海外大学進学情報

カナダの大学選び〜ベストな志望大をみつけるチェック方法〜


海外進学・留学ラボでは、コロナ禍の今だからこそできる留学準備をしていくために、国別の海外大進学・留学に関する情報をシリーズでお届けしています。今回からは、カナダシリーズがスタートです!カナダでは2020年末に留学生の渡航制限が緩和されたことで、現時点ですでに渡航を前向きに考えられるようになっています。そんなカナダについて、まず取り上げるテーマは「大学選び」。大学ランキングなどのデータに加え、「カナダならでは」の判断基準にも注目し、「自分にとってベストな大学」を選ぶ観点をご紹介します。

カナダの大学選び-ベストな志望大をみつけるチェック方法

◆カナダの大学を選ぶ観点◆

多民族国家のため多様性が尊重される環境、訛りの少ない美しい英語が身につくこと、フレンドリーな国民性、治安の良さなどで、根強い人気の留学先・カナダ。新型コロナウイルスの感染状況などをしっかりと見極めつつ、留学の実現を考えていきたいところです。カナダで、自分に合った大学選びをするための観点をご紹介します。

なお、カナダで学位(学士号)の授与権を持つ高等教育機関は、学部・大学院の両課程をもつ大規模な4年制総合大学(University)のほかに、一部のカレッジ(College:学部重視の比較的規模の小さい大学)や、4年制大学とコミュニティ・カレッジの教育の長所を合わせたプログラムを提供するユニバーシティーカレッジ(University College)がありますが、今回は4年制の総合大学に絞って情報をお届けします。

※2020年10月2日に、カナダ政府はコロナウイルス感染拡大防止に伴った渡航制限の緩和を発表しました。2020年10月20日以降、留学生はコロナ対策が実施されていると認定された教育機関であれば入国が認められるようになっています。

□大学ランキングをチェック!

英語とフランス語の2か国語を公用語とするカナダは、世界的にも教育水準が高いことで知られています。連邦制をとっているカナダでは、教育も各州・準州による管轄となっており、それぞれの州政府(教育省)が教育の制度や質、カリキュラム等をしっかりと管理しています。カナダ国内に4年制大学は100校ほどありますが、そのほとんどが公立(州立)大学のため、教育の水準が均一的で大学間のレベル差があまりないのがカナダの教育の大きな特徴と言えます。

イギリスのグローバル企業「Quacquarelli Symonds(QS)」が発表した2021年版のQS世界大学ランキングでは、ランク入りした全1,186校のうち、カナダの大学は26校。そのうちトロント大学(University of Toronto/25位)、マギル大学(McGill University/31位)、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia/45位)の3校はTOP50に入っています。
また、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が発表している「THE世界大学ランキング<2021年版>」を見ても、ランク入り全1,526校の中で30校がカナダの大学。うち、TOP200には8校がランクインしており、上位5校は権威ある100位以内にランクされています。最上位のトロント大学(University of Toronto/18位)をはじめ、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia/34位)、マギル大学(McGill University/40位)などが非常に高い順位を獲得しており、日本のトップが36位の東京大学であることを考えても、大学教育および教授陣の質の高さは世界でもトップクラスの評価を受けていることがわかります。

また、QSやTHEの大学ランキングが大学選びの際に参考になるのは、総合順位だけでなく、それぞれの大学の細かなデータ等が発表されている点。各ランキングの順位を算出するのに用いられた指標ごと・分野ごとの数値などから、各大学の「得意分野」を見極めていくことができます。気になる大学が高い評価を得ている「指標」(教育環境、国際性など)に注目してみてもいいですし、逆に自分が興味ある「学問分野」ではどのような大学が評価されているのかと調べてみるのもよいでしょう。指標や分野など詳細なデータを検討材料に加えることで、各大学をまた違った角度から見ることができるはずです。

<カナダの大学ごとに「強い」学問分野の例>

広大な国土を持つカナダだけに、大学ではそれぞれの州の特色を活かした学問や地元産業と結びついた共同研究が盛んに行われているため、州や大学ごとに強みとしている分野はかなり異なります。

■州ごとの産業の例

  • 〇ケベック州:ビジネス、宇宙工学、IT、農業など
  • 〇オンタリオ州:鉄鋼、政治、金融、食品、ビジネス、IT、音楽、製造業
  • 〇サスカチュワン州:農業、天然資源(原油、天然ガス、カリウム、ウラン)
  • 〇アルバータ州:天然資源(鉱物、石油)、地質、工学、農畜産業など
  • 〇ブリティッシュコロンビア州:ビジネス、メディア、環境、林業、観光など
  • 〇海沿いの州:海洋資源

■州の産業などと結びついた大学の学問分野の例

  • 〇マギル大学(ケベック州):航空宇宙工学、環境・生態学、精神医学・心理学、神経科学・行動科学
  • 〇トロント大学(オンタリオ州):臨床医学、神経科学・行動科学、心理学、生物学、バイオテクノロジー
  • 〇サスカチュワン大学(サスカチュワン州):農業・バイオリソース、生物学、環境学
  • 〇アルバータ大学(アルバータ州):地質学、環境学、化学、微生物学、農学
  • 〇ブリティッシュコロンビア大学(ブリティッシュコロンビア州):森林学・植物学、環境保全学、農学、エネルギー、サステナビリティ、コンピュータサイエンス、公衆衛生

□留学するための基準が満たされている学校かをチェック!

① DLIであること

DLIとは、「Designated Learning Institution」の略で、カナダ政府によって留学生を受け入れることを承認された指定教育機関(大学、語学学校など)のことです。DLIには、すべて英文字の”O”から始まり10桁以上の数字が連なる独自の番号が、カナダ移民局(IRCC)により振り当てられています。学生ビザ発給の際は、DLIから入学許可をもらっていることが必要となります。言い換えれば、DLI番号がない(DLIに承認されていない)学校では学生ビザの発給がされないため、必ずDLIを取得している大学から選択しましょう。

◇DLIはIRCCのサイトで確認!
【参考ページ】:Designated learning institutions list|Canada.ca

<注意>

※ただし、現在は指定教育機関(DLI)の中でも、COVID-19 Readiness Plan(新型コロナウィルス感染症対策計画)が州政府に承認されていないと、留学生の受け入れ(入国)ができません。
※2021年4月12日現在、新型コロナウィルスの影響によりカナダの国境封鎖は継続していますが、2020年10月20日より学生ビザでの入国は条件付きで可能になっています。留学生が学生ビザで入国できる条件は、下記の通りです。

【条件】
・通学予定の学校のCOVID-19 Readiness Plan(新型コロナウィルス感染症対策計画)が州政府に承認され、IRCC(移民局)のリストに掲載されていること
・その学校の就学許可証を保持していること
* 入国後の14日間の自己隔離は義務

◇OVID-19 readiness planが承認されているDLIは下記のサイトで確認!
【参考ページ】:Coronavirus disease (COVID-19): Designated learning institutions reopening to international students|Canada.ca

② Universities Canadaのメンバーであること

カナダには大学・学士過程の学位(Degree)を取得できる大学(University)が約90校あります。学士号が授与できる大学としての品質は、州政府から設立認可(charter)を受けていること、およびUniversities Canadaの一員であることによって保証されている、と考えておおむね間違いありません。Universities Canadaは1911年にカナダ大学連盟(Association of Universities and Colleges of Canada〔AUCC〕)として設立された非政府の協会組織で、97の公立および私立の非営利の大学が会員となって構成されています。大学が協会の会員になるためには、厳格な基準を満たし、さらに5年ごとにその基準の再確認が必要という、徹底した品質保証の原則を遵守しなければならず、この制度によってカナダの大学の学位の質が保たれています。カナダで学士号を取得したい場合は、留学しようと思っている学校がUniversities Canadaの加盟校であるかを念のためチェックしましょう。

【参考ページ】:Universities Canada

□学びたい研究が決まっているなら「U15」をチェック!

総合的な研究大学が多いカナダ。オーストラリアにおけるGroup of Eight (Go8)のような、トップクラスの学術研究を行う大学グループがカナダにもあります。「U15」と呼ばれるグループで、カナダ各地の優れた学術研究を行っている15の有名大学で構成されています。それぞれの大学で最先端の研究・リサーチを行いつつ、グループとして研究環境を整える提言をしたり、企業や政府機関との連携を強め、研究成果をカナダの社会や経済に活かしています。<br< U15には優秀な研究者や学生が集まっているうえ、多額の研究資金や設備の整った研究施設も備わっています。学びたい学問・研究の分野が決まっているなら、U15の大学の中から検討してみるのも良いでしょう。

<U15を構成している大学>

  • ●アルバータ大学(University of Alberta)/アルバータ州
  • ●ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)/ブリティッシュコロンビア州
  • ●カルガリー大学(University of Calgary)/アルバータ州
  • ●ダルハウジー大学(Dalhousie University)/ノバスコシア州
  • ●ラヴァル大学(Université Laval)/ケベック州
  • ●マニトバ大学(University of Manitoba)/マニトバ州
  • ●マギル大学(McGill University)/ケベック州
  • ●マックマスター大学(McMaster University)/オンタリオ州
  • ●モントリオール大学(Université de Montréal)/ケベック州
  • ●オタワ大学(University of Ottawa)/オンタリオ州
  • ●クイーンズ大学(Queen’s University)/オンタリオ州
  • ●サスカチュワン大学(University of Saskatchewan)/サスカチュワン州
  • ●トロント大学(University of Toronto)/オンタリオ州
  • ●ウォータールー大学(University of Waterloo)/オンタリオ州
  • ●ウエスタンオンタリオ大学(Western University)/オンタリオ州

□キャンパスの立地をチェック!

留学期間中は、大学のキャンパスやその周囲の街でほとんどの時間を過ごすことになります。キャンパス周辺の環境は留学の充実度・満足度を左右する非常に大きなポイントになるだけに、あらかじめしっかりチェックしておきたいものです。
世界第2位の広さの国土を持つカナダは、「移民国家」でもあります。国内最大の都市トロントでは人口の約半分を移民が占めているなど、国民の5人に1人がカナダ以外の生まれという多様性にとんだ国。そのため国全体として、外国人を含めた多様なバックグラウンドを持つ人々が受け入れられやすい土壌があると言われています。

ただ、国土が広大なため都市によって風土や気候、雰囲気などにはかなりの違いがあります。バンクーバーやビクトリアがあるブリティッシュコロンビア州は、太平洋に面していて比較的、温暖な気候。ですが、秋から冬にかけてバンクーバーは長い雨期に入るため、雨が多い時期が約半年間続きます。
それに対し、トロントのあるオンタリオ州や、モントリオールのあるケベック州などは冬の寒さが厳しく、雪もたくさん降ります。10月ごろから4月ごろまで長い冬が続き、日照時間も短めですが、トロントなどは 活気ある国際都市として大きく発展しています。

また、カナダでは公用語が英語とフランス語となっており、とくにケベック州はフランス語を話す人々が多く住んでいます。モントリオール(公用語はフランス語)などフランス文化圏の影響を色濃く受けている街もあり、その気になれば英語とフランス語を両方学ぶこともできます。

留学先にカナダを選んだ先輩体験談

留学先の候補はイギリスとカナダ
高校卒業後に直で進学できることが決め手に!

H. K.先輩
トロント大学(University of Toronto) 卒業

留学は英語圏に行きたかったのですが、アメリカには興味がなかったため、イギリスかカナダに絞りました。日本の高校からイギリスの大学への進学には国際バカロレア(IB)をとっていることが必要と聞き、IBがなくても直で進学できるカナダに決めました。

▼カナダの留学について詳しく知りたい方は、こちらもチェック!

【参考記事】:高い教育水準と多様性が魅力!カナダ留学10のメリット

【参考記事】:お国柄が出る? ユニークな学部・学科を持つ大学 ~カナダ編~

【参考記事】: こんなに違う! オーストラリアとカナダの大学教育制度を徹底比較

次回は、カナダへ渡航する場合のスケジュール目安について取り上げます。お楽しみに!

ベネッセでは、グローバルな進路を実現する多様な学習プログラムをご用意しています。丁寧な個別カウンセリングをもとに、あなたの希望に合わせた、「あなただけの海外留学・進学」をプロの知識と経験でしっかりサポートします。

「カナダ進学に興味がある!」
「学校選びから渡航手続きまでサポートを受けたい!」
という方も遠慮なくご相談ください。

お問い合わせはこちら

※この記事でご紹介している内容は2021年4月16日現在の情報に基づいています。

LINE UP

海外、国内を問わず、グローバルな進路を実現する
学習プログラムをご用意しています