大学勢力図に変化あり!?世界大学ランキング(THE)2021年版発表!
“世界で最も権威ある大学ランキング”の1つとして知られる、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)」の「THE世界大学ランキング」。毎年、発表のたびに世界中で注目を集めていますが、17回目となる2021年版ランキングが去る9月2日に発表されました。
そこで今回は、2021年の最新ランキングや上位校の変動など今年のトピックスをお伝えします。最新の「THE世界大学ランキング」を通して、「世界レベル」の視点で世界の大学の動向を知り、新型コロナの脅威がおさまった時点ですぐに行動できるように、どの国・どの大学で学びたいかを検討・選択する材料としていきましょう。
THE世界大学ランキング2021の全体TOP30
「THE世界大学ランキング2020(THE World University Rankings 2020-2021)」では、過去最多の93か国1527校がランク付けされています。
ここでは30位までのランキング結果を一覧表でご紹介します。
■「THE世界大学ランキング2021」 1位~30位
順位 | 2020年の順位 | 順位の変動 | 大学名 | 国名 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | = |
オックスフォード大学 (University of Oxford) |
イギリス |
2 | 4 | ↑ |
スタンフォード大学 (Stanford University) |
アメリカ |
3 | 7 | ↑ |
ハーバード大学 (Harvard University) |
アメリカ |
4 | 2 | ↓ |
カリフォルニア工科大学 (California Institute of Technology) |
アメリカ |
5 | 5 | = |
マサチューセッツ工科大学 (Massachusetts Institute of Technology) |
アメリカ |
6 | 3 | ↓ |
ケンブリッジ大学 (University of Cambridge) |
イギリス |
7 | =13 | ↑ |
カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) |
アメリカ |
8 | 8 | = |
イェール大学 (Yale University) |
アメリカ |
9 | 6 | ↓ |
プリンストン大学 (Princeton University) |
アメリカ |
10 | 9 | ↓ |
シカゴ大学 (The University of Chicago) |
アメリカ |
11 | 10 | ↓ |
インペリアル・カレッジ・ロンドン (Imperial College London) |
イギリス |
12 | 12 | = |
ジョンズ・ホプキンス大学 (Johns Hopkins University) |
アメリカ |
13 | 11 | ↓ |
ペンシルバニア大学 (University of Pennsylvania) |
アメリカ |
14 | =13 | ↓ |
チューリッヒ工科大学 (ETH Zurich) |
スイス |
15 | 17 | ↑ |
カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (University of California, Los Angeles) |
アメリカ |
16 | 15 | ↓ |
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) |
イギリス |
17 | 16 | ↓ |
コロンビア大学 (Columbia University) |
アメリカ |
18 | 18 | = |
トロント大学 (University of Toronto) |
カナダ |
19 | 19 | = |
コーネル大学 (Cornell University) |
アメリカ |
=20 | 20 | = |
デューク大学 (Duke University) |
アメリカ |
=20 | 23 | ↑ |
清華大学 (Tsinghua University) |
中国 |
22 | 21 | ↓ |
ミシガン大学アナーバー校 (University of Michigan-Ann Arbor) |
アメリカ |
23 | 24 | ↑ |
北京大学 (Peking University) |
中国 |
24 | 22 | ↓ |
ノースウェスタン大学 (Northwestern University) |
アメリカ |
25 | 25 | = |
シンガポール国立大学 (National University of Singapore) |
シンガポール |
26 | 29 | ↑ |
ニューヨーク大学 (New York University) |
アメリカ |
27 | =27 | = |
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス (London School of Economics and Political Science) |
イギリス |
28 | =27 | ↓ |
カーネギーメロン大学 (Carnegie Mellon University) |
アメリカ |
29 | 26 | ↓ |
ワシントン大学 (University of Washington) |
アメリカ |
30 | 30 | = |
エジンバラ大学 (University of Edinburgh) |
イギリス |
1位は5年連続でオックスフォード大学。アジア勢の台頭が続く
~2021年版ランキングの動向~
総合ランキングのトップは、前年と同じくイギリスのオックスフォード大学。同大学の1位はこれで5年連続となりました。2位には前年から2つ順位を上げたアメリカ・スタンフォード大学、3位には同じく4ランクアップのハーバード大学。さらにカリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学と、5位までアメリカの大学が続いています。トップ10までを見ても、ランキングに多少の変動はありますが10校中9校までは前年と同じ顔ぶれで、8校がアメリカ、2校がイギリスと上位が英・米の大学に占められている状況は続いています。ただ、ケンブリッジ大学が前年3位から3ランクダウンで6位に後退したこと、またカリフォルニア大学バークレー校が前年13位タイから7位に6ランクアップし自身の過去最高位を獲得した代わりに、前年10位のインペリアル・カレッジ・ロンドンが11位に下がったことなどから、トップグループにおいてはイギリスのポジションが若干低下しているように見て取れます。
アジアからはこのランキングが始まって以来、最多となる16校がトップ100入り、うち13校は前年から順位を上げるか維持しています。中国の清華大学は前年の23位から3ランクアップして20位タイに。現在のランキング指標が導入された2011年以降、アジアの大学として初のトップ20入りを果たしました。さらに中国では、トップ100に入った大学が前年から3校増えて6校、トップ200に入った大学は7校(2016年時点では2校のみ)と快進撃が続いています。
またアジアではインドの躍進も目覚ましく、初ランクインした全141校の大学のうち最多の14校を占め、ランクイン数は過去最多の63校となっています。
日本のトップは前年に引き続き36位タイにランクされた東京大学。トップ100には、前年より11ランクアップして54位タイとなった京都大学も入っています。日本のランクイン総数は全部で116校となり、アメリカの181校に次いで2位をキープしています。
今年のランキングの全体傾向としては、アジア勢の対等にともなって、欧米諸国のポジションが脅かされているという結果になりました。オックスフォード大学が圧倒的な強さを誇ってはいるものの、イギリスでは前年トップ20に入った大学の中で順位が上がったのは5校のみ。200位までに入らない学校は衰退の兆候を示しています。
アメリカは、全体のランクイン数や上位にランクインする大学の数ではいまだ世界のトップを走っていますが、前年のトップ20にランクされていた大学の半数が順位を下げています。
トップ200で見てみると、ランクイン数はアメリカが59校で1位、次いでイギリス29校、ドイツ21校と続いていますが、アジア勢の攻勢により年々、競争が激化しているのは明らか。過去5年間でトップ200に入るアメリカの大学は4校減少、ヨーロッパの大学も9校減少しています。
THEのチーフ・ナレッジ・オフィサーであるフィル・ベイティ氏は、世界の高等教育においてここ数年続いているアジアの大学の台頭が、コロナ禍によってさらに加速する可能性があることを指摘しています。「新型コロナウイルスのパンデミックにより、欧米諸国、とくにイギリス・アメリカにとっては世界各国からの留学生の受入れができないという最悪の状況が続く」と予測。そのうえで、「深刻で長期にわたる世界的な景気後退とともに、学生と教員の国際的流動性が下がることによって欧米の有力大学の資金調達が難しくなれば、アジアの大学はさらに勢いづく。アジアの優秀な人材がアメリカやイギリスの有力大学に流出せず域内に留まるようになると、学術的才能の世界的な流れに永続的な変化がもたらされ、グローバルな知識経済(knowledge economy)の勢力図がアジア優位へと変わっていくかもしれない」とコメントしています。
THE世界大学ランキングとは
「THE世界大学ランキング」とは、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」によって、2004年から毎年発表されている世界的な大学のランキングです。「THE世界大学ランキング2021」は基本的に前回と同じ指標を用い、「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」の5つの分野について、13の指標で各大学のデータを収集、評価、分析したうえでそれぞれのスコアを算出し、世界の大学を順位付けしています。今回のランキングでは、22,000件超の最新の学術的評判調査結果(毎年実施)、および1360万の文献における8600万以上の引用調査の結果も反映されています。
THE世界大学ランキングにおける分野・指標の比重
◇教育(教育環境)【Teaching (the learning environment)】: 30%
- ・評判調査<教育> 15%
- ・学生に対する教員比率 4.5%
- ・学士課程学生に対する博士課程学生比率 2.25%
- ・教員に対する博士号取得者比率 6%
- ・大学の総収入 2.25%
◇研究(量、収入、評判)【Research (volume, income and reputation)】: 30%
- ・評判調査<研究> 18%
- ・研究関連収入 6%
- ・学術生産性 6%
◇被引用論文(研究影響力)【Citations (research influence)】: 30%
◇国際性(教員、学生、研究)【International outlook (staff, students, research)】: 7.5%
- ・外国籍留学生の割合 2.5%
- ・外国籍教員の割合 2.5%
- ・国際共同研究 2.5%
◇産業界からの収入(知の移転)【Industry income (knowledge transfer)】: 2.5%
※この記事でご紹介している内容は2020年10月16日現在の情報に基づいています。