出願書類の書き方・提出のしかたどうやった? ~オックスフォード大学 Gaku M.先輩~
エッセイや推薦状、高校の成績など「出願書類」そのものが入試になる海外大受験。一口に海外の大学といっても、国によって必要な書類やプロセスは異なります。世界トップのオックスフォード大学をはじめイギリスの大学を第一志望としつつ、アメリカ・カナダの3ヵ国の大学へ出願したGaku M.先輩に、エッセイや外部英語試験の対策と準備、出願までの流れについて詳しくうかがいました。
※ここでご紹介している内容は個人の体験です。実際に準備する際は、必ず最新の情報をご確認ください。
締め切り順に進めた3ヵ国受験。必要書類やエッセイのお題を頭に入れ、思いつく度にメモ!
今回の「ラボ協力隊」
Gaku M.先輩
イギリス オックスフォード大学 物理学科 1年生。
国際バカロレア(IBDP)が海外大の受験に有利であること、学びたい量子分野の先駆的な研究機関がイギリス・アメリカ・カナダといった国にあることを知り、高2の時に海外大進学を決定。
Q. 各国の大学出願の流れや、その中で工夫したことは?
高3の6月開始。必要書類やエッセイのテーマを念頭に置きながら締め切り順に準備。
Gaku M.先輩が出願した大学数・国と提出形式
- ・イギリスの大学5校…UCAS
(University and College Admission Service:イギリスの全大学のオンライン出願ポータル)
・アメリカの大学5校…コモンアプリケーション
(Common Application / Common App : 米国大学の共通願書システム)
※ただしカリフォルニア大学系列の4校は独自のシステム
・カナダの大学1校…オンタリオ州の大学用のOUACと呼ばれるシステム
(Ontario Universities’ Application Centre)
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▼準備・提出した書類
・成績証明書
・エッセイ(志望理由書)
・推薦状 - ・英語テストスコア:TOEFL®
・学力テストスコア:SAT®
・課外活動記録(リスト)
・その他:受賞歴、資産額の書類(ファイナンシャルエイドの申請用)など
【高3の6月】イギリスの大学出願の準備スタート、TOEFL®受験
6月頃にUCASの要項を記入し始めました。イギリスの大学に行きたい気持ちが一番強かったので、10月中旬の締め切りまでは他国の大学用のエッセイはほぼ書くことなく、UCASのパーソナルステートメント(志望理由書)に集中しました。
同じく6月にTOEFL®を受験し、このときのスコアをすべての大学に提出しました。余裕をもってスタートしたはずが、夏休みを悠長に楽しんでいると、エッセイを仕上げるのが締め切り1週間前までずれこんでしまいました。
【高3の10〜11月】カリフォルニア大学系列校・カナダの大学出願
無事イギリスの大学への出願を終えると、11月が締め切りのカリフォルニア大学の系列校への出願準備を始めました。同校のシステムでは4つのエッセイを書かなければならず、もっと早くから構想を練っておけばよかったと反省しています。
ちなみにこの頃カナダの大学にも1校出願しましたが、こちらは成績を入力するだけでエッセイや推薦状、課外活動の記入などは必要なかったと記憶しています。
【高3の11〜12月】アメリカの大学の早期出願(コモンアプリケーション)
カリフォルニア大学への出願を終えると、12月にはアメリカの大学の早期出願の締め切りが迫っていました。ここまでの大学出願の過程でコモンアプリケーションのエッセイの内容も大体決めていましたが、人に伝わりやすい文章にするのにかなり時間がかかりました。
アメリカについては大学独自のサプリメンタルエッセイも書く必要がありましたが、こちらはお題を読んだときから書きたいことをメモしていたので、比較的楽に書くことができました。もっとも、締め切り直前になると自分のエッセイが魅力的なものか急に不安になり、結局提出したのは締め切りの半日前でした。
出願書類の準備以外にも、オックスフォード大学は筆記試験と面接を課しているので、アメリカの大学の書類準備と並行してこれらの対策と勉強も進める必要がありました。
私は尻に火が付くまで作業に集中できない性格だったので、実際にパソコンに向かって準備していたのは決まって締め切りが最も近い大学の書類でした。
それでも、他の大学出願に必要な書類やエッセイのお題を事前に把握し、頭の片隅にとどめておくようにしました。そうすることで、エッセイのアイデアが浮かんだときにメモを取っておくことができ、机に向かっている間に考えたこと以上のものをエッセイに書けたと感じています。
Q.【エッセイについて】種類やテーマは? 複数のエッセイをどう進めた?
英・米で求められるエッセイの性質、評価の比重の違いを意識して書き分けました。
【イギリスの大学】UCASのパーソナルステートメント
最初に取り組んだUCASのパーソナルステートメントは、自分が選んだ学問(物理学)について、なぜそれを学びたいのかなどを問うものでした。そのため、物語調のエッセイに比べて工夫の余地が少なく、すぐに大体の内容を決めて書き始めることができました。
具体的には、物理学に興味をもつきっかけとなった本や授業、研究プログラムなどです。そういったものを一通り書き終えたら、先生や友人に読んでもらい、不明瞭な点などを指摘してもらいました。イギリスの大学の入学審査では試験の点数や高校の成績の比重がとても大きいので、エッセイのオリジナリティに凝ることは正直あまりありませんでした。
【アメリカ:カリフォルニア大学】与えられたテーマから選ぶエッセイ4本
続くカリフォルニア大学用のエッセイでは、与えられた8つのお題から好きなものを4つ選んで書きます。一つは何の学問を追究したいかを問うもので、UCASで書いたものを流用して短時間で仕上げることができました。
残る3つは、自分のアイデンティティが形成された過程、挫折を乗り越えた経験、自分の学ぶことに対する姿勢についてそれぞれ書きました。取り上げた内容としては、幼少期から親しんでいた折り紙、部活動で大会を主催した経験、留学先でのマイノリティとしての生活などです。
カリフォルニア大学の出願サイトでは、コモンアプリケーション同様、課外活動や受賞歴を列挙する欄があるので、そこですでに書いたこととエッセイの内容が重複しないよう気を付けていました。とはいえ1か月でこれらを磨き上げるのには無理があり、結局最初の下書きに数回修正を加えただけのお粗末なものになってしまいました。
【アメリカの大学】コモンアプリケーションのエッセイ+各大学のサプリンメンタルエッセイ2本
コモンアプリケーションのエッセイでは、競技クイズを通して感じた知ることの面白さについて書きました。内容はカリフォルニア大学用のエッセイの一つと大差ありませんでしたが、こちらは準備期間により余裕があった分、物語調に書き直すことで少しでも読者の関心を引くように工夫しました。
さらに、早期出願を提出した大学は2つのサプリメンタルエッセイを課していました。一つは自分の学びたい分野に関するもので、やはりUCASのパーソナルステートメントに近い内容でした。
もう一つは与えられた哲学的な問いに対し考えを深めるというもので、前述のように普段からぼんやりと考えたことをメモして書き上げました。正直ここまで自分の人生に関して同じようなエッセイばかり書いており、自分が“薄い”人間のように感じて気が滅入っていたので、客観的な視点で淡々と書けるエッセイで、メンタルの面では助かりました。
Q.【推薦状について】誰に、どのように依頼した?
専攻分野でも部活でも深い関わりのあった先生に、内容もすべて委ねる形で依頼。
3種類の出願サイトすべてについて、物理と化学の先生に推薦状を依頼しました。自分の専攻と関連のある分野を教えてくださったのに加え、部活動でもお世話になった二人だったからです。
締め切りの1~2か月前にメールでお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。私の高校は推薦状の内容を生徒に公開しない方針をとっていたので、先生と文面を推敲するといったことはありませんでした。
こちらから書いてほしい内容を指定することもしませんでしたが、これは自分で思いつくアピールポイントはすでにエッセイに書いていたからです。結果的には、他人の視点からしか見えない自分の長所を書いていただけたと思います(想像するしかありませんが)。
Q.【課外活動について】どんな活動をリストアップした?
学問・スポーツ・芸術関連バランスよく並べました。役職はより高く見えるように意識!
まず、自分がやってきた部活動、研究プログラム、取得した資格などをリストアップしましたが、10個の欄がやっと埋まるくらいの数しかなかったので、カリフォルニア大学にも米国大の早期出願にもほぼ同じ内容を記入しました。
アメリカの大学に報告する課外活動は、学問的なもの、スポーツ関連のもの、芸術関連のものに大別されるので、これら3つがバランスよく並ぶよう心掛けました。姑息な手ですが、部活動での役職名など英語の表記で迷った場合は、より偉そうに聞こえるものを選んでいました。
ちなみに、UCASには課外活動の記入欄はありません。自分の専攻と関連のある活動についてパーソナルステートメントで書くだけでした。
高校ではカヤック部のリーダーとして活動。数少ないスポーツ関連の課外活動として記載。
Q.【外部英語試験について】受けたテスト、目標スコアに達したタイミングは?
高3の9月ベストスコア取得後はエッセイに専念。TOEFL®は再受験して本合格を獲得!
大学受験に向けて最初に受験したテストはSAT®です。高校2年生の3月に1回目を受験し、1490点のスコアを取得しました。当時は新フォーマットのデジタルSAT®が導入されたばかりだったので、公式アプリで2科目、特に英語の問題形式に目を通してから臨みました。
2回目は高校3年生の9月に受験し、こちらは1520点でした。SAT®を要求する大学は早期出願のアメリカの大学だけだったので、このスコアで十分と判断し、エッセイに専念することにしました。
英語力の証明となるTOEFL®は、高校3年生の6月に1回目を受験しました。高校に入学してからオンライン英会話でTOEFL®の対策講座を受講していた時期があったので、目標であった100点を無事超えることができました。
受験した大学すべてにこのスコアを提出しましたが、唯一オックスフォード大学だけは物理学科の要求する110点をクリアできていませんでした。
同校は主に筆記試験と面接での成績をもとに受験生に条件付き合格を出し、入学の約3か月前までに定められたスコアを取得できた場合に本合格を出すという方針をとっていました。そのため受験を終えた3月に2回目を受験し、何とか111点を取ることができました。
Q.【その他の提出書類について】成績証明書など、準備で工夫したことは?
公的書類の取り寄せや英語翻訳は早めに。具体的にどれか、手順も把握しておこう!
特に変わったことはありませんでしたが、成績証明書や確定申告書など公的な書類はなるべく早めに準備しておくことをお勧めします。
具体的にどの書類が必要なのか、どのような手段で英語に翻訳すればよいのかなどを把握していないと、直前に大慌てで準備することになってしまいます。私はファイナンシャルエイドの申請に使うサイトがどれなのか早期出願の直前まで確信が持てず、眠れない日があったほどです。
Q. 海外大を目指す中で心掛けたことは? 今頑張っている高校生にアドバイスもぜひ!
合否は縁。無用に反省しない。未知の世界を目指した時点で高い関門を突破しています!
私自身がメンタル面で心掛けたのは、あまり大学の評価基準を信用しすぎないことでした。いくら華々しい経験談をエッセイに書いたところで、入学審査官の心に響くかは自分には知りようもありません。
合格を逃してしまっても、エッセイのここを書き直せばよかったとか、このテストをもっと勉強すればあと数点とれたとか考えるのではなく、単にご縁がなかったのだと思うようにしていました。
海外大学を目指している高校生の皆さんへ。
海外大学の受験は、勉強などの努力が報われるとは限らない厳しい世界かもしれません。でも、そんな未知の世界を目指した時点で、受験そのものよりはるかに倍率の高い関門を突破しています。
自分の志望校が思っているより近いところにあると信じて、受験をやり切ってください。応援しています。
いかがでしたか?
本命オックスフォード大学の合格を勝ち取りながら、アメリカ・カナダの大学受験もこなしたGaku M.先輩。各出願期限に沿って順序立てて進め、その時々で集中するポイントを作ったり、事前にエッセイのテーマを頭に入れておいて思いつくたびメモしたりするなど、真似したい工夫がたくさんありましたね。
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