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多くのアメリカの大学で、2021年度入試でSAT®/ACT提出が「オプション」に!

全世界で感染が拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、今年の春から夏にかけて、アメリカの大学への出願の際に必要とされることが多いSAT®、ACTの試験が次々と中止されました。こうしたテストのキャンセルや、学校の休校による在宅学習・オンライン学習が続いた状況を受けて、アメリカでは2020-2021年度の入試で、出願要件としてSAT®やACTのスコア提出をオプショナルとする大学がかなり増加しています。今回は、SAT®、ACTに関するアメリカの大学入試の状況や、学校別の対応を見ていきましょう。

アメリカの大学の多くが2021年度入試でSAT/ACT提出をオプションに!

アメリカの大学入試におけるテスト要件(SAT®/ACT)の状況

2020-2021年のアメリカの大学入試において、ハーバード大学をはじめとしたすべてのアイビーリーグの大学やスタンフォード大学、カリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学などのトップ校を含む、多くの総合大学・リベラルアーツカレッジが出願時のSAT®、ACTのスコア提出を「必須としない(提出の義務はない)」とするテストオプショナルの方針(*)を発表しています。
The National Center for Fair & Open Testing (FairTest)によると、全米の四年制大学の3分の2以上が2021年秋の出願者に、SAT®またはACTのスコアを提出することを要求しないとしています。多くの大学がこのテストオプショナルの方針は「一時的な措置」としていますが、2021年秋以降の入学サイクルでもSAT®/ACTをオプションのままにすることを検討している学校も多くなっています。

*テストオプショナルポリシーと呼ばれます。

SAT®/ACTをオプションとする大学が増加した背景

アメリカの大学に出願する際は、テスト要件としてSAT®またはACTという共通テストのスコア提出が指定されていることが一般的です。SAT®/ACTはいずれも通常は年に7回のテストが実施されており、大学進学を希望する学生は数回受験した中で最も高いスコアを提出します。
しかし今年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大によりSAT®/ACTのテスト実施が次々とキャンセルになり、その状況は夏まで続きました。SAT®はようやく8月末から徐々にテスト会場での実施が再開され始めましたが、今秋からの提供を検討していた在宅テストを実施しないことも発表。学校の休校・テストのキャンセル等により100万人以上ともいわれる多くの学生が6か月近くにわたってSAT®またはACTを受験できない状況に陥り、今後も状況は不透明なこと、テストの開催減(会場不足)に対し受験希望者多数により満席で受験できない学生が出る可能性もあること、などを考慮して、多くの大学で出願時のSAT®/ACTに関する通常のテスト要件を停止する動きが広がりました。

<テストオプショナルポリシーの例>

◆ハーバード大学(Harvard University)

2020-2021年の入学サイクルの出願の際は、SAT®/ACTおよびSAT Subject Testsのスコアを必要としない。ただし、スコア提出はオプションのため、SAT®またはACTを提出することも可能。SAT Subject Testsを提出することもできるが、通常時に推奨されている2科目ではなく、数学の1科目のみを選択するほうが有用。
入学者の決定は受験生の人間性すべてを見て判断しており、テストスコアはその一部に過ぎない。テストスコアを提出しなくても審査プロセスで受験者が不利になることはないので、高校時代の教室内外での活動に関する成果やこれからどんなことができるかがわかる資料を提出すること。

※留学生の場合、SAT®/ACTを受験できる機会がさらに少ない可能性があるため、各国の試験の予測または実際の結果を提出することを推奨。

◆イェール大学(Yale University)

2020-2021年の入学サイクルでは、SAT®またはACTのスコアを提出するという要件を一時的に停止する。テストを受けられない、またはテストのスコアを提出しないことを選択した出願者は、審査プロセスで不利になることはない。また、2020-2021年入学サイクル中はSAT Subject Testsは考慮されない。

※ 2022年秋以降に出願する予定の学生は、通常通りSAT®/ACTのスコア提出が課される予定。

◆カリフォルニア大学群(University of California system)

2021年秋/2022年秋の入学者の選考では「テストオプショナル」が採用される。スコア提出は選択制で、テストスコアを提出できない、または提出しないことを選択した場合でも不利になることはない(SAT®/ACTのスコア提出をしなくても出願は可能)。
出願者がSAT®/ACTのスコアを提出することを選択した場合、キャンパスごとに、テストスコアを審査プロセスにおける検討材料の1つとする。また、テストスコアは登録後のコース配置、一部の奨学金、州全体の入学保証の受給資格など、他の目的のために利用されることがある。

※2023年秋/2024年秋の入学者の選考では「テストブラインド」が採用され、審査にテストスコアが考慮されなくなる。

スワースモア大学(Swarthmore College)

2020–21年および2021-22年の入学サイクルの2年間、SAT®/ACTのテストスコアを提出する義務を一時停止。必要に応じて、学生は申請プロセスの一部として以前のテストを報告することができるが、スコア提出は完全に任意であり、テストを受けない、またはスコアを提出しないことを選択しても不利にならない。

※このポリシーは2023年秋入学者の選考に際して、再度検討される。

◆アマースト大学

2020-21年の入学サイクルにおいて、すべての学生がSAT®またはACTのスコアを提出するという要件を1年間、一時停止する。出願者は独自の裁量で、審査の検討材料としてSAT®またはACTスコアを提出できるが、SAT Subject Testsは学業成績の評価の際に考慮しない。

【アメリカの大学への進学希望者】 SAT®/ACT対策はどうする?

出願要件としてSAT®/ACTといった標準テストのスコア提出がオプションになった大学を志望する場合、たしかに今後のSAT®/ACTで絶対にハイスコアを獲得しなければならない、というプレッシャーからは解放されるでしょう。
ただ、オプションとはいっても、合否判定においてまったくスコアを見ない大学から、スコアが提出された場合はそれについての評価も加味する大学など、大学ごとにSAT®/ACTへの対応ポリシーにはそれぞれ若干の違いがあります。とくに、難関とされる大学でスコア提出が「どちらでもOK」とされている場合、スコアを提出している志願者に有利に働く可能性もあります。実際に、SAT®/ACTのスコア提出があった際はある程度評価することが明記されている学校や、スコア提出を奨励するとしている学校もあります。

2021年の春~秋入学を目指す現高校3年生は、興味がある大学それぞれの方針を、とにかく早めにキャッチアップすることを目指しましょう。テストオプショナルが「一時的な措置」であるのか、一時的であるならばそれはどのぐらいの期間続くものなのかも重要な情報です。なるべくこまめに大学の公式サイト等をチェックし、情報収集に努める必要があります。
また、SAT®/ACTがオプションとなる大学の場合でも、もし高得点がとれるのであればスコア提出をしたほうが合否判定で有利な材料となることが考えられます。自信があれば、受験してスコア提出を検討してみるのも良いでしょう。
ただ、どうしても必要なものではないですし、受験会場が限られてしまうこともありえます。全世界の受験生も同じ状況です。SAT®/ACTにかなり自信がある場合を除き、英語を母語としない学生には非常に難しいと言われるSAT®/ACTの対策に時間をとられて他の対策がおろそかになったり、テストが受けられなくて焦ったりするよりも、自分らしいアプリケーションエッセイを磨き上げるなど今できる他のことでカバーすることを考えたほうが得策かもしれません。また、学力を定量的に測る指標であったSAT®/ACTの提出がなくなることで、高校までの学業成績がさらに重視される可能性がありますので、日々の学校の勉強をおろそかにせず、きちんと積み重ねていくことも大切です。
自分の状況を見極め、自分にとってより有利になるように冷静に判断していきましょう。

高校2年生以下については、今後の入試の動きを注意深くウォッチしながら、SAT®/ACTの対策はしっかりと続けていくことをおすすめします。大学によってはSAT®/ACTが入試のテスト要件として復活することも十分に考えられますし、仮にテストオプショナルが継続された場合でもSAT®/ACTでハイスコアがとれる力をつけることは進学後の大学生活にも役立ちます。また、忘れがちではありますが、奨学金を獲得する要件としてSAT®/ACTが必要な場合もありますので、しっかりと情報をチェックしていきましょう。

<参考>

新型コロナウイルスの影響で思うように授業やテストが受けられなかったり、課外活動の機会が減少したりして、大学出願の際に不利になるのではないかと不安に思っている志願者に向けて、ハーバード大学を筆頭に300以上の大学長が声明文を発表しています。コロナの影響でできなくなってしまったことに対して、志願者がその理由を説明できれば、志願者が不利になることはないと強調するとともに、勉強はもちろん、自分・家族へのケア、コミュニティへの貢献など、今もできること・今だからできることを行う姿勢が求められるとしています。

【参考ページ】:For Colleges: Endorse “Care Counts in Crisis: College Admissions Deans Respond to COVID-19”|Making Caring Common Project

※この記事でご紹介している内容は2020年9月18日現在の情報に基づいています。

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