海外大生体験談

出願書類の書き方・提出のしかたどうやった? ~ワシントン大学 Genta T.先輩~

出願書類を通したアピールが主軸となる海外大受験。14の米国大学と国内大学受験という日米併願をやりきりワシントン大学への進学を果たしたGenta T.先輩は、エッセイ執筆や外部英語試験の勉強、先生への推薦状の依頼など複雑かつ膨大な準備をどのように進めていったのでしょうか。

※ここでご紹介している内容は個人の体験です。実際に準備する際は、必ず最新の情報をご確認ください。

 

最も苦戦したパーソナルエッセイ。納得のいく時点で割り切り、23本の大学別エッセイも書き上げた!

 

今回の「ラボ協力隊」


Genta T.先輩

アメリカ ワシントン大学 1年生、社会科学専攻前課程(人類学と政治学を専攻予定)。
常に海外進学を視野に入れていたが、哲学の国際大会出場時に日本を国際関係の中で捉えることの重要性を感じ衝撃を受けたことを機に、高3から本気で海外進学を志す。自分の幅広い興味を実践するための学びを手に入れるべく米国大を選択。

 


 

Q. 各国の大学出願の流れや、その中で工夫したことは?

 

当初から日米併願。高3の4月に大まかなスケジュールを組んで全体像を把握。

 

Genta T.先輩が出願した大学数・国と提出形式

  1. ・アメリカの大学14校…コモンアプリケーション(Common Application / Common App : 米国大学の共通願書システム) ※ただし1校は大学独自の出願システム
    ・日本の大学2校…一般入試(共通テスト・二次試験)

    ——————————
    ▼準備・提出した書類
    ・成績証明書
    ・エッセイ(志望理由書)
    ・推薦状
  2. ・英語テストスコア:TOEFL®
    ・学力テストスコア:SAT®
    ・課外活動記録(リスト)
    ・その他:大学独自の質問形式のエッセイや読んだ本などを書くエッセイ

私は日米併願を当初から視野に入れて考えており、受験のスケジュール調整もそれを念頭に入れて出願を進めていきました。

 

【高3の4月〜2月】日本の大学受験対策

私は一条校(学校教育法第1条に定められる学校。公立・私立を問わず日本国内の一般的な高校が含まれる)に通っており、高校3年生の1学期で高校の内容がすべて履修できる学校でした。そのため、1学期には日本の受験勉強の基礎的なところは終わらせて、2学期は授業の演習を中心に受験対策をしていました。

 

2学期にはアメリカの大学の受験奨学金の応募など海外受験で忙しくなり、授業外で受験対策をするのは難しかったです。特に冬休みはエッセイの執筆に力を入れていたこともあり、国内大学の対策は一層手薄になりました。

 

1月の初週で米国大の受験は終わり、そのあとの2週間弱で共通テストの対策、その後二次試験の対策をする予定でした。しかし、米国受験が終わったことで思ったよりはるかに燃え尽きてあまり精が出ず、それ以前に勉強していた分の貯蓄はあったとはいえ、中途半端な状態で日本の大学受験をやる形になりました。

 

【高3の5月〜10月初旬】アメリカの大学出願準備:コモンアプリケーションのエッセイ

米国大学出願に話を移すと、11月初旬に提出期限のあるEarly Decision/Action(合格した場合必ず入学など条件あり)と1月のRegular Decision の2つの出願期日に沿ってスケジュールを立てました。

 

私はRoute Hで出願サポートを受けており、4月から大まかなスケジュールを立て、以降それを参考に進めていきました。もちろん紆余曲折あったので順調には進みませんでしたが、全体像をつかむことや情報を収集するのに役に立ちました。

 

まずエッセイの練習を5〜6月で行い、7月からはパーソナルエッセイに取り掛かり始めました。パーソナルエッセイとは、コモンアプリケーションの出願システム上で大学に共通して提出する一つのエッセイで、一番大切なエッセイです。

 

このエッセイのアイデアを7月からいくつか考えていたのですが、なかなかしっくりくるものがなく、結局書き始められたのは8月中旬。この頃は毎日のようにエッセイとにらめっこしていたのを覚えています。最終的に20回ほど書き直してようやく納得するものが完成し、気づけば10月初旬になっていました。

 

【高3の9月〜1月初旬】アメリカの大学出願準備:各大学のサプリメンタルエッセイ

大学出願に必要なエッセイは他にもあります。各大学が独自にテーマを設定するサプリメンタルエッセイの執筆は、通常パーソナルエッセイよりは書きやすいものの、数が多くこなしていくのに時間がかかります。

 

私は11月に出願する大学のエッセイは9月くらいからはじめ、1月に出願する大学用のエッセイは11月の出願がひと段落した後から始めました。これらのエッセイ執筆では5〜6月に行ったエッセイの練習の際に出したアイデアが使えたりしました。

 

パーソナルエッセイの完成が当初の予定よりだいぶ遅くなったり、志望度の高い大学のエッセイを優先したりしていたので、他の志望校の独自エッセイが追い付かないこともありました。出願校の中には、提出する当日に書類が完成することもありました。楽観的な性格もあってか終始焦りはあまりなかったのですが、奨学金の申請やエッセイなどが重なって忙しかったです。

 

【高3の8月〜9月下旬】アメリカの大学出願準備:推薦状など必要書類の手配

残りの書類も早期から準備が必要でした。推薦状成績表、志望校によって求められる高校の概要を説明した書類などは、学校に相談する必要があります。

 

私の学校から海外に進学する生徒は珍しく、英語の書類は一から作成しなければいけないことが多かったです。これらの書類は8月から先生がたと翻訳をしてくれる留学カウンセラーのかたにお願いし、9月下旬にはすべて揃えてもらいました。

 

 

Q.【エッセイについて】種類やテーマは? 複数のエッセイをどう進めた?

 

パーソナルエッセイ+サプリメンタル23本!テーマ・期日を表にまとめて一元管理。

 

コモンアプリケーションのパーソナルエッセイ

出願準備の中でも、私にとってエッセイは一番難しかったです。エッセイは、パーソナルエッセイと大学が独自でテーマを設定するエッセイがありますが、特に苦労したのがパーソナルエッセイでした。

 

パーソナルエッセイの大きな特徴は内容が自由であることです。一応プロンプトはあるのですが、その一つは「好きなテーマでエッセイを書いてください。すでに書いたものでも、別の課題に答えたものでも、自分で考えたものでもかまいません」とあるので事実上完全に自由です。

 

自由といっても「目的」を理解した上での自由です。それは、自分がどのような人間かを大学に説明し、アピールすることです。

 

前述のとおり、私は夏休み前からエッセイの練習をはじめ、どのようなものを書きたいかを考え始めていました。その過程でたくさんエッセイを書いたものの、なかなかパーソナルエッセイにできるアイデアが生まれず、結局一つのアイデアに落ち着いたのは8月中旬でした。

 

パーソナルエッセイは、自分の過去のエピソードをもとに自分を説明することが一般的に評価されるといわれます。私の場合、自分の人間性をうまく表現できるエピソードがなかなか見つからず、立ち往生していました。

 

最終的に内容が決まり、執筆を始めたときも、他の人のエッセイと自分のものを比べては、内容と伝えたいことがあまりにも標準的なものとかけ離れていたのが気になったりしていました。これでいいのかなとずっと疑心暗鬼でした。何回も書き直して、文章を洗練して大学側に示したい事を絞っていく中でも、この方向でいいのかと不安や疑問が多くありました。

 

そんな不安を乗り越え、このエッセイを提出しようと決めたのは、精神論になってしまうのですが「もう自分が手を加えることはできない」という割り切りでもありました。

 

大学は受験生の中から合格をさせる生徒を決めるとき、学力を見ると同時に相性が合うかということを重視しています。詰まるところ、縁も大きな要素です。

 

出願全体の話にも通じますが、努力はもちろん大切ですが、大学側が相性を主観的に決める部分もあるので、ある意味他力本願です。そこを悟っても不安なものは不安なのですが、自分ができることはもう終わったと割り切り、私はパーソナルエッセイを完成させました。

 

各大学のサプリメンタルエッセイ 23本

サプリメンタルエッセイは、練習の時のアイデアをそのテーマに合わせて使ったりしました。念頭においていたのは、他の出願書類との一貫性を保ちながらエッセイ固有のメッセージを明確にすることです。

 

字数が少ないこともあり、比較的に簡単に書くことができるので複数のエッセイを同時進行していました。優先順位の高いエッセイは5~10回ほど、その他は3~5回ほど書き直しをして完成。全部で23本(中には使い回したものもあったので実際に書いたのは18本くらい)と量が多く忙しかったものの、書ききることができました。

 

11月の出願では8本、1月の出願は15本を提出する流れで、大体1本あたり1〜3週間で完成させることを頭において常に3〜4本を同時並行で進めていました。似たトピックのエッセイはできるだけまとめて、一つのアイデアからそれぞれのテーマに当てはまるように書きました。

 

スケジュール管理などで活用していたのは、エクセルで作成した表です。学校とエッセイの大まかなテーマ期限いつ始めるべきかをそれぞれリストアップして、そのエッセイを書き終わったら表にチェックを入れることで整理をしていました。エッセイのテーマをまとめるのもここで行っていました。

 

 

Q.【推薦状について】誰に、どのように依頼した?

 

どう書いてほしいか具体的に伝えた上で先生3名に依頼。翻訳も必要なので早めが◎。

 

推薦状はお世話になっている先生3人(担任の先生、化学の先生、課外活動などでお世話になった先生)に9月初旬にそれぞれお願いしました。

 

私の学校の先生がたは米国大学の推薦状を書いたことがなかったので、どのようなものを書いてほしいか伝えました。翻訳は留学カウンセラーのかたにお願いしました。

 

 

Q.【課外活動について】リストアップするとき意識したことは?

 

エッセイなど他の書類との一貫性、インパクトを意識して具体的に功績をアピール!

 

課外活動の記入は一貫性とインパクトを大事にしました。エッセイや将来のビジョンなど他の出願内容に合わせるとともに、功績を具体的に書くことを意識しました。

 

エッセイは少し控えめに書いたので、ここで帳尻を合わせるようなイメージで自慢をするつもりで書きました。

 

 

Q.【外部英語試験について】受けたテスト、目標スコアに達したタイミングは?

 

出願準備等を見据え早めに対策開始。SAT®、TOEFL®の順で高2の2月までに目標達成!

 

先輩がたの体験記を読み、エッセイや課外活動、学校の勉強を両立させながらテスト勉強するのは難しいと思い、スコアはできるだけ早く揃えました。競争率の高い大学ではTOEFL®は120点中100点以上をとることが必須となっていることが多いです(実際に基準以下で合格している人もいますが稀です)。

 

私の場合はTOEFL®は100点以上、SAT®はできるだけ高い点数を目指して2ヵ月ほど前から過去問を解くことを中心に勉強をしました。SAT®は高2の10月に、TOEFL®は高2の2月には満足のいく点数を取ることができました。

 

また、SAT®の英語はTOEFL®と比べ歴然とした難易度の違いがあります。SAT®の勉強をすることでTOEFL®のリーディングの対策を兼ねることができたと思います。

 

テストスコアの大学への提出に関してですが、TOEFL®のスコアは各大学にはETS(TOEFL®の開発・運営団体)からAdditional Reportsとして送ります。

 

最近はSAT®の提出が任意になっている大学が多いですが、留学生は英語力の証明を兼ねて提出する方がいいといわれています。SAT®は各大学にCollege Boardからスコアを提出します。焦らないためにも余裕をもって送付することをお勧めします。

 

 

Q.【その他の提出書類について】成績証明書など、準備で工夫したことは?

 

海外大出願の馴染みが薄い母校。何が必要か、わかりやすく提示して相談しました。

 

基本的に書類などは「こういうものを書いてほしい」という具体的なリストや内容などを学校に持っていって一緒に話して作るようにしました。

 

英語の書類が無く、海外大受験のノウハウが少ない学校であったこともあり、どのようなものが必要かインターネットで調べ、自分でドラフトを作成して学校に持っていくなどしていました。

 

Q. 海外大を目指す中で心掛けたことは? 今頑張っている高校生にアドバイスもぜひ!

 

大学のさらに先まで見据えて考え続ける。受験期という特別濃い時間を楽しんで!

 

受験をしていた時のことを思い出してみると多くの失敗をしたというか、別に後悔はしませんが上手くいかなかったことは多いです。でも、受験をやってよかったと私は思います。

 

私の好きな漫画があるのですが、その中で主人公が敵と対峙したときに「お前は何を目指してんだ」と問いかけるシーンがあります。敵は「怪人」と答えますが、主人公はさらに「その先の話だよ」と問いかけます。

 

大学に求めることは人それぞれだと思うし、それでいいと思います。楽しむことでも、憧れの教授のもとで勉強することでも、怪人になることでもなんでもいいです。ですが、大学の先にあるもの、またはその先の先にあるもの見据えて受験をすることはとても大切なことです。

 

もちろん、大学の4年間でどのように自分が変化するかは完全な未知数です。私も大学に来て数か月ですが、受験生の時は予想だにしなかったことがたくさん起きています。数年後の予定を立てるなんてことは、端から無理なことです。

 

でもそれをやることに意味がないか、と言われるとそうではないと思います。過去は未来を決定することはないですが、未来は過去を基盤として拓かれていきます。今、本気で悩んだり、考えたりしたことは未来に必ず糧になります

 

大学卒業後を考えるということは「大学を卒業しても自分の変わらない部分はなんだろう?」と考えることでもあります。考えて、わかるものは突き詰めて、わからないものは多分一生わからないと思いますが考え続ける。その考えたことが受験に反映されないかもしれません。でも、受験を原点として今後続いていく未来には大きく影響してきます。

 

受験はどの道が正しいのか分からないのは常で、不安だし、辛い時はあるし、独りで道を探ることは寂しいかもしれない。でも私はこの過程を経たことで素晴らしい人々に会えたし、大切なことを学んだし、現在は自由に大学生活を楽しんでいます。

 

受験期ほど濃い時間は今後無いかもしれません。過去、現在、未来のこと、自分、他者、社会のことをずっと考え続けることができる時間はとても貴重だと思います。

 

無責任かもしれませんが、これから受験を迎える方々、または受験を考えている方々にはこの受験というイベントをぜひ楽しんでほしいです。

 

いかがでしたか? 

高3の4月に全体スケジュールを引き、エクセルで出願内容を管理しながら23本ものエッセイを仕上げたGenta T.先輩。高2で外部英語試験のスコアを確保、3年生に入ってからは国内大受験の対策は学校の授業で集中して行い、エッセイなど出願書類準備に集中できた点も成功の鍵ですね。

 

【出願書類の書き方・提出のしかたどうやった?:シリーズ記事をチェック!】

イギリス / オックスフォード大学 Gaku M.先輩
アメリカ / ワシントン大学 GentaT.先輩(この記事)

 

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※この記事でご紹介している内容は2025年2月18日現在の情報に基づいています。
 

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