私の海外大生活~楽あり↑・苦あり↓②~
今回も、先輩たちが海外大生活の中でどんな山谷を乗り越えてきたのかを語っていただきます。今回は、アメリカでコミュニティカレッジを経て大学へと編入、現在はアメリカに残り社会人となったHaruka T.先輩に登場いただきます。長期間を海外で過ごしているHaruka T.先輩の苦楽はどのようなものでしょうか。社会人になった今だから感じることもお話いただいています。
自分が学びにつまずき、サポートしてもらった経験があったからこそ「学ぶ人を助けたい」と思えるようになりました。
今回の「ラボ協力隊」
Haruka T.先輩
UC Berkeley 卒業生
色んな国や文化の人と学ぶことを楽しみたいと思い海外進学を決意。
サドルバックカレッジで3年を過ごし、UC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)に編入。UC BerkeleyではElectrical Engineering and Computer Science(電気工学・コンピューターサイエンス)を専攻。現在は、
Q. 海外での学生生活ならではの「苦労したこと」「失敗したこと」はありますか?
A.渡航したての頃、英語力の無さから授業についていけず怖気ついていました。
渡航して最初の1~2年のコミュニティカレッジに通っている頃が一番大変だった時期でしたが、今でも苦労しています…笑。“苦労したな“と思うのは、英語力。特に初めの方は英語力が低かったので、全ての授業で出る課題をこなすのが大変で、例えばリーディングやエッセイなどを自分が納得いくまで何度も書きなおして終わらせるということに時間も労力もたくさんかかっていました。
他にも、入学して最初の学期に受けた社会学の授業が苦手で印象強く残っています。授業中に“どれだけディスカッションで発言しているか“が成績に関わっていたのですが、自分の意見が英語でうまく言えるのか自信がなかったのはもちろん、そもそも教授が何を質問しているか分からず、クラスメイトがどういう発言をしていたかのかも理解できていませんでした。なので、誰かの発言と同じことを言わないだろうかという恐怖心がつのって、なかなか自分から手を上げて質問や発言することができませんでした。
Q. その大変な苦労や失敗。一体どのように乗り越えたのですか?
A.一人で解決しないことが大事。友人やチューターなどサポートしてくれる人に頼ることで解決していきました。
苦手だった“社会学”の授業では友達を作りました。隣に座っていたフィリピン系アメリカ人の子と友達になりました。テストの前には、二人でStudy Sessionをして内容を理解しているかどうかを確認し合い、まずは授業についていけるようにしました。
エッセイに関しては、課題が発信されたらすぐにとりかかることにしました。図書館のチュータリングセンター(各教科に対してチューターとして学生や卒業生が働いていて相談に乗ってくれたり、教えてくれるところがあります)に行き、英語専門のチューターに最低2回はレビューしてもらってから提出していました。ここで気をつけていたことは、チューターの選び方です。当時は自分の英語に本当に自信がなく、どんな小さい間違いも気づくことができませんでした。そこで、チューターを選ぶ時にESL(English as Second Language/英語を第二言語としての英語)の方ではなく、できるだけ現地の英語担当の方を狙い予約していました。人気のあるチューターはすぐ予約がいっぱいになってしまうので、それも含めてスケジュールを立ててエッセイを書いていました。
後は、コミュニティカレッジの場合は、授業以外の質問ができるOffice hourによく行っていました。教授が週に1、2回程度、また大きめの4年制大学(私の場合はUC Berkeley)だと学生のTA(teacher assistant)が毎日開いてくれます。教授によっては次のテストに出そうな重要な部分を教えてくれたり、自分の名前を覚えてもらえるので積極的な意欲を成績に反映しやすくするなどの別のメリットもあります!
Q.苦労や失敗から「学んだこと」、「身についた力・スキル」はありますか?
A.苦手を克服したら、エッセイの書くスキルや、早めに取り組んで仕上げていく癖が身につきました。
経験したことから学んで「苦手なことこそ出来るだけ早めに取り組む」癖がついた気がします。そして、「エッセイを書く力」が間違いなくつきました。エッセイを仕上げていくときに自分で書いた文章を音読するという確認の仕方は今でもやっていて、読み上げながら“変だな“とか”長すぎるな“と思ったら書き直すようにしています。ちなみに、この方法は通っていたチューターの方がいつも一緒にやってくれていたものです。
Q.経験されたような“苦労をする意味”って何でしょうか?
A.人生で何度も起こる“問題を自分で解決していく訓練”ができました。
「苦労をしているな、苦労したな」と感じられることはとても恵まれているなと思っています。それは「問題を解決する力」を身に付けられるからです。私の場合、英語が出来なくて苦労をした経験でしたが、“何に苦労しているか(問題)を理解して、それに対してどのような行動をとったら良いか”を調べたり、考えたりする一連の動作は生きていく上で何度も起こることなので、その一連の流れを10代後半で留学の経験を通して訓練できたことは本当によかったなと思います。
もし英語が堪能だったらここまで努力してエッセイを完璧にしようとしていなかったと思います。また、友達とのStudy session、チュータリング、教授が質問に答えてくれるOffice hourなど、知らない人と関係性も築けなかった、仲良くなれていなかったと思うので、苦労しながら自分を向上しようと努力するプロセスはとても大事だったなと思います。
社会人になった今も“苦労することの意味”を感じることがあります。今、私は起業する方がたくさんいるシリコンバレーにいるのですが、会社を創ったり、良い商品を作ったりするには、“問題をとことん理解して、作った商品やサービスが本当に問題を解決できるか”が鍵です。そして、その局面には自分が苦労した経験があるから、解決していく一連の流れを知っているから、問題を解決していけるんだ!と感じていて、大学時代に苦労することはこういう仕事の面でも役に立つと思います。
日々仕事をしていると、“Product Led Business”とか”Product Led Growth“(ビジネスや実績を成功に導くような商品の作り方や考え方、戦略などを言います)っていうキーワードがよく話に出てくるのですが、考えてみると”商品がお客さんを自然に呼び寄せて成功するビジネスや商品“も、問題を解決していくという流れを踏まえて生まれるんだな…と肌で感じているところです。
Q.逆に海外での学生生活で「最高潮だったこと」「最高に楽しかったこと」はどんなことですか?
A.自分がしてもらったサポートを学生にお返し!勉強を教えて喜んでもらえたことが幸せでした。
コミュニティカレッジ(コミカレ)時代の2年目、大学時代の2年目に共通する最高に楽しかったことがあります。コミカレでは数学のチューターとして、バークレーでは専攻コースのスタッフとして電子工学授業の“ラボアシスタント”を担い、他の学生が学ぶプロセスを助けられたことが最高にハッピーでした!
始めたのは、自身の経験が理由です。コミカレや大学に入学した時、私は数学や電子工学が得意だった訳でもないのですが、教えることにすごい情熱を持った教授と知り合えたことや、周りの学生が学びに対して高い意欲を持っていて、その影響で勉強することがとても楽しくなりました。なので、数学や電子工学の科目に対して、昔の自分みたいに苦手意識を持っている学生が「そんな悪くない、できるじゃん!」「楽しいかも!」と思ってもらえるようになるお手伝いができたら良いなと…と思ったからです。
コミカレでチューターをやっていた時、40歳くらいの女性がよく私のところに質問に来ていたのです(他の学生も来ていましたが彼女がとても印象強いです…!)が、セメスターの最初の方はDくらいの成績からAまで伸びて、最後に“数学が楽しい!”と言ってもらったことがありました。そのことは、人の役に立てたことが本当に実感できてとても嬉しかったです。
バークレーでは、“音声認識する車を作るラボがあるクラス“でアシスタントをした時のことが思い出深いです。それは授業の内容の難易度がとても高く、大変なクラスとして大学でも有名なのです。他の学生が困っている課題を一緒に解決するお手伝いができたことや、問題が解決したお陰で早く家に帰れた、または、追加でラボに来なくてよくなったことで学生が喜んで”Thank you SOOOO MUCH!!”って言われたこと(笑)は、アシスタントになってよかったなと思いました。
Q. その経験や出来事が何かに“活きている”と思うことはありますか?
A. 社会人になっても仕事で人を助ける、役立てるような存在になりたいと思っています。
今は働き始めて半年ちょっとなので、“助ける側”より“助けてもらっている側”なのですが、近い将来に“助ける側”として役に立てるように、自分が何でとまどったのかや、その解決方法など習ったことを忘れないようにノートにわかりやすく書き留めることに心がけています。
Q.最後に、海外大学生活だからできる「成功体験」「楽しい経験」とはどのようなことですか?
A. “海外にわざわざ学びに来ている“というプレッシャーが、常に学ぶ意識、人を助けたい意欲を育ててくれたと思います。
私の場合は、国内大に行っていたらここまで「学びたい」、そして「他の人が学ぶことを助けたい」という意欲は持てていなかっただろうなと思います。その理由は、「わざわざお金かけて留学に来ているから」とか「家族、友達と離れて海外まで来ているから」という考えや良い意味のプレッシャーから、この“学ぶ機会を最大限に使い果たしたい!”と常に思っていたからです。
私だけかもしれませんが、日本にいた時はなんとなく一生懸命やる人が恥ずかしいと思うような雰囲気を感じることもあったのですが、アメリカ、特にシリコンバレーあたりは新しい情報を取り入れることに一生懸命で積極的な姿勢を評価してもらえるところが大好きで、毎日楽しいです☺
いかがでしたか?
Haruka T.先輩は、困った時に自分一人で解決するのではなくサポートをうまく利用することで乗り越えていたことが印象的でした。また、その経験から同じ立場にある学生を助け、またそれが最高に楽しかった経験になっていることはとても素晴らしいことでしたね。苦労を経て人の役に立つことをしたいと気づいた新しい発見も海外進学をしたからこそ、だったようです。
次回は、アメリカで経営学を学び現在日本の会社で活躍をされているDaiki T.先輩にお話をお聞きします。
【他の先輩の楽あり↑・苦あり↓体験談もチェック!】
■うまくいかなかったグループワークのやり方を改善。 失敗から学んで成功に変えた経験は、英語「で」何かできるという自信になりました。 (Y.H.先輩 オーストラリア ウェスタンシドニー大学)
※この記事でご紹介している内容は2021年3月9日現在の情報に基づいています。