海外大に進学した先輩! 今学んでいる時間割の中身を教えてください! ~バックネル大学 Yuki Y.先輩~
海外大に進学した先輩は、日々どんなことを学んでいるの?リアルな「今」の時間割を通して、授業の内容や特徴、そこから先輩たちが得た学びまで詳しくお聞きしていきます。今回はバックネル大学のYuki Y.先輩の登場。リベラルアーツ大学入学後に専攻を決定し、4年生進級を控える今、どんなことを学んでいるのでしょうか。
専攻以外にも追究したい分野が学べる。広く教養を身につけられるのはリベラルアーツならでは!
今回の「ラボ協力隊」
Yuki Y.先輩
アメリカ バックネル大学 3年生、コンピュータサイエンス専攻。学ぶ学問を確定せずに進学できる点、ダブルメジャーや専攻の変更など柔軟にできる点を魅力に感じ、米国リベラルアーツ大学を選択した。
Q. バックネルってどんな大学?学部や専攻の特徴、そこに決めた理由も知りたい!
分野横断で科目が選択できるのが魅力。様々な学びに触れてCS専攻を決定!
バックネル大学はアメリカにある私立リベラルアーツの大学です。リベラルアーツということで、基本的に分野を横断した科目の授業を履修することが可能です。大学側は、学生が学び進める過程で興味分野が移り、専攻が変わることを前提として接してくれます。
私も入学当初はUndecided(未設定)専攻として心理学や哲学、芸術などあらゆるフィールドの授業を履修していたのですが、プログラミングの授業をいくつか取ってからコンピューターサイエンス(CS; 情報科学)を専攻することに決めました。
私の大学はCollege of Arts & Sciences(一般教養学部)、College of Engineering(工学部)、College of Management(経営学部)に分かれているのですが、コンピューターサイエンス専攻は一般教養学部と工学部の両学部で提供されています。
一般教養学部の中でもBachelor of Arts(文系)とBachelor of Sciences(理系)で分かれており、必履修科目に若干の違いがあります。主な違いは、工学部>理系>文系の順でより多く理系科目を履修する必要があるということです。
ただ、どちらの学部にいてもほとんどの科目が必修なので、多くの場合、一般教養学部生も工学部生と同じ授業を履修することになります。私は一般教養学部の文系の枠組みのもとコンピューターサイエンスを学んでいます。
以下、各枠組みの必履修科目のテーブルです。
- ▼Bachelor of Arts:文系(左)、Bachelor of Sciences:理系(右)の各必履修科目
▼工学部におけるコンピューターサイエンス専攻の必履修科目
出典:
Bucknell University COURSE CATALOG (2024-2025) / Computer Science (CSCI)
Bucknell University COURSE CATALOG (2024-2025) / Computer Science & Engineering (CSEG)
コンピューターサイエンスを専攻する多くの人は、ソフトウェア・エンジニアやデータアナリスト、プロダクトマネージャーなどのキャリアに進みます。他にはさらに学問を追究するために大学院に進む人も見かけます。
私は、自力でプロダクトを作れるという点と、実際にスキルが身に付くという点でコンピューターサイエンスを専攻することにしました。
Q. 今学期はどんな時間割?特徴的な授業もいくつか教えてください!
教育学から中国近代史まで。広く深い学びを経て世界を複眼的に捉えられるように!
Yuki Y.先輩の時間割
\アメリカの大学ならでは!な授業/
Diversity, Equity, and the Foundations of American Education
いわゆる「教育学」の入門クラスですが、ただ単に教育学の理論や手法を学ぶのではなく、アメリカの社会的・歴史的な背景と照らし合わせて、どのようにアメリカの公教育がアップグレードされていったのかを見ていくクラスです。
この30人程度のクラスでは事前に課題の参考本を注釈し、それを元に教授がファシリテートする議題について学生同士でディスカッションをします。
その他にも、グループプロジェクトとして教育学に関する文献を読んでまとめ、クラスの前でプレゼンテーションをしたりします。中間・期末試験では、学んできた内容に関するエッセイが出題されます。
このクラスを受けて、現在のアメリカ社会を複眼的に見られるようになった!
アメリカの人口の約8割が公教育を受けていると言われています。その公教育は200年前、Founding Fathers(アメリカ合衆国建国の父)によって民主主義制度とともに導入されました。その際、アメリカがどのような社会であったのかを考えることで、なぜ現在のアメリカの公教育に至ったのかが理解できます。
そして、現在のアメリカの教育を理解することによって、どういった背景でアメリカの文化、社会が構築されていったのかを考えることができます。
例えば、南北戦争が終わってからアフリカ系アメリカ人は隔離された環境で教育を受けていましたが、様々な衝突、交渉を経て、ようやく現在の平等な教育機会に至りました。
他にも、現在の公教育には南米からの移民に対する批判という大きな問題が存在しています。南米からの移民の多くは、より良い生活を求め、不法移民という形でアメリカに入国してきた人々が多くいます。そのような人々はアメリカで教育を受けることができても、社会に出る際に労働ビザがないということで、他のアメリカ人と対等な教育をうけ、スキルを持っていたとしても職探しに困ってしまいます。
このように、このクラスを取ることで現在のアメリカ社会を複眼的な視点で考察できるようになりました。
\コンピュータサイエンス専攻らしい少しマニアックな授業/
Computer Networks and Security
このクラスは、コンピュータの通信やセキュリティについて、手を動かしながら学ぶことができる半単位のクラスです。授業では教授が理論を説明して、ラボの課題が週次で出されます。
具体的には週1回80分の授業のうち、最初の30分ほどは教授がラボで必要になる概念を教えてくれ、残りの50分はラボ(手を動かす実践)に取り掛かります。ラボでは、レクチャーの概念を学ぶために教授が課したファイルをインストールして、自分のパソコンでプログラムを書くことが求められます。
ラボの間は教授と教授補佐がコードのディバグ(エラーの解消)を手伝ってくれます。授業内に終わらなかったラボの課題は、次の週までに宿題としてこなしてくることが求められます。その際何かわからない点があれば、気軽に教授とオフィスアワー(授業外で直接質問や相談ができる時間)を設定して質問できる環境がありました。
その他にも、学生同士で協力し合いながら自分たちのコードを比較して学びを深めることもありました。毎週の課題以外にミニテストなども課されるので、概念のインプットと実践がいい具合に混ざっているクラスでした。
このクラスを受けて、体系立てて重要な学びが得られた!
コンピュータにおける通信とセキュリティは非常に重要なのにもかかわらず、体系的に学ぶ機会があまり取れないことが多いです。そんな中、このような半単位のクラスが提供されているおかげで、そこまでストレスなく概念について学ぶことができてよかったです。
\専攻に直接関係ないけど、発見や面白さがあるお気に入りの授業/
China Since 1800
近代の中国史に関する授業です。週に3回のレクチャーは、事前のリーディング、それを元にReading Journal(読書ノート)を作成して授業前に提出することが求められました。リーディングは歴史本から中国の歴史的な書物の英訳など、あらゆる文献をまたがって授業ごとに4、50ページ程度課されました。
このクラスは全体で8人の学生からなる小規模なクラスだったので、教授の説明と学生との対話が行き来するシーンが多かったです。
このクラスでは2週間に一回ほど、事前課題で出てきた歴史人物、団体になりきって2チームに分かれてディベートをする授業がありました。例えば、1800年代の初めからアヘン戦争以前まで、清朝は世界的にも大帝国とみなされていて外交も強気の姿勢で挑んでいました。この歴史的背景を元に、清朝の皇帝とイギリスの初代マカートニー伯爵になりきって当時の外交を再現するかのように激論を交わしました。
こういった歴史人物になりきるディベートは、従来のレクチャーベースの授業とはかなり雰囲気が違っていますが、歴史の詳細を覚えているので効果的な授業スタイルだったのではないかと思います。
この授業を通して、国の政策がもつ影響力の大きさを実感!
1800年以降の中国は、国として近代化に向けて様々な取り組みをし、国が下したその政策は国民の生活に直接影響が出るという事実を目の当たりにすることができました。私たちの記憶に残っているのは一人っ子政策といったところでしょうか。
ここまで政府がトップダウンで直接国の方向性や文化に影響を及ぼすことができるのは、中国の政策や軍事との関係性があるからだと学ぶことができました。
Q. これらの授業を海外のリベラルアーツ大学で受ける良さってどんなところ?
専攻を深めながら広い教養が身につく!横断的に学んだことが人生の糧になります。
私のスケジュールを見て分かる通り、今学期は専攻に関係する教科はDiscrete Structures(離散数学)とComputer Networks and Security(コンピューター・ネットワークとセキュリティ)の2科目のみです。他のクラスは専攻に直接関係なく、自分が追究したい分野の授業となっています。
裏表びっしり公式や理論で詰まった離散数学の期末試験のチートシート。
米国の大学では授業によって試験でチートシートの持ち込みが許可されています。
このように、アメリカのリベラルアーツの大学に進学する醍醐味は、自身の専攻に限らず広い知識を身につけられることです。この横断的な学びはいずれ話の深みや引き出しの多さといった形で人生に生きてくると思います。教養を身につけることに興味のある学生さんには、ぜひリベラルアーツの大学進学を検討していただきたいです。
いかがでしたか?
実際に様々な学問に触れてから専攻を決められる柔軟性だけでなく、決定後も幅広い教養を身につけられるバックネル大学。Yuki Y.先輩の選択科目から、専門性を高めるだけでなく、先輩の限りない知的好奇心や成長意欲を受けとめるリベラルアーツ大学の懐の深さが感じられたのではないでしょうか。
【海外大に進学した先輩! 今学んでいる時間割の中身を教えてください!:シリーズ記事をチェック!】
アメリカ / バックネル大学 Yuki Y.先輩(この記事)
アメリカ / カリフォルニア州立大学モントレーベイ校 Naoki H.先輩
イギリス / インペリアル・カレッジ・ロンドン Hazuki Y.先輩
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