海外大学進学情報

オーストラリアの大学選び〜ベストな志望大をみつけるチェック方法〜

「コロナ禍でも海外留学をあきらめたくない!」「今はまだ、好きな国に自由に渡航して思いっきり学べる状況ではないけれど、コロナが落ち着けばチャレンジしたい!」…そう思っている方も多いでしょう。来るべきその時のために、今は多くの情報を集めて検討し、納得いく留学に向けてしっかり力を蓄えるときです。「海外進学・留学ラボ」では今だからこそできる留学準備のために、国別の海外大進学・留学に関する情報をシリーズでお届けしていきます。

まずはオーストラリアシリーズ!今回は「大学選び」に焦点を絞ります。大学ランキングはもちろん、そのほかの「オーストラリアならでは」の判断基準にも注目すると、「自分にとってベストな大学」を選ぶ基準が見えてくるはずです。

オーストラリアでベストな志望大学選び

◆オーストラリアの大学を選ぶ観点◆

多国籍で多様性のある文化、留学生の受け入れ態勢、豊かな大自然、治安の良さなどから、日本でも人気の留学先であるオーストラリア。コロナが落ち着いたら「オーストラリアで学ぶ!」と決めた方に向けて、自分に合った大学選びをするための観点をご紹介します。

□大学ランキングをチェック!

オーストラリアの教育は、世界ランキング上位に多くの大学が入るほど、全体的に質が高いことで定評があります。国内にある43の大学のうち、39校が国公立大学(国立1校・公立38校)で、教育の質や教育設備が厳しく管理されています。

イギリスの高等教育誌「Times Higher Education(THE)」が発表している世界大学ランキングを例にとると、2021年版では、オーストラリアは全部で37大学がランクイン。国内にある大学の約86%が、世界でもトップクラスと認定されていることがわかります。そのうち6校は、最上位となる31位のメルボルン大学を筆頭に、権威ある100位以内にランクインしています。ちなみに日本は2021年版で116校がランクインしていますが、日本にある大学がおよそ780校なので、ランクインの割合は15%にとどまっています。日本のトップは東京大学の36位とそれほど差はありませんが、トップ100には2校のみのランクインに留まっていることを考えれば、オーストラリアの大学のレベルの高さがうかがえるでしょう。

また、大学選びのために大学ランキングを見る場合は、総合順位だけでなく、大学ごとの「得意分野」を見ることが有効です。THEやQS(Quacquarelli Symonds)などの世界的に認められた大学ランキングではそれぞれ、指標ごと・分野ごとなど、詳細なデータも発表しています。各大学が高い評価を受けている「指標」(教育環境や国際性など)や、「学問分野」などに注目して見てみると、総合順位だけではわからない、様々な角度から大学を捉えることができます。ぜひ1度チェックしてみましょう。

<オーストラリアが独自で「強い」分野の学位の例>

●観光・ホスピタリティ
:観光が主要産業の国家であるため

●環境科学
:自然豊かな環境で、ユニークな野生生物も多いため

●地球科学
:石炭、ガス、ウラン、天然ガスその他の様々な鉱物鉱物が豊富であるため、鉱業、冶金学、石油・ガス工学、地質学などの専門的な学問が発達

●農学
:広大な国土を背景に、林業、農業、バイオサイエンスなどの学問の需要が高い

●建築学
:様々な自然環境を考慮し、エネルギー効率が高く、景観への影響が最小限である住宅や企業を設計することが重要となっているため

●コアエンジニアリング(土木・構造工学、建設関連)
:オーストラリア全土に、建築、不動産、運輸、水と海洋、エネルギーと資源、環境工学等の分野で計り知れないほど大規模な研究機会がいまだほぼ手つかずで残っている

□教育の質指標(QILT)をチェック!

オーストラリア政府は、Social Research Centreの協力のもと、オーストラリアの高等教育の開始から就職までの学生のライフサイクルを対象とした「学習と教育のための品質指標(Quality Indicators for Learning and Teaching:QILT)」を作成しています。
QILTは「学生の経験」「卒業生の雇用」「卒業生の満足度」「雇用主の満足度」を指標として測定した、オーストラリア独自の調査。「Research(研究)」や「Citations(被引用論文)」などの指標が重視されているTHEやQSの大学ランキングとは異なり、学生や卒業生の体験をもとにした、教育の質や、雇用される能力、キャリアに関する成果などの側面から大学を評価したデータとなっています。実際にその大学に通った学生の満足度などを知ることができるので、大学選びの参考情報の1つとしてチェックしておきたいデータです。

【参考ページ】:Quality Indicators for Learning and Teaching|Social Research Centre Pty Ltd

□大学がどのネットワークに属しているかをチェック!

世界には、複数の大学が研究や設備などのリソースを共有するなど、様々な協力関係を築いている大学ネットワークがあります。アメリカの「アイビーリーグ」と呼ばれる私立の名門大学のグループや、イギリスの「ラッセルグループ」と呼ばれる公立の研究型大学で構成された大学群などが世界的に有名ですが、オーストラリアにもいくつかの大学ネットワークが存在します。このような大学群は、グループとしてビジョンを共有しているため、大学の特徴を理解するのに役立ちます。気になる大学がどんなグループに属しているか、チェックしてみるのも良いでしょう。

オーストラリアの主要大学ネットワークは以下の3つです。

Group of Eight (Go8)

医療や科学技術などの分野の研究に重点を置いた8つの大学で構成される大学連盟。オーストラリア全土でもトップレベルの教育を提供している主要な名門大学8校であるため、オーストラリアのアイビーリーグとも言われ、国際的にも知られています。アメリカ・アイビーリーグが私立大学群であるのに対し、GO8は国公立大学群で、8つの大学を合わせると毎年約60億オーストラリアドルが研究に費やされています。8大学は互いに協力しあって教育やリサーチなどを強化するともに、各大学の学生同士の相互交流や、政府への政策提言等を行っています。

<加盟大学>
・メルボルン大学(University of Melbourne)/メルボルン
・オーストラリア国立大学(Australian National University〔ANU〕)/キャンベラ
・シドニー大学(University of Sydney)/シドニー
・クイーンズランド大学(University of Queensland〔UQ〕)/ブリスベン
・西オーストラリア大学(University of Western Australia 〔UWA〕)/パース
・アデレード大学(University of Adelaide)/アデレード
・モナシュ大学(Monash University)/メルボルン
・ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales〔UNSW〕)/シドニー

Australian Technology Network (ATN)

科学・技術・工学などの教育に特に力を入れている大学のグループ。大学間での戦略的パートナーシップを構築し、テクノロジー産業や地域社会の期待に応えるソリューションベースの研究を行っています。就職を重視した実用的な教育に力を注いでいるため、各業界との繋がりも強く、卒業後の就職率はオーストラリア国内トップクラスとなっています。

<加盟大学>
・ディーキン大学(Deakin University)/メルボルン
・カーティン大学(Curtin University)/パース
・RMIT大学(RMIT University)/メルボルン
・南オーストラリア大学(University of South Australia 〔UniSA〕)/アデレード
・シドニー工科大学(University of Technology Sydney)/シドニー

Innovative Research Universities(IRU)

オーストラリアでの高等教育の成果を高めるための共同ネットワークとして設立され、優れた教育、学習、研究を提供することに取り組んでいる7大学の連合体。メンバーである大学の共同作業により、個々の大学の能力を超えて、「高等教育と研究の発展」などを実現することを目指しています。

<加盟大学>
・チャールズダーウィン大学(Charles Darwin University)/ダーウィン
・フリンダース大学(Flinders University)/アデレード
・グリフィス大学(Griffith University)/ブリスベン、ゴールドコースト
・ジェームズクック大学(James Cook University)/タウンズビル
・ラトローブ大学(La Trobe University)/メルボルン
・マードック大学(Murdoch University)/パース
・西シドニー大学(Western Sydney University)/シドニー

□キャンパスの立地をチェック!

実際に渡航した後、留学期間中はほとんどの時間を過ごすことになるキャンパス。第二の故郷ともいえる場所になるため、キャンパスの環境は留学の充実度・満足度を左右する非常に大事なポイントです。キャンパスの敷地内はもちろんですが、キャンパスの周囲の環境もかなり重要!雄大な大自然に恵まれたオーストラリアは、どの都市の気候も全般的に穏やかで、過ごしやすい環境として知られていますが、各都市にはやはりそれぞれ特徴があります。好きになれる街か、楽しく安全に暮らせる環境か、しっかりチェックしましょう。

オーストラリアの大学の大多数は、ビクトリア、ニューサウスウェールズ、クイーンズランドからなる東海岸地域にあります。中でも、オーストラリア最大の都市であるメルボルンとシドニーは、留学生の間で人気の街。近年は、アデレードの人気も高まってきていると言われています。

ただ、人気があるからといって自分にも合っているかどうかは別の話。自分にとっては、毎日様々な刺激を受ける大都市がいいのか、静かで落ち着いた田舎がいいのか?アートやエンターテインメントに囲まれた環境がいいのか、大自然の中でスポーツやアクティビティを楽しめる場所がいいのか?また、留学生に人気のある大都市はどうしても日本人が多い傾向があり、郊外の街ではあまり日本人に出会わないという点も忘れてはいけません。自分なりの価値観で観点をしっかり決めて確認していきましょう。Webを上手に活用し、大学や都市のホームページ、観光サイト、またYouTubeなどで現地から発信されている動画やGoogleのストリートビューなども駆使して、最新情報を集めるのがおすすめです。

▼オーストラリアの教育システムについて詳しく知りたい方は、こちらもチェック!

【参考記事】: 多様な進学ルート、どれが自分に合っている?ーオーストラリア型編ー

【参考記事】:こんなに違う! オーストラリアとカナダの大学教育制度を徹底比較

【参考記事】:お国柄が出る? ユニークな学部・学科を持つ大学 ~オーストラリア編~

次回は、引き続きオーストラリアシリーズ!第2回はオーストラリアの大学で学ぶための「国際奨学金」を取り上げます。お楽しみに!

※この記事でご紹介している内容は2021年3月12日現在の情報に基づいています。

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