日本と海外の2つの学位を取得! ダブル・ディグリー・プログラムとは?
世界のグローバル化が急速に進む現在、日本でも国際化を意識した教育を行う大学が増えてきました。ここ数年は、コロナ禍を経て、国内ではさらに多くの大学が様々な取り組みを充実させてきています。海外での体験学習プログラムやインターンシップなどを含む、多様な海外留学制度を整備している大学もたくさんあります。
とくに国際・グローバル系大学で注目されているのが「ダブル・ディグリー・プログラム」。日本の大学に入学した後、一定期間を海外の提携校に留学し、卒業時には日本と海外双方の学位を取得できる制度です。今回はダブル・ディグリー・プログラムを実施している日本の大学や、その特徴・メリットなどをお伝えします。
ダブル・ディグリー・プログラムとは?
「ダブル・ディグリー」が意味するところは、実は、国際的に見ても一義的な定義がなされているわけではありません。ただ、日本においては、文部科学省が平成22年に公表した『我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン』の中で、ダブル・ディグリーを「我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム」と定義しています。
そのため「ダブル・ディグリー・プログラム」については、日本国内ではおおむね、「日本の大学と提携している海外の大学の間に設定された単位互換制度を利用し、提携先への学生の一定期間の留学などを通して、それぞれの学習プログラムを修了させることにより、双方の大学の学位を授与する」制度であると捉えられています。
ダブル・ディグリー・プログラムの特徴やメリットは?
ダブル・ディグリー・プログラムは、日本では「複数学位取得制度」などとも呼ばれることがあるように、「日本と海外の2つの大学の学位を取得できる留学プログラム」であるというのが大きな特徴です。
それぞれの大学によって提携先大学との協定は異なるためプログラムの詳細は様々ですが、メリットとしては下記のような点が挙げられます。
- ●日本の大学に在籍したまま海外の大学に正規生として学位留学できること
- ●留学先が協定校であるため、日本の大学内での基準に合格すれば通常の入試は免除されること
- ●ダブル・ディグリー用の特別プログラムであることが多く、通常より短い期間で学位を取得することが可能な場合が多いこと
つまり、「日本と海外の大学の学位プログラムを、それぞれ履修するよりも短い期間で、両方の学位を取得できる」ことが大きなメリットといえるでしょう。また、大学によっては留学先の大学の入学金や授業料を払うことなく、日本の大学の授業料のみで留学できる制度を整備している場合もあります。
ダブル・ディグリーを実施している大学は?
ダブル・ディグリーの制度は大学院の修士課程・博士課程で実施している大学が多いですが、学部(学士)課程で提供されているプログラムもあります。現在、ダブル・ディグリー・プログラムのある日本の大学・学部と、提携している留学先の例は以下の通りです。
※大学・学部によって制度の名称は異なる場合がありますが、異なる2つの大学のそれぞれの学位が取得できる留学制度を「ダブル・ディグリー・プログラム」として扱います。
<ダブル・ディグリー・プログラムのある大学・学部の例>
慶應義塾大学
対象学部 |
プログラムの名称/留学先 |
プログラムの内容 |
---|---|---|
経済学部 |
4~5年間の学士課程プログラム。在学中に2年間パリ政治学院ル・アーブル校に留学し、慶應義塾大学経済学部とパリ政治学院の2つの学位(学士)を取得することができる。 |
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3年次秋学期から1年間、ボッコーニ大学に留学することにより、慶應義塾大学経済学部およびボッコーニ大学から、2つの学位(学士)を取得できる。(参加者数の上限は、年間4名) |
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商学部 |
4年間の学士課程プログラム。在学中に1年間エセック経済商科大学院大学(ESSEC Global BBA)に留学することにより、慶應義塾大学、エセック経済商科大学院大学から両方の学士号(B.A.)が授与される。 |
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5年間の学士課程プログラム。在学中に2年間北京大学・光華管理学院に留学することにより、慶應義塾大学、北京大学から両方の学士号(B.A.)が授与される。 |
早稲田大学
対象学部 |
プログラムの名称 |
プログラムの内容 |
---|---|---|
全学 |
Double Degree Programs(DD) |
在学中に協定校に留学し、所定の要件を満たせば、早稲田大学と留学先大学の学位の両方を取得できるプログラム。プログラムによって、対象学部や期間が異なる。 ※募集は毎年春と秋に行われる。 |
明治大学
対象学部/主催 |
プログラムの名称/留学先 |
プログラムの内容 |
|
---|---|---|---|
政治経済学部 |
ダブルディグリープログラム |
タマサート大学(タイ) |
タマサート大学(政治学部)に最短4学期間在籍し、所定の単位を修得することで、最短4.5年で明治大学の学士号とタマサート大学の学士号を取得できる。 |
サンフランシスコ州立大学(米国) |
サンフランシスコ州立大学(人文学部政治学科)に約4学期(最短)在籍し、所定の単位を修得することで、明治大学の学士号とサンフランシスコ州立大学の学士号を取得できる。 |
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西シドニー大学(豪州) |
西シドニー大学(人文コミュニケーション学部)に最短3学期在籍し所定の単位を修得することで、最短4年で明治大学の学士号と西シドニー大学の学士号を取得できる。 |
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※認定留学:ノースイースタン大学(米国)【トランスファー型認定留学】 |
ノースイースタン大学へのトランスファー制度を使って社会人文学部政治学科に留学し、修得した単位を明治大学の単位として認定することで、両大学の学位を取得できる。 |
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法学部、商学部、政治経済学部、理工学部(建築学科のみ)、農学部(農学科のみ)、情報コミュニケーション学部、国際日本学部/国際教育センター主催 |
テンプル大学デュアルディグリープログラム(Dual Bachelor’s Master’s Degree)
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4年次秋学期(在学8学期目)からテンプル大学大学院へ約2年間留学し、修士課程を修了することで、明治大学の「学士」学位とテンプル大学大学院の「修士」学位を取得できる。 |
同志社大学
対象学部 |
プログラムの名称/留学先 |
プログラムの内容 |
---|---|---|
法学部 |
同志社大学で3年または3年半、アリゾナ大学で2年修学。所定の単位を修得すれば、同志社大学の学士号とアリゾナ大学のJuris Doctor Degree(JD/法務博士) がそれぞれ授与される。 ※修了者には米国司法試験受験資格が与えられる。 |
立命館大学
対象学部 |
プログラムの名称/留学先 |
プログラムの内容 |
---|---|---|
法学部/産業社会学部/国際関係学部/文学部/経済学部/経営学部/政策科学部 |
アメリカン大学の5学部(国際関係学部、経営学部、文理学部、公共政策学部、コミュニケーション学部)のうち希望の学部に所属し、最低80単位を取得。そのうち40単位を上限に立命館大学の単位として認定し、最短4年間で日米2つの学士号(卒業資格)を取得できる。 |
九州大学
対象学部 |
プログラムの名称 |
協定校(留学先) |
プログラムの内容 |
---|---|---|---|
農学部IUP(国際学部プログラム) |
アメリカ・北アリゾナ大学 環境森林自然科学部 |
合計4年間で、九州大学と北アリゾナ大学の両方から学士号を取得できる。 |
横浜国立大学
対象学部 |
プログラムの名称 |
協定校(留学先) |
プログラムの内容 |
---|---|---|---|
経済学部 |
華東師範大学 経済与管理学部/中国 |
横浜国立大学での2年間と華東師範大学での2年半との合計4年半の学修により両方の大学の学位を取得できる。 |
ダブル・ディグリーを狙うなら英語力は必須
ダブル・ディグリーを取得するためには、基本的に提携先大学への数年間の留学が必要になります。当然のことながら、海外で学位をとるには海外大学の授業を受け、試験にパスしなければなりません。日常会話のレベルではなく、大学の授業についていけるだけの英語力が必須となります。
さらに言えば、国内の大学でダブル・ディグリー・プログラムを履修するためには、学内選考が設けられているケースが多く、大学での成績や語学能力に関して定められた基準を満たしていることが求められます。多くの場合、審査に合格するためには、人物や学業が優秀で、TOEFL®テストなどの語学テストで高スコアを保持していることが必要とされるため、ダブル・ディグリーを目指すなら早いうちから準備していかなければ実現はかなり難しくなってきます。
将来的に、ダブル・ディグリーを目指すのであれば、大学での日々の学習を頑張るのはもちろん、アカデミックでも通用する英語力を磨いていくことをおすすめします。
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※この記事でご紹介している内容は2023年8月30日現在の情報に基づいています。