海外大を卒業した先輩! 海外生活で最高に嬉しかったこと・最大のピンチを教えて! ~ニューヨーク大学 Meg K.先輩~
学業に課外活動、さらにインターンも。海外大での学生生活といえば多忙なイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。ニューヨーク大学に進学したMeg K.先輩もそんな生活を送っていた一人。異国の地で経験した最高に嬉しかったこと、ピンチなど多彩なエピソードとそこから得た学びを教えてくれました。
ストレスとの付き合い方、プロセス自体を楽しむこと… 様々な学びが人生の糧に!
今回の「ラボ協力隊」
Meg K.先輩
アメリカ ニューヨーク大学卒業(主専攻:メディア・文化・コミュニケーション、副専攻:心理学)。
得意だった英語を生かし、リベラルアーツ教育を通して自分のやりたいことを探索するため海外進学を選択。
現在はオランダ・アムステルダム大学のメディア学修士1年。
Q. 4年間の海外大生活で起きた最大のピンチ、苦労したことは?
Episode #1【1年生の10月〜3月頃】
仲の良いルームメイトとトラブル勃発!お互い苛立ちを募らせ不穏な関係に。
入寮当初は、大学のイベントなど常に一緒に参加するほど大の仲良しだったルームメイト。しかし、1年生の10月頃から不穏な空気が漂い始めました。
中間試験で忙しくなり、私が部屋にこもって勉強する中、廊下に漏れ出るほど大音量で彼氏と映画を観たり、深夜1時までカリフォルニアにいる家族と長電話したり。勉強に支障が出るようになってきたものの、「我慢」することを学んできた私は不快感をきちんと伝えられず、怒りが募る一方でした。
その反面、ルームメイトも恐らく、授業以外ずっと部屋で夜遅くまで勉強をしている私に対して不満を持っていたはずでした。小さい頃から自分の部屋を持っていたらしいので、私が常に部屋にいるせいで自分のプライベートな時間を確保できなかったのが、特に辛かったのだと思います。
お互いきちんと気持ちの整理が出来ず、コミュニケーションが取れないまま数ヵ月が経った時、私の怒りが溢れ出てしまいそうになり、ルームメイトと会話することをやめてしまいました。彼女のことを実質無視している状態になってしまい、ルームメイトも限界に達したようです。
ある日の深夜0時、帰宅した彼女が勉強中の私に対して「私のクレジットカード盗んだでしょ、私のハチミツも1ミリぐらい減っているからあなたが舐めたんでしょ!」と疑ってきました。結局クレジットカードは1週間後に棚の後ろから見つかり、ハチミツの瓶が部屋にあったことさえ知らなかった私への疑いはすぐに晴れましたが、寮の担当者が介入しないといけないほど大きな喧嘩に発展することになりました。
その後、あと3ヵ月ほどしか残っていないこともあり、部屋を移動する必要はなかったのですが(大学には同じような状況に陥り、部屋を変えたい他の人と部屋を交換できるシステムがある)、退寮日までほぼ会話をすることがありませんでした。
すでに大学の勉強でストレスを感じていた私にとって、身近な人との人間関係の完全崩壊はメンタル的に辛い思い出になりました。
\辛い時を経て…/
ルームメイトとは当時和解することはなかったのですが、実は最近日本に旅行に来ていた彼女と3年ぶりに対面で会う機会がありました。その時、彼女から「当時はごめんね」と謝ってくれました。私も、きちんとコミュニケーションが取れず、最悪な状況までエスカレートしてしまい申し訳なかったと伝えられました。ようやく、4年越しに和解することが出来たのです。
このピンチを踏まえ、大学2年以降は自分が感じているストレスを整理し、ルームメイトや友人に気持ちが爆発する前にきちんと伝える大切さを学びました。
日本に住んでいた頃は、自分が抱えている問題を他人に押し付けるのは失礼と学んできたので、出来る限り自分で自分の問題を解決するように心がけていました。しかし、アメリカではお互いが問題に思っていることを素直に相手に伝え、その場で問題を解決する方がお互いスッキリするということを、いろんな場面で体験してきました。
これはルームメイト問題だけに限らず、自分が困っているときに助けを求める大切さであったり、自分で自分を追い込み過ぎないようにする学びであったりに繋がる良い学びだったと思います。
Episode #2【2年生の10〜3月頃】
メンタルヘルスの危機。将来への不安、目前の多忙さに追いまくられ悪化の一途…
大学2年生の秋学期は私にとって一番辛い時期でした。それは、勉強が難しくなる一方、専攻もそろそろ決めないといけない焦りが強まってきた頃。ニューヨークの法律事務所でインターンをしたり、次の夏のインターンシップ用の面接をいろいろ受けながら、大学での課外活動でリーダーポジションを担っていたり、いろんなことを同時にやりくりしなくてはいけなかったので、休む時間がほとんどなく毎日フル稼働で動いていました。
将来のことが不安で仕方がない中、目の前のことに追われていたので、人生で一度も経験をしたことがなかった過呼吸や偏頭痛が頻繁に起こるようになりました。常に何かに追われている感覚があったので、体調を崩してしまっても乗り切ろうと突っ走っていました。
ただ、ほんの些細なこと(電車に間違えて乗ってしまったり、宿題をメールに添付せず教授に送ってしまったり)と今では思えることでも、すぐに過呼吸になってしまうほど状況が悪化していました。
\こうしてピンチを乗り切った!/
部屋に篭るようになってしまっていたのですが、課題を一緒にやろうと声をかけてくれた友人が「このままだと倒れてしまうよ、大学のセラピストにかかってみたら?」と提案をしてくれました。周りの他の友人にも説得をされたので、大学の専任セラピストの予約を入れることにしました。
通い始めてすぐに状況は改善することはありませんでしたが、自分で自分を追い込む癖を認識できるようになったり、過呼吸や偏頭痛になる予兆が見えた時の予防策を学んだり、ストレスの管理方法を身につけられるようになりました。
Q. 海外大に進学して味わったピンチ、先輩にとってどんな意味があった?
今後の人生の糧になる、ストレスとの上手な付き合い方を学べた!
海外大への進学は、いろんな刺激や学びが多い中、ストレスは付きものだと思います。現地のアメリカ人にとっても非常にストレスフルな環境なので、文化が全く違う異国で学問を志す海外大進学者にとっては、さらに過酷な経験になるのは全く不思議なことではないはずです。
一方で、アメリカの大学にはストレスマネジメントやメンタルヘルス関連のリソースは実は多く存在しており、19歳の頃に自分のメンタルヘルスと向き合えたことは大きな糧になったと思います。高校生の頃から自分を追い込む癖があり、大学受験の時は良い結果につながったのですが、この先50〜70年と同じペースで自分を追い込むことは不可能だったはず。大学時代に違う癖づくりが出来て良かったと感じます。
文化の違いにより感じるストレスは多々ありましたが、ストレスの対処法や、ストレスに対しての考え方も文化によって大きく変わります。自分に合ったストレス管理法をアメリカで試行錯誤しながら見つけることができて良かったと思います。
Q. 逆に、4年間の海外大生活で最高に嬉しかったのはどんなこと?
Episode #1 【4年生の1月〜5月頃】
コロナ禍を逆手にとり、かけがえのない友達とニューヨーク生活を満喫!
3年生の途中から4年生の1学期間は、コロナの影響で日本に帰国をしていました。ニューヨーク州が緊急事態宣言を発令し、ゾンビ映画状態になってからほぼ1年間、大学の友達とは対面で会うことができませんでした。
しかし、4年生の最終学期は現地に戻ってきちんと卒業を経験したいと思い、大学時代の親友とマンハッタンの赤煉瓦のアパートの最上階(9階)の部屋を借りて共にオンラインの授業を受けました。コロナの蔓延でニューヨークにいながらも授業は全てオンライン、イベント・行事などはほとんどキャンセルで残念に思うことはたくさんありました。でもその分、ルームメイトや友達との仲を深めるきっかけになりました。
コロナ中に引っ越し、オンライン授業など長時間を過ごした思い出の部屋
コロナ前はそれぞれ忙しくインターンをやったり、イベントに出かけたり、授業に行ったり、クラブ活動に時間を追われたりで友達と過ごす時間は限られていました。逆にそういう予定がほとんど無くなったことで、毎週ゆっくりルームメイトと献立をたて、中華街やTrader Joe’sという人気のスーパーに足を運び、料理をするなど、街のスピード感に呑まれることなく、友達との時間を大切に過ごすことができました。
コロナ中、外食があまり出来なかったので友人とアパートでLunar New Yearを祝った時の食事
外出があまり出来なかったので、アパートで友人と過ごすことが多かった頃の写真
外出が出来ても、お店の中に入れなかった時期が続いたので、友人とよくピクニックに行っていました
1〜3年生の間は音楽やアートのイベントに行ったり、タイムズスクエア近辺の法律事務所でインターンをしたり、ザ・ニューヨーカー的な生活でしたが、最後の1学期は街の違う一面を友達と経験することが出来て嬉しかったです。
\こんなポジティブな影響もあった!/
海外の大学は入学してからが大変とよく言われますが、確かに1〜2年生の間は授業だけでなく生活に慣れる必要もあるので中々大変でした。いつも時間に追われている感覚で常に焦りを感じており、大学生活自体を全然楽しめていなかった時期も多々ありました。
オンライン授業になり、勉強の大変さは変わりませんでしたが、大学4年にして初めていい意味での「心地よさ」を経験することができました。「辛いと感じる時は成長している証だよ」という親の言葉を常に自分に言い聞かせて過ごした最初の3年間でしたが、卒業を目前とした最終学期でやっと勉強だけでなく、海外での生活を楽しむ術を身につけられたと思います。
学部卒業後は、ヨーロッパの大学院に進学したのですが、ワークライフバランスを真剣に考えるようになり、勉強だけでなく、海外でしか味わえない体験や経験に費やす時間も確保できるようになりました。
Episode #2 【2年生の1月〜5月頃】
先輩の助言でメディア学と出会い、ついに専攻が決定!一目惚れでした。
私がアメリカの大学に進学したいと思った一番の理由はリベラルアーツ教育です。まだ専攻が決まっていない、気になる専攻はたくさんあるけど絞れない段階でも、大きな大学に行けば何かしら見つかるだろうと思い、270以上の専攻・副専攻を提供するニューヨーク大学に進学することにしました。
そのため、1年目は文学、社会学、心理学、コンピューターサイエンス、クリエイティブライティング、人類学、国際関係学など、少しでも気になる科目の授業を手当たり次第取りました。しかし、どれもしっくりすることがなく、専攻を決めないといけない2年生の5月まで半年を切り、焦りを感じ始めました。
その時、大学の先輩が「テレビドラマや映画が好きならメディア学の授業を取ってみなよ」というアドバイスをくれ、半信半疑で授業をとってみたら一発目の授業から一目惚れをしました。今まで学問に対して感じたことがない求心力を感じ、その日にメディア学専攻を即決しました。
メディア学という学問は簡単に言うとSNSや映画などのメディアを扱う学問なのですが、さらに哲学的に考えるとMedia (メディア)はMedium(媒体)の複数形なので、物事を媒介するものを扱う学問になります。普段気にすることのないSNSの構造によって創出される力関係などを研究し、媒体を通して文化や社会を理解するという比較的新しい学問です。
他の人にとってはあまり面白くない学問かもしれませんが、私にとっては初めて社会を理解するツール・言語を手に入れられた感覚でした。アメリカの大学、ましてやニューヨーク大学に入学していなかったらメディア学に出会えていなかったかもしれないと考えると、いろんな学問を1〜2年の時に経験することが出来てよかったと思います。
\こんなポジティブな影響もあった!/
メディア学に出会っていなかったら心理学を専攻する予定だったのですが、心理学を選択肢として選んでいた理由は、テストの点数が良く、自分に「合っている」学問だと思っていたからです。ただ、高得点が取れるから、得意だからという理由で心理学を選んでいたら、授業が難しくなって時点で挫折していたと思います。
メディア学自体すごく得意と言うわけではなかったのですが、初めて勉強に没頭することが辛く感じることがなく、難しい授業や課題に直面してもチャレンジだと思って乗り切れるようになりました。
Q. 「海外大に進学したからこそ!」の嬉しさ・楽しさを味わうコツは?
進学後も挑戦の日々。やりたいことを見つけるプロセスを楽しんで!
勉強したいことが分からなかった高校2年生。周りには高校生の頃から勉強したいことがはっきりしていて、夢に向かって突き進んでいる人がたくさんいました。そのような友人を見て、よく羨ましく感じていたのを思い出します。
そして、やっと勉強したい学問に出会えた大学2年生。焦りを常に感じていたことは楽しい思い出とは程遠いですが、大学の4年間、たとえ目標が定まっていなくても少しでも興味を持ったことに挑戦することを学びました。
その後はニューヨークや東京でいろんなインターンシップやイニシアチブに参加し、ニューヨーク大学から卒業してから3年が経ちました。今はアムステルダムの大学院で、学部の頃専攻していたメディア学をより専門的に勉強することにしました。
大学受験は人生の大きな転換点のように見えますが、入学後も一直線に物事は進むことはないものです。試行錯誤を重ね、たまには遠回りを楽しみながらやりたいこと、興味のあることを見つけるプロセスを楽しんでほしいなと思います。Enjoy the process!
いかがでしたか?
リベラルアーツ教育を求めて米国大学進学を決めたMeg K.先輩。様々な学問にふれられる一方、専攻決めで苦労したり、ストレスとの付き合い方を見直したりと順風満帆ではなかったものの、大学生活でのあらゆる経験を糧にして「プロセスそのものを楽しむ」姿勢に、海外大の先輩らしい頼もしさが感じられました。
【海外生活で最高に嬉しかったこと・最大のピンチを教えて!:シリーズ記事をチェック!】
アメリカ / ニューヨーク大学 Meg K.先輩(この記事)
アメリカ / ウェルズリーカレッジ Michiru I.先輩
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