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アメリカの大学受験に必須の「SAT®」 と「ACT®」。どちらを受ける?

アメリカの大学に出願する際、提出を求められることのある書類の1つに、「SAT®」または「ACT®」のスコアレポートが挙げられます。SAT®やACT®とはいわゆる学力テストのようなもので、留学生だけに義務付けられるTOEFL®テストなどの英語テストとは違い、すべてのアメリカの大学進学希望者を対象とした共通試験です。アメリカの大学に入るためには、ほとんど場合、SAT®かACT®のスコアを提出する必要があり、アメリカの大学の合否の基準になるテストという位置づけなので、当然、大学進学を希望するアメリカ国内の高校生も受験するテストとなります。大学によっては、留学希望者にもSAT®やACT®のスコア提出が課せられることもあります。では、SAT®とACT®はどう違うのでしょうか?留学を目指す際に、自分に合ったテストを選択できるよう、日本に住んでいるとあまりなじみがない2つのテストの特徴を比較しつつ、簡単に解説します。

アメリカの大学受験に必須のSATとACTの違い

アメリカの大学入試におけるSAT®・ACT®の役割

まずは、SAT®とACT®の概要から見ていきましょう。

SAT®とは

「Scholastic Assessment Test」の略。アメリカの非営利法人「College Board®」が主催する、アメリカの大学進学希望者を対象とした標準学力テストです。「SAT® Reasoning Test」と「SAT Subject Tests」の2種類があります。アメリカの各大学で合否基準として広く使われており、大学進学を希望するアメリカ国内の高校生の多くが受験しています。2018年の受検者は約210万人です。

■SAT® Reasoning Test

一般的にSATと言った場合、こちらのSAT® Reasoning Testを指し、ほとんどの大学で提出が求められます。 英語力をみる「Evidence-Based Reading and Writing【800満点】」と数学の力をみる「Math【800満点】」の2つのセクション【合計1600点満点】で構成されています。さらに、任意で「Essay (エッセイ)【24点満点】」を受検することができます。
Evidence-Based Reading and Writingセクションはさらに、「Reading Test(読解)」と「Writing and Language Test(ライティング)」の2つのテストに分かれています。また、Mathセクションには電卓を使えない「Math(No Calculator)」と電卓を使える「Math(Calculator)」に分かれます。試験はマークシート式のペーパーテストのみとなります。(エッセイと数学の一部を除く)合計テスト時間は3時間です。(エッセイを受ける場合はプラス50分)

≪SAT® Reasoning Testの構成≫

セクション 問題数 制限時間 スコア
Evidenced-Based Reading and Writing Reading 52問 65分 200-800
Writing& Language 44問 35分
Math Math
(No Calculator)
20問 25分 200-800
Math
(Calculator)
38問 55分
Essay (オプション) 1問 50分 6-24
合計 154問(エッセイを除く) 180分(エッセイを入れると230分) 400-1600
※エッセイは別途

【参考記事】:新SAT®何が変わった?

■SAT Subject Tests

科目別テストのことで、アイビーリーグなどをはじめとした難関校と言われる大学を中心に、SAT® Reasoning Testに加えて出願の際に提出を求められるケースがあります。
「Mathematics(数学)」「Science(科学)」「English(英語)」「History(歴史)」「Languages(言語)」の5つの分野で、20の科目別テストがあり、大学が指定した科目を選択して受検します。1回の試験日に、最高で3つまで受けることができます。各テストとも選択式のマークシートで、制限時間は60分。各200-800点の範囲で評価されます。

ACT®とは

「American College Test」の略。アメリカの大学進学希望者を対象に行われる共通学力テストで、アメリカ中部の大学を中心に適性試験として採用されています。2018年は約190万人が受検しています。
主に英語の力をみる「English(英語)」「Reading(読解)」、数学の力をみる「Mathematics(数学)」、化学の広い分野から出題される「Science(科学)」の4つのセクションで構成されています。さらにオプションで、「Writing」セクション(エッセイ)を選択することができます(※)。4つのセクションはすべてマークシート式のテストとなり(エッセイを書く「Writing」のセクションのみ記述式)、合計のテスト時間は2時間55分です。(Writingを受ける場合はプラス40分)
Writing(エッセイ)を除く4セクションは、テストの正解数を「Scale score」に換算し、各36点満点で評価されます。総合点(Composite Score)は4セクションの合計ではなく平均となり、こちらも36点満点での評価となります。 Writingセクションは2-12点の範囲で評価され、ACT®の総合点に個別に追加されます。

※ACT®のスコアを認めている大学の多くは、Writingの選択を推奨しています。

≪ACT®の構成≫

セクション 問題数 時間 スコア
(Scale score)
English 75 45 1-36
Reading 40 35 1-36
Mathematics 60 60 1-36
Science 40 35 1-36
Writing 1 40 2-12

アメリカの教育システムでは、高校までが義務教育となります。そのため、高校の成績が同じオールAの学生でも、高校のレベルによって学力に大きな差が生じてきてしまうという現状が。そこで、地域や学校間で差の大きい生徒の学力(学習到達度)を、一定の基準のもとで評価する目的で実施されているのが、「標準テスト」(Standardized Test)といわれるSAT®やACT®です。アメリカでは大学入学の統一された規定というものは存在せず、基本的に大学ごとに要件を定めて入学者を決定していますが、大部分の大学ではSAT®またはACT®の受験を義務づけ、合否の判定に用いています。つまり、一般的なアメリカの大学進学希望者は、出願時にSAT®かACT®いずれかのスコアを提出する必要がある、といえます。

SAT®とACT® 実際にどんなところが違う?

SAT®もACT®も、アメリカの高校生を中心に、アメリカの大学への進学希望者が大学を受験する際の学力を測る共通テストです。とくにSAT® Reasoning Test(以下、SAT®)とACT®は同じように扱われており、基本的にアメリカの高校生はいずれかのテストで獲得したスコアを大学出願の際に提出します。では、この2つは何が違うのでしょうか?実際にいくつか違っているポイントを、例として挙げながら比較してみましょう。

■SAT®とACT® テスト概要の比較

  SAT® ACT®
年間の実施回数(米国内) 7回 7回
通常の申込締め切り テスト日の4週間前 テスト日の5週間前
受験料 47.50ドル
(エッセイを含む場合は64.50ドル)
50.50ドル
(ライティングを含める場合は67ドル)
スコアレポートの発行数 無制限 20通
スコアレポート発行までの期間 受験日から約3週間後(大学には直近6回分まの結果がすべて報告される) 受験日から約2~8週間後通知(希望するテスト結果だけを選択して大学に送付できる)
スコアの有効期限 なし 毎年8月末まで

■SAT®とACT® テスト形式の比較

  SAT® ACT®
テスト時間 3時間
+エッセイ50分(オプション)
2時間55分
+ライティング【エッセイ】40分(オプション)
テスト構成 3セクション+エッセイ(オプション) 4セクション+ライティングテスト(オプション)
すべての設問数 154 215
1問当たりの制限時間(単純計算による) 1分10秒 49秒
スコア範囲 総合400-1600
(エッセイ:総合で6-24)
総合1-36
(ライティング:2-12)

■SAT®とACT® テスト科目の比較

SAT® ACT®
Writing and Language Test
35 分
44 問
English Test
45 分
75 問
Reading Test
65分
52 問
Reading Test
35 分
40 問
Math Test
80 分
58 問
Math Test
60 分
60 問

※SAT®には独立した科学のセクションはありませんが、試験全体を通して科学の問題が組み込まれています。
Science Test
35 分
40 問
【オプション】SAT Essay
1 問
50 分
【オプション】Writing Test
1 問
40 分

1)テスト時間(制限時間)

テストの合計時間はほぼ等しいのですが、総設問数はSAT®が154問、ACT®は215問。単純に計算しても、ACT®の方が問題の量に対して与えられている解答時間がかなり短いのがわかります。ACT®は素早く要領よく幅広い問題を解く能力が問われ、SAT®は難しい問題を深く分析する力や読解力などが問われるとされています。

2)Scienceセクションの有無

SAT®は大きく分けると英語と数学に関するテストだけなのに対し、ACT®には英語、数学に加えて「Science(科学)」のセクションがあります。科学セクションのスコアは、ACT®の総スコアの中で1/4を占めているので、かなり重要になってきます。ただ、ACT®の科学セクションは、専門的な科学の知識を問うようなものではなく、データやグラフを読みとり、分析する問題が出題されます。科学的な思考能力(クリティカルシンキング)を見るテストとなっているので、そういった分野に自信がある人には有利と言えるでしょう。

3)数学セクションでの電卓使用

ACT®の数学セクションは、すべての問題で電卓を使用できますが、SAT®の数学は電卓を使用できない(No Calculator)問題があります。電卓なし(No Calculator)のサブセクションは20問を25分で解答しなければならず、計算力を含む数学の力がかなり試されます。

4)数学の内容、配点

SAT®の数学は主に代数学に関する問題が出題され、ACT®の数学は代数学や幾何学、三角関数といった幅広い範囲から出題されます。どちらもマーク式ですが、SAT®数学の選択肢は4つ、ACT®数学の選択肢は5つとなります。また、SAT®では数式ガイド(数学式の図)が提供されますが、ACT®ではありません。テスト全体における数学の配点は、SAT®が合計スコアの半分なのに対し、ACT®は1/4となっているので、数学が苦手な人にはSAT®はやや不利と言えるかもしれません。

5)エッセイの違い 

SAT®とACT®のどちらもエッセイはオプションで選べますが(ACT®の場合はWriting testという名称)、書くべき内容はかなり異なります。SAT® Essayは、課題の文章を読み、その内容を元に与えられた課題について書く形式のため、文章を書く力だけではなく読解力や分析力といったことも求められています。ACT® Writingセクションでは、問題に関する短い文章(Prompt)を読み、それに関して様々な観点から分析・考察し、自分の意見を述べるというスタイルになります。つまり、SAT®のエッセイは「著者の主張を読解・分析する」ことが重要になり、ACT®では「様々な観点からの考察に裏付けられた、自分の意見を言う」ことが重要になると言えるでしょう。

アメリカの大学進学には重要な役割を果たす学力テスト
事前に何度でも受検できるので、自分に合った方を受検しよう

SAT®やACT®は、原則として受験回数にほぼ制限がなく(ACT®は12回までだが、年に7回しか実施されないため、実質的には制限なしと同等とみなせる)、納得のいくスコアを獲得できるまで出願までに何回でも受験することができます。もちろん、ただ受験回数を重ねればよいというものでもなく、どのような準備をして、いつ受検して、どれぐらいのスコアを目指すのか、戦略的に考えていくことも大切になります。アメリカの大学は、書類審査による総合的な人間評価で合否が決まりますが、なかでもSAT®またはACT®はアメリカの大学進学には欠かせない要素であり、ハイスコアが獲得できれば、合格への力強いサポート、橋渡し役となることは間違いありません。志望大学でどちらのテストスコアを受け付けているかを最初にしっかりと確認しましょう。どちらもOKであれば、テスト内容などを比較しつつ、両方受けてみて自分に合っていると感じた方のテスト対策を重ね、数回受験するのがおすすめです。

※この記事でご紹介している内容は2019年7月12日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年7月12日に掲載されたものです。

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