オーストラリア留学に必要な渡航準備は?② ー渡航のマスト手続き編ー
コロナ禍の今だからこそできる留学準備をしていくために、国別の海外大進学・留学に関する情報をお届けしているこのシリーズ。前回に引き続き、オーストラリア留学に必要な渡航準備について取り上げます。
今回のテーマは「オーストラリアに渡航する際に必ず必要になる手続き」です。留学生も含め、オーストラリアに入国・滞在する場合には、例外なく取得しなければならない「ビザ」に焦点をあてて、特徴や申請方法などをまとめます。スケジュールとあわせ、注意すべきポイントなどをチェックしておくことで、いざ留学するときの渡航準備も落ち着いて進められるはずです!
オーストラリア留学に必要な「ビザ」に関する書類・手続き
オーストラリアに入国するためには必ずビザ(査証)が必要になります。オーストラリアで学ぶための留学生向けビザ(Subclass〔サブクラス〕を含む)は複数あり、留学の期間や通う学校、学び方によって必要となるビザが異なります。
<オーストラリアで学ぶための主なビザ>
◆オーストラリアの語学学校・大学・TAFEなどで3か月以上の就学を希望する場合:「学生ビザ (Student Visa)」
◆ワーキングホリデーを利用する場合:「ワーキングホリデービザ(Working Holiday visa)」(最長1年間の滞在が認められ、最長17週間の就学が可能)
◆短期の語学留学など:「ETAS(Electronic Travel Authority System)」(3か月までの短期の観光やビジネス、学習等を目時としたで電子ビザ)または「観光ストリームビザ(Tourist stream (apply in Australia))」(最大で12か月間滞在でき、そのうち最大3か月間勉強することが可能な観光ビザ)
3ヵ月未満の短期滞在の場合はETASなどの観光ビザ、それ以上の期間になる場合は学生ビザやワーキングホリデービザで入国する必要があります。どのビザが必要になるかは滞在期間や個人の状況に合わせて変わってきますが、大学(学部)で学ぶことを目指す長期の留学生向けの一般的なビザは「学生ビザ(Subclass 500)」となります。
学生ビザ(Subclass 500)の申請について
■主な特徴
- ・オーストラリアの政府認定機関で最長5年間勉強することが可能
- ※ただし、フルタイム〔週20時間以上〕のコースの受講のみ(パートタイム・通信制のコースは認められない)
- ※コース期間修了後、1-2か月程度の滞在が認められている
- ・2週間に40時間まで就労可能(原則として、履修コース開始前の就労は禁止)
- ・ビザの保持には一定の出席率(各学期の80%)を保つことが条件
- ・平均とされる学業成績を保つ必要がある
- ・同じコースを2度以上就学しない
■主な申請の要件
- ・6歳以上であること
- ・学生ビザの規則を理解していること
- ・十分な資金の用意があること(オーストラリアでの就学・滞在にかかる学費や生活費、旅費をすべて賄えるだけの資金があることが求められる)
- ・入学先がオーストラリア政府に認定された教育機関であること(就学期間は12週間以上)
- ・政府認定機関からの入学許可証(COE)があること
- ・英語能力の要件
- ・心身ともに健康状態が良いこと(日本国籍の留学生は原則として健康診断が免除されているが、他国への渡航歴やビザの種類によっては、健康診断の受診を求められる場合がある)
- ・海外学生健康保険(OSHC)に加入していること
- ・GTE(Genuine Temporary Entrant)〔英文〕を作成し提出すること(英文)
■申請方法
日本国内からは、ImmiAccountを通じてオンラインで申請を行います。
<オンライン申請時に必要となる主なもの>
- ・パスポート:(留学予定期間以上の有効期間があることが望ましい)
- ・入学許可証(COE)番号:(入学手続き後に発行される入学許可証に記載されている番号)
- ・海外学生健康保険(OSHC):(学生ビザの期間中は加入することが義務づけられている)
- ・クレジットカード:(オンライン申請時の支払いに使用。本人名義でなくても可)
- ・メールアドレス(移民局との連絡はメールで行うためメールアドレスが必要。パソコンのメールアドレスが望ましい)
- ※申請時に添付書類のファイルをアップロードする等の作業があり、また申請後に移民局からPDFファイルが送られてくるため、申請はパソコンから行ったほうがよい
<申請受付時期>(日本国内からの申請)
コース開始日より、4ヶ月前(124日前)から受付
<申請料金>(日本国内からの申請)
620豪ドル
※クレジットカード支払いの場合、別途利用手数料がかかります。
<申請手順の概要>(日本国内からの申請)
1) オーストラリア政府移民局のホームページから、ImmiAccountを作成する
※作成したアカウントのユーザー名とパスワードは必ずメモしておくこと
【参考ページ】:ImmiAccount|Australian Government Department of Home Affairs
2) 登録したメールアドレスに届いたオーストラリア政府移民局からのメールを確認し、メールアドレスの認証を行う
3) 作成したImmiAccountにログインする
4) My applicationsからビザのタイプを選択する
※【Student】の【Student Visa (500)】をクリック
5) 画面の案内に従って進む(利用規約を読み、同意する)
6) 「Application context(申請者の状況)」「Primary applicant (個人情報)」など、画面の指示に従い、必要事項をすべて順番に入力していく(途中、確認画面が表示されるのでチェックしながら進む)
7) 必要書類を添付する(Attach documents)
※海外学生健康保険(OSHC)の加入証明、パスポート、GTEの基準を満たす証明書(学歴などを証明する書類、レジュメなど)のファイルを添付
※すべての書類はカラーでスキャンまたは写真撮影してファイルにすること
8) 申請を送信する(Submit Application)
9) 申請料を支払う(Application charges)
※クレジットカードはVisa、MasterCard、 American Express、Diners Club、JCBが使用可能
※クレジットカード以外に、デビットカード、PayPal、銀聯(UnionPay)、BPAY(オーストラリアの銀行口座のみ)での支払いも可
※支払いが成功すると、レシート番号が表示される
10) ビザ申請の結果がメールで届く
※Visa Grant Notification(ビザ発給通知書)が添付されているので、印刷し、渡航の際にコピーを携帯すること
※取得した学生ビザはパスポートとリンクしているため、パスポートにビザラベルを貼る必要はない。ビザの詳細は移民局のVEVOのページで確認が可能
【参考ページ】:VEVO for Visa Holders|Australian Government Department of Home Affairs
※ビザ発給までに、状況によっては追加で書類の提出を求められたり、質問への回答を求められることがあるため、移民局からのメールを見落とさないように注意すること
<ビザ発給までにかかる時間>
移民局の状況により、発給までにかかる時間は異なります。人によって数週間から数か月と時間に幅があり、オーストラリア政府移民局はオーストラリアの教育機関でのコース開始の少なくとも6週間前には申請するよう促しています。日本国籍者の場合は比較的早く発給されると言われていますが、時間に十分な余裕をもって申請することをおすすめします。
※ビザの取得条件や取得方法など、ビザに関する規定は毎年のように改正が行われていますので、オーストラリア政府移民局のWebサイトで常に最新情報をチェックするようにしてください。
【参考ページ】:Immigration and citizenship|Australian Government Department of Home Affairs
資金証明について
学生ビザの申請条件として「充分な資金があること」と指定されていますが、具体的には「オーストラリア留学中の学費や生活費、渡航費用等に困らないだけの資金」ということになります。日本国籍の場合、ビザの審査を行う仕組み(SSVF)で定められた国籍リスクが低いため、現状ではビザ申請時に資金証明書類の提出は必要とされません(それらの費用をどう賄うかをアプリケーションに記入するのみ)。
※ 日本国籍の場合、同様に国籍リスクによる規定で、英語力証明の書類提出の必要もありません。
「GTE(Genuine Temporary Entrant)」について
学生ビザを取得するためには、GTE(Genuine Temporary Entrant)の要件を満たす必要があります。GTEはオーストラリアに住むことを目的としているのではなく、質の高い教育を受けるために一時的にオーストラリアに来ていることを示すためのもの。いわば、正当な理由で学生ビザが使用されるかを審査するための書類で、自身がGTEの要件を満たしている理由を英語で書いて提出します。近年の学生ビザ申請ではGTEの内容が重視されており、要件を満たさないと判断された場合はビザ申請が却下されることもあるようです。
GTEには、オーストラリアへの留学の目的、学校を選んだ理由、コースを選択した理由、留学して学ぶ内容、学んだことが帰国後の将来のキャリアにどんな影響を与えるかといったことを詳細に書くことが求められます。また、これまでの経歴・達成した成果がこれからオーストラリアで学ぶこととどう繋がっているかや、自分や家族の経済状況なども書くと良いとされています。記入した内容を補足・証明する資料として、別に書類を添付することも推奨されています。なぜオーストラリアに留学するのかを細かく、具体的に書くことが大切になりますが、何よりも「本当に学業が目的で、学生ビザを申請している」ことが伝わることを第一に考えると良いでしょう。
【参考ページ】:Genuine temporary entrant requirement|Australian Government Department of Home Affairs
「海外学生健康保険(OSHC)」について
オーストラリア政府は、ベルギーまたはノルウェーからの学生を除くすべての留学生が学生ビザでオーストラリアに滞在する場合、海外学生健康保険(OSHC)に加入することを義務付けています。そのため、学生ビザの申請はOSHC(Overseas Student Health Cover:海外留学生用保険)に加入していないとできません。(申請時のアプリケーションに、加入している健康保険会社名・保険証券番号などを記入する必要があります)
OSHCはオーストラリア政府に認定された保険会社5社のみが提供しています。基本的な補償内容はすべて同じですが、歯科治療や眼科治療等の追加プランなどの各種サービスが異なる場合があります。
■海外学生健康保険(OSHC)の加入方法■
通常は、オーストラリアで入学予定の学校を通じて申し込みます。入学申込み時に、同時に申し込み手続をするのが一般的です。ただ、学校によって契約している保険会社が違うため、希望とは違う保険会社になってしまう可能性もあります。学校を通じて申込みを行わなかった場合、または入学予定の学校が契約している保険会社とは別の保険会社で申し込みたい場合などは、自分で直接申し込むことも可能です。
<OSHCを提供している保険会社>
※注意※
2021年3月29日現在、オーストラリアでは学生ビザ保持者を含む海外からのすべての渡航者の入国が禁止されています。現時点では入国規制の期間は定められていませんが、今後、規制は段階的に解除されていくことが発表されています。オーストラリアへの渡航に関しては、オーストラリア政府からの公式発表を注視しながら、慎重に計画することをおすすめします。
次回からは、カナダシリーズを予定しています。お楽しみに!
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※この記事でご紹介している内容は2021年4月2日現在の情報に基づいています。