒業後の12月末ごろ>
渡航

<翌年1月>
・大学入学(1年次)

■大学に条件付き入学許可で進学する例

<卒業後の9月>
渡航⇒大学付属のESLコース入学

<卒業後の12月>
・英語力の基準をクリア

<翌年1月>
・大学入学(1年次)

※大学付属のESLは、基本的に大学と同じ学期で運営されており、学期開始時にしか入学できません。また、受講は1学期単位が基本となります。

●コミュニティカレッジ⇒大学編入の例

<卒業後の9月>
・渡航⇒コミュニティカレッジ(大学編入コース:2年間)入学

<翌々年4月>
・コミュニティカレッジ卒業(大学編入コース修了)

<翌々年7月>
・大学2年次または3年次に編入

現時点(2021年4月19日現在)では、カナダは学生ビザによる留学生の入国が許可されていますが、世界的に見ればいまだ新型コロナウイルスの感染状況は予断を許しません。今後、どのようなことが起こるか不透明な部分もありますし、状況によっては留学や渡航に関わる大きな動きがあることも考えられます。カナダ政府や各大学のホームページなどで、常に最新の情報をチェックしていくことが大切です。

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【参考ページ】:コロナ禍の留学NEWS|海外進学・留学ラボ

次回は、カナダへ渡航する場合にマストとなる手続きについて取り上げます。お楽しみに!

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※この記事でご紹介している内容は2021年4月23日現在の情報に基づいています。

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