数千校ある世界の大学から、憧れの「志望大」ってどうやって選んだ? Jun I.先輩:アメリカ・カリフォルニア工科大学
海外に目を向けた途端、国内大に限るよりも圧倒的に幅広い進路が広がります。幾多もの選択肢は魅力的である一方、いざ志望校を選ぶときには途方に暮れそうなことも。科学・工学分野で世界に大きな影響を与える研究を多数行っているCaltechに進学したJun I.先輩は、どのようにして志望大学を選び出し、進学先を決めていったのでしょうか。
求めた学びができる大学か。必須条件で絞った各校の詳細をじっくり調べて最適校を発掘!
今回の「ラボ協力隊」
Jun I.先輩
アメリカ カリフォルニア工科大学(通称:Caltech / カルテック)1年生。
中3の時、複数の米国大見学をきっかけに、選択肢の一つとして海外進学を意識。数学専攻およびコンピュータサイエンス準専攻。
Q. 海外の志望大学選び。スタートから進学先の決定まで、いつ・どのように進めた?
国内奨学金の対象校から絞り込み開始。情報源によっては信用しすぎず参考程度に。
▼ 高2の3月頃:大学選びをスタート
▼ 高3の9月頃:受験校を決定
▼ 高3の3月:合格!
最終的に進学先を決めたのは、日本の大学1年生の5月
私は、中学3年の3月に参加した学校の海外研修で、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバード大を見学し、海外大に興味を持ちました。本格的に大学選びを始めたのは高2の冬~春頃だったと思います。
最初に考慮した点は、国内奨学金の対象校か否かでした。ほとんどの方がそうだと思いますが、私は給付型奨学金を獲得しないと進学は厳しいという状況だったので、これは必須条件でした。この過程で自ずと国はアメリカ・イギリスに絞られ、私はイギリスの大学審査の資格を満たしてなかった*ので、アメリカのみとなりました。
*イギリスの大学進学には日本の一般的な一条校の卒業資格では足りず、Aレベル[イギリスの大学入学資格として認められる統一試験]、IB[国際バカロレア]などのスコアが必要となります。
国内奨学金の対象大学と絞っても、まだ数十校あります。そこからは、コンピュータサイエンス、数学などで、ある程度科目別世界ランキングを参照し、高3の時に各校について、どんな授業があるか、どんな教授がいるかなどそれぞれ詳細を調べて最終決定しました。
選び始めで大まかに大学を振り分けるときは、Times Higher Educationの科目別ランキングや、Nicheというサイトの学生レビューなどを活用しました。ただし、Nicheのほうは本当に学生によるレビューだと信用できるのかわからないので、参考程度に読んでいました。
EducationUSA(アメリカ大使館・領事館と日米教育委員会によって運営)の留学フェアに参加したりして、実際大学の職員の方とお話してみたりもしました。ただ、そういったイベントに参加する大学は限られており、非参加校にも魅力的な大学は多いので、これも参考程度に留めました。
最終段階で各校について調べる際には、“… University course catalog” 、“… University CS faculty”などと検索し、授業の一覧や教授について調べました。
Q. 志望大選びで特に考慮したポイントは?優先順位、どう比較したのかも教えて!
総合でなく科目別ランキングで選別。最終的に各校の授業・教授などをじっくり比較!
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- <優先順位が高かったのは3つ!>
- 1. 学費や生活費などのお金
2. 難易度の高さ、ランキング
3. 学べる内容
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- 1. 学費や生活費などのお金
前述のとおり、まず国内奨学金の対象かという点で絞りました。たとえば、柳井正財団 海外奨学金プログラムでは現在、アメリカ、イギリスの約60校を対象としています。この段階で膨大な世界の大学から、現実的に調べられる程度の数まで絞れました。
- 2. 難易度の高さ、ランキング
次に、個人的には総合ランキングはあまり意味を成さないとある時点で気づいたので、科目別ランキングを参考にしてさらに数を絞りました。
- 3. 学べる内容
30〜40校などに絞った後、各校で学べる内容を地道に調べました。この過程はとても大変ですが、科目別ランキングなどでは調べきれない、個人的な好みに合う大学かを確認するのは大切だと思います。
ここまでで志望大学はほぼ固まりましたが、受験直前に出願校を加えたり除いたりもしました。実際、国内奨学金の対象ではなくても、大学からの学資補助(Financial aid)を狙って出願した大学も2校ありました。
一方で、国の特性(カルチャー・教育制度)、立地・エリア(治安・利便性など)は、そこまで考慮しなかったです。奨学金、出願資格の点から自然と絞られたので、その大学がどこにあるかは合格後に選ぶまであまり気にしませんでした。
Q. 大学選びの時に考えておいてよかった!と実感したことは?
豊富な研究プログラムの恩恵を享受。海外大学の中でも恵まれた環境なのを実感!
研究プログラムの豊富さはCaltechの強みの一つであり、魅力に感じていました。学部1年生からでも研究室に参加して、最先端の研究に取り組むことができます。実際、今夏も有給の数学の研究ポジションに就けました(ちなみに「加法的組み合わせ論」という分野で、凸体集合のsumsetのサイズの上限を改善というテーマで研究に励みます)。
日本の大学にはない恵まれた環境ですし、海外の中でも稀有なので、こういった点は入学前に調べておけて良かったと思います。
ファインマンが教えたファインマン・レクチャーホールでの講義
Q. 逆に、もう少し考えておけばよかった!とギャップを感じることは?
幅広く教養を身につけられる一方、追究したい分野の履修を泣く泣く諦めることも。
Caltechにはコア・カリキュラムという全員が受けなければならない授業があり、自分にとっては正直鬱陶しいです(笑)。特に、STEM系の勉強が好きなのに、歴史や社会などを毎学期取らないといけないというのはとても辛いです。
今学期も、科学史(History of Science)と生物1(Biology 1)という授業を仕方なくとっていて、好きな授業はソフトウェア設計、相対的電磁気学、微分位相幾何学、量子アルゴリズムしか取れていません。授業を7つ以上取るのはなかなか許可されないので、受講したかった解析的数論という授業は仕方なく履修登録せず聴講しています。
本校に限らず、コロンビア大学などコア・カリキュラムが大変な大学は意外と多いです。より自由度高く自分の興味に沿って授業を選びたいというかたは、ブラウン大学などカリキュラムの柔軟さが有名な大学を検討してみるといいと思います。
Q. 先輩の経験をもとに、後輩のみなさんへ海外志望大選びのアドバイスを!
4年間の学生生活をしっかりイメージしよう。在学生に質問してみるのも◎!
私の場合は、奨学金の対象可否、科目別ランキングの順で数を絞ってから各大学調べをしましたが、時間があり、奨学金の心配がない、または大学の学資補助(Financial aid)を狙うのなら、より幅広く調べましょう。
各大学について調べているときは、そのカリキュラム、研究環境で4年間楽しく勉強できるかをしっかり確認しましょう。もし分からないことがあるときは、ネットで在学生を探してどんどん質問してみましょう。
いかがでしたか?
金銭面をクリアできる大学で、高度な専門性をもち、研究に専念できる環境であること。Jun I.先輩が、大学で何を・どのように学びたいか具体的にイメージして、明確な意思をもって選択した過程が伝わってきました。膨大な情報の海に飛び込む前に自分の必須条件を整理して、まず候補数を絞り込むことはぜひ参考にしたいですね。
【数千校ある世界の大学から、憧れの「志望大」ってどうやって選んだ?:シリーズ記事をチェック!】
Vol.1 Jun I.先輩:アメリカ・カリフォルニア工科大学(この記事)
Vol.2 Misato O.先輩:アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校
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