海外大研究シリーズ【アメリカ編④】リベラルアーツ大学の先駆け「ウィリアムズ大学」
いまだ世界中でコロナ禍が予断を許さない状況が続いているため、海外の大学を訪問して、自分の目で直接見てくるといったことは難しい昨今。この海外大学研究シリーズでは、世界の人気大学を中心に、海外大進学に興味がある方が「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめてお届けしています。アメリカ編の4回目となる今回は、リベラルアーツカレッジの超名門として知られる「ウィリアムズ大学」を取り上げます。アメリカではスタンフォード大、ハーバード大などの有名総合大学に引けを取らない人気を誇るウィリアムズ大学の魅力をご紹介します。
ウィリアムズ大学(Williams College)の基本データ
設立年 | 1793年 |
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所在地 | マサチューセッツ州ウィリアムズタウン |
学部数 | 3学部(芸術・人文学/社会科学/科学・数学) ※美術史と開発経済学の大学院プログラムあり |
学生数 | 学部生:約2,000人 大学院生:約50人 |
大学ランキング(*1) | THE「US College Rankings 2021」:21位 US News「National Liberal Arts Colleges2021」:1位 |
主な分野別ランキング(*2) | Best Undergraduate Teaching Programs:2位 Best Value Schools:1位 Senior Capstone:16位 First-Year Experiences:19位 |
授業料(*3)と財政援助 | ●授業料:50,760ドル ●ニーズベースの奨学金または助成金:平均54,973ドル(約52%が援助を受けている) |
合格率 | 13% |
留学生率 | 約8% |
合格基準の目安 | 合格者の平均SAT®スコア:1480、平均ACTスコア:33 ※ウィリアムズ大学に入学した志願者の半数は、SAT®スコアが1410〜1550、またはACTスコアが32〜35 |
立地環境 | バークシャーのグレイロック山のふもとにある、自然豊かな小さな大学都市にキャンパスを構える。山に囲まれた、静かで落ち着いた環境。街は避暑地として、またスキーリゾートとしても知られ、余暇には様々なアウトドアアクティビティを楽しめる |
著名な卒業生 | ジェームズ・ガーフィールド氏、リチャード・ヘルムズ氏、エリア・カザン氏、ロバート・エンゲル氏 など ※ノーベル賞受賞者、アメリカ大統領も輩出 |
公式URL | https://www.williams.edu/ |
*1 THE:Times Higher Education
US News:US News & World Reportが発表している「Best Colleges」
*2 US News & World Reportが発表している「U.S. News Education Rankings2021」の「National Liberal Arts Colleges」部門より
*3 Tuition and Fees(授業料とその他諸費用)の2020-2021
ウィリアムズ大学の特徴
校風
私立のリベラルアーツカレッジで、学部生への教育に重きを置いています。モットーは「E liberalitate E. Williams, armigeri 」(ラテン語/Through the Generosity of E. Williams, Soldier〔英語〕」。学生や教授、スタッフなどキャンパス内の人々はみなコミュニティに対する意識が高く、誰もが協力し合う雰囲気があります。好奇心旺盛で様々な活動にアクティブであり、常に努力を続ける学生が集まっている傾向があると言われています。
名門リベラルアーツカレッジを総称するリトル・アイビーの1校で、アマースト大学とは長年のライバル関係にあることで知られています。
どのような学生が求められているか
ウィリアムズ大学の特徴である、「賢く思いやりがあり、創造的で野心的な学生のコミュニティを拡大」するため、創造的な考え方や多様な意見、知的な挑戦を受け入れる人材が求められています。出願者の業績、才能、さらには人生経験を考慮に入れた、学生中心の総合的なプロセスで合否が審査されます。
人気のある専攻
2019年の卒業生に最も人気があった専攻TOP5は、以下の通りです。
●計量経済学と定量経済学
●英語と文学
● 政治学および政府
●生物学/生物科学
●歴史
授業の特徴
64の研究分野において35の主専攻、700以上のコースが提供されています。必修科目はないが、芸術・人文学/社会科学/科学・数学の3つのdivisionから少なくとも3科目ずつ、Writing Skillsなどスキル等に特化した科目をそれぞれ1科目ずつ(3科目)を決められた学年までに修了する必要があります。また、教授1人に対し2人の学生で授業が構成されるオックスフォードスタイルのチュートリアルというクラスが60~70あります。
クラスの75.1%は20人未満で、学生7人に対し教員1人という比率の徹底した少人数教育が行われているのが大きな特徴。ティーチングアシスタントによるクラスはなく、すべての授業は教授によって担当されています。学生の満足度の指標である新入生の平均定着率は98%と非常に高くなっています。
なお、学生の約40%がダブルメジャーであるのも、同大学の大きな特徴と言えます。
施設・設備の特徴
450エーカーのキャンパスに100を超える校舎や寮、運動施設などが建ち並んでいます。キャンパス内に2つ、学外に1つ美術館があり、古典的なものからモダンアートまで実際に触れる機会が充実しています。
学生生活の特徴
学生の93%がキャンパス内の住居に住んでいます。基本的に1年生は専用の寮に住み、原則3年生までは寮に住むことが義務づけられているため、強い繋がりを持ったコミュニティが育まれます。200近くの学生が運営する組織があり、400以上のサービス組織に接続しているため、学業以外の経験をする機会がたくさんあるのが特徴。学生の約60%が体験学習またはコミュニティサービスプロジェクトに参加しています。
コロナ禍での授業
2021年春学期は2月17日から始まり、5月19日までの予定です。春休みの代わりに短い休息日があり、最終試験は5月24〜29日に行われます。クラスは対面指導と遠隔指導を融合させたコースが提供されます。
長年、全米のリベラルアーツカレッジランキングでナンバー1を保持し続けるという偉業を達成しているウィリアムズ大学。日本ではあまり知られていませんが、地元アメリカでは学部生への教育の質が非常に高く評価されている超名門カレッジです。最先端の研究や立派な施設などという点からすれば大きな総合大学には及ばない部分もありますが、学部教育の観点から言えば有名な総合大学に決して劣らない、まさに知る人ぞ知るといった優良大学です。学校の規模が小さいので、教授との距離が近いのも魅力の1つ。静かな環境で、腰を据えてしっかり学びたい人には向いている大学と言えるでしょう。
※この記事でご紹介している内容は2021年2月5日現在の情報に基づいています。