緊急対応が続く!外部英語検定試験・最新の実施状況は?(2020年12月版)
大学入試改革の一貫として、まもなく初めて実施される2020年度「大学入学共通テスト」において予定されていた英語の外部検定試験の導入は、2024年度まで見送りとすることがすでに発表されています。とはいえ、国内大学の個別入試ではグローバル大・学部を中心に英語検定試験が出願要件や試験での評価などに広く採用されるというここ数年の流れは変わらずに継続しています。もちろんいくつかの検定試験は、国内大の入試だけではなく、海外大受験の際の提出資料として使うことが可能です。最終的に国内・海外どちらを志望するにしても、英語検定試験で良い結果をおさめておけば有効に働きます。TOEFLなどの検定試験は、基本的には大学入試等に関わらずどんなタイミングでも受検可能なので、早めに対策、受検しておいたほうが、より有利になると言えるでしょう。
ただ、コロナ禍による試験実施に関する混乱はいまだ続いており、まだまだ実施状況は流動的です。そこで今回は、現在の主な英語検定試験の実施状況と、受け方のコツにもなる各試験のトピックスをお伝えします。
英検(実用英語技能検定)
英検(従来型)
≪2020年度≫
2020年度の最後の英検(従来型)の受験機会となる第3回検定は、新型コロナウイルス感染予防の対応策を講じたうえで、年度当初の予定通り試験を実施予定です。ただし、コロナ禍の影響で試験会場の確保が困難な状況が想定されることなどから、第3回に限り、下記の特別対応が発表されています。
* 第3回検定の申し込み受付は12月11日22時で締め切られています
【参考ページ】:2020年第3回英検特設サイト|公益財団法人 日本英語検定協会
<個人受験>
◆通っている団体(学校・塾・企業など)で英検が実施されない場合
⇒外部生を受け入れ可能な近隣の団体で申し込み可能(2級~5級)
※1級、準1級は本会場での受験のみ
あらかじめ募集・設定された、自校で受験ができない一般受験者(外部生)を受け入れ可能な準会場実施団体(塾など)の一覧がウェブサイトで公開され、申込みが可能となりました。
◆近隣に受け入れる団体(塾など)がない場合
⇒個人(本会場)での申し込みが可能(1級~5級)
1次試験:1月24日(日)/2次試験A日程:2月21日(日)、B日程:2月28日(日)
◆従来型英検の試験日程では都合が合わない場合
⇒個人で「英検S-CBT」を申し込むことが可能(準1級~3級)
英検(従来型)の試験日程で受験できない場合は、「英検S-CBT」での受験が推奨されています。「英検S-CBT」は1日で4技能を測定でき、原則、毎週土日に、全国47都道府県のテストセンターで実施されています。従来型の英検との併願が可能で、試験結果・成績表は従来の英検と同様に各種証明に利用できるため、上手に活用すれば受検チャンスが広がります。
※本会場での受験予定者かつ1月以降の時期に必ず受験しなければいけない事情がある受験者を対象に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で英検が受験できなくなる地域が発生した場合は、英検S-CBTに代替して受験できる等の対策が検討される予定です。
<団体受験>
基本的には年度当初に予定していた通りの試験日程での実施が前提となりますが、コロナ禍に伴う諸事情により当初の日程では試験が実施できない団体には、団体申込みの試験日程に関する救済措置(別日程)が設定されました。
【1次試験】:1月の一次試験(準会場)が学校行事等で実施できない場合
①<準会場>一次試験を救済措置の日程(12月・2月)で実施
〇2級~5級は、12/18(金)、19(土)に実施が可能(※12/18(金)は中・高特別準会場のみ)
〇4級・5級限定で、2/13(土)に実施が可能(いずれかの1日程の選択が可能)
※準会場の受験対象者が4級・5級のみの団体に限る
【二次試験】:通い慣れた準会場で二次試験を実施したい(または二次本会場のAB日程を変更したい)場合
②<準会場>「二次準会場」で実施(3日程から1日を選択可)
A日程(2/21(日))、B日程(2/28(日))、C日程(3/14(日))の3日程から、1日程のみ選択可能
※二次準会場団体は、2級~3級で志願者数が100名以上の団体に限る
③<本会場>二次試験A/B日程変更の追加受付(団体単位の変更)
A日程からB日程、またはB日程からA日程への変更が可能
※日程変更は団体単位となり、一部の生徒のみを変更することは不可
≪2021年度≫
英検(従来型)の2021年度試験日程は、12月4日に発表されています。コロナ禍による影響などを考慮し、一次試験の準会場に新たに4日程を追加するなど、いくつか変更点があります。
■変更点(概要)
①これまで金土日の3日程だった一次試験の準会場に新たに4日程を追加する(7日程から1日を選択可能)
※「障がい等のある方への受験上の配慮」は従来通り3日程
②これまで中高特別準会場のみ対象だった「金曜日実施」が、塾や英会話教室等を含むすべての団体で実施可能に
③これまでA、B日程のみだった二次試験の本会場に、新たにC日程を追加
※ただし、C日程は1級・準1級の個人申込者のうち、年齢や希望受検地エリアにより、英検協会にて日程を指定
④2020年度と同様、一般受験者の受け入れ可能な団体の案内を継続実施
⑤2020年度と同様、二次試験を準会場で実施可能な二次準会場の案内を継続実施
※二次準会場団体は、2級~3級で志願者数が100名以上の団体に限る
⑥一次試験準会場の「金曜・土曜両日実施」は廃止
【参考ページ】:2021年度実用英語技能検定(従来型英検)の試験日程のご案内|公益財団法人 日本英語検定協会
英検CBT
2020年度第3回検定の12月~2月実施分は当初日程の通り実施予定
※3月については現状では未定(決定次第、HP等で案内される)
【参考ページ】:英検CBT®|公益財団法人 日本英語検定協会
英検S-CBT
2020年度第3回検定の12月~2月実施分は当初日程の通り実施予定
※3月については現状では未定(決定次第、HP等で案内される)
【参考ページ】:英検2020 1 day S-CBT®|公益財団法人 日本英語検定協会
◎注意◎
12月上旬に大阪府、北海道(札幌市・旭川市)で外出自粛要請が発出されましたが、英検CBT、英検S-CBTの試験は広く大学入試に活用され、この時期の成績は出願資格等にも反映されることなどを考慮し、要請期間内にあたる試験日程も予定通り実施する方針が発表されています。(2020年12月11日現在)ただし、上記地区を含む全国で、今後さらに感染が拡大するなど、状況によっては方針変更の可能性もあるため、注意が必要です。
TOEFL®テスト
TOEFL iBT®テスト(テスト会場での受験)
現状、日本では新型コロナウイルス感染拡大の影響によって臨時閉鎖中の試験会場はなく(2020年12月14日現在)、今後も当初設定通りの日程・会場で試験が実施される予定です。
ただし、日本でのTOEFL iBT®テスト会場運営を行っているプロメトリック(株)が必要と判断した試験会場については、今後臨時閉鎖となる場合があります。受験する際は、必ずテスト前日に個人アカウントページにおけるTOEFL iBT®テスト予約内容の確認を行うことと併せて、プロメトリック(株)RRC予約センターWebページにて試験会場の開催状況に関する最新情報を確認してください。
【参考ページ】:プロメトリック(株)RRC予約センター
TOEFL iBT® Home Edition
新型コロナウイルス感染防止の対応策として2020年4月から実施されていた「TOEFL iBT®テスト」の自宅受験「TOEFL iBT® Special Home Edition」が、2021年以降も継続して実施されることが発表されています。
これにより、今後も受験者自身が「テスト会場受験」か「自宅受験」かを選択できる体制が継続されることになります。
■TOEFL iBT® Home Editionとは
通常のTOEFL iBT®テストと同じ内容、フォーマット、画面のテストをProctorU®の試験監督者によるオンライン監視の下、自分のパソコンを使用して自宅で受験する自宅受験テスト。週に4日24時間受験でき、最短で申込完了の翌日に受験することが可能です。スコアは会場での受験と同じくTOEFL iBTテストの公式スコアとして教育機関などで活用することができます。
※受験にあたっては使用機器・受験環境の要件を満たす必要があります。
IELTS
6月2日にテスト会場での試験が再開された後は、当初設定されていた日程・会場で予定通り実施されています。
なお、2020年9月よりコンピューターで受験する「Computer-delivered IELTS」(CD IELTS)がスタートしています。こちらも現状では予定通り実施が継続されています。
■Computer-delivered IELTS(CD IELTS)とは
試験の内容、採点基準、試験時間は、紙と鉛筆で受験する従来のIELTSと全く同じで、成績証明書も従来と同様に利用可能です。このテストの利点は、従来より多くの試験日程が設定されていること、成績証明書の発行が早い(3-5営業日で発行)ことなどが挙げられます。
・リスニングテスト:パソコンのヘッドフォンを使用
・ライティング・リーディングテスト:パソコンでタイピング
・スピーキングテスト:従来通り試験官との1対1の対面形式
【参考ページ】:IELTS(アイエルツ)公式テストセンター | 公益財団法人 日本英語検定協会
* 日本英語検定協会が実施するIELTS試験に関して、12月上旬に外出自粛要請が発出された大阪府、北海道(札幌市・旭川市)についても、IELTSが広く大学入試に活用され、この時期の成績は出願資格等にも反映されることなどを考慮し、要請期間内にあたる試験日程も予定通り実施する方針が発表されています。(2020年12月11日現在)ただし、上記地区を含む全国で、今後さらに感染が拡大するなど、状況によっては方針変更の可能性もあるため、注意が必要です。
【参考ページ】:英語検定・試験のIELTS(アイエルツ)日本公式サイトby IDP Education
* IDP Educationが実施するIELTS試験では、試験当日に「コロナウイルス予防に関する宣誓事項」にサインし、検温で37.5度以上の発熱がない場合でも、コロナウイルスを疑われるような風邪の症状がみられる場合は、テストセンタースタッフの判断により受験を断られることがあります。その場合、受験料の全額返金、または手数料なしで別日への変更という対応がとられます。
GTEC
2020年度の中学生・高校生向けの「GTEC」について、学校受験となるアセスメント版・検定版とも現状では、引き続き予定通りの日程で実施される予定です。
全国の公開会場で実施されるCBTタイプは、座席数が限られていることにより、地域によっては早期に満席になる可能性があるため、申込み開始日程が主な受検者である高校生が申込みしやすい曜日・時間帯に変更されています。
◎第3回(2021年3月21日実施)申込み
【変更前】
申込期間:2021年1月27日(水)9:00 ~ 2021年2月12日(金)17:00
↓
【変更後】
申込期間:2021年1月30日(土)正午 ~ 2021年2月12日(金)17:00
※2021 年度の「GTEC」検定版・「GTEC」CBT タイプの検定日は下記のように発表されています。
ケンブリッジ英検
2020年度(2021年3月実施分)の日本における公開試験は、公表されている通りに実施される予定です。試験日の確認を含め、試験実施に関わる最新情報については、受検を検討している試験センターに直接確認してください。
【参考ページ】:ケンブリッジ英語検定「2020年8月~2021年3月 公開試験日程」(2020年12月9日更新版)
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大への対応として、試験日が変更・追加される可能性があります。
※2021年4月以降の日本の公開テスト日程は、準備ができ次第公表される予定です。
TEAP
2020年度の第1回(7月実施)、第2回(9月実施)、第3回(11月実施)の試験で、「受験地域」ごと等に全試験会場の席数を超えるお申し込みをいただく状況になった場合のみ、別日程を追加する対応が取られました。
*TEAP/TEAP CBTとも、2020年度の試験はすべて終了
■第3回TEAPで実施された追加の試験日程
追加日程:12月6日(土)
対象受験地域:関東エリア(東京都)
※上記エリア以外は当初予定されていた日程のみで実施
※TEAP CBTは追加日程なし
なお、2021年度の試験日程は下記のように発表されています。
【参考ページ】:TEAP受験案内|公益財団法人 日本英語検定協会
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、延期・変更など緊急の対応が相次いだ今年の英語外部検定試験。万全の感染予防対策を講じたうえで、次第に会場での試験実施が正常化されつつありますが、今後も日本国内の感染状況によっては急な変更があることも予想されます。場合によっては、自宅受検が導入されている試験や、より多くの日程が用意されているCBTタイプがある試験などに切り替えて受験を検討するのも、1つの方法です。
自分が受けたい検定試験の最新情報は公式HP等で随時チェックし、しっかり対応できるよう、対策を進めていきましょう。
※この記事でご紹介している内容は2020年12月18日現在の情報に基づいています。