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世界大学ランキング(THE)2020年版発表!日本の大学の位置付けは?

イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)」が2019年9月に発表した、「世界でもっとも権威ある大学ランキング」の1つとして知られる「THE世界大学ランキング」の2020年版。今回は、この最新版のランキングでの日本の大学のランクイン状況についてご紹介します。はたして、世界の高等教育における日本の大学の位置づけや、日本の大学が抱えている課題は?

THE世界大学ランキング2020における日本の大学の位置付け

「THE世界大学ランキング2020」にランクインした日本の大学(800位まで)

2004年から毎年発表されている「THE世界大学ランキング」は、「教育力」「研究力」「論文の引用数(研究の影響力)」「国際性」「産業界からの収入」の5分野・13指標で大学をランク付けしています。2020年版のランキングでは、日本の大学の全体ランクイン数は110校で、前回の103校から7校増加しました。設置者別に見ると国立大57校、公立大11校、私立大42校と、国立大優位の傾向があります。ここでは、800位までにランクインした25校を一覧表でご紹介します。

順位 2019年順位 順位の変動 大学名 設置区分 日本版ランキングの順位
=36 42 東京大学 国立 2
65 65 京都大学 国立 1
251~300 251~300 東北大学 国立 3
251~300 251~300 東京工業大学 国立 7
301~350 301~350 名古屋大学 国立 =5
301~350 251~300 大阪大学 国立 8
351~400 NR 産業医科大学 私立  
401~500 401~500 藤田医科大学 私立 141‐150
401~500 401~500 北海道大学 国立 =5
401~500 401~500 九州大学 国立 4
401~500 401~500 帝京大学 私立 131‐140
401~500 401~500 東京医科歯科大学 国立 23
401~500 401~500 筑波大学 国立 9
501~600 801~1000 関西医科大学 私立 141‐150
501~600 601~800 横浜市立大学 公立 30
601~800 601~800 会津大学 公立 26
601~800 601~800 広島大学 国立 12
601~800 801~1000 東京慈恵会医科大学 私立 111‐120
601~800 601~800 慶應義塾大学 私立 14
601~800 601~800 近畿大学 私立 =65
601~800 601~800 神戸大学 国立 16
601~800 NR 久留米大学 私立  
601~800 601~800 日本医科大学 私立 131‐140
601~800 401~500 首都大学東京 公立 39
601~800 601~800 早稲田大学 私立 13

※「NR」は掲載なし

2020年版ランキング 日本の大学の動向

日本の大学で最上位に輝いたのは、東京大学(同率36位)です。2番手は京都大学(65位)、続く東北大学(251〜300位)、東京工業大学(251〜300位)、名古屋大学(301~350位)、北海道大学(401~500位)、九州大学(401~500位)はいずれも前年と同じ順位となりました。大阪大学は前年の251〜300位から301~350位に順位を下げています。

私立大学の中での最上位は、なんと初ランクインの産業医科大学(351~400位)で、被引用論文(研究影響力)のスコアが高いのが特徴です。次いで、いずれも前年の順位を維持した藤田医科大学(藤田保健衛生大学から校名変更)と帝京大学の401-500位。慶應義塾大学と早稲田大学は、いずれも前年と同じ601~800位にランクされました。

日本の大学で、今回新たにランクインした大学は、産業医科大学以外に久留米大学(601~800位)、京都府立医科大学(801~1000位)、聖マリアンナ医科大学(801~1000位)、三重大学(1001+)、大阪医科大学(1001+)、滋賀医科大学(1001+)の6校でした。これらの初ランクイン校は、いずれも医学部がある大学となっています。

トップ200へのランクイン数が伸び悩む日本。
本格的な投資と将来計画が必要

日本の大学の状況を概観してみると、全体のランクイン数が増加しているものの、世界のトップ大学の基準となっている上位200校の中には2校のみという気になる結果となりました。ランクイン校の80%近くにあたる85校は、800位以下となっています。TOP200には、アメリカが60校、イギリスは28校がランクインと圧倒的な強さを見せています。アジア勢でも中国が7校、韓国が6校、香港が5校入っていることも考え合わせると、現状で日本はランキング上位では世界の中で存在感を発揮しきれず、アジア諸国にも差をつけられつつあるといえるでしょう。

日本の大学の多くは「産業界からの収入(知の移転)【Industry income (knowledge transfer)】」や「被引用論文(研究影響力)【Citations (research influence)】」のスコアが高い一方で、「国際性(教員、学生、研究)【International outlook (staff, students, research)】」の低さがネックとなっており、それがランキング上位に食い込めない要因と考えられます。 THE チーフ・ナレッジ・オフィサーの フィル・ベイティ氏 は、日本はトップ200の大学を増やすなど、他のアジア諸国・地域と互角の実績を上げるために「優れた研究者や留学生を引きつけたり、他国の研究者との協力を進めたりして国際性のスコアを向上させるべきだ」とコメント。国際性スコア向上を実現させるには、本格的な投資と将来計画が必要だと指摘しています。

「指標項目」ごとのスコアに注目してみよう

「THE世界大学ランキング」のWEBサイトでは、各ランクイン大学の指標項目ごとのスコアも見ることができます。いろいろな大学の指標スコアを見比べてみると、それぞれの大学の強みや特徴などがわかり、非常に興味深いものがあります。例えば今回の日本の大学でいうと、東北大学が「産業界からの収入(知の移転)」のスコアを急伸させていることや、産業医科大学の「被引用論文(研究影響力)」のスコアが99.8と非常に高く、総合1位のオックスフォード大学を上回っていることなどが読み取れます。
世界の大学、日本の大学のランクイン状況や順位変動だけでなく、指標ごとのスコアにも注目して「THE世界大学ランキング」を見てみると、世界の中で日本の大学がどのような位置付けなのかがチェックできます。国内受験か国外受験かを迷っている方は、こういった視点も参考に、大学選びをしてみてはいかがでしょうか?

【参考ページ】:World University Rankings 2020|Times Higher Education

※この記事でご紹介している内容は2019年11月1日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年11月1日に掲載されたものです。

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