東西文化が融合する国際都市にある、香港大学とは
中国に属しながらも、かつては長期間に渡りイギリスの植民地だったという特異な歴史を持ち、現在も特別行政区として独自の発展を遂げる、ひときわ国際的な都市・香港。多様な文化が混じり合う香港を代表する大学の1つが、公立の香港大学です。イギリスの教育専門誌「Times Higher Education」(THE)が発表している世界大学ランキングでは、2018年版から2年連続で東大より上位にランクインするなど、躍進著しい香港大学についてご紹介します。
香港大学の概要
HKUの略称でも親しまれる香港大学(University of Hong Kong)が、総合大学として設置されたのは1911年。香港島の西部にある薄扶林にメインキャンパスを構える公立大学で、香港で最も古い高等教育機関です。開校当初の学部は、芸術・工学・医学の3つ。その後、次第に学部は増えて現在は科学・教育・法律・ビジネス経営などを加えた10の学部が存在しています。フルタイムの学部生は約18,000名、全学で30,000名以上の多様な学生が学んでいます。学生の男女比は46:54とされています。また、43カ国・340以上の主要大学と連携するネットワークを構築。104の国から約9,000名の留学生を受け入れており、全学の43%が留学生という国際的なキャンパス環境となっています。
さらに、国際的で多様な文化背景を持つ2,000名以上のスタッフを配置。中でも教授陣においては、59.2%が海外出身者です。また、世界のトップ1%の科学者にランクされている教授が111名と、研究主導の大学として世界的に評価されています。
イギリスの教育専門誌Times Higher Educationによる「THE世界大学ランキング」の2019年版では36位にランクイン。42位の東京大学を上回り、アジアで4位となっています。とくに、「International outlook(国際性)」の領域(※)で99.7という高いスコアを獲得しているのが特筆すべき点といえます。
※THE世界大学ランキングの「International outlook(国際性)」は以下の3項目で評価されています。
・海外留学生数と国内学生数の比率(外国出身の学生の割合が大きいほど高スコア)
・外国籍教職員数と国内教職員数の比率(外国出身の教員の割合が大きいほど高スコア)
・国際共同研究(1人以上の外国人共著者がいる論文の割合が大きいほど高スコア)
香港大学で学べること
香港大学には、10の学部、140以上の学科、研究所/センターにまたがる包括的な学術ログラム・研究が提供されています。もともと、大学としての前身が医科大学であったことから医学部が有名ですが、現在では研究主導の総合大学として香港を代表する大学の1つとなっています。
≪各学部の専攻分野の例≫
- ●建築学部:不動産、都市計画、保全、景観
- ●芸術学部:人文、言語、自由研究、中国西洋研究
- ●ビジネス&経済学部:経営、会計、定量的財務、経営管理、計量経済学
- ●歯学部:口腔保健、矯正歯科、歯周病、衛生口腔外科
- ●教育学部:教育リーダーシップ、比較教育、コミュニケーション障害、特殊教育、スピーチ&ヒアリング
- ●エンジニアリング学部:電気・電子、土木、機械、工業、コンピュータサイエンス
- ●医学部:外科、薬学、看護、生物医学、中国医学
- ●法学部:憲法、商業法、金融法、国際貿易経済法
- ●科学部:基礎科学、食品と栄養、統計、環境科学、生態学と生物多様性
- ●社会科学部:心理学、政治と行政、ジャーナリズム、地理学
ほとんどの授業が英語で提供されているのが大きな特徴。学生は自らの興味にあわせて、専攻や科目などを独自に組み合わせ、柔軟にプログラムをカスタマイズすることが可能です。
また、全学部共通の「Common Core」と呼ばれるコースもあります。Common Coreは4つの分野にまたがる6つのコースがあり、知的・社会的な視点を広げるための学際的な学びが提供されています。 Common Coreは全学部生必修のコースとなります。
香港大学の設立当初のミッションは、中国における英語で学べる大学であることでした。しかし現在では中国本土や海外との交流も盛んに行い、100年以上の文化と伝統を継承しながらもアジアにおける独特の地位からのグローバルな視点を持って、アジアと世界の問題に取り組むための革新的なアプローチを行っています。多様性と国際性を持ったアジアのグローバル大学として発展を続ける香港大学は、国際社会でも有数の優良大学としての評価が高まっています。
多様な文化がまじりあう国際都市・香港の名門大学
英語圏の大学に進学するのと同じレベルの英語が必須
香港は、地理的にも文化的にも中国固有の地域に位置しながら、イギリスの文化も色濃く反映されている多文化都市。その香港で最も歴史のある香港大学は政府の高官を数多く輩出しており、また卒業生の中に中華民国の父と呼ばれる孫文がいることでも知られる、格式高い名門大学です。留学生の受け入れにも積極的で、中国本土からはもちろん、世界中から優秀な学生が集まってきています。授業のほとんどが英語で行われるため、地域的には中国語圏の大学とはいえ、留学には高い英語力が必要となります。活気あふれるアジアのグローバル大学で学びたいと思ったら、英語圏の大学に進学するのと同じレベルの意識で、早いうちから英語力を磨いて準備をしていきましょう。
※この記事でご紹介している内容は2018年12月7日現在の情報に基づいています。
※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2018年12月7日に掲載されたものです。