現地で困った!乗り越えた!! 体験談 ~トロント大学 Kosei U.先輩~
海外大での留学生活には苦労やトラブルも付き物。今年9月に新入学を果たしたKosei U.先輩も例外ではなかったようです。トロント大学の入学前後・最初の学期を通して得た学びとともに、困った体験を教えてもらいました。
しっかり調べて備えたいのは履修・お金関連。様々な困難も、周りを頼りつつ何とか乗り越えられます!
今回の「ラボ協力隊」
Kosei U.先輩
カナダ トロント大学 1年生。物理・数理科学(Physical and Mathematical Sciences)専攻。
多種多様な人々と交流できることと、大学院進学を見据えてトロント大学進学を選択した。
<留学生活で困った! 第3位> 米がジャポニカ米じゃない!
私は寮に住んでいるので、よく食堂でご飯を食べています。トロント大学はいろいろな国から学生が来るので、日本ではあまり食べないような食事も出ます。特にアジア系の料理が多く、米を食べる機会が多いのですが、ほとんどが海外の品種で生産量の多いインディカ米かジャバニカ米。日本で食べていたジャポニカ米を身近に食べられず困りました。
- Q. 食べ慣れたお米と違って、どう感じた?
日本の米はお腹にたまりやすいですが、海外の品種は軽く、満腹になることはあまりないと感じます。大学に来てから基本、勉強詰めの生活なのでその分お腹も空きます。日常の楽しみも食事と趣味くらいなので、食事で満足感を得られないのは精神衛生上あまり良くないなと思います。
- Q. 腹が減っては戦はできぬ。どう乗り越えた?
入学後は日本人の友達と勉強をすることも多く、この話題になった時に「それなら日本の米を炊けばいい」と言われました。私は自炊をあまりしないので、その考えはなくハッとしました。実際、近くのアジアンスーパーで炊飯器と日本の米を買うことができました。
私は普段、図書館で過ごしているので寮の部屋に戻るのはだいたい12時過ぎになります。深夜に夜ご飯を食べるのは、それまでにお腹も空くでしょうし現実的ではありませんでした。
そこで思いついたのが、図書館で米を炊いて食べれば良いということです。これなら食事のために図書館から出なくても米を洗って炊くだけ、勉強量も増やせて一石二鳥!図書館の机にはコンセントが付いているので、自分の炊飯器を持ってきてその場で炊きました。友達とシェアもできて、久しぶりにジャポニカ米を食べられて満足でした。
図書館の机で炊飯!久しぶりに味わった日本のご飯に大満足
<留学生活で困った! 第2位> 日常会話に苦戦!
とにかく話すのが速い人が多い!一回で聞き取れないこともしばしば。あと、カナダでは日本のアニメがよく観られているようでその話もしますが、キャラなど発音が違いすぎていちいちGoogle検索をかけてもらっていました。
また、学期が始まる前のオリエンテーションでは、まずPronoun(プロナウン:自身の性自認に応じた、使ってもらいたいジェンダー代名詞)を聞かれました。カナダでは多様性を重視するという背景もあり、名前の下にPronounをつけるのが主流だそうです。私はそんなことを全く知らず、単語として“Pronoun”の意味はわかるけど何を言っているのかわからず戸惑いました。
- Q. 海外大に入れる英語力なら問題なさそうだけど…?
今まで英語はTOEFL®やSAT®の勉強ばかりで、アカデミックな英語の力はついていたものの、日常の英会話はまた別でした。相手の言おうとしていることがうまくわからず、申し訳なかったです。
また、私の取っている授業がほとんど理系科目で、極論ですが英語を全く使わなくても理解できていれば良い成績を取れてしまいます。教授に顔を覚えられるくらい頻繁に質問に行っていますが、自分のコードや数式を見せながら話すので、純粋な英会話の機会は少ないと感じます。
- Q. 留学生活はコミュニケーションも大切。どう乗り越えた?
授業初日からできる限り周りの人に話しかけるようにしました。また、授業や課題で疑問点があれば、高校の時は先生に聞くことが多かったのですが、大学では友達ともそういった話題を話すようにしました。
個人的には、テストが終わってご飯に誘うのが一番良いと思います。テスト後ということもあり話の種がたくさんあるので、会話を続けやすかったです。
<留学生活で困った! 第1位!!> 履修ルールを登録後に知って大焦り!
トロント大学では6月頃に新年度の履修登録を行います。新入生は、自分が2年生から入りたいプログラムの必修科目を大学のWebサイトで確認して、入学前に登録しないといけません。
私は地方に住んでいたこともあり、知り合いで海外大学に通う人がほとんどいませんでした。そのため、履修登録に関してはさっぱりわからなかったです。今思えば、この時点でネットをフル活用して少しでも多くの情報を見るべきだったと思います。
- Q.情報不足で入学後に「困った!」のはどんなこと?
プログラムの必修科目はなんとか把握できたので、1年でそれらのコースに入ることはできました。ただ、トロント大学のBreadth Requirements という、4年間である程度いろいろな分野を学ばなければいけない制度(卒業までの20.0単位のうち、3.0単位は自分の専攻と関係ないものを取る必要がある)のを、私は入学するまで知りませんでした。
友達がその制度について話しているのを聞いて、めちゃくちゃ焦りました。もちろん、その時には履修登録は終わっています。一般的に高学年になるほど内容が難しくなるので、後でする苦労が増えてしまいました。
また、コースの難易度は事前に調べておくべきでした。私が興味本意で秋学期にとったコースが、実は1年生の中で最も難しいコースの一つ。プログラムの必修ならまだしも、全く不要なので余計な努力をすることになりました。
逆に、ネットの情報と実感が異なるものもありました。Reddit という口コミサイトでは、私のとっている数学のコースはこの大学内では難しいと言われており、入学前は正直不安でした。ただ、実際には日本の高校数学の方がずっと厄介に感じます。海外の数学は基本的に易しいです。
- Q. 次にどう活かす?後輩の皆さんへアドバイスもぜひ!
今回は完全に自分の確認不足です。ただ、周りにトロント大学に行く人も全くいなかったので、多少は仕方ないのかなとも思います。次に向けて、私と似た専攻の先輩や同級生に、どのコースが面白いと感じたかなど聞くようにしています。
今読んでくれている中高生の皆さんが将来、履修登録をする場合は、自分のバックグラウンド(教育課程)に応じた選択を強くお勧めします。具体的には、そのコースの過去問や練習問題を見て、自分が勉強したらしっかりできそうか確認してみるのが良いかと思います。
Q. 留学先での「困った!」ことに対して、どう考えておけばいい?
お金・履修関連はくれぐれも慎重に。その他は心配しすぎずドンと構えるべし!
特にお金と履修登録は致命的な間違いを起こす可能性があるので、しっかり事前に調べておきましょう。その他のことは、先輩や同級生に聞けばその場でなんとかなることばかりです。むやみに心配せず、ドンと構えるのが良いかと思います。
ちなみに、お金についてはある程度慎重に立ち回ってきたので、幸い大きな間違いはまだしていません。知っておくべきこととしては、為替レートと銀行口座の金利です。
ご存じのとおり現在は円安ドル高。数年前は1カナダドル70円でしたが、1年目の授業料を払う時には106円ほどまで円安が進んでいました。また、カナダの銀行の平均的な預金の利子は2%ですが、日本でいう当座口座か普通口座かによって利子がつく・つかないという違いがあります。
こういった違いが、4年間の学費や生活費となると大きな差になります。理想としては、円高の時に4年間で使う円をすべてドルに換算して、当座口座に入れておくことだと思います。
いかがでしたか?
海外大進学した先輩たちの多くが苦労する言語や文化、食べ物の違い。Kosei U.先輩も直面したものの、その体験から得た学びも含めてシェアしてくれました。困難を乗り越える発想の転換や工夫もお見事。日本から遠く離れた地で奮闘する先輩の姿はたくましく、勇気づけられるかたも多いのではないでしょうか。
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