海外大学進学情報

海外大受験で重視される「GPA」はどう算出する?

海外大学の入学審査では、日本の大学入試のような一斉学力テストは原則として実施されませんが、どの国の大学でもほぼ必ず、高校の「成績証明書」を提出します。合否判定は基本的に書類審査(一部、面接を行う大学あり)で行われます。出願時に提出する書類は入学願書、エッセイ、各種テストのスコア、成績証明書、推薦状など多岐に渡り、それらが総合的に判断して評価されるのですが、中でもGPAと呼ばれる高校での成績が重視されると言われています。今回は、アメリカの成績評価の仕組みに焦点をあて、その重要性をくわしく解説します。

海外大受験で重視される「GPA」の算出方法

GPAとは?

GPAは「Grade Point Average」の略で、海外の大学などで一広く使用されている成績評価の指標のことを言います。一般的に、成績証明書に記載されている各履修科目の成績を数値として換算し、1単位あたりの平均点を出す成績評価方式(または、その方式で算出された成績の評価点のこと)です。ごく簡単に言うならば、高校のGPAとは高校3年間の全科目の成績平均値のこと、となります。
日本の学校でも従来の偏差値評価ではなく、GPAを成績評価の指標の1つとして取り入れるところが少しずつ増えてきてはいるものの、まだまだGPAという考え方に馴染みがないのが現状ですが、海外の大学受験(とくに難関大の場合)では高校のGPAが非常に重要になってきます。

■アメリカの大学の合否判定で重視される主な要件

  • ① 高校の成績(GPA)
  • ② テストのスコア(SAT®またはACTなどの標準テスト/英語を母国語としない場合はTOEFL®テストなどの英語テストも必要)
  • ③ エッセイ
  • ④ 推薦状
  • ⑤ 課外活動(地域活動やボランティアを含む)

アメリカの大学学部課程に入学するには、すでに高校を卒業している(あるいは卒業見込みである)ことが基本的な条件となります。アメリカの大学の入試では、学業成績を審査するために成績証明書(transcript)の提出を求めることが多く、大学学部課程への出願の場合は高校以降の全ての教育機関で発行された成績証明書を提出する必要があります。アメリカの高校を卒業した学生だと、5段階の成績評価(A, B, C, D, F)に対し、4~0の評価点(Grade Point)を付与して算出された評定平均値GPA (Grade Point Average)が広く用いられています。

一般的にアメリカの大学の学部課程に入学するには、GPA2.0 以上(アメリカの5段階評価で平均C以上)であることが要求されます。学校や分野によっては、より高いGPAが要求されることもあり、TOP100に入る大学に入学するにはGPA2.7以上、TOP50であれば3.0以上、アイビーリーグなどの名門大学の場合はGPA3.5以上が必要だと言われています。

基本的に、アメリカの大学の入学審査は1つの要件だけで合否を決めるということはなく、上記のようないくつかの要件を総合的に評価して入学者を選抜しますが、高校で一定水準以上の学業成績を修めていることは合格のための非常に重要な要素と言われており、合否の判定にもかなり影響します。

※今年度は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響で、アメリカの大学では出願時にSAT®やACTといった標準テストのスコア提出を求めない(または、提出を必須としない)大学が増えています。大学によっては、このような措置を来年度以降も継続する可能性があるため、出願者の学業成績を確認する資料として高校の成績(GPA)の重要性がますます高まってくることも考えられます。

GPAの算出方法

GPAには国際的に統一された基準が特にないため、ここではアメリカのGPAの算出方法をご紹介します。

アメリカの成績評価法は、主に5 段階評価(A, B, C, D, F)で行われています。それぞれの評価ごとに、4~0の評価点(Grade Point)が与えられます。

■アメリカの5段階評価の場合の例

成績評価(Letter Grade) 得点率(Percentage)* 評価点(Grade Point)
A(excellent) 90 – 100 4ポイント
B(good) 80 – 89 3ポイント
C(average) 70 – 79 2ポイント
D(passing) 60 – 69 1ポイント
F(failing) 0 – 59 0ポイント

*)学校によっては、得点率ではなく、評価点(100点法)の場合がある

GPA(Grade Point Average/成績の平均点)は、一般的には次のように算出します。

GPAの計算式

GPA=(A評価を受けた単位数×A評価のGP[4ポイント])+(B評価を受けた単位数×B評価のGP[3ポイント])+ ・・・ /総単位数(全科目の単位数の合計)

※GPAの最高点は4.0となります。

例)
英語…A評価 単位数4 ⇒ 4ポイント×4単位 = 16
数学…A評価 単位数4 ⇒ 4ポイント×4単位 = 16
化学…B評価 単位数2 ⇒ 3ポイント×2単位 = 6
社会学…C評価 単位数4 ⇒2ポイント×3単位 = 6
歴史…D評価 単位数3 ⇒1ポイント×3単位 = 3

この場合のGPAは…
GPA = (16+16+6+6+3)/16単位 = 2.93… ⇒ 2.9

上記のGPAの算出方法はあくまで一般的な例であり、大学・学部によっては評価点(Grade Point)の付与の仕方が異なったり、GPAの計算の方法が異なったりするケースがあります。最終的なGPA計算は、各大学が独自の換算方法で行って成績を判定するため、学生が出願書類に記入するGPAは参考値となります。

【参考ページ】留学準備スケジュール|日米教育委員会(フルブライト・ジャパン) Education USA
※「STEP 4 留学に必要な条件」の「1.学力 1)学業成績」のページを参照

【参考ページ】How to Convert Your GPA to a 4.0 Scale|College Board

日本でのGPAの換算方法は大学によって異なる
いずれにせよ高校の成績が重要!

日本の高校を卒業した学生も、アメリカの大学に出願するのであれば、アメリカの成績基準にあてはめて換算してGPAを算出する必要があります。

成績が四段階制の場合、成績評価表の一般的な例は下記のようになります。

■4段階評価の場合の例

成績評価(Letter Grade) 得点率(Percentage)*1 評価点(Grade Point)*2
優 またはA 80 – 100 4ポイント
良 またはB 70 – 79 3ポイント
可 またはC 60 – 69 2ポイント
不可またはD 0 – 59 0ポイント

*1)学校によっては、得点率ではなく、評価点(100点法)の場合があります。
*2)5段階評価のまま提出できる場合もあります。

ただし、そもそもアメリカの高校は4年制が一般的なのに対し、日本の高校は3年制であること、またアメリカと日本では成績のつけ方が異なることなどから、日本の高校での成績がそのまま機械的にGPAに換算されて評価されるわけではありません。評価の基準や、評価の仕方は大学・学部によってかなり異なります。出身高校のカリキュラムが特殊だったり、成績評価法が一般的な5段階や4段階と極端に異なったりする場合は、 授業の内容や時間数、評価方法や評価基準などの説明を成績証明書に書き加えるか、それらを示す書類を同封するよう高校の先生にお願いし、大学側に評価してもらうのがよいでしょう。

また、GPA(平均値)だけでなく、成績の推移を重視する大学もあります。アメリカの高校でも上級科目の成績を高く評価する傾向があり、日本の高校で1年→3年と徐々に成績が上がっていると評価がアップすることがあります。3年生での成績はとくに重要になる可能性があるので、海外進学を考えている場合、高校在学中は気を抜かず、あきらめず、日々の授業やテストにしっかり取り組むことが大切です。


繰り返しになりますが、アメリカの大学の入試では学業成績(GPA)だけでなく、各大学が要求するすべての出願書類をもとに、総合的に審査して合否の判断が行われます。学業成績が入学要件のすべてではなく、成績が若干低くてもその他の実績が秀でていたり、高い外部評価(推薦状、表彰、論文等)などがあったりすれば、それらが考慮されて合格することも十分にありえます。

ただ、成績が「すべてではない」けれど、成績が「重視される」のも事実。海外大学の入試は、高校での努力が評価される入試です。学業でも、課外活動でも、「高校生活のすべてが、海外大受験の対策である」と意識しましょう。憧れの海外大学があるなら、基準となるGPAをあらかじめ確認し、今からでも高校の勉強を頑張っておくことで、志望校選択の可能性・柔軟性が変わってきます!

「アメリカの大学の合否判定で重視される主な要件」として挙げられた5つの要件。
「①〜⑤のどれも、今からでは追いつかない…」という人には、“編入”というルートも選択肢として考えられます。来週は、アメリカの「四年制大編入」をテーマとして取り上げます。お楽しみに!

※この記事でご紹介している内容は2020年11月27日現在の情報に基づいています。

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