海外大の授業ってどんな感じ?②
高校までの学びと大きく異なり、自分で組み立てる必要がある大学の授業。だからこそ、その大学の授業内容やスタイル、選び方などは、大学選びにおいて必ず知っておきたいことでありながら、実際にそこで学ぶ人以外が具体的に知ることは容易ではありません。特に海外大ともなると情報も少なくなりがち。そんな海外大進学を目指す人にとって耳寄りなレア情報を、今まさに現地の大学で学ぶ先輩たちから特別に教えてもらいました。今回はアメリカ ペンシルベニア大学に通うHana M.先輩の登場です。
今回の「ラボ協力隊」
Hana M. 先輩
アメリカ ペンシルベニア大学 工学部生物工学専攻1年生。海外でのサマープログラムに参加した際、日本との違いや多様な価値観にふれ、海外で学ぶことに興味を持つように。高1の夏の留学フェアをきっかけに海外大進学を具体的に考え始める。高校卒業後、約半年間京都大学に通い、2021年9月からペンシルベニア大学に進学。
Q:大学ではどのように授業を選び、決めましたか?
選択する授業を学部アドバイザーと事前チェック。もし抽選で外れても諦めないが勝ち!
ペンシルベニア大学の学生として、初めてクラスを選択する「2022年春学期分(1月授業開始)」についてご紹介します。まず、11月に2週間ほど”Advanced Registration(早期申し込み)”の期間が設けられていて、専用のサイトから春学期に取りたいクラスを選択して申し込みます。なお、申し込む前に各学部のアドバイザーと会って、卒業に必要なクラスをきちんと取れているかチェックすることが義務づけられています(学部によっては「強く推奨」のみのところもあるようです)。もちろん、この2週間の早期申し込み期間が始まる前から、次の学期に開講されるクラスの情報(開講時間・教授・シラバスなど)をチェックすることは可能です。
Advanced Registrationでは希望する授業全ての申し込みが通るわけではなく、抽選に外れることもあり、外れた場合は代替の授業に申し込む、または空いている授業で時間割を組み直すことになります。しかし、絶対に取りたい授業に外れてしまった場合は、アドバイザーやそのクラスを提供している学部のスタッフに会いに行って「どうしても取りたいんです」とお願いしたり、授業担当の教授に嘆願メールを送ったりすれば取れるようになることもあります。また、実際に授業期間が始まってから、初回のクラスに忍び込んで「今日のクラスにもう来ちゃったんでお願いします」みたいな頼み方をすることも可能です。アメリカらしく交渉ありきの世界で、あきらめないことが肝要なようです。
最終的には、授業期間が始まってから最初の2週間の間に、時間割を確定しなければなりません。ペンシルベニア大学のように大学院がある大学の魅力の一つは、学部生のうちから大学院の授業を取れることです。学部1年生のうちから取れるクラスもありますが、多くの場合3年生や4年生が取り、ペンシルベニア大学の場合は学部生のうちに取った大学院の授業をそのまま大学院の卒業単位に数えてくれる制度(Submatriculation)もあります。これを利用して、学部+1年でMasterを取得することも可能です。
Q:自分にピッタリの授業を選ぶコツは?情報の集め方、選ぶときの条件なども教えてください!
自分の生活リズム、所属クラブの活動時間などを考慮しつつ満足のいく時間割に。
私にとって一番の情報源は、所属しているマーチングバンド(正確には”Marching”=行進はしないので”Scrambling Band”ですが…笑)の先輩たちです。音楽活動という性質上、様々な学部の学生が集まっているので、ありとあらゆる授業の情報が入ってきます。
私が在籍する工学部は必修のクラスが多く、自由に選択できるのは4年間で10クラスくらいなので、来学期のスケジュールを組む時に「何から手を付けていいか分からない!」という状態にはなりにくいです。ただ、自由に選べるクラスが限られているからこそ、その枠の中で何を選択するかは真剣に悩みます。私がクラスのスケジュールを組む時に重視するのは、自分の生活リズムです。例えば、私は朝型なので午前中になるべく自分にとって難易度が高そうなクラスを入れるようにしています。
2022年の春学期には、午前中にライティングセミナー(論文を書く練習をする講座のようなもの)と、やや苦手意識のあるコーディングの授業をとることにしました。また、過去の経験から、3時間の化学の実験は疲れることがわかっているので、その後に別のクラスを入れないようにしたり、所属しているクラブ(Penn Band)の練習時間に被らないスケジュールになるように工夫しました。
ペンシルベニア大学のように大きな大学だと、同じクラスでも複数回開かれている(しかも、働きながら学校に通う人のために夜の時間帯の授業も開かれている)ので、私のようにちょっとPicky(=選り好み)な人でも満足のいく時間割を作り上げられる環境は整っていると思います。
Q:実際に授業を受けてみて、「この大学ならでは!」と感じることは?
授業の合間にぶらり街歩き。偶然の出会い、異文化の刺激…留学の醍醐味を満喫!
私はまだ自然科学や工学のクラスしかとったことがないのもあり、授業の内容面で「Penn(ペンシルベニア大学)ならでは」だな、と思ったことはほぼないです。ただ、私がこの大学に来て本当に良かったと感じるのは、時間が空いたときにぶらっとフィラデルフィア市街に出かけられることです。例えば、金曜日は9時半頃に数学の週例テストが終わった後は13時半まで授業がないので、散歩に出ることが多いです。大学の学びって、特に留学生としては、教室内で起こるものだけではないと思います。
それこそ街を歩き、たまたま見つけた企画展に学生証を見せて無料で入り、アメリカ第二銀行を眺め、路上に立つ歴史を解説した看板を読み、差別か何かわからないけど何か叫ばれ、どの洗剤を買うかで迷い、帰り際に新しいパン屋のチラシを手渡される…。授業の話とはだいぶ逸れましたが、私にとって、偶然の出来事や出会いから学べる散歩の時間は重要で、それをフィラデルフィアという歴史的にも、人種構成的にも奥深い都市で気軽にできるというのはとても幸運なことです。
大学から徒歩25分のところで開かれるFarmar’s Market
フィラデルフィア市街。Muralと呼ばれる巨大な絵が各所にあります
Q:授業選びのコツや考え方など、海外大にあこがれる高校生へぜひアドバイスをお願いします!
あらゆる方向から情報を集め、自分の目でも確かめる。より具体的にイメージを膨らませよう!
私がよくやっているのは、「次の学期に取りたいな」と思っている授業を実際に自分の目で見に行くことです。やり方は簡単、目当てのクラスに忍び込むだけです。もし少人数の授業なら、教授にメールして忍び込んで良いか聞いてみましょう。ディスカッションなどの多いセミナーだと難しいこともありますが、講義形式なら許可されることが多いです。
あるいは、もし授業に忍び込めなくても、そのクラスを提供している学部のオフィスに行けば、どんな授業・担当教授なのかなど詳しく教えてくれます(そしてその学問を専攻、もしくはマイナーにすることを熱く熱く勧められます笑)。こうすることで、教授やクラスの雰囲気はもちろん、どれくらいの量の課題が出そうかなどもわかり、来学期の時間割を組む時に参考になります。
看護学の授業に潜入。着けていたマスクに”Penn Engineering”と書いてあったけれどバレませんでした
またペンシルベニア大学の場合は、”Penn Course Review”というサイトがあり、過去のアンケート結果をもとにコースの難しさや教授の評判などをチェックすることができます。ただし、とても便利なサイトではあるものの、アンケート回答者の主観による部分が大きいので私は参考程度にとどめています。さらに、実際に目当ての授業を取っている先輩に話を聞いてみたり、実際の講義のスライドや、レポートの内容などを少し見せてもらうとより具体的なイメージが湧きやすくなります。
いかがでしたか?
持ち前の行動力・探究力を発揮して、所属クラブの先輩たちや学部オフィスだけでなく、気になる授業には実際に自分の目で見て確かめにいくHana M.先輩。具体的な授業イメージを膨らませ、自分の生活リズムもしっかり加味しながら満足のいく学びを組み上げている様子から、海外大での学生生活がより鮮やかにイメージできたのではないでしょうか。次回は、カナダ トロント大学に通うKei T.先輩のお話をお届けします。
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