海外大研究シリーズ【アメリカ編①】世界の名だたる研究者が授業をする!「ハーバード大学」
いまだ全世界をコロナ禍が覆い続ける昨今、海外の大学を直接訪問し、自分の目で見てくることがなかなか難しい状況が継続しています。そこで「海外進学・留学ラボ」では、今回から世界の人気大学を中心に、「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめた海外大学研究シリーズをお届けします。まずはアメリカ編から! 初回は言わずと知れた世界トップ大学の1つ、「ハーバード大学」です。全世界から多様で優れた学生を集めるハーバード大学の魅力をご紹介します。
ハーバード大学(Harvard University)の基本データ
設立年 | 1636年 (アメリカ最古の高等教育機関) |
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所在地 | マサチューセッツ州ケンブリッジ |
学部数 | 11の主要な学術ユニット (10の学部とラドクリフ高等研究所) |
学生数 | 学部生:約6,700人 大学院生等:約15,250人 |
大学ランキング(*1) | THE:3位 QS:3位 |
主な分野別ランキング(*2) | Engineering:1位 Life sciences:1位 Clinical and health:2位 Education:3位 Social sciences:4位 Business and economics:5位 physical sciences:5位 |
授業料(*3)と財政援助 | ●授業料(諸費用含む):54,002ドル ●ニーズベースの奨学金または助成金:平均61,314ドル(学生の約56%が援助を受けている) |
合格率 | 5.2%(2021年クラス) |
留学生率 | 約25% |
合格基準の目安 | 合格者の平均SAT®スコア:1530(2020年クラス) ※ハーバード大学に入学した志願者の半数はSAT®スコアが1460〜1570、ACTスコアが33〜35 |
立地環境 | ボストン近郊の、「世界最高の学びのテーマパーク」と称される全米を代表する大学都市ケンブリッジにある。街全体にアカデミックな雰囲気が漂い、周囲には博物館、美術館、図書館などの文化施設が数多く点在している |
著名な卒業生 | ビル・ゲイツ氏、デイヴィッド・ロックフェラー氏、三木谷浩史氏、モーリー・ロバートソン氏など ※ノーベル賞受賞者48人、8人のアメリカ大統領を含む30人以上の国家元首を輩出 |
公式URL | https://www.harvard.edu/ |
*1 THE:Times Higher Educationが発表している「World University Rankings 2021」
QS:Quacquarelli Symonds発表している「QS World University Rankings® 2021」
*2 Times Higher Education「World University Rankings 2021 by subject」より
*3 Tuition and Fees(授業料とその他諸費用)の2020-2021
ハーバード大学の特徴
校風
大学のモットーは「Veritas」(ラテン語で「真実」)。「社会のための市民とリーダーを育成する」ことを、リベラルアーツと科学教育の変革力へのコミットメントを通じて実現することを使命としています。
素晴らしい研究施設を有し、世界的に著名な研究者でもある教授陣、優秀で好奇心旺盛な学生が世界中から集っています。キャンパスは国際色豊かで、多様性に富んでいます。学生は一人ひとりが自立しており、学びや生活を自らデザインしていく人が多いようです。学外で多彩な活動をし、社会と繋がりながら学問を修めていく学生も多くいます。
どのような学生が求められているか
学業だけでなく、人間性が非常に重視される傾向があります。行動力や協調性などに裏打ちされたリーダーシップや、もともとリベラルアーツだったという成り立ちから一芸に秀でるなどの個性・ユニークさ、さらには大学にどのように貢献できるかが大切になります。選考の過程ではハーバード大学を卒業した面接官による面接(インタビュー)も実施され、時間をかけて多角的・総合的に合否が判断されます。
人気のある専攻
2019年の卒業生に最も人気があった専攻TOP5は、以下の通りです。
●社会科学(総合)
●生物学/生物科学(総合)
●数学(総合)
●コンピュータサイエンス
●歴史
授業の特徴
Concentration と呼ばれる主専攻が48種類、Secondary Field と呼ばれる副専攻が47種類。提供されている科目は3,000以上で、ノーベル賞受賞者や著名人から直接授業が受けられるチャンスも。近隣にあるマサチューセッツ工科大学(MIT)とは、単位互換制度があります。授業は平均12人程度、大授業でも30〜40人程度の少人数クラスで行われます。
施設・設備の特徴
5000エーカーを超える広大な敷地を持つキャンパスに、2つの劇場、5つの美術館を含む400の建物が立ち並びます。とくに図書館システムが有名で、大学図書館としては世界最大、およそ2000万冊の蔵書数は世界一です。学生は基本的に学生限定の食堂で食事をします。1年生専用のアネンバーグダイニングホールは歴史を感じさせる豪華絢爛な内装が有名です。
学生生活の特徴
全寮制で98%がキャンパス内に居住。新入生はハーバードヤードに隣接する寮で1年間過ごし、2年目以降はハウス(House)と呼ばれる寮システムに入ります。12あるハウスは住宅と食堂、その他の共有スペースを組み合わせた小さなコミュニティで、ハーバード大学の学部生にとってあらゆる経験の基盤となります。各ハウスにはそれぞれ350〜500人の学生とともに専門の教員やスタッフが住み、様々な活動やサポートが行われます。また、学内には450以上のサークル・部活動があり、スポーツや音楽、ビジネス、研究、ボランティアなど様々なクラブを学生が運営しています。
卒業後の進路
ハーバード大の学内誌「「Harvard Crimson」が発表した統計によると、2020年の卒業生の進路は以下の通りです。
【学部卒業生の進路】
- ・就職 61%
- ・大学院または専門学校への進学 14%
- ・フェローシップ 7%
- ・卒業後は旅に出る 1%未満
・進路未定 18%
【就職予定の卒業生が進む業種】
- ・コンサルティング 22%
- ・金融 23%
- ・テクノロジー 18%
- ・学会や研究 7%
- ・医療 4%
- ・公共サービスまたは非営利団体 3%
- ・政府系 3%
- ・芸術 3%
- ・法律 3%
- ・教育 2%
- ・その他 12%
コロナ禍での授業
2020-2021の学年度終了まで、大学の教育・指導はすべて完全リモートで行われる予定です。
ハーバード大学で学ぶ先輩の声
多様な学生が集まり、刺激しあえる魅力的な環境
Lunasa S. 先輩
Harvard University
ハーバードにはいろんな人が、いろんな目的でやって来ています。授業だけじゃなく、課外活動もすごく盛ん。自分が今まで知らなかったような分野の人たちが集まり、いろんなものが飛び交っている環境はとても魅力的で、他の人を通して様々なことを学べるのが素敵だなと思います。
ハーバードの学生は向上心があり、リーダーシップがとれる存在で、かつハーバードで学ぶことを最終目的としていない、先の見えてるような人が多いのかな。実際に友人や周囲の人と関わる中で、自分の経験だけで終わらせずに、他の人やコミュニティ、社会にどう還元していけるかを考えている人が多いなという実感があります。
世界最高峰の大学の1校と言われるだけに、入学には非常に高いハードルがそびえたっていると言ってよいでしょう。すべてにおいて他の人より抜きん出た資質が必要とされます。学力や英語力に関しては「できて当たり前」という前提で、入学が許可されるには個性や情熱、行動力、クリエイティビティ、リーダーシップなどの人間性も非常に重視されます。
ただ直接入学以外にも、少し時間はかかりますが、憧れのハーバード大に入学できる可能性はあります。アメリカでは大学の学部への「編入」という方法も一般的であるため、いったん他大学に入学し、成績でオールAを取りつつ、ボランティア活動などでリーダーシップを発揮すれば道は開けてくるかもしれません。あきらめずに、挑戦する価値は確実にある大学と言えます。
※この記事でご紹介している内容は2021年1月15日現在の情報に基づいています。